魔弾戦士と名探偵   作:数多 命

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たんプリの次回予告、転げ落ちました・・・・。
やりやがった!!やりやがった!!


初めての依頼

「――――あの言い方は、ないんじゃない?」

 

閉じていた目を開けて一瞥。

この頃見慣れ始めた、白いドレスローブが見えて。

『なんだ』、と再び目を閉じる。

 

「貴方みたいに、帰りたくない人ばかりじゃないのよ」

 

うるさい小言を無視して、寝返りを打つ。

 

『――――すまない、安子さん』

「いいのよ・・・・その内、ちゃんと耳を傾けてくれるから」

 

二人の会話を聞きながら、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただい――――」

「――――ポチィィィィィッ!!!」

「――――マ"ァッ!?」

「あんなぁーっ!?」

 

その日の夜、キュアット探偵事務所。

帰りがすっかり遅くなってしまったあんな達を真っ先に出迎えたのは、ポチタンのタックルであった。

 

「お前達!今までどこに行ってたんだ!遅いから心配してたんだぞ!」

「ご、ごめんなさい。ジェット先輩」

「うぐ・・・・じ、実は・・・・」

 

続いてジェットに小言をもらいつつ無事を喜ばれて。

そこから、何があったのかを話した二人。

 

「――――なるほど、そんなことが」

 

全て聞き終えたジェットは、神妙な顔で腕を組んだ。

 

「その、ごめんなさいジェット先輩」

「事務所のこととか、プリキュアのこととか・・・・勝手にしゃべっちゃって」

「ああ、それなら大丈夫だ」

 

それから、あんなとみくるの謝罪を聞くと。

解いた手を膝に置きながら、身を乗り出す。

 

「元々うちのロンドン本部とSHOTのヨーロッパ支部は、ごくまれに連携を取ることがあってな。お互いの存在自体は認知していたんだよ」

「そうなの!?」

「ああ」

 

驚愕に、今度はあんなが同じくテーブルに乗り出すと。

『ちゃんと座れ』と落ち着かせながら、ジェットは肯定した。

聞けば、度々事務所の妖精達が魔物に脅かされることがあり、その都度SHOTの人間が助けてくれていたらしい。

そのお礼として、探偵事務所側も知識と情報を提供することを繰り返した結果。

同盟とまではいかないが、お互いの分野が重なるときは手を取り合う協力関係になっているということだった。

 

「まあ、流石に本部へ報告はしなきゃならんが・・・・何か叱られたりするとか、そういうことはないから安心しろ」

「「はぁ~・・・・」」

「・・・・それにしても」

 

二人が聞かされた情報に感心していると、ジェットはソファに座り直す。

 

「『遠山辰也』、か・・・・本当にあんなと同じ、2027年から来たのか?」

「SHOTの皆さんが言うには、そうらしいんだけど・・・・」

 

ジェットの確認に、困った顔で黙り込んでしまうみくる。

視線の先は、俯いているあんな。

 

「んっ?・・・・あ、えっと!あはは!ちょっと生意気だったかも!みんながみんな、帰りたいわけじゃないんだね・・・・」

 

見られていることに気が付いた彼女は、すぐに笑顔を浮かべたものの。

みくるもジェットも、心配の表情を崩せなかった。

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

『魔物』の存在を知って、それと戦う魔弾戦士とSHOTのことを知って。

・・・・遠山辰也さんに、会って。

とても濃い一日から、何日か経った頃。

探偵事務所に、初めての依頼人さんが来た!!

お名前は『小松崎純一』さん。

漫画家になるため、出版社に持ち込みにいこうとしたら。

その途中で、鞄に入っていたはずの原稿がなくなって。

代わりにりんごやじゃがいも、そして剥き身の食パンに変わってしまっていたそうなの!

ファントムが関わっているかはまだ分からないけど・・・・困っているなら、ほっとけない!

 

「ここですか?」

「ああ、間違いないよ」

 

ひとまず、純一さんの心当りである駅前にやってきた。

バッグの紐の長さが違ったから、『もしかしたら、誰かのそっくりなのと入れ替わったのかも?』と推理。

他に手掛かりもなさそうなので、周辺を調べてみる。

すると、

 

「そうだ、思い出した!ここで、誰かとぶつかったんだ!」

「本当ですか!?」

「純一さん、ぶつかった人のことを思い出せますか?」

「ううーん・・・・ダメだ、思い出せないや・・・・」

 

そう言って、純一さんは頭を抱えてしまった。

また行き詰っちゃったけど、ぶつかった人のことが分かったら・・・・!

