魔弾戦士と名探偵   作:数多 命

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早速ですが、拙作における魔物の出現時期を、『半年前』から『一年前』に変更しております。
ご了承、ならびにご容赦の程。
よろしくお願いいたします。


SHOT

『――――ガオオオオオオオッ!!』

「ギャアアアアアアアアッ!?」

 

また別の雄叫びが聞こえたと思ったら、シロアリが突き飛ばされていた。

はっと我に返ると、青く光る龍が。

わたしを囲む様にとぐろを巻いている。

・・・・助けてくれた?

 

『ガオオオオオッ!!』

「あっ・・・・!?」

 

龍はまた雄叫びを上げると、どこかへ飛んで行く。

思わず目で追いかけると、立っている誰かへ飛び掛かるのが見えた。

 

「ッあぶな・・・・!」

 

危ない、と言いかけた時には。

とっくに龍は消えていた。

・・・・ううん。

立っていた人へ、入り込んだ?

 

「ッ・・・・!」

 

龍が入り込んだその人は、光が収まる間もなくこっちへ走り出して。

 

「――――シィッ!!」

「ギャアアアアアアッ!!」

 

オバケシロアリの片腕を、いとも簡単に切り落としていた。

 

「ショットキー、発動!」

『Dragon Shot.』

「はっ!!」

 

そこへ追い打ちをかけるように、何発も弾丸が撃たれて。

オバケシロアリは苦しそうに後ろへ下がっていた。

・・・・何が、起こっているのか。

なんにも分かっていないけど。

 

「は、あ・・・・!」

 

『助けられた』っていうことだけは、なんとか理解出来て。

息を吐き出す。

 

「――――来おったか!魔弾戦士!!」

「そっちこそ、性懲りもなくまた来たのね!!女の子には優しくって、習わなかったのかしら!?」

 

目の前に、助けてくれた人が立つ。

龍の顔がついた、剣を持っている。

その隣には、多分銃を撃ったらしい別の人。

・・・・この人達が、『まだんせんし』?

 

「アンサー!」

「ミスティック」

「よかった・・・・よかったよぉ・・・・!」

 

心配させちゃったミスティックに抱きしめられる横で。

 

「グオオオオオオオオッ!!」

「ぁ・・・・!」

「ひ・・・・!」

 

オバケシロアリがまた大きく咆える。

怖くてびくっとしたわたし達とは対照的に。

剣を持った方の『まだんせんし』は、落ち着いた様子で鍵を取り出す。

 

「ファイナルキー、発動」

『Final Break !!』

 

剣に差し込むと、刀身が眩しいくらいに輝いて。

 

「ゲキリュウケン、魔弾斬り・・・・!」

 

オバケシロアリを、真っ二つに斬ってしまった。

 

「ぐぬぬ・・・・おのれ、魔弾戦士め・・・・!」

 

『覚えておれぃ!』とよくある台詞を言い残して、去っていくおじいさん。

すると、さっきまで重かった空気が一瞬で軽くなった。

・・・・終わった?

 

「はあ・・・・!」

 

息を吐くと、変身が解けてしまう。

気が抜けちゃったみたいだ。

・・・・死に・・・・かけちゃったから、かな。

体が重くて、しばらくぼうっとしちゃったけれど。

 

「あんな、あんな・・・・!」

「へ・・・・あっ!」

 

同じタイミングで変身が解けちゃったみくるに、名前を呼ばれて。

はっとなった。

しまった、プリキュアのことは秘密なのに・・・・!!

 

「――――あんた達」

「「ひゃいっ!!」」

 

慌てているところに声をかけられて、みくると一緒にびっくりしてしまう。

見ると、銃を持っている方の『まだんせんし』がこっちを見下ろしてきている。

なんだか、怒っている・・・・?

 

「自分が何をやったのか分かっているの?」

「え、と・・・・」

 

と思っていたら、本当に怒っていたみたい。

 

「一歩間違えたら死ぬところだったのよ!?」

「あ、の・・・・?」

「不思議な力を持ち合わせている様だけどね、勇気と無謀は全くの別物――――!!」

 

そのままお叱りが来るかと、みくると一緒に身構えてしまうと。

 

『――――リュウガンオー』

「ッ何!?」

 

『まだんせんし』さんが持っていた銃が、しゃべった。

・・・・しゃべった!?

