5/20∶早速で申し訳ありませんが、魔物の出現を「半年前」から「一年前」に修正します……!
「――――ねえ、ほら。あいつだよ」
「――――ああ、あいつか?」
――――うるさい
「この間暴れたんでしょ?」
「何人も怪我したってさ」
――――うるさい
「親が犯罪者なんだって」
「母親が夜の店にいるんだってさ」
――――うるさい
「――――なんで問題ばかり起こすの」
「あんたなんか、産むんじゃなかった」
――――だったら産むなよ
「失望したぞ」
「剣を教えるんじゃなかった」
――――こっちから願い下げだ
「――――出てってくれないか」
「お前の所為で、俺達までとばっちりを受けているんだ」
「迷惑なんだよ」
――――じゃあ、なんで優しくしてくれたんだよ
「お前は本当にどうしようもないな」
「なんで他と同じように出来ないんだ」
――――黙れ
――――黙れ
――――黙ってくれ・・・・!
――――わたし、『明智あんな』!
14歳の誕生日に、不思議な妖精『ポチタン』と出会って。
2027年の『マコトミライタウン』から、1999年の『まことみらい市』にタイムスリップしちゃったの!
そこでは、世界をウソで覆ってしまおうとしている『ファントム』っていう怪盗団が。
不思議な宝石『マコトジュエル』が宿った大切なものを盗んで、たくさんの人を困らせていた。
困っている人はほっとけない・・・・!
だからわたしは、1999年で出会った名探偵に憧れる女の子『小林みくる』ちゃんと、『名探偵プリキュア』に変身!
みんなの笑顔を守ることにしたの!
元の時代に帰る為に、マコトジュエルを集めてポチタンの力を戻してあげないといけないしね!
『キュアット探偵事務所』の先輩で、発明家の妖精『ジェット』先輩にも手伝ってもらいながら。
今日もキュアッとはなまるに!事件を解決していくぞー!
おーっ!
「――――こんなところに商店街があったんだ」
そんなわたしは今日、みくると一緒に近くの商店街に来ていた。
・・・・わたし、この時代に靴すらない状態でやってきちゃったから。
着替えはみくるのをいくつかもらえたけど。
歯ブラシとか、あと・・・・
と、とにかく!
みくるに貰いっぱなしって言うのも良くないから!
これから生活するためにも、色々揃えないといけないもんね!!
ね!?
・・・・ごほん。
ジェット先輩に、事務所のインテリアに続いてお金を出してもらっちゃって。
流石にちょっと申し訳ない気持ちになったんだけど。
それを伝えたら、『だったらたくさん依頼をこなすんだな』っ言われちゃった。
・・・・頑張らないとな。
あ、ちなみにポチタンはお留守番!
気持ちよさそうにお昼寝してたから・・・・。
「――――らっしゃい、らっしゃい!」
「キャベツが安いよー!お買い得だよー!」
「春の新作、今なら20%オフですわ!是非寄ってってくださいまし!」
――――今度こそ気を取り直して。
商店街を見渡してみる。
あっちこっちで、いろんなお店から元気な呼び込みの声が聞こえて。
『活気がある』って、こういうことを言うんだろうなぁって思えるような光景。
2027年では、もう見られないものだと分かっているから。
なんだかキラキラ輝いているように見えた。
「おっ、そこのお嬢さん達!コロッケ食べてくかい?」
興味深くて、物珍しくて。
あちこち見ていると、お惣菜屋さんのおじさんが話しかけて来た。
「いいんですか?」
「いいのいいの!揚げたての試食、召し上がれ!」
「わぁ!はなまるおいしそう!」
「ありがとうございます!いただきます!」
奥さんが差し出してくれたコロッケを、みくると一緒に頬張る。
揚げたてだからか、中のじゃがいもがほっくほくで、たまねぎがとろっとろ。
アクセントのひき肉と、塩コショウの塩梅もいい感じで・・・・。
「ううーん!はなまるおいしーい!」
「うん!ジェット先輩のお土産に持って帰らない?」
「いいね!」
「だろー!?美味ぇだろぉー!」
あまりのおいしさにはしゃいでいると、嬉しそうにニコニコしてくれるお惣菜屋さんのご夫婦。
「この辺ではあまり見ない子ね、引っ越してきたの?」
「んぐ・・・・はい、わたし達、ここから少し行ったところの」
「キュアット探偵事務所の、名探偵なんです!」
「あらまっ!?あそこの!」
二人一緒にプリキットブックを見せると、奥さんが目をまぁるくする。
「新しい人が入ったのねぇ、あそこの探偵さんには随分お世話になったのよ!」
「そうなんですか!?」
びっくりして乗り出してしまうと、奥さんが『ねえあんた!』と振り向いて。
おじさんが『おうよ!』と頷く。
「うちだけじゃなくて、この辺の連中はだいたい世話になってるんじゃないか?」
「そうそう!特に失くしものなんか、すーぐに見つけてくれて!」
「「へぇー!」」