 

「よーし、それじゃあ目撃者がいないか聞き込みしよう!」

「ええ、話を聞けそうな人は・・・・あっ」

 

気合十分に周囲を見渡すと、ちょうど通りがかった人を見かけたので、突撃!

 

「あの!」

「すみません!ちょっと聞きたいことがあるんですが!」

「はい?」

 

ちょっと勢い付け過ぎたかも、とドキドキしながら話しかけたわたし達は。

 

「あっ」

「平和さん!?」

「あなた達・・・・明智と小林、よね?」

 

振り向いたその人の顔を見て、目が点になって。

びっくりして飛び上がってしまった。

 

「こんなとこで何やってんのよ」

「あ、あの!」

「今、初めての依頼をやってて!」

「依頼ぃ?」

 

じろりと見られて、また別のドキドキを感じながら一生懸命説明すると。

平和さんは、『ふぅん』と純一さんを見る。

 

「・・・・何があったの?」

「へっ」

「聞きたいことがあるんでしょう」

「あ、はい!」

 

意外と話を聞いてくれた平和さんに、改めて事情を話す。

しばらく相槌を打ってくれた後、なんだか申し訳なさそうな顔になって。

 

「・・・・残念だけど、私はたった今ここに来たの。何も知らないわ」

「そうですか」

「悪いわね・・・・初依頼、頑張んなさい」

「は、はい!」

 

・・・・とっても普通に話して、応援までしてくれた。

プリプリ怒ってるイメージがあったけど、そうでもないのかな・・・・?

 

「何よ」

「あっ、その・・・・」

 

じぃっと見つめちゃってたみたいで、平和さんに目を向けられちゃう。

うう・・・・これが『怪訝な顔』ってやつなのかな・・・・。

一方の平和さんはため息をつくと、ウェストバッグからメモ帳を取り出す。

 

「・・・・あんたら、どっちか携帯持ってない?」

「えっ」

「連絡先、こっちも何かあったら教えてあげるから」

 

言いながら、電話番号とメールアドレスが書かれたメモを渡してくれた。

 

「手伝ってくれるんですか!?」

「んなわけないでしょ」

 

思わず聞いたら即答で返されて、みくると一緒にこけちゃった・・・・。

い、一緒に探してくれるわけじゃないんだ・・・・。

・・・・でも、

 

「自分でやりなさい、あなた達が受けた仕事なんだから」

 

まっすぐ見つめられて、そんなことを言ってもらえて。

・・・・一度しか会ったことないけど。

この前助けてくれたことや、心配して叱ってくれたこと。

それから、たった今。

背筋をピンと伸ばして、わたし達を見つめている平和さんを見て。

なんだか、胸がポカポカした。

 

「・・・・はい!」

「頑張ります!」

 

それはみくるも一緒だったみたい。

二人で張り切って返事すると、平和さんは満足そうに鼻を鳴らして。

颯爽と歩いて行った。

 

「・・・・なんか」

「うん」

 

遠くなっていく背中を見送りながら、なんとなく隣のみくるを見ると。

みくるも、多分わたしと同じ、キラキラした目をしていて。

 

「「かっこいい!」」

 

声をそろえて、おんなじ感想を叫んだ。

 

「あの!探偵さん!この人がぶつかったところを見てたって!」

「本当ですか?!」

 

改めて気合を入れていると、純一さんがおじいさんと一緒にやってきている。

・・・・って!

 

「すみません!依頼人なのに、ほったらかしちゃって・・・・!」

「いいんだよ。頑張ってくれてる二人を見たら、僕も何かしなきゃって思ったから!」

「純一さん・・・・」

 

絶対に、純一さんのバッグを見つけるぞ!

おーっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上品な照明に照らされて浮かび上がる、オペラ劇場。

その二階席に座っているのは、怪しげな風体をした面々。

中でも、一番のVIP席に座するのは、鎧をまとった大男だった。

そう、ここは怪盗団ファントムのアジト。

この荘厳な劇場は、ボスである鎧の大男『ウソノワール』の趣味だ。

 

「・・・・」

 

ウソノワールは、傍らの譜面台に目を向けている。

広げられているのは淡い光を纏った本。

綴られた文章は、実に不可思議。

どの言語形態にも属していないことが、素人目にもはっきり分かることだろう。

 

「――――未来自由(ミラージュ)の書が、マコトジュエルの在り処を指し示した」

 

――――『マコトジュエル』。

世界を嘘で覆うことを目的としている、ファントムが。

その為の手段として欲している、特殊な宝石である。

ウソノワールが持つ『未来自由(ミラージュ)の書』には、それがいつ現れるかが書かれている様だった。

 

「ボクが華麗に盗って参ります!」

「いいや!アゲが行くっしょ!」

 

いの一番に立ち上がったのは、怪盗の一人『ニジー』。

続いて競う様に立候補したのは、同じく怪盗の『アゲセーヌ』だ。

 

「アンタは引っ込めって感じー!」

「それはこっちの台詞だよ、ベイビー!」

 

互いに互いを挑発し、牽制しあうニジーとアゲセーヌ。

我こそはと手柄を競い合う二人の言い争いが、厳かな劇場を賑やかにさせる。

 

「――――あーあ、また始まった」

『全くだ、懲りないこっちゃ』

 

そんな二人の言い争いに、揶揄するような声音で呆れる。

同じく二つの声。

その座席に着くのは、揃いのアッシュブロンドを靡かせた美男美女だ。

美男はプールサイドでくつろぐが如く手足を組んでいる。

対して美女は行儀よく座って、ソフトクリームを食べていた。

しかし、アゲセーヌとニジーの言い争いにコメントしたのは彼らではなく。

美女の膝に乗ったきつねのぬいぐるみと、美男の手首に巻き付いた龍のエンブレムであった。

 

「ハ、いいじゃないか。通夜みたいな空気より、百倍マシだ」

「・・・・とはいえ、騒がしすぎるけど」

 

まるでケンカを見に来た野次馬のノリで、元気なニジーとアゲセーヌを見ていると。

不意に照明が消灯。

 

「――――待て、待て、待てぃ!!」

 

次の瞬間には、ステージの上を改めて照らし出していた。

 

「熱くなるのは結構だがな!向ける相手が違いやしないか!?」

 

まるで実際の舞台さながらの演出の中、スポットライトを浴びるのは。

肩にかけた上着をなびかせ、扇子を携えた大男。

 

「その喧嘩!このゴウエモンが預かった!!」

 

ニジーやアゲセーヌと同じ怪盗の、『ゴウエモン』だった。

『まさしく怪盗』な格好のニジーや、『チョイワルコギャル』なアゲセーヌとは違い。

歌舞伎風の化粧や、袴、一本歯下駄などなど。

和風の衣装を纏っている。

 

「出た・・・・面倒なのが・・・・」

「・・・・うん」

 

きつねのぬいぐるみは心底鬱陶し気に呟き、美女も静かに同意する。

そんな二者を、美男はどこか微笑まし気に見守っていた。

 

「ウソノワール様!お任せください!」

「結局君が行きたいだけだろ」

「マジチョベリバー!」

「違う!新人達の為だ!」

 

美女たちはともかく、他二人の反応など気にも留めないとばかりに膝をつくゴウエモン。

日頃から強引な所があるのが、ニジー達のリアクションからありありと見て取れた。

しかし、今回は少し違うようで。

 

「連れて行って、怪盗のイロハを教えてぇんだよ!」

 

声を張り上げ、扇子で指し示すのは。

美男達が座る席。

 

『へーぇ、ありがてぇこって』

「余計なお世話なんだけど!」

「ハ・・・・」

「・・・・ん」

 

『先輩風』を吹かせたいのが一目瞭然なゴウエモン。

ぬいぐるみと『龍』は不機嫌そうに零し、美男と美女は黙して首肯する。

だが、ウソノワールは違った。

 

「行け!ゴウエモン、キュアアルカナ・シャドウ、リュウジンオー!」

 

ゴウエモンはにやりと、美女『キュアアルカナ・シャドウ』はソフトクリームを食べきり、美男『リュウジンオー』は気だるげに足を組みなおす。

 

「ライライサー!」

――――ライライサー!

