魔弾戦士と名探偵   作:数多 命

7 / 7
コナンの方のプリキュアコラボも面白かったです。
・・・・ただ、どっちでもコナン君が踊ってくれなかったのはちょっと残念でした。
見たかったな、『恋はスリル、ショック、サスペンス♪』って踊るプリキュアとコナン君・・・・()


平和の依頼

「――――ごめんくださーい」

 

――――無事に取り戻した原稿を純一さんに渡せて、初めての依頼を完了させ。

ついでに純一さんが未来のすごい漫画家『ジュンジュン・コマッツ』さんであることが判明してから数日。

 

「はぁーい!・・・・あれ、平和さん!」

「この間ぶりね」

 

事務所にやってきたのは、平和さんだった。

 

「何かあったんですか?」

「依頼、というか・・・・相談に、近いのかしら・・・・ちょっと聞いてほしくて」

 

『大丈夫?』と聞いてくる平和さんに、『もちろんです!』と返事。

事務所の応接スペースに通す。

 

「ポーチ!」

『ああ、これはご丁寧に・・・・ありがとう』

 

お茶を出していると、ポチタンがいつものミルクマグをゴウリュウガンさんに差し出していた。

わたし達の真似をしているのかな?

すっごくかわいい!

 

「ん"っん"・・・・!」

 

平和さんも、胸と口を押さえている。

・・・・おんなじことを、考えてるのかなぁ。

 

「――――それで、相談って言うのは?」

「ゆっくりでいいです、話してみてください」

「・・・・ありがとう」

 

――――気を取り直して。

ジェット先輩が見守ってくれている中、隣のみくると一緒に話しかけると。

 

「実は・・・・弟を見つけたいの」

「弟さん?」

「ええ」

 

まず初めに、平和さんは写真を取り出して見せてくれた。

 

「長谷川正平(しょうへい)、私の双子の弟よ」

 

ニッコニコの剣蔵さんや平和さんと肩を組んだ男の人。

『双子だ』と言われて、そっくり具合に納得する。

 

「そして、ゲキリュウケンの先代の適合者・・・・つまり、先代のリュウケンドーでもある」

「ッそうなんですか!?」

「でも、じゃあ今の辰也さんは・・・・?」

「そこも含めて、話すわ」

 

びっくりするわたし達に、平和さんはとつとつ話してくれた。

 

「始め、魔弾戦士は私と正平の二人だったの・・・・だけど数か月前、何者かに襲われて・・・・正平は姿を消した」

「襲われたって・・・・!?」

 

紅茶を飲みながら、平和さんは続ける。

 

「応援を求める通信を受けて、現場に駆け付けた時には、もう何の人影も見当たらなかった・・・・道幅いっぱいの、血痕以外はね」

「そんな・・・・!」

「・・・・ゲキリュウケンさんは?パートナーだったら、何か知ってるんじゃ?」

 

口を押えてしまっているわたしの隣で、みくるが落ち着いて質問していた。

そうだよ。

パートナーだったゲキリュウケンさんなら、何か手掛かりが・・・・!

 

「正平とは対照的に、すぐ見つかりはしたけど、コアの損傷が激しくて・・・・修復こそ出来たんだけど、事件当時の記憶はまるっとなくなっているわ」

「そんなぁ・・・・」

 

記憶が無くなっちゃったんじゃ・・・・手がかりが・・・・。

 

「現場の状況を踏まえて、父さん・・・・司令は、『行方不明』から『死亡扱い』に変更した・・・・それ以上は探さないって、決断を下したの」

「・・・・ぁ」

 

・・・・何を言えばいいのか、分からなくなっちゃって。

わたしは言葉を詰まらせる。

それはみくるも同じだったみたいで、二人で困った顔を向けあったんだけど。

 

「――――でも、私は諦めてない」

 

平和さんの声で、前に向き直る。

 

「生きているのなら必ず連れ戻したいし・・・・死んで、いるのなら・・・・ちゃんとお墓に入れてあげたい」

「平和さん・・・・」

「この際、生死は関係ないの・・・・そうね・・・・私は、私の心に、きちんと決着をつけるために探したい」

 

対面に見えた、二つの瞳は。

強い光を放っているように感じた。

 

「怪盗団の対応の、片手間で構わないわ。こっちだって長期戦は覚悟してるもの・・・・だから、お願いします」

 

それから、姿勢を正して、深く頭を下げられた。

 

「私の弟を、探してください」

『私からもお願いする・・・・彼は、友と言っても過言ではない存在だ』

 

ゴウリュウガンさんにもお願いされてしまって、胸が熱くなる。

またみくると見合う。

今度は、明るい気持ちだ。

 

「「もっちろんです!」」

 

そもそも。

キュアット探偵事務所は、基本依頼は断らない。

だって、困っている人がいるなら助けるのが探偵だもん!

