デュエル・マスターズ〜カジュアル勢の俺が引きだけでカードゲーム主義の世界を破壊しても良いんすか!?〜   作:社畜ヲタク

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やはりデュエルシーン入れると文字数多くなりますね...


第18話︰こいつそのうちギョギョギョとか言いそう

 

激闘の火蓋が切って落とされた決勝トーナメント準決勝、第二試合。

アリーナ全体を包み込む熱気は、両者がバトルフィールドの中心に立った瞬間から、物理的な温度を伴って膨れ上がっていた。

 

予選の最底辺から独特なカード達で這い上がってきた高咲コウと、学園ランキング上位を独走する冷徹な狐顔の男、葛野狂弥。

 

対照的な二人の戦いは、静かに、しかしあまりにも苛烈に動き始めていた。

 

 

〜2ターン目後攻(葛野)〜

 

 

「僕のターンや。ドロー。そしてマナチャージ」

 

葛野は細い目をさらに細め、手札からカードをマナゾーンへと滑らせた。その口元には、見る者を不快にさせる歪んだ笑みが張り付いている。

彼は手札のカードを扇のように広げると、わざとらしくため息をついて見せた。

 

「あーあ、可哀想に。君の命、あと1ターンしか持たへん様な手札が揃うてしもたわぁ。いや、ほんま堪忍な? 圧倒的な実力差っちゅうのは、時に残酷なもんやねん」

 

執拗な嫌味を平然と吐き散らしながら、葛野は魔力を宿したカードをバトルゾーンへ置く。

 

「2コストを支払い、クリーチャー《大集合!アカネ&アサギ&コハク》を召喚」

 

バトルゾーンに現れたのは、色鮮やかな装束を纏った3人のキャラクターがコミカルに描かれたカードのホログラムだった。

 

「登場時効果発動や。山札の上から2枚を見て、そのうちの1枚をマナゾーンへ。残りのカードは山札の一番下へ送る。――ほいな、これで完璧な足場が整いましたわ。せいぜい、これが最後となる君のターンを必死に楽しむことやな。ターンエンド」

 

葛野はクスクスと喉を鳴らし、早くも勝利を確信したような目を向けてくる。しかし、コウの心は微塵も揺らいでいなかった。

その冷徹な煽りを完全に脳内から締め出し、ただ自身の盤面と手札の噛み合わせだけに集中して、静かにドローの動作に入った。

 

 

〜3ターン目先攻(コウ)〜

 

 

「俺のターン、ドロー。――マナチャージ」

 

コウは引き込んだカードをそのままマナゾーンへと置き、静かに言葉を紡ぐ。

 

「3コストを支払い、呪文《テレポート・チャージャー》を発動」

 

山札の上部がサーチするように明滅した。

 

「効果により、山札の上から5枚を確認する。俺はその中から1枚を選択し、『超次元ゾーン』へ送る。――俺が選ぶのは、《戦闘の天才ムロク》。残りのカードはすべて山札の下へ。そして、この呪文は『チャージャー』を持つため、唱え終えた後は墓地ではなくマナゾーンへ置かれる」

 

コウの手によって、1枚のカードが「超次元ゾーン」へと送り込まれた。

 

その光景を目撃した瞬間、対面に立つ葛野は耐えかねたように腹を抱えて笑い出した。

 

「ハハッ! ハハハハハハ! ちょっと待ってや、自分、正気か!? 超次元ゾーンって言うたか、今? ギャハハ、お腹痛いわ!」

 

葛野は涙を拭うような仕草をしながら、狂おしいほどの嘲笑をアリーナ全体に響かせる。

 

「自分な、このデュエルが『アドバンス』か『オリジナル』かも知らんとここまで上がってきたん? 外部カードの使用が一切禁止されとるオリジナルフォーマットの決勝トーナメントで、超次元にカードを送るやなんて! どんなルール違反かと思えば、ただの自爆やんけ! こんなルールも満足に理解してへん大馬鹿が決勝に来るなんて、ほんま我が校のレベルも下がったもんで、残念やなぁ!」

 

観客席からも、ざわざわと困惑の声が広がり始める。

「オリジナルで超次元ゾーンにカードを送った……?」「ただのプレイングミスか?」

 

