デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜   作:社畜ヲタク

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割と好きなデッキです


第14話︰まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ!「ひょ?」

 

何とか本戦トーナメント第1回戦を突破したコウ。

 

割れんばかりの歓声に包まれたアリーナを後にした彼は、休憩もそこそこに、次の対戦へ向けた準備のためにデッキの微調整を始めていた。

 

「おい、高咲」

 

背後から、怒りを隠そうともしない、低く鋭い声がかけられる。 振り返ると、そこには以前の勝負

でコウに敗北を喫した上位勢の一角、 轟が立っていた。

 

その表情は屈辱と苛立ちに満ちており、舎弟たちを引き連れてコウを鋭く睨みつけている。

 

「また『運』で勝ったらしいなぁ? お前が結局、運に縋ることでしか勝負のできない雑魚だってことが、これで完全に判明したわけだなぁ?」

 

あからさまな煽り文句。 しかし、コウはそんな言葉を気にする風もなく、肩をすくめて楽観的に微笑んだ。

 

「よく言うだろ。 運も実力のうち、ってさ」

 

「チッ・・・・・・!」

 

その飄々とした返答が、 轟の逆鱗にさらに触れた。 彼は一歩詰め寄り、指を突きつけて宣言する。

 

「次の相手は俺だ! この間のようにつまらねぇ生ぬるい試合にさせねぇからな、徹底的にぶっ潰してやる!!」

 

捨て台詞を残して去っていく轟の背中を見送りながら、コウは静かに手元のカードを見つめ、次戦で使用するデッキを決めた。

 

(運だけ、と言われるなら。 それを完全に覆す、誰にも止められない攻撃を見せてやるよ)

 

やがて、アリーナにアナウンスが響き渡る。

 

『それでは、本戦第2回戦のプレイヤーは各自、デュエル台へ移動し準備をしてください』

 

指定されたステージへと上がると、対面にはすでに準備万端といった様子で凄まじい威圧感を放つ轟が立っていた。

 

「この間のような生ぬるい攻撃じゃぁすまねぇぞ、高咲!」

 

「だったら、それよりも熱い攻撃をこちらが展開するまでさ」

 

『全プレイヤー、準備が完了したようですね。 それでは、第2回戦を開始します! 掛け声を!デュエマ、スタート!!』

 

その合図とともに、会場中の全プレイヤーの声が一つに重なり、轟天の如く鳴り響いた。

 

「「デュエマ、スタート!!!」」

 

 

 

〜1ターン目:先攻(轟)〜

 

「貴様のその余裕、どこまで続くかなぁ!? 俺のターン、マナチャージをしてターンエンド!」

 

 

〜1ターン目: 後攻 (コウ)〜

 

「俺のターン、ドロー。 ――前回のような遅いプレイはしない。 マナチャージ。1コストを支払い《コースター=コーデキター》を召喚。 ターンエンドだ」

 

コウの場に、深淵の闇からドレスを纏ったような不気味で妖艶なクリーチャーが姿を現す。

 

 

〜2ターン目: 先攻(轟)〜

「俺のターン、ドロー! そしてマナチャージ。 2コストを使用し《轟速奪取 トップギジャ》を召喚!効果により山札の1枚目をマナゾーンへ追加! ターンエンドだ!」

 

 

〜2ターン目: 後攻 (コウ)〜

「俺のターン、ドロー。 マナチャージ。2コストを使用し《オペラグラス=ドクラス》を召喚。 効果により山札の上から2枚を確認し、2枚とも墓地へ送る! ターンエンド」

 

コウタの山札から墓地へと叩きつけられたのは――《片翼の魂アビスベル》、《デンジャラス=トットロ》の2枚。 着々と墓地が肥やされていく。

 

 

〜3ターン目:先攻(轟)〜

 

「俺のターン、ドロー!」

 

引き入れたカードを確認した瞬間、 轟の顔に凶悪な笑みが浮かんだ。

 

「やはりお前は遅いんだよ! マナチャージ! 4コストを使用し、 《轟速 ジャ・レッド》を召喚!!ジャレッドはスピードアタッカー! そのまま高咲、 貴様に攻撃する時に『D・D・D』 宣言!!」

 

深紅と漆黒に染まった巨大なバイクがバトルゾーンを暴走し、凄まじい爆音とともにコウへと突撃する。

 

「《弐闘路と轟点火の決断》と《魔誕の封殺ディアスZ》を宣言! まずジャ・レッドの攻撃時効果により、マナゾーンのカードを4枚アンタップ! そして、アンタップした4マナを支払い呪文《弐闘路

と轟点火の決断》を発動! 効果は――贅沢にすべてを選ぶ!!」

 

轟の背後に、赤、黒、緑のバイクの幻影が突如として出現し、アリーナを蹂躙する。

 

「まずジャ・レッドを選択し、攻撃終わりにアンタップする効果を付与! さらにマナゾーンのカード

を4枚アンタップ! そして山札の上から3枚を墓地へ送り、墓地からカードを1枚回収!」

 

轟の怒涛のラッシュはまだ終わらない。

 