何より・・・・!

 

「平和さん、正平さんのことが心配なんですよね?」

「生きていても・・・・亡くなって、いても・・・・困っていないか、寂しい思いをしていないか・・・・ずっと気にかけているんですよね?」

「だったら、わたし達は!全力でお手伝いします!」

「「それが!名探偵プリキュアなので!」」

 

みくると一緒に宣言すると、平和さんはしばらくポカンとしていた。

そのまま黙り始めたものだったから。

『もしかして図々しすぎたかな』とか、『勢い付け過ぎたかな』と心配になってきたんだけど。

 

「・・・・ふふふっ」

 

やがて、くすくす笑い始めて。

 

「ありがとう・・・・それじゃあ、改めてお願いします」

「はい!!」

「任せて下さい!!」

 

改めて頭を下げ合って、『平和さんの弟さん探し』を引き受けたのだった。

・・・・待っててね、正平さん!

なんて、気合を入れなおしていると。

 

「――――そういえば、そうなると辰也ってやつは何なんだ?」

 

見守ってくれていたジェット先輩が、そんな疑問を口にしたのだった。

そうだ。

今リュウケンドーとして戦っている辰也さんは・・・・?

 

「・・・・あいつは」

 

思わず見てしまったわたし達に、平和さんはとつとつ話してくれた。

 

「始めにあいつを見たのは、半月前。遣い魔の対処をしていた時だった」

 

まず言われた言葉に、目を見開く。

 

「・・・・あんなが来た時期と、同じ」

 

・・・・みくるの言うとおりだ。

わたしが、この時代来た時と同じ頃に。

辰也さんも・・・・!

 

「びっくりしたわよ。同い年くらいの男子が、奪った遣い魔の武器で戦ってるんだもん」

 

そしてすっごくアグレッシブ!

 

「派手な怪我もしてたから、慌てて保護したら、戸籍も何もない。あいつが持ってたお金から、未来から来たってことが証明されて、しばらくうちで面倒を見ることになったの」

「もしかして、お札ですか?」

「ええ、北里柴三郎はまだしも、津田梅子がお札になってるなんてね」

 

みくるの質問に、平和さんがこっくり頷く。

わたしは、何にもないマコトミライタウンが証明になったけど。

辰也さんはお札が決め手だったんだ・・・・。

っていうか。

 

「そんなに珍しいの?」

「ああ、と言うか、この時代の技術では無理だな」

 

ふと思った疑問を口に出しちゃうと、ジェット先輩が話してくれる。

この時代の日本で発行されているお札は、髭を生やした偉い人を採用するようにしているんだって。

そうやって絵柄を複雑にして、偽札を作りにくくするって作戦みたい。

真ん中の透かし以外にも、そんな工夫があるんだ。

はなまるすごい!

 

「あんなの時代では、技術が上がって、女性みたいな髭のない偉人も採用出来る様になったんだろうな」

「へぇー!」

「・・・・話を戻すわよ」

 

き、気を取り直して・・・・。

 

「保護してから何日か経った頃、また魔物が出現したんだけど・・・・たまたま出かけていたあいつも巻き込まれたの」

 

榊戸さんと日用品を買いに行ってたらしい辰也さん。

突然の襲撃に逃げ場が無い中、逃げ遅れた小さな子を必死に守っていたそうだ。

その後、自分が囮になって榊戸さんと子供を逃がした辰也さんは。

一人で戦って、そして。

 

「『負けたくない』・・・・SHOTが拾えたのはその音声だけだったけど、その時に長い間眠りについていたゲキリュウケンが起きた」

「それで、リュウケンドーに・・・・?」

「ええ」

 

初めて変身した辰也さんも、やっぱりすごかったみたい。

とにかく暴れて、暴れて、暴れまくって。

魔物を倒せはしたんだけど、携帯の基地局を壊しちゃったとかで。

電波障害を起こしちゃったんだとか。

・・・・エリザさんのペンの時の電波障害って、もしかして。

 

「大暴れしたのはそれっきりだし、今も態度悪いけど、こっちの話はちゃんと聞いてくれるのよ」

「ふえぇ・・・・」

 

そんなことが起きてたんだ・・・・。

・・・・『負けたくない』、か。

辰也さん、何に負けたくなかったんだろう?