しかし、コウはそんな周囲の動揺や葛野の激しい煽りに対しても、一切の耳を貸さなかった。ただ、冷徹に、かつ不敵な笑みを唇の端に刻んだまま、静かに宣言する。

 

「ターンエンドだ」

 

 

〜3ターン目後攻(葛野)〜

 

 

「また無視かいな。ほんま、現実逃避だけは一流やねんなぁ」

 

葛野は小さく舌打ちをすると、鋭くカードを引き抜いた。

 

「ドロー、マナチャージ。――ほならな、高咲クン。雑魚は雑魚らしく、叶わぬ夢でも抱いたまま、無様に死んでーや! 3コストを支払い、先ほどの大集合!の上に進化! 《俳句爵Drache der'Bande》を召喚!」

 

バトルゾーンに、激しいノイズとともに巨大なギターを抱えた邪悪なドラゴンが姿を現した。ドラゴンの爪が弦を掻きむしると、アリーナ全体に耳を劈くような爆音が炸裂する。

 

「そのまま、ドラッヘで攻撃や! 攻撃する時、ドラッヘの能力が自動発動! 自分の手札かマナゾーンから、コスト4以下の『クリーチャーではないカード』を1枚、コストを支払わずに使用できる! この効果により、手札から呪文《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を発動!」

 

葛野の背後に、炎を象った巨大な3つの選択肢がホログラムとして浮かび上がる。

 

「選択する効果はふたつ! 『コスト3以下のクリーチャーを1体、手札から出す』、そして『このターン、選んだクリーチャーが攻撃した後にアンタップする』を選択! まずは手札から、《ピザスターのアンティハムト》をバトルゾーンへ! そして、アンタップ効果は今まさに攻撃中であるドラッヘを選択や!」

 

黄金のチーズがとろけるピザを抱えた、小さなハムスターの姿をしたクリーチャーが戦場に躍り出た。

 

「さ、ら、にぃ? 登場したアンティハムトの効果により、山札から1枚ドロー。そして、その効果で引き込んだもう一体の《俳句爵Drache der'Bande》を、今出したばかりのアンティハムトの上に重ねて進化ァ!!」

 

アリーナに2体目のギター型ドラゴンが轟音とともに降臨する。

 

「呪文を唱えた事によってドラッヘのパワーは上昇し、6000となる。そのため、こいつは『W・ブレイカー』や! ――まずは1体目のドラッヘで、高咲クンのシールドをW・ブレイク!」

 

ドラゴンの激烈な斬撃がコウのシールドへと襲いかかり、光の壁が2枚同時に砕け散った。

 

高咲コウの盾(5枚→3枚)

 

「まだまだ行くでぇ、休む間なんか与えへんわ! パーフェクト・ファイアの効果により、アタックを終えた1体目のドラッヘがアンタップ! ――そのまま、2回目のアタックや! かーらーの? 攻撃時効果でもう一度呪文を発動!今度はマナから 《キユリのASMラジオ》!」

 

緑の光が走り、山札の上から5枚のカードが空中に展開される。

 

「効果でめくれた5枚の中から、コスト3以下のクリーチャーを2体まで踏み倒す! ――《ネ申マニフェスト》を出し、さらにその上に、山札からめくれた3体目の《俳句爵Drache der'Bande》を瞬間進化ァ! これにより、効果で選ばれない最強のドラッヘの布陣が完成したわ!そしてオマケでマニフェスト効果で手札を整えさせてもらうわ」

 

瞬く間にバトルゾーンを埋め尽くしていくドラゴンの群れ。観客席からは、ランキングトップの実力を目の当たりにした感嘆の悲鳴が上がる。

 

「そのまま、攻撃中のドラッヘでさらにW・ブレイクや!!」

 

容赦のない2連撃目がコウを襲う。

 

高咲コウの盾(3枚→1枚)

 

しかし、その粉砕されたシールドの光の中から、コウの静かな声が響いた。

 

「逆転こそが、勝負の醍醐味だろ? ――シールドトリガー発動。《終末の時計 ザ・クロック》を召喚」

 

バトルゾーンに巨大な歯車と時計の針が現れ、世界の時間を強制的に停止させる。

 