 

『司令部から通信だ、その二人を連れてくるようにと』

「はあ?なんでまた・・・・」

『――――こちらにも同じ指示が来たぞ』

 

びっくりしていると、今度はわたしを助けれくれた方の『まだんせんし』さんが。

同じく喋る剣を持ってきていた。

 

『少なくとも悪い子達ではない、話を聞くくらいはするべきじゃないか?』

『私も、ゲキリュウケンに同意する』

 

剣と銃。

不思議な二人(?)に説得された『りゅうがんおー』さんは。

しばらく不機嫌そうに黙り込んだ後。

 

「はぁーっ・・・・分かった、連れて行きましょう」

 

『いいわね?』と目を向けられて、わたしとみくるは赤べこみたいにこくこく頷くことしか出来なかった。

・・・・まだまだ大変そうだけど。

ひとまず、もう大丈夫・・・・なのかな。

 

「・・・・あ」

 

気が付くと、剣士の『まだんせんし』さんが目の前に立っていた。

青い、特撮ヒーローみたいな姿をしたその人は。

静かに、手を差し出してきて。

 

「・・・・立てるか?」

「あ・・・・はい・・・・ありがとう、ございます」

 

――――握り返した手は、なんだか温かかく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1999年のまことみらい市を脅かす『魔物』。

その襲来現場にたまたま居合わせたあんなとみくるは。

プリキュアで応戦したところを見られたことも有り。

『魔弾戦士』の本拠地に招かれたところだった。

目隠しの他、耳栓までされる徹底ぶり。

 

「――――目隠しと耳栓外すよ~」

「ぷはっ!」

「ッまぶし・・・・」

 

体感一時間ほどの緊張に晒されていた所為か。

目隠しを外されると、あんなは水から出た様な息を吐いた。

隣のみくるも、一種の暗がりから解放されて、眩しさに目を覆う。

 

「ごめんね、お疲れ様」

 

そんな二人が最初に見たのは、制服姿の優しそうな女性だった。

 

「あの、さっき助けてくれた人ですか?」

「あはは、残念ながら違うわ」

 

さきほど助けてくれた『魔弾戦士』は、片方が女性の声だった。

故に、あんなは身を乗り出して問いかけるが。

女性は笑い声を上げて手を振った。

 

「初めまして、私は佐田(さだ)鐘子(しょうこ)。ここでは戦闘管制を任されているの」

「か、かんせい・・・・?」

「敵がどこにいるとか、民間人をどこに逃がせばいいかとか、ナビゲートするの」

「へぇー!」

「そうだったんですね、すみません・・・・」

 

人違いをされたにも関わらず、自己紹介と役職の説明を丁寧にしてくれた鐘子。

あんな達は感嘆の声を上げると同時に、人違いをした謝罪の言葉を述べたのだった。

 

「じゃあ、あの二人って・・・・?」

「多分そろそろ・・・・あ」

 

鐘子が目を向けた先で、自動ドアが開く音。

あんなとみくるもつられて目をやると、高校生くらいの少女がずかずか歩いて来る。

 

「は、長谷川先輩!?」

 

その姿を見たみくるが、素っ頓狂な声を上げた。

 

「みくる、知ってる人?」

「『長谷川平和(ひより)』さん。通ってる学園の・・・・高等部の生徒会長さんなの。自分にも他人にも厳しい、すごくストイックな人って有名で・・・・」

「――――あんた達!!」

「「ひゃいっ!」」

 

説明が終わるや否や、平和は机を強く叩いた。

さきほどの焼き増しのように跳ね上がるあんな達を、眉を吊り上げて見下ろした平和は。

 

「さっきのはどういうつもり!?」

「ど、どういうって・・・・?」

「無鉄砲に魔物に突っ込んで行ったことよ!」

 

さっきの続きだと言わんばかりに、説教を始めたのだった。

 

「先んじて対応してくれたことには、本当に感謝してる!でもね、それで死にかけてたら世話無いで――――!!」

「――――そこまでにしなさい、平和」

 

あんなもみくるも、ひたすら『ひえひえ』言いながら勢いに圧されていると。

穏やかに、しかしはっきり制止する声。

全員がそちらを見ると、平和によく似た中年男性と。

前髪が長い、いかにも不良といった風貌の青年が入って来ていた。

 

「司令ッ!ですが!!」

「――――平和」

 

まだまだ言い足りないとばかりに食って掛かる平和が、名前を呼ばれただけで言葉を呑み込む。

それだけのやり取りで、彼が一番高い地位にいるのだとよく分かった。

 

「やあ、遅くなってすまなかったね」

「あ、いえ・・・・」

 