ジェット先輩が教えてくれた、わたし達の前のプリキュア。
思いがけずそのお話を聞けて、みくると揃って感嘆の声を上げた。
「でも、この頃見かけなくなって・・・・どこで何をしているのかねぇ」
「腹空かしてないといいけどなぁ」
そして、やっぱり行方は分からない様だった。
・・・・どこに行ったんだろうなぁ。
前の名探偵さん・・・・。
「って、いけねぇ。辛気臭くしちまった!お詫びだ!もう一個持ってけ!」
「あ、ありがとうございます!」
「それと、持ち帰りで三つお願いします」
「あいよぉ!」
もう一個ごちそうしてもらいながら、先輩と事務所で食べる分を確保して。
お惣菜屋さんと別れる。
「えへへ、先輩に怒られちゃうかな」
「大丈夫よ。ジェット先輩も、たまにはお菓子以外を食べてもらわないと!」
「それもそうだね」
いいにおいを漂わせる紙袋を見て、みくるとくすくす笑い合ってしまった。
・・・・1999年に来てしまって。
少しだけ、不安だったけど。
2027年と変わらないものがあって、2027年と同じものがあったのが。
なんだか、ほっとした。
「おいしいなぁ・・・・」
みくるに見守られながら、余っていたコロッケをもう一口食べて。
ほっと息をついた。
――――その時だった。
ヴウウウーン、と。
わざと不安を駆り立てる様な音。
サイレンだと気付くのに、時間はかからなかった。
地震やミサイルとも違う。
何なんだろうと思っていると。
「これは・・・・ッあんな、走るわよ!」
「ぁ・・・・!?」
みくるにひったくられるように手を引かれて、わたしは走り出した。
「みくる、これって・・・・!?」
「あとで話すから!とにかく速く!逃げましょう!」
何が何だか分からないけれど、みくるが見たことないくらいに焦っているから。
とんでもないことが起こっていることだけは分かった。
お土産のコロッケを落としてしまったけれど、そんなことを気にする余裕がない。
「速くしないと・・・・!」
とにかく商店街から離れようと、必死に走っていたけれど。
「――――ギジャーッ!!」
「う、うわーっ!?」
『それ』は、現れた。
全身紫の体に、まぁるい真っ赤な一つ目玉。
棘みたいな武器を振りかざした、人型の『ナニカ』が。
たくさんの人達を、襲っている。
「ひ・・・・!」
「あんな!」
怯みそうになったわたしを、みくるが叱ってくれて。
隠れられそうな横道に、飛び込んだ。
「み、みくる・・・・あれは・・・・!?」
「――――この頃、あんなのマコトミライタウンを含めたエリアの、開発が進んでいたんだけど」
必死に息を殺しながら聞くと、みくるも同じくらいに声を潜めながら教えてくれる。
「一年前、開発地区で不思議な遺跡が発見されて・・・・それ以来、ああいうモンスターが現れるようになったの。みんなからは『魔物』って呼ばれているわ」
「魔物・・・・」
こっそり物陰から覗き見ると、町の人が叩いたり蹴られたりの乱暴をされていて。
逃げるようにまた隠れてしまう。
「ああやって痛めつけて、怖がらせるのが目的らしいんだけど・・・・」
「それでも、ひどい・・・・!」
例え直接の死因にならなくても、怪我が元で・・・・ということだってあり得る。
何より、今まさに苦しんでいる人達を前にして、全然平気でなんかいられなかった。
「・・・・ッ」
思わず、首元のジュエルキュアウォッチを引き出していた。
隣を見ると、みくるも同じようにジュエルキュアウォッチを持っていて。
「・・・・相手はファントムじゃないし、何かを盗まれたわけじゃない」
「うん・・・・一応、『SHOT』っていう専門の組織がいるの。もうすぐ来てくれると思うけど・・・・でも」
本当は、怖い。
良くない緊張で、胸がどきどきしている。
けど、
「「ほっとけない!」」
みくると手を握り合えば、全部収まった。
「行くよ、みるく!」
「ええ、あんな!」
物陰から飛び出す。
魔物達のぎょろっとした目玉が、一斉にこっちを向いたけれど。
もう、怖くない!
「「オープン!」」
「「ジュエルキュアウォッチ!!」」
「3!見つける!」
髪が変わる。
「6!向き合う!」
服が変わる。
「9!奇跡の二人!」
ブーツを履いて。
「クルっと回して!」
「キュートに決めるよ!」
イヤリングを付ければ。
「どんな謎もはなまる解決!名探偵!キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵!キュアミスティック!」
どんな困りごとも、キュアッと解決!
そう、わたし達が・・・・!
「「名探偵プリキュア!」」
「わたしの答え、見せてあげる!」
周りを取り囲んだ魔物達へ、指を突きつければ。
「ギジャーッ!!」
「「はああああッ!」」
即効で飛び掛かって来た!
もちろんわたし達も一気に走り出して、まずは目の前にパンチ!