「クロックの登場時効果により、このターンの残りのステップをすべて飛ばす」

 

葛野は盛大に舌打ちをし、顔を歪めて忌々しそうに吐き捨てた。

 

「チッ……はぁ、ほんま空気読めへん奴っちゃな。せっかく君が無様な醜態を晒す前に、優しさで一瞬で殺してあげようと思てたんに。まぁええわ、命が1ターン延びたところで、次の僕のターンで完全に終わりやからな」

 

コウはその言葉に一切の返答を返さず、ただ静かに、自身の瞳の奥に確固たる勝利の道筋を描きながら、自分のターンを宣言した。

 

「無視かいな……」と、葛野が小さく呟く声が、虚しくアリーナの風に消えた。

 

 

〜4ターン目先攻(コウ)〜

 

 

「俺のターン、ドロー。――そしてマナチャージ」

 

コウは引き込んだカードをマナゾーンへと置いた。

現在の彼のマナは5枚。本来であれば、高度なコンボを始動させるにはあまりにも少なすぎるリソースである。

 

しかし、コウの表情には、世界を支配するかのような絶対的な余裕の笑みが浮かんでいた。

 

「葛野。見せてやるよ、俺の脳内から生み出された、誰も見たことのない最高のコンボを」

 

コウは手札から1枚のカードを掲げ、それをマナゾーンではなく、先ほど葛野が「自殺行為」と笑い飛ばした超次元ゾーンへと直接叩き込んだ。

 

「手札のカードを1枚、超次元ゾーンへと送る。これにより、この呪文のコストは2軽減される。――俺は5コストを支払い、呪文《鬼修羅と跳次元の決断》を発動!!」

 

「な、なんやと!?」葛野の目が驚愕に瞬く。

 

「効果の選択は――『超次元召喚6』。この効果を、2回連続で選択する!」

 

葛野は再び、狂ったように笑声をあげた。

 

「やから! 何度言ったらわかるんや自分! これは『オリジナル』フォーマットやで!? 超次元ゾーンにクリーチャーなんて存在せんのや!!ただのルール違反や!」

 

「ルール違反? ――いいや、これは完全なる『ルールに則った正規のプレイング』だ」

 

コウは冷徹に言い放ち、超次元ゾーンから2枚のカードを引き抜いて、バトルゾーンへと叩きつけた。

 

「俺が超次元ゾーンから召喚するのは、3ターン目に送っておいた《戦闘の天才ムロク》! そして今、手札から超次元ゾーンへと直接送った――《超兄弟!アクア・アッセンブル》の2体だ!!」

 

ドォォン!! とアリーナに凄まじい地鳴りが響き渡る。

バトルゾーンの左側に現れたのは、重厚な鎧を纏い、無数の武具を背負った巨大な戦士《戦闘の天才ムロク》。

 

そして右側に現れたのは、コウが控え室の思考の海で見つけ出した、3人のコミカルで熱い正義のヒーローたちが肩を組んでポーズを決めている、奇妙なイラストの水のクリーチャーだった。

 

「な、なんやそいつら……!?」

 

葛野の顔から、ついに余裕の笑みが消え失せた。

 

「驚くのは早い。呪文《鬼修羅と跳次元の決断》は、唱え終わった後に墓地へ行くはずだが――《超兄弟!アクア・アッセンブル》の常時効果が適用される。このクリーチャーがバトルゾーンにいる限り、俺のカードがどこからであれ墓地へ行く時、そのカードは墓地ではなく【超次元ゾーン】へと置かれる」

 

コウは唱え終えたばかりの呪文カードを、そのまま超次元ゾーンへと送った。

 

「へぇ……。さっきの奇妙な準備は、その2体を並べるためやったわけか」

 

葛野は動揺を隠すように、再び無理やり冷笑を顔に張り付ける。

 

「それで? その攻撃力もなさそうな図体のデカいクリーチャー2体を並べて、一体何ができるんや? 僕のシールドは1枚も傷ついてへんし、手札も潤沢、強力なシールドトリガーだって埋まっとるかもしれへん。そんな盤面で総攻撃でも仕掛けてくるつもりか?」

 

コウは葛野の目を真っ直ぐに見据え、静かに、しかし絶対的な重みを持って告げた。

 