 

「・・・・ん?」

 

ここにいない辰也さんに思いを馳せたところで、ふと。

また新しい疑問が浮かんだ。

 

「あの、辰也さんはどうやってタイムスリップしたんでしょうか?」

 

そうだ。

わたしはポチタンが連れて来たんだけど、辰也さんは・・・・?

 

「あいつは、魔弾キーを拾ったって言ってたわ」

「まだんきー」

 

それって、平和さん達が変身や必殺技で使うやつ・・・・だよね?

 

「家の蔵を漁っていたら、古ぼけたそれを見つけて。タイムスリップしたっていうけど・・・・どこまで本当だか」

「どういうこと?」

「家が自分ちだと限らないし、蔵も本当か分からない、ってことだ」

 

よく分からなかったわたしに、ジェット先輩がまた解説してくれる。

犯罪者なんかが、警察の取り調べを乗り切るために。

そんな曖昧な表現を使うことが、よくあるんだそうだ。

 

「まあ、確かめようもないことだから、分かったところでって感じだけど・・・・」

「そう、ですか・・・・」

 

話を聞いている中で、頭の中に蘇ってくる。

初めて会った時の、辰也さん。

 

――――帰りたきゃ、一人で帰れ

 

・・・・わたしが、思っている以上に。

辰也さんって、大変な環境にいたのかな。

だから、帰りたくないのかな。

 

(わたしだったら・・・・)

 

お母さんも、お父さんも、友達もいなくて。

誰もかれもが、敵、だったら。

・・・・確かに、帰りたくないかも。

『一緒に帰ろう』って言われても、あんな態度になるかも。

 

「あんな?」

「ッあ・・・・」

 

・・・・考えすぎちゃってたみたいだ。

気が付くと、みくるや平和さんから、心配そうに見られている。

 

「えっ、と・・・・何でもない!ごめん、ぼーっとしちゃってた!」

「あんな・・・・」

 

みんな、優しい人達だから。

何か言いたそうにしていたんだけど。

やっぱり、優しいから。

それ以上は、何も聞いてくれないでいてくれて。

 

「・・・・長居し過ぎたわね」

 

平和さんが立ちあがる。

それだけで、お開きの空気になった。

 

「今日はありがとう、お陰で私も吹っ切れたわ」

「こちらこそ!」

「ご依頼、ありがとうございます!」

 

みくると一緒に、事務所の入り口まで送る。

 

「報酬代わりと言ってはなんだけど・・・・何か力になれることがあったら、遠慮なくいいなさい」

「こちらこそ!」

「力になれることがあったら、いつでも!」

「ふふっ」

『重ね重ね、感謝する』

 

帰り際に、そんな頼もしいことを言ってくれたので。

わたしとみくるも、おんなじ様に返して。

帰っていく平和さんを、見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――同盟、か」

「その通り!」

 

怪盗団ファントム、アジト。

今日その舞台には、とある来客が立っていた。

 

「我々はプリキュアなどという小娘達が邪魔、そしてそちらは、魔弾戦士が目障りだ!」

「確かに、この間は派手に横やりを入れてくれたなぁ」

 

熱弁を振るうドクター・ウォームに、ゴウエモンが静かに同意する。

 

「故に、手を組むことを提案しているッ!互いに互いの邪魔者を排除し、本懐を成し遂げようではないかッ!」

「・・・・」

 

それが皮切りになったかは定かではないが、締めとばかりにウォームは声を張った。

対するウソノワールは、黙したまま。

 

「ボクは反対です!ウソノワール様!こんな得体のしれない連中、信用ならない!」

「アゲも同意!ニジーとおそろは腹立つけど、それ以上にこいつらと手を組む方がずぅーっと!!チョベリバっしょ!!」

 

そこへ畳みかける様に発言するのは、ニジーとアゲセーヌだ。

両名共に、突如として現れた怪しい連中を、激しく警戒していたが。

 

「――――よかろう」

 

しばし、書見台の未來自由の書を凝視していたウソノワールは。

了承を答えてしまった。

 

「プリキュアを排除してくれるというのなら、願ったりかなったりだ・・・・『どちらかの邪魔者を排除した時点で、解消』でよいのなら、手を組ませてもらおう」

「オオ!話が早くて助かる!」

「ウソノワール様ッ!?」

「ジョーダンっしょ、ウソノワール様・・・・!」

 