「まだ終わらねぇぜ! さらにアンタップした4マナを支払い、墓地から《魔誕の封殺ディアスZ》をジャ・レッドの上に重ねて進化!! そのままW・ブレイクだ!!」

 

暴走するバイクが地獄の底から這い上がってきたかのような悪魔へと変貌し、コウのシールドへと牙を剥く。

凄まじい衝撃波とともに、コウのシールドが削られる。

 

コウのシールド(5枚→3枚)

 

「シールドトリガー、なし」

 

「まだまだぁ!! ディアスZの攻撃時効果で墓地から《ギガクローズ》を蘇生! そしてディアスZをアンタップ! さ・ら・に! ディアスZの効果により、蘇生した味方がスピードアタッカーだ! 攻撃する時に効果発動! ――貴様の手札をすべて捨てなァ!! そしてシールドをブレイク!」

 

不気味でドロドロとした化け物が現れ、コウの手札をすべて刈り取りながらシールドを粉砕する。

 

コウのシールド(3枚→2枚)

 

「トリガーなし」

 

手札をすべて失い、コウの額に一筋の冷え汗が流れる。

 

「まだまだぁ!! アンタップしたディアスZで、残りのシールド2枚をW・ブレイク!!!」

 

悪魔の爪が、コウを守る最後の光を完全に引き裂いた。

 

コウのシールド(2枚→0枚)

 

だが――その刹那、 コウの最後のシールドが妖く、そして深く輝いた。

 

「・・・・・・トリガー、発動!」

 

「何ぃ!?」

 

「俺の場には闇のクリーチャーが2体以上いる。シビルカウント2により、この呪文はシールドトリガーになる。 ――呪文《邪侵入》!!」

 

コウは墓地を指し示す。

「山札の上から4枚を墓地へ送り、墓地から現れろ! 《片翼の魂アビアベル》!!」

 

深淵の底から、巨大な漆黒の翼を持つアビスの王が降臨し、地を這うような咆哮を上げる。

 

「さらにアビスベルの効果! 山札から2枚を墓地へ送り、カードを1枚このクリーチャーの下に置く!」

 

「チッ、ブロッカーを立たせたか・・・・・・! だがディアスZの効果により、墓地から《堕チシ叉ノ蛇神》を場へ! スピードアタッカーとなっているため、そのままダイレクトアタックだ! さらに攻撃時効果、手札を1枚捨てろ!」

 

コウに、容赦のない最後の一撃が迫る。 コウはすかさず叫んだ。

 

「アビスベルでブロック!! アビスベルは破壊される時、下にある進化元を身代わりに生き残る!逆にスレイヤー効果によって、お前の蛇神を道連れに破壊する!」

 

凄まじい闇の爆発が起こり、攻撃の手が辛うじて止められた。

 

「くそっ、あと一歩足りなかったか・・・・・・。 だが、てめえの手札は1枚だけで、シールドもねぇ! 完全に詰みだ! ターンエンドだ!」

 

轟は勝ち誇ったように笑うが、コウは冷や汗を拭いながら、不敵にニヤリと笑った。

 

「いや。 ――むしろここからが、俺の本番だ」

 

 

〜3ターン目: 後攻 (コウ)〜

 

「俺のターン、ドロー! ――そしてマナチャージ! 3コストを支払い、《コースター=コーデキター》の上に《ギャラップ・ギャロップ》を進化!!!」

 

深淵の闇から現れたのは、なんと巨大な「コーヒーカップ」の姿をした奇妙なクリーチャーだった。

 

それを見た轟や彼の舎弟たちは、一瞬の静寂の後、腹を抱えて爆笑し始めた。

 

「ハハハハ! なんだそれは!? たったのパワー3000の雑魚じゃねぇか! そんな紙切れで、この俺の完成された盤面をどうにかできるとでも思ったのかよ!?」

 

「残念ながら、これで終わりだ。 ――行くぞ、ギャラップでシールドをブレイク!」

 

コウの宣言に、コーヒーカップが突撃する。

 

轟のシールド。 (5枚→4枚)

 

「ハン! 1枚程度、痛くも痒くもねぇよ! シールドトリガーなし!」

 

「1枚程度、か。 ――ギャラップの下にあるコースターの『超魂X』 能力発動。 山札から、このクリーチャーを構成しているカードの枚数――つまり2枚ドローし、その後、このクリーチャー自身を破壊する!」

 

パリン!! と激しい音を立てて、 攻撃を終えたギャラップが自らの効果で粉々に砕け散った。

轟は鼻で笑う。

「最後の足掻きに手札補充か? 哀れだなぁ、高咲!!」

 

だが、コウがニヤリと笑った瞬間。 砕け散ったコーヒーカップの破片が、まるで時間を巻き戻すかのように集束し、一瞬で元の姿へと蘇った。

 

「な、 何っ・・・・・・!?」

 

「ギャラップの効果。 このクリーチャーが破壊された時、それが進化クリーチャーであれば、墓地

からバトルゾーンへと蘇る。 ――そして、場にいるアビスベルの能力が連鎖発動する!」

 