「いや。――これで終わりだ」

 

「はぁ? 何をワケのわからんことを――」

 

葛野が言い終えるよりも早く、コウの声がアリーナ全体へと轟いた。

 

「G・ゼロ(グラビティ・ゼロ)発動! 自分のバトルゾーンに水のドラグナーがいるとき、この呪文はコストを支払わずに唱えることができる。――俺はコスト0で、呪文《龍素力学の特異点》を発動!!」

 

光の数式がコウの周囲を巡る。

 

「効果により、山札からカードを2枚ドローし、その後、手札から1枚を選んで山札の一番上へと戻す。そして、唱え終えた《龍素力学の特異点》は墓地へは行かず、《アクア・アッセンブル》の効果によって墓地の代わりに【超次元ゾーン】へと送られる」

 

「だから! それが何やと言うとるんや!!」

 

これまで散々無視され、さらに理解の及ばない挙動を繰り返すコウに対し、葛野のイライラは最高潮に達していた。声を荒らげてデュエル台を叩く。

 

「落ち着けよ、葛野。本番はここからだ」

 

コウは不敵に微笑み、《戦闘の天才ムロク》のカードを指し示した。

 

「《戦闘の天才ムロク》の常時効果発動。このクリーチャーがバトルゾーンにいる限り、俺は本来使用できないはずの【超次元ゾーンにあるカード】を、手札にあるかのようにコストを支払って実行することができる」

 

「――ッ!?」葛野の思考が、その驚愕のテキストを理解した瞬間に凍りついた。

 

「そう、今超次元ゾーンに送られた《龍素力学の特異点》のコストは0だ。俺はムロクの効果により、超次元ゾーンから再びコスト0で《龍素力学の特異点》を発動する! 2枚ドローし、1枚を山札の上へ。唱え終わった呪文はアッセンブルの効果で再び超次元ゾーンへ。 ――つまり、この行為は、俺の意思で好きな数だけ無限に繰り返すことができる!!」

 

コウの右手が目にも留まらぬ速さで動き始める。

ドローして、山札の上に戻し、超次元ゾーンから再び発動。

カードを引き抜く乾いた音が、静まり返ったアリーナに何度も、何度も連続して響き渡る。

コウの山札が、驚異的なスピードで手札へと吸収されていく。

 

「はぁ!? 無限ドローぉ!? 自分、アホちゃうか! そんなアホみたいにカードを引き続けたら、山札がなくなって君の負けになるだけやんけ! 自殺志願者か!」

 

「残念ながら、それも通じない。このコンボの核である《超兄弟!アクア・アッセンブル》のもう一つの効果――『自分の山札が0枚の時でも、俺はゲームに敗北しない』」

 

「なっ……なんだと……!?」

 

「山札を残り1枚にした状態で、無限ループを終了。手札から《ニクジール・ブッシャー》の召喚を宣言!」

 

コウは手札から巨大な肉塊のようなクリーチャーを提示する。

 

「コストを支払う代わりに、自分のバトルゾーンにある《終末の時計 ザ・クロック》、自分のシールド1枚、そして手札1枚を山札の下へと送ることで、コストを支払わずに召喚! ――これにより、俺の山札に再びカードが戻った。すかさず、先ほどのムロクと特異点による無限ドローループを再始動し、もう一度山札を残り1枚の状態にする!」

 

コウの場に、肉塊の戦士が降臨する。

 

「さらに、このターン中に大量の呪文を唱えたことにより、G・ゼロの条件を達成! コスト0で《次元の嵐 スコーラー》を召喚! 登場時効果により、このターンの終了後、俺はもう一度自分のターンを行う――『エクストラターン』を獲得する!」

 

巨大な嵐を纏った鳥人が現れ、コウの背後に新たな時の流れを創り出す。

葛野は額から大量の冷汗を流しながらも、必死に声を張り上げた。

 

「はん! ――ハハッ、わかったで! そのよくわからん有象無象のクリーチャーどもを一斉に並べて、数の暴力で総攻撃してくるつもりやな!? 言うたはずや、僕の場には完璧なドラッヘの布陣があるし、シールドトリガーだって残っとる! そう簡単に攻撃が通ると思うなや!!」

 