『らいらいさー!』

 

ウソノワールの号令に、怪盗達はそろって応えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

純一さんのバッグは、やっぱり誰かのものと入れ替わっていた。

目撃者だったおじいさんの証言を基に、みくるが似顔絵を描いて。

早速あちこちを探し回ったんだけど・・・・。

 

「ううん・・・・見たことないなぁ」

「ごめん、知らないんだ」

「探し物、頑張ってね」

 

なかなか、情報は集まらない・・・・。

最初からうまくいかないのは覚悟していたけど、ここまで空振りが続くと凹むなぁ・・・・。

 

「まあ、そう簡単には行かないさ」

「はあ・・・・もう無理なのかなぁ・・・・」

 

フォローしてくれるジェット先輩とは打って変わって、純一さんはものすごく落ち込んでいる。

 

「大丈夫!絶対見つけてみせますから!」

「ええ!」

 

思わず、みくると一緒に純一さんに話しかけていた。

 

「もう少し、信じて下さい!」

 

なんとか元気になってもらいたくて、一生懸命伝える。

そもそも、調査はまだまだ始まったばかり。

最初の依頼は絶対に成功させるんだから!

 

「・・・・!」

 

その甲斐があったのか、純一さんの顔が明るくなりそうになったんだけど・・・・。

 

「――――見つけたぜ!『紫の包み』!!」

 

純一さんのすぐ隣。

誰かが飛び降りて来た。

 

「そのバッグ・・・・いや、マコトジュエルを置いて行ってもらおうか!!」

「マコトジュエルって・・・・!」

 

誰だろうかと考える間もなく、相手がマコトジュエルのことを言ったことで。

すぐに思い当たった。

 

「怪盗団ファントム!」

「か、怪盗団!?」

 

びっくりしている純一さんには悪いけど、今は説明している暇はない・・・・!

 

「漫画の原稿が入ったバッグを見つけるの!」

「絶対に渡さない!」

 

思わず、みくるやジェット先輩と一緒に身構えて、純一さんを守ろうとしたんだけども。

 

「熱いねぇ!熱くて茹で上がっちまいそうだ!・・・・だが、相手が悪かったな!!」

 

まだ名前も知らない怪盗は、持っていた扇子を思いっきり振り下ろしてきた!

途端にすごい桜吹雪が襲ってきて・・・・!

 

「っく・・・・!」

 

前が、見えない・・・・!

 

「ああッ!?バッグが!!」

「――――ッ!?」

 

やっと止んだ頃、純一さんの悲鳴が聞こえた。

持っていたはずのバッグがない・・・・!?

慌てて怪盗を探すと・・・・いた!

 

「頂いていくぜ!」

 

純一さんのバッグが、盗られた!!

 

「待て!」

 

手を伸ばした目の前で、怪盗は逃げて行っちゃう・・・・!

ッ絶対に逃がさない!

 

「オープン!プリキットライト!」

 

咄嗟にプリキットライトを取り出す。

これはジェット先輩が作ってくれた、探偵用のアイテムで。

好きなものを光で描くと、形になる!!

 

「おお!・・・・ピーナッツ?」

「ううん!トランポリン!」

 

これで怪盗を追いかけて、バッグを取り戻す!

 

「純一さんはここで待っててください!」

 

みくると一緒に、トランポリンに飛び乗った。




今日のSHOT情報

ゴウリュウガン『今日のSHOT情報は、私のパートナー《長谷川平和》だ』

『《リュウガンキー》を私に使用することで、《魔弾銃士・リュウガンオー》に変身。狙い撃ちも乱れ撃ちもお手の物な、まさしく《魔弾の射手》と言っても過言ではない』

『人に厳しく、自分にはもっと厳しい上、刺々しい言動で誤解されがちだが・・・・』
『面倒見が良く、大変な努力家の、素敵な女の子だよ』

『ちなみにネーミングは、《鬼平》こと《長谷川平蔵》と、銃の一種《ピースメイカー》が由来らしい』
『実際、長谷川平蔵の子孫でもある』

『素直でない言動が、どうしても目立ってしまうが・・・・』
『うちの平和を、これからもよろしくお願いするよ』
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