デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜 作:社畜ヲタク
予選の最底辺から這い上がり、強豪たちを次々と撃破してきた高咲コウ。 己の美学を貫き、 独自のコンボで観客の度肝を抜き続けてきた彼は、休憩を挟む間もなく、ついに本日最後の、そして最大の舞台へと足を進めていた。
ジ、ジ、と電子音を響かせながら、アリーナ全体に響き渡るアナウンスが告げられる。
『――さあ、生徒の皆さん! 大変長らくお待たせいたしました! これより本日最後の、そして最も熱い激闘をお知らせします! 学園リーグ本戦、 各ブロック決勝戦の開幕です!!!』
そのアナウンスがアリーナに響き渡った瞬間、会場を埋め尽くす生徒たちのボルテージは一気に爆発した。 地鳴りのような歓声がスタジアムを震わせる。
『まずはAブロックから! この学園で、いや、この国においてこの人物の名を知らぬ者はいない!
我が学園の絶対的頂点! さらには聖財閥の若き御曹司! この世に彼の手に入らない無いものなど存在しない!――― 『聖龍矢』 選手、入場!!!』
華やかなファンファーレとともに、生徒会長・聖龍矢がいつもの穏やかで非の打ち所がない完璧な笑みを浮かべてステージへと姿を現した。 焦りも緊張も、微塵も感じさせない。
勝つことが、そこに立つことがあまりにも当たり前であるかのような、圧倒的な王者の佇まいだった。
『そして、その絶対王者に挑むのは・・・・・・!』
続いて、会長のライバルと称される上級生の名前がコールされる。 これまでのリーグ戦では聖龍矢の前に何度も苦杯をなめ舐めさせられ、 毎年2位に甘んじてきたという宿命の男だ。 彼の瞳にも、今年こそはという凄まじい執念の炎が宿っていた。
各ブロックの猛者たちが次々と呼び出され、それぞれのデュエル台へと着いていく。
そして、アリーナのライトが一点に集中し、最後のアナウンスが響き渡った。
『――では最後! 最も予測不能な激戦区となった、Dブロックの選手をお呼びしましょう! これまで学園のランキングにその名が載ることなど一度もなかった、完全なる無名の生徒! しかしひとたび戦えば、その戦術は変幻自在! 常識を覆すコンボで勝負する者、見る者すべての心を魅了してきた至高のトリックスター! 今回は一体どんな驚きを見せてくれるのか! ――― 『高咲 コウ』選手、入場!!!』
「うおおおおお!! 高咲ーーー!!」
「またとんでもない捲りを見せてくれよ!!」
名前を呼ばれたコウは、一歩一歩、確かな足取りで光り輝くアリーナへと入場した。 観客席から降り注ぐ盛大な喝采と歓声。
その声や、自分に向けられる無数の視線の中には、昨日まで世界を満たしていたような「底辺」と蔑む暗い色彩は、何一つとして残っていなかった。
そこにあるのは、純粋な「尊敬」。
そして、次はこの男が一体どんな面白いデュエマを見せてくれるんだという、心からの「ワクワク」だった。 観客席の端には、腕組みをしながらもどこか誇らしげに自分を見つめる天音や、拳を握りしめて無言で発破をかけてくる轟の姿もあった。
『さあ、そのトリックスターに対する、もう一人の決勝進出者の紹介だ! ――なんと、1年生からの奇跡の選出! 烈火の如く猛烈に盤面を展開し、瞬く間にシールドを全て叩き割るその姿は、まさに現に舞い降りた不敗の侍! 緻密にして大胆、 完璧な戦法で勝利をもぎ取ってきた期待の超新星! ――― 『弐天 武蔵』選手、入場!!!』
アナウンスと同時に、対面側のゲートから一人の選手が真っ直ぐに歩み出てきた。
スラリとした小柄な体躯でありながら、その足取りは驚くほど鋭く、一切のブレがない。 長い黒髪を後ろできっちりと一つにまとめ、凛とした空気を纏って入場してくるその姿は、さながら戦場に赴く麗しき「女武士」を思わせた。 その鋭い瞳は、真っ直ぐにコウ射抜いている。
二人はデュエル台を挟んで対峙し、静かに、しかし力強い動作で自身のデッキをスロットへとセット した。 ガントレットが接続され、バトルゾーンのホログラムが青く静かに展開していく。
『――両者、デッキセット完了! それでは観客の皆さん、心の準備はよろしいでしょうか! 各ブロックの王座を決める最終決戦・・・・・・行きますよ!!!』
実況の叫びに応じるように、観客席の生徒たち、そしてステージ上のファイナリストたちが一斉に
自身の魂を叫びへと変えた。
「「「デュエマ! スタート!!!」」」
会場全体が揺れるほどの咆哮とともに、コウの、世界を変えるための第一歩であるブロック決勝戦の火蓋が、ついに切って落とされた。