続けてぞろぞろ向かってきた魔物も、次々吹っ飛ばして。
思いっきり前に出る。
「たあああッ!」
「「ギジャーッ!?」」
複数で固まっているところがあったので、真上から飛び降りれば。
面白いくらいに吹っ飛んで行った。
「やああああッ!!」
みくるも、ミスティックもすごい!
魔物を次々殴り飛ばすと、最後に飛び蹴り!
飛んで行った先で、ボウリングみたいに他の魔物がさらに飛ぶ!
「ギジャーッ!」
「わ、っと・・・・ったあ!!」
「ギジャーッ!?」
そんなミスティックに見惚れてたら、うっかり隙だらけになって取り囲まれちゃったけど。
咄嗟にしゃがんで、スライディング。
背後に回って、回り蹴り!
「よかった、アンサー!」
「ごめんね、ミスティックもすごかった!」
「もう!」
背中合わせになって、構えなおす。
・・・・これなら、ミスティックの言っていた『しょっと』が来るまでに。
終わらせられるんじゃないかって。
そう思った時だった。
「――――なんだ、魔弾戦士ではないのか」
「ッ誰!?」
どこからか、声が聞こえた。
周りを見渡しても見つけられなくて、キョロキョロしていると。
「使い魔が次々やられているので、もしやと思うたが・・・・」
「アンサー、上!」
「あれは・・・・!?」
見つけてくれたミスティックが、空を指さす。
そっちを見ると、不気味な姿をしたおじいさんが。
ゴンドラみたいなものに乗って、宙に浮かんでいた。
・・・・はっきり分かる。
人間じゃない!
「本来ならやつら用だったのだが・・・・まあ、お前達でもマイナスエネルギーくらいは回収出来よう」
明らかに見下した目線のおじいさんは。
わたし達がむすっとしている間に、何かを取り出して。
「ベレケ、ベレケ・・・・ベレケ、ベレケ・・・・!」
「何・・・・?」
「何かするつもりよ!油断しないで!」
わたしは困惑して、ミスティックが警戒する中。
おじいさんが握ったものが、『鍵』だと分かった。
その次の瞬間、ものすごい光が奔ったと思ったら。
「――――グオオオオオオオオッ!!!」
目の前に、おっきなシロアリみたいな怪物が飛び降りて。
怪獣映画さながらの雄叫びを上げていたのだった。
「「・・・・ええええええええええッ!!?」」
ミスティックと二人で、びっくりしすぎて大声を上げるんだけども。
おっきいシロアリ・・・・オバケシロアリは待ってくれない。
「グオオオオッ!!」
「ッアンサー!」
「う、うん!」
振り上げられた、大きな腕を見て。
まずは一回離れることを選んだ。
「ひえ・・・・!」
必死に飛びのけば、さっきまでいた場所にクレーターが出来たのが見えて。
思わず背筋が凍る。
「はははッ!いいぞ!逃げろ!慄け!そしてマイナスエネルギーを出すのだ!」
「グオオオオオオオッ!!」
おじいさんが、こっちをバカにした笑い声が響く中。
地面を揺らしながら突進してくるオバケシロアリ。
「ッこの!」
「アンサー!?」
笑われっぱなしが悔しくて、振り返る。
建物を足場にして飛び上がって、
「はあああああッ!!」
「ガアアアッ!?」
オバケシロアリの頭へ、思いっきりパンチ!
拳骨されたみたいで痛かったらしいオバケシロアリは、一回痛そうに伏せたけど。
「ッゴオオオオオアアアアアアア!!!!」
「ひゃっ!?わあああッ!!」
「アンサー!」
わたしが乗ったまま頭を振り回したものだから、そのまま吹っ飛ばされて電柱に叩きつけられてしまう。
「っぐ・・・・は!?」
あんまりにも痛くて、蹲っちゃう。
すぐに、敵が近くにいるって思い出して、前を見たら。
「――――ぁ」
オバケシロアリは、もう目の前にいて。
大きな両腕を振り下ろすところで。
――――やらかしちゃった。
逃げられない。
間に合わない・・・・!
「アンサァーッ!!!」
わたしに出来ることは。
ミスティックの悲鳴を聞きながら、オバケシロアリをぼんやり見上げる事だけだった。
ああ、わたし。
死んじゃうんだ。
「――――リュウケンキー、発動」
「リュウガンキーッ!発動ッ!」
『『――――Change』』
『Ryukendoh !!』
『Ryugunoh !!』
「撃龍変身・・・・!」
「剛龍変身ッ!」
~今日のSHOT情報~
あんな「今日のSHOT情報は、わたし、明智あんなと!」
みくる「小林みくるが変身する!」
「「名探偵プリキュア!」」
あんな「マコトジュエルを狙って、たくさんの人の大切なものを盗む怪盗団『ファントム』を追いかけているの!」
みくる「ファントムの好きにさせないためにも、あんなを元の時代に戻すためにも!」
「「そのナゾ!キュアッと解決します!」」
あんな「えへへっ」
みくる「ふふふっ」