男性が穏やかに話しかけてくれるお陰で、委縮していた心が解けていく。

しかし、平和がやや不機嫌にどっかりと、青年にいたっては机に脚を乗せる形で座ったため。

やはり少し威圧されてしまうのだった。

と、

 

『コラ!辰也!机に足を乗せるな!!』

「・・・・ッチ」

『舌打ちもしない!』

 

どこからともなく、青年を叱り付ける声。

誰が話しているんだと、あんな達がキョロキョロしている間に。

『たつや』と言うらしい青年は、舌を打ちながら渋々従うと。

さらに舌打ちも咎められて、不愉快そうに顔をしかめた。

 

「改めてようこそ、『SHOT』日本支部へ。君達も対応してくれた魔物の対応の他、超常現象の調査も専門としている部隊だ」

「ショット・・・・みくるが教えてくれたところだ!」

「ははは、よく知っているね」

 

そんな様子に慄いてしまったあんな達を気遣ってか。

思わず上がった声に、中年男性はにこやかな反応を返してくれる。

 

「では、ついでにその司令である私、『長谷川剣蔵(けんぞう)』のことも覚えてくれると嬉しいな」

「あ、はい!」

「よろしくお願いします!」

 

剣蔵の穏やかな自己紹介で、今度こそ緊張は解けたのだった。

 

「って、長谷川・・・・?」

「ああ、平和の父でもある・・・・先ほどは、娘がすまなかった」

「あ、そんな・・・・!」

「その、危ないことをした自覚はありますから・・・・」

 

じとっとした平和の視線を受けつつ、剣蔵の謝罪を受け入れていると。

 

『――――そのことについて、捕捉がある』

 

『たつや』を咎めたものとは、また別の声が響いた。

 

「ちょっと、ゴウリュウガン・・・・!」

『いや、これは重要な伝達事項だ』

 

落ち着いた紳士的な電子音に、聞き覚えがあるとあんな達が気付いた頃。

平和の制止も気にも留めず、

 

『すまない、お嬢さん達。平和は少々刺々しい言い方しか出来ないが、彼女なりに心配しているんだ』

「そ、そうなんですか・・・・?」

『ああ、先ほどの叱責も君達を慮ってのこと。早急に駆け付けられなかったことを悔いていたよ』

「ッゴウリュウガン!!」

 

再び大声を出して立ち上がる平和。

しかし、その顔は羞恥で真っ赤になっていた。

もちろん、あんな達が感じていた威圧感は、微塵もない。

羞恥を誤魔化そうと、もう一度乱暴に座った平和だったが。

誰もが生暖かい目を向けていた。

 

「さて、話す前に少し聞いておきたいんだが・・・・君達は、我々の仕事についてどれほど把握しているかな?」

「えっと、魔物が現れた現場に急行して、駆除する・・・・ってくらいしか、知らないんですけど・・・・」

「十分だよ」

 

改めて一同は本題に入ることに。

投げられた質問へみくるが返答すると、剣蔵は満足そうに頷く。

 

「もっと詳しく話すと、現在侵攻してきている謎の勢力『ジャマンガ』への対応・対策が我々の仕事だ」

「じゃまんが」

「ああ、君達も遭遇した魔物の組織名だ」

 

そこから、剣蔵は分かり易い言葉選びを意識して話してくれた。

――――そもそもの話。

ジャマンガを始めとした魔物の報告自体は、半世紀以上前から上げられていた。

今は『UMA』として扱われているそれらへの対応部隊として、国連の名の下組織されたのが『SHOT』。

今あんな達がいるのは、その日本支部なのだという。

 

「今まではぽつぽつと目撃情報が出るだけだったが・・・・状況が変わったのは一年前だ」

「開発地区の遺跡ですね」

「その通り。あれがトリガーだったのか、特にこのまことみらい市に現れる様になった」

 

みくるの確認を肯定して、剣蔵は続けると。

 

「警察も自衛隊でも抵抗は敵わなかったが・・・・」

「――――ジャマンガの存在が確認されてから半世紀、人類側も手をこまねいていたわけではないんです」

 

説明を引き継ぐように、眼鏡の男性がひょっこり現れた。

装備メンテナンスを担当するエンジニア、『榊戸(さかきど)良太』だと自己紹介してくれた彼は。

ニコニコと話し続ける。

 

「今から十数年前、強い退魔の力を帯びた結晶が発見されます。それらのオーラの形や、魔を弾く性質から『魔弾龍のコア』と呼ばれるようになりました」

「そして、それらに適合し、魔物達に立ち向かってくれる戦士を、『魔弾戦士』と言うんだ」

「「へぇー!」」

 