「いや、言っただろ。お前はもう、終わりだって」

 

その確信に満ちた言葉に、葛野だけでなく、アリーナの観客、そして実況までもが完全な困惑に陥った。

 

コウの場には確かに強力なクリーチャーが並んでいるが、葛野のシールドは5枚すべてが無傷で残っている。この状況から、相手に一切のシールドトリガーを踏ませず、一瞬で勝利を掴む方法など、誰も想像がつかなかったからだ。

 

「手札からカードを2枚捨てることで、コストを支払わずに《強瀾怒闘 キューブリック》を召喚! ――この時、墓地へ捨てるカードとして、手札から《疾封怒闘 キューブリック》と《永遠の少女 ワカメチャ》の2枚を選択する!」

 

カードが墓地へ送られた瞬間、複数の効果がドミノ倒しのように一斉に誘発した。

 

「まず、墓地へ置かれた《永遠の少女 ワカメチャ》の効果発動。このカードがどこからでも墓地へ置かれたとき、俺の墓地にあるカードをすべて山札に戻し、シャッフルする! ――次に、手札から墓地へ置かれた《疾封怒闘 キューブリック》の効果。バトルゾーンにある自分の《次元の嵐 スコーラー》を選択し、手札へとバウンスする! そして、場に出た《強瀾怒闘 キューブリック》の効果により、葛野、お前のバトルゾーンにいるドラッヘを1体、手札に戻してもらう!」

 

次々と目まぐるしく発動される複雑なバウンスと山札回復のコンボ。しかし、どれもが直接的に葛野のライフを削るような決定打には見えない。観客たちは息を呑み、コウの次の一手を凝視した。

 

「これで、すべてを終わらせる」

 

コウは再び、ムロクと呪文のコンボを使用して山札を残り1枚の状態に調整した。

 

「《強瀾怒闘 キューブリック》で、葛野のシールドへ向けて攻撃を開始! ――だが、攻撃するその瞬間に『革命チェンジ』を発動! 手札から《芸魔隠狐 カラクリ・バーシ》をバトルゾーンへ呼び出し、キューブリックを手札へと戻す! カラクリ・バーシの登場時効果、1枚ドロー!」

 

「はん! そんなチンケな弱小クリーチャーの入れ替え攻撃なんか、僕のシールドに届きさえすればトリガーで一発で消し飛ぶわ!!」

 

「攻撃? ――バカ言え、お前のシールドなんか最初から興味はねぇよ」

 

コウは冷たく微笑み、カラクリ・バーシの効果によって手札から1枚の呪文を提示した。

 

「カラクリ・バーシの効果により、手札からコスト5以下の呪文をコスト支払わずに発動する。 ――俺が唱えるのは、呪文《夏だ!デュエル修行だ!》!!」

 

「は?」

 

「効果発動。自分の手札をすべて墓地(超次元ゾーン)へ送る。――そして、この呪文を【自分のターン中】に唱えていた場合、『このターンの残りのステップ、およびフェイズをすべて飛ばし、即座にターンを終了する』!!」

 

「はあああああッ!?」

 

その不可解極まりない、自ら攻撃を放棄してターンを強制終了させる行動に、アリーナ中の全員が頭を抱えて困惑した。葛野はあまりの理解不能さに耐えかね、顔を真っ赤にして怒鳴り散らそうとした。

 

「だから! それが何やと言うとるんやボケェ!! 攻撃もせんとターンを終わらせて、何が勝ちや文字通りただの自爆やないかッ――!!」

 

――その瞬間。

 

アリーナのスピーカーから、試合の完全な終了を告げる重々しいブザーの音が、爆音となって鳴り響いた。

ピィィィーーーーーーーッ!!!

