デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜   作:社畜ヲタク

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第12話︰〇〇!あれを見ろ!「えぇぇぇぇぇ!?」

いつもよりも数倍騒がしい、熱気に満ちあふれた学園の朝。廊下を行き交う生徒たちの誰もが、興奮と緊張を隠せない様子でざわついている。

 

高咲コウもまた、胸の奥から湧き上がるワクワクとドキドキを抑えきれず、自身のスマホの画面を何度も、何度も見返していた。

 

「そんなに何度も見ても、本戦出場の発表はまだ先よ?」

 

ツンケンとした口調ながらも、昨日までの冷徹な蔑みとは違い、どこか柔らかさを帯びた声がかけられる。

振り返ると、そこには藤堂 天音の姿があった。

 

彼女の態度の変化を深く気に留める風でもなく、いたずらっぽく笑ってスマホを振ってみせた。

 

「もしかしたら、予定より少し早く発表されるかもしれないだろ? そう言う藤堂だって、さっきか

らチラチラとスマホを気にしてるじゃんか」

 

「な、私はいいのっ!」

 

核心を突かれた天音は、一瞬で顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに視線を泳がせながら必死に言い訳を紡ぎ始める。

 

そんな、以前の二人からは想像もつかないような何気ないやり取りを交わしていると、校内スピーカーから電子音と共に凛とした放送が鳴り響いた。

 

『生徒の皆さん、手元のスマホ、または教室のテレビ及び校舎各所に取り付けられた大型スクリーンをご覧下さい。これより、リーグ本戦出場者を発表します』

 

その声を合図に、校内の喧騒がピタリと止む。全員が一斉に、息を呑んでそれぞれの画面へと視線を注いだ。

 

』それでは、Aグループから順に名前を表示いたします。表示と同時に該当のスマホへ通知が送られ

ますので、各自ご確認ください』

 

いよいよ、選ばれし強者たちの名前が刻まれていく。ゴクリと喉を鳴らし、画面を見つめた。

 

 

Aグループの発表・・・・・・・コウの名前は、無い。

 

 

続いてBグループの発表―――。そこでも彼の名前が呼ばれることはなかった。

 

 

さらにCグループがスクロールされていくが、依然として「高咲 コウ」の文字は現れない。

 

 

(マズいな・・・・・・)ガラにもなく額に冷や汗を流しながら、昨日の夕方の出来事を振り返っていた。

 

(もしかして、最後に生徒会長とやったあのデュエルの結果が、ポイント計算に響いてるのか...?)

 

焦燥感が胸を締め付ける中、ついに最後の「Dグループ」の発表が始まった。

 

上から順に名前が並び、どんどん下へとスクロールされていく。 そして、その一番最後の行。

 

滑り込みの最下位として―――そこに、彼の名前がはっきりと刻まれていた。

 

「「やったあぁぁぁ!!!」」

 

歓喜の声を上げるコウ。

しかし、叫んだ瞬間に彼は奇妙な違和感を覚えた。

 

(あれ...? 今、俺の他にもう一人、同じタイミングで『やったあ』って喜んでなかったか?)

 

不思議に思って隣を見ると、そこには両手で口元を覆い、顔を耳の根元まで真っ赤にした天音が立っていた。 彼女はコウの視線に気づくと、激しくどもりながら必死に手を振った。

 

「か、勘違いしないでよねっ! き、昨日のやり返しが、本戦の舞台で直々に出来るから嬉しかっただ

けでっ! 貴方が本戦に出場できたことなんて、これっぽっちも、本当にこれっぽっちも嬉しくなんて

ないんだから......!」

 

後半になるにつれて、蚊の鳴くような声でボソボソと呟く天音。コウはその極端な態度を不思議に

思いつつも、「まあ、何はともあれ出場確定だ」と、すぐに思考を本戦用のデッキ構築へと切り替

えた。

 

ここからは、予選を勝ち抜いた本物の強者同士の勝負だ。 生半可なコンボや、独りよがりのデッキ

では一瞬で叩き潰される。

 

しかし、そんな過酷な舞台を前にしても、コウの唇は自然とニヤリと吊り上がっていた。

元の持ち主と交わした「世界にデュエマの楽しさを思い出させる」という約束。その第一歩を踏み出すための最高の舞台が、今整ったのだ。

 

本戦出場者の発表から数十分後、スマホが微かに震え、一通の通知を告げた。

 

『これより本戦トーナメント、Dグループの第1回戦を開始します。高咲 コウタは、第2アリーナNo.5デュエル台へ10:30までに集合してください』

 

「よし、行くか」

 

通知を確認し、早速アリーナへ向かおうと足を動かしたその時、背後から天音が、少し躊躇いがちに声をかけてきた。

 

「せ、せいぜい...貴方の言う『好きなカード』とやらで、どこまで通用するか勝ってみなさいよ」

 

その言葉には、昨日まで彼女の口から吐き出されていたような、他人を底辺と蔑むような棘は一切

含まれていなかった。

 

コウは振り返り、その真っ直ぐな瞳を受け止めると、「おう」とだけ短く一言返し、力強い足取りでアリーナへと向かった。

 

 

 

場所は変わり、熱気の渦巻く第2アリーナ。

 

 

 

コウが到着した時、向かい側には、すでに強烈な存在感を放つ男が到着していた。

 

その男は、頭にきつくハチマキを締め、上半身は裸。その上に、背中に青い文字で「祭」と大きく書かれた法被を羽織っていた。

さらに、どういうわけか、自分の身長ほどもある巨大な団扇を背中に担いでいる。

 

「ドッコイショー! お前が1回戦の相手か! よろしくな! 俺は『祭田 大輔(まつりだ だいすけ)』だ!」

 

大輔は周囲の空気を震わせるほどの声量で豪快に笑い、自らの名前を名乗った。

その突き抜けた個性に圧倒されつつも、コウは悪くないなと笑みを深める。

 

「俺は高咲コウ。よろしく、祭田」

 

二人が数回、言葉を交わして互いの闘志を確かめ合ったところで、アリーナ全体に冷徹な機械のアナウンスが響き渡った。

 

『それでは、両者デュエル準備に取り掛かってください』

 

数分後、デッキの接続が完了し、バトルゾーンのホログラムが鮮やかに展開される。

 

『これより、リーグ本戦、第1試合を開始します。――皆さん、掛け声を』

 

そのシステム音声を皮切りに、アリーナ全体の至る所から、戦いの始まりを告げる魂の咆哮が一斉に 鳴り響いた。

 

 

「「デュエマ、スタート!!!」」

 

 

カジュアル勢の、世界を変えるための本戦第1回戦が、今ここに幕を開けた。

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