剣蔵と良太の説明が終わり、あんなとみくるは何度目か分からない感嘆の声を上げた。

 

「・・・・だけど、優れた力というのは、時に狙われる理由になる」

 

話を引き継ぐように、今度は平和が口を開いた。

 

「だから私達のことは基本的に秘匿事項・・・・まあ、活動内容上、人命救助で姿を晒すことになるから、存在自体は知られているのだけど・・・・それでも、危険と隣り合わせなのに変わりはない」

 

『だから』と、平和は真っすぐにあんな達と目を遭わせて。

 

「あなた達が扱ったあの力について、聞く必要があるのよ。あなた達の日常を、守るためにも」

「あ・・・・」

 

プリキュアのことだと、すぐに分かった。

あんなが思わず隣のみくるを見ると、彼女もまた同じように悩んだ顔。

どうしたものかと、二人で困り顔になってしまったが。

 

「・・・・さっきは悪かったわね、頭ごなしに怒鳴って」

 

ばつが悪そうに、それでもきちんと謝罪してくれた平和を見て。

信頼しても良いのでは、と頷き合った。

 

「・・・・その、信じてもらえるか分からないんですけど」

 

あんなから口火を切って、話し出す。

2027年からタイムスリップしてきたこと、戻るためにはポチタンの力を取り戻す必要があること。

その為にマコトジュエルを集めていて、『ファントム』という怪盗団もそれを狙っていること。

怪盗団と戦う為の力が、『プリキュア』であること。

あんなはもちろん、みくるだって嘘をついているつもりはない。

それでも、当事者である自分達ですら、荒唐無稽だと思わざるを得ない内容を。

SHOTの大人達は、真剣に耳を傾けてくれた。

 

「それで今回、たくさんの人が魔物に襲われているのを見て、いてもたってもいられなくて・・・・」

「・・・・なるほど」

「あ、あの、本当に、本当のことなんです。嘘はついてなくて・・・・!」

 

内容を咀嚼する様に頷く剣蔵に不安を覚えて、あんなが身を乗り出すと。

彼女の様子に気が付いた剣蔵は、慌てて首を横に振った。

 

「ああ、いや、疑ってはいないよ。大丈夫」

「そうそう、超常現象に触れるのが仕事だし、それくらいの不思議な話は日常茶飯事だもん」

 

うんうんと、和やかに受け入れてもらっていることに。

あんなは戸惑いながらも理解して、安堵の笑みを浮かべていく。

さらにそこへ、

 

「っていうか、辰也君と同じだね?」

「ッ本当ですか!?」

 

良太がそんなことを言ったものだから、あんなは思わず立ち上がった。

目を向けた先には、ずぅっとだんまりを決め込んでいた『たつや』。

 

「あの!わたし、明智あんなって言います!あなたと同じ2027年から来て・・・・!」

「・・・・らしいな」

 

明らかに『面倒くさい』という態度を取られてしまっているが、気にもならなかった。

『同じタイムスリップ経験者』という情報の前では、非常に些末なことだったからだ。

 

「大変だけど、今、元の時代に戻るために頑張っていて、だから・・・・!」

「――――どうでもいい」

 

――――吐き捨てられた言葉に、あんなの声が止まる。

 

「帰りたきゃ一人で帰れ」

「ぁ・・・・!」

『辰也!その言い方はないだろう!』

 

投げられた言葉の意味を呑み込めなくて、ショートを起こしたあんなの目の前で。

『たつや』は気だるげに立ち上がると。

 

『コラ!どこに行く!?』

「どこでもいいだろ」

 

腰に付けた龍のエンブレムに終始窘められながら、あんなをちらとも見ずに。

部屋を出て行ったのだった。




~今日のSHOT情報~

榊戸「今日のSHOT情報は、僕達が所属する対魔組織『SHOT』!」
佐田「正式名称は、Shoot hell Obduracy Trooper。これの頭文字を取って『SHOT』だよ!」
剣蔵「半世紀前からUMAとして報告されている、魔物達への対応、ならびに対策が主な役目の、国連所属の組織だ」
平和「そして、私達日本支部の主な任務は、現在侵攻してきている魔物の勢力『ジャマンガ』への対応なの」

榊戸「平和さん達魔弾戦士を支えつつ!」
佐田「ジャマンガから市民を守ります!」
剣蔵「今後の活躍を、乞うご期待!」
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