アビスベルが墓地のカードを掲げた。

 

「アビスベルの効果。 自分の進化もしくはNEOクリーチャーが出た時、墓地にあるをカード1枚、その下に置くことができる。墓地も増やせるが増やさずにそのまま ――墓地から《コースター=コーデキター》を、今蘇生したギャラップの下へ置く!」

 

轟の顔から一気に血の気が引いていく。

 

「これで、ギャラップは再び『進化クリーチャー』 の状態になった。 出たばかりだが、進化クリーチャーだからそのまま即座に攻撃可能だ。 ――往復ビンタだ、ギャラップでシールドをブレイク!」

 

「破壊されたら復活!? さらにそのまま間髪入れずに攻撃だと!? ふざけるな、そんな無限ループがあるか!!」

 

轟が絶叫する中、シールドが叩き割られる。

 

轟のシールド(4枚→3枚)

 

「くそ、トリガーなし!」

 

「もう一度だ。 コースターの効果で2枚引き、ギャラップを自壊! ギャラップの効果で即座に蘇生し、アビスベルの効果で下のコースターを補給! そのままギャラップでシールドをブレイク!」

 

轟のシールド(3枚→2枚)

 

「止まれ!! 止まれぇぇ!! 『G・ストライク』 発動!! ギャラップを指定し、攻撃を不可にする!!」

 

轟が必死の形相で叫ぶが、コウは静かに首を振った。

 

「残念。 ギャラップはコースターの効果で2枚引き、そのまま自壊する。 そして墓地から蘇生する。 ――新しく生まれ変わって場に出たギャラップには、さっき付与された攻撃不能効果は引き継がれない。 よって、アビスベルの効果で下を補給し、再びシールドをブレイク!」

 

「やめろ・・・・・・やめてくれ・・・・・・!」

 

上位勢としてのプライドが、完全に粉砕されていく。 シールドはついに最後の一枚となった。

 

轟のシールド(2枚→1枚)

 

「トリガー、なし・・・・・・」

 

「また2枚引いて、ギャラップを破壊、蘇生、補給。 ――攻撃だ」

 

轟のシールド(1枚→0枚)

 

「また、 なのか・・・・・・? こんな、 わけのわからないカードに、俺が・・・・・・」

 

「これでラストだ。 2枚引き、ギャラップを破壊し、蘇生、補給。 ――ギャラップで、轟にダイレクトアタック!!!」

 

「ち・・・・・・ちくしょうぉぉぉーーーーー!!!」

 

アリーナに、勝者を告げるけたたましいブザーの音が鳴り響いた。

 

 

 

『WINNER:高咲』

 

 

 

呆然と膝をついている轟のもとへとゆっくり歩み寄った。

 

「対戦、ありがとうございました」

 

轟は顔を伏せたまま、震える声で絞り出すように尋ねる。

 

「何故だ・・・・・・何故、お前みたいなふざけたデッキを使う奴に、俺が二度も負けるんだよ・・・・・・!」

 

コウは「またその質問か」と少し面倒くさそうに、けれど、どこか本当に嬉しそうに微笑んだ。

 

「はぁ、だから皆、なんでそんな質問ばかりするのかなぁ。 ――そんなの、当たり前だろ。俺は」

 

一拍置いて、コウは真っ直ぐに轟を見据えた。

 

「デュエマを、心の底から楽しんでるんだよ」

 

「楽しむ・・・・・・?」

 

轟は信じられないといった風に聞き返す。

 

「何故だ、勝たなきゃ意味がねぇ。強く、圧倒的でなきゃ意味がねぇはずだろ・・・・・・!」

 

コウは小さく溜息をつき、 轟の目を覗き込んだ。

 

「じゃあ思い出してみろよ。 そもそもお前は、なんで他の誰よりも速く、誰よりも攻撃的な速攻デッキばかりを好んで使ってるんだ?」

 

「そ、そんなの・・・・・・強いからだ。圧倒的な速度で相手をねじ伏せるのが、一番・・・・・・番・・・・・・」

 

そこまで言いかけて、 轟は自分の言葉に詰まった。 彼の脳裏に、かつて初めてカードを握り、バイクのカードで相手のシールドを爽快に駆け抜けた時の、純粋なワクワク感が鮮烈に蘇る。

 

失われていた答えを見つけた轟の唇が、 コウの言葉と綺麗に重なった。

 

 

「「一番、 楽しいから」」

 

 

轟の目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。 彼はそれを腕で手荒に拭い去ると、不敵に笑うコウを力強く睨みつけた。

 

「くそっ、いつか絶対に、貴様を俺の前に這いつくばらせてやるからな・・・・・・! 次こそは、俺の、俺の最高の相棒(レッドゾーン)で、 お前を真っ向から倒してやる!!!」

 

その顔は悔しさに満ちていながらも、かつての歪んだ傲慢さは消え去り、驚くほど清々しい、真の

デュエリストの顔へと変わっていた。

 

会場を包む大歓声の中、互いはしっかりと手を握り締め、次なる戦いへと視線を向けるの

だった。

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