それと同時に、バトルフィールド中央の巨大なホログラフィック・スクリーンに、目映い黄金の文字が浮かび上がる。

『EXTRA WIN』

『WINNER:高咲コウ』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!? 何でや!? 何が起きたんや!! 何をしたんや貴様ァァァ!!」

 

葛野は目玉が飛び出さんばかりに驚愕し、デュエル台にしがみついて絶叫した。

コウは深くため息をつき、哀れみの目を向けながら静かに説明を始めた。

 

「……雑魚だとか底辺だとか人を罵る前に、少しはカードの効果をちゃんと確認するんだな。葛野、俺のバトルゾーンを見てみろ。現在、俺の場には4体のクリーチャーがいる。マナゾーンのカードは5枚。――元々のメインデッキが40枚である以上、残りのカードがどこにあるか、お前には計算できないか?」

 

「だからそれが何やねん!!」

 

コウは葛野の怒声を完全に掻き消すように、一際大きな声で、勝利の決定打となったカードを指し示した。

 

「現在、俺の【超次元ゾーン】には、『31枚』のカードが存在している。 ――そして、このコンボの核である《超兄弟!アクア・アッセンブル》の最後の効果だ。『自分のターンの開始時、超次元ゾーンにカードが30枚以上あれば、自分はゲームに勝利する』」

 

スタジアム全体が、水を打ったかのように完全に静まり返った。

誰も使おうとしなかったオリジナル環境での超次元ゾーン。それを、カードを墓地ではなく超次元へと送るアッセンブルの力と、ムロクによる超次元からの無限呪文連打によって、強制的に「勝利のカウントダウンの泉」へと変貌させてみせたのだ。

次の瞬間、アリーナ全体から、鼓膜が破れんばかりの凄まじい歓声と喝采が爆発した。

 

「特殊勝利……!」「オリジナルで超次元を使ったエクストラウィンだと!?」「天才かよ、あのトリックスター!!」

 

賞賛の声、驚愕の声、コウの異次元のエンターテインメントに魅了された明るい声が、スタジアムを埋め尽くしていく。

 

しかし、そこに狂ったような拒絶の声を上げたのが、葛野だった。

 

「は……はぁ!? そ、そんな無茶苦茶な、わけのわからん博打みたいなカードの効果で勝利やと……!? そんなん有り得へんやろ! ふざけんなや!! ワイらが積み上げてきたガチの戦術を、そんなおふざけみたいなカードでコケにしやがって! な、舐めとんのかコラァ!!」

 

初めの頃の涼しげな狐顔の余裕は完全に崩壊し、髪を振り乱して狂ったように暴れ始める葛野。

 

「認めへん……! 認めへんぞ、こんな試合!! 貴様のような底辺のインチキデュエリストの勝利なんて、絶対に認めへん! こんな試合、無効じゃろがぁぁぁ!!」

 

葛野がアリーナの中心で醜悪に叫び散らしたその瞬間、スタジアムの四方から屈強な体躯をした学園の教師たちが2人がかりで突入し、葛野の両腕をがっちりと抑え込んだ。そのまま床を引きずるようにして、退場処分として連行していく。

 

「離せ! 離せやボケナスども!! ざけんなや高咲ぃぃぃ!! 貴様のこと、絶対に絶対に覚えたからな!! どんな手を使ってでも、絶対に地獄の底に落としたるからなぁぁぁ!! 覚えとけよぉぉぉぉぉ!!!」

 

最後まで見苦しい悪態をアリーナ中に響かせながら、葛野狂弥は文字通り引きずり出され、アリーナから完全に消え去った。

場内の空気が一瞬だけ冷えかけたその時、すかさず実況の明るいアナウンスが響き渡り、会場のボルテージを元へと戻した。

 

『――えー、皆様! 大変お見苦しいところをお見せいたしました! さあ、気持ちを切り替えていきましょう! これをもちまして、決勝トーナメント準決勝、第二試合の勝者は高咲コウ選手に決定いたしました!! ――これより30分間の休憩を挟んだ後、いよいよ我が学園の頂点を決める『決勝戦』を執り行います! 高咲選手は一度、選手控え室にてお休みください。観客の皆様は、30分後までに指定の座席へとお着きください!!』

 

降り注ぐ万雷の拍手の中、コウは静かにアリーナを後にした。

次なるステージは、正真正銘の最終決戦。

あの絶対的な王座に君臨する生徒会長、聖龍矢との戦いだ。

いよいよ、この学園の運命を懸けた、最高の決勝戦の幕が上がろうとしていた。




今回のデッキですがかなり好きで色々と試行錯誤してたんですが中々上手くいかず
どうしよう...と思っていたんですが

某有名YouTuberさんが作り上げてるの見て
完成度たっかと思いました...
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