ニジーもアゲセーヌも、まさかの展開に頭を抱える中。

ひとしきり喜んだウォームは、後ろを振り向いた。

 

「おい!こっちへ!」

「――――」

 

声をかけ呼び寄せたのは、黒い鎧を纏った何者か。

 

「こやつは『月蝕仮面ジャアクムーン』!!我が軍団随一の剣士だ!!」

 

『ジャアクムーン』と呼ばれたそいつは。

『月蝕仮面』の名の通り、陰に食まれる最中の月の様な仮面を被っていた。

暗闇部分にポツンと光る片目が、不気味さを一掃引き立てている。

 

「そいつ一人だけか?」

「まあそう慌てるな!それに加えて、こちらの遣い魔も何部隊か派遣しよう!」

「はぁー!そいつぁ太っ腹な!」

 

ゴウエモンは、さらに追加されるという遣い魔の数に、ややオーバーリアクション。

 

「では、今後とも、よろしく頼んだぞ!」

「うむ」

 

こうして結ばれてしまった同盟に満足し、ウォームは意気揚々と去っていく。

 

「――――(オレ)は」

 

そうして一人残されたジャアクムーンは、しばし沈黙を保った後。

静かに、口を開いた。

 

「弱さは罪だと、考えている」

「・・・・ホウ?」

「弱ければ失うだけ、弱ければ奪われるだけ・・・・しかし力さえ、強ささえあれば、それは無くなる」

 

思ったよりも若い声で、おもむろに持論を話し始めたジャアクムーン。

 

「・・・・続けよ」

 

同じく仮面の下ではあるものの、面白いと思っている声音で。

ウソノワールは続きを促す。

 

「もっとも罪深きは、力を求めず、弱きままでいる事。そんな怠惰極まりない恥さらしなど、直ちに死んで然るべきだ」

「・・・・それで?」

 

そこで、ジャアクムーンは剣を抜いた。

三日月の装飾が施された、不気味な刀身を目にして。

ニジー、アゲセーヌ、ゴウエモンの三人は、直ちに厳戒態勢へ入る。

 

「故に、(オレ)は弱者には従わん。例え一時的でも、頭を垂れるくらいなら、死んだ方がマシだ」

「――――ならば、ここでおっ死ぬかい?」

 

いの一番に、舞台に降りたのはゴウエモンだ。

得物である扇子を手に、睨みを利かせる彼だったが。

対するジャアクムーンは、気にすることはない。

 

「――――だが」

「な・・・・!?」

 

空気が変わる。

ジャアクムーンが跪いたからだ。

 

「ウソノワール殿、ここからでも分かる、その威圧、畏怖・・・・何をとっても、何と素晴らしきことか・・・・!」

 

ウソノワールに敬称までつけての賞賛。

 

「貴殿の様な猛者の下、仮初と言えども下僕として剣を振るえること・・・・このジャアクムーン、生涯の誉となりましょう・・・・」

 

切っ先を立てるその様、まさしく騎士の一礼で。

 

「どうぞ、この(つるぎ)。存分にお使いくださりませ・・・・!」

 

そうして彼は、深々と頭を下げたのだった。

沈黙が降りる。

誰もが呆気に取られて、言葉に困る。

 

「――――なぁんだ」

 

その中、一番に動いたのはやはりゴウエモンで。

 

「そういうことなら、そうと言えや!びっくりしちまったじゃねぇか!!」

 

同じくウソノワールに忠誠を誓うものとして、ジャアクムーンの言葉は響いたのだろう。

先ほどとは打って変わって、ピッカピカの笑顔で肩を叩いている。

ニジーとアゲセーヌは相変わらず不満そうだったが、ここまでのことを言われてはそれ以上何も言えない様だった。

 

「――――妙なのが来たわね」

「・・・・うん」

 

一方の、キュアアルカナ・シャドウ達。

突如として現れたジャアクムーンへ、見定める様な目を向けていて。

 

「――――」

 

特にリュウジンオーは、心底蔑む視線を突き刺していたのだった。




~今日のSHOT情報~

辰也「・・・・今日のSHOT情報は、俺が変身する魔弾戦士『リュウケンドー』だ」
「ゲキリュウケンに、リュウケンキーを差し込むことで変身出来る、剣士型の魔弾戦士」
「特徴は言うまでもない剣攻撃の他に、属性を変えられるというものもある」
「今は火属性の他に、水属性にもなれる」

「・・・・中古品だろうと、関係ない」
「言われたことは、こなしてやる」





平和(こういうのは、割と真面目にやってくれるのよね・・・・)
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