皆様お久しぶりです。
どの位かというと今は亡き二次ファンからはPixivに移転して四年ぶり、ハーメルンに投稿してから一年ぶりですが、覚えている方はいらっしゃるでしょうか?
今回は短く更新もゆっくりとですが、これからも宜しくお願いいたします。
地球連邦軍宇宙要塞ルナツー
元々はアステロイドベルトにある小惑星をコロニー建造用の資源解採掘惑星として地球圏に持ち込んだのが始まりである。
宇宙世紀0060年代当時軍拡著しい大西洋連邦宇宙軍に対抗する為、地球連邦宇宙軍の拠点として整備され以来宇宙艦隊の根拠地としてあるこの要塞は宇宙にその威容を示していた。
そのルナツー宙域でサイド7方面を哨戒活動中のサラミス級がいた。
サラミス級マダガスカルは連邦宇宙具の中核戦力であるサラミス級の一隻であるが、このサラミス級は作られた年代と場所によって様々なタイプに分けられる。
初期タイプは主に地球軌道艦隊に優先的に配備されたこともあり大気圏突入用のカプレルを装備し、その後突入カプセルを廃したタイプが連邦宇宙軍の主力として一般には良く知られ現在まで各種の改良を加えながら運用されている。
現在は地球連邦軍本拠地ジャブローにおいて建造が進むサラミス級はブロック工法による工期の縮小と増加ブースターを用いた大気圏離脱用に堅牢さを高めており、最も無防備な姿である大気圏離脱時用にフレア散布装置を装備している戦時量産タイプ。
まだルナツーでロールアウトが始まったばかりであるが、ティアンム提督発案のMS搭載能力を持ったサラミス級の改修タイプや対空砲火を強化した通称ビンソン計画艦等、設計は古いながらも余裕を持った船体は地球連邦宇宙軍の働き馬として長く活躍する事になる。
ではサラミス級マダガスカルはどのタイプに属するかというと、現在では旧式と見られる突入カプセルを装備した初期生産艦であり、艦長はリード中尉であった。
艦長であるリード中尉は所謂うだつの上がらない中年士官であり、士官学校での成績も平凡であり上官からは小物として見られ部下達からも若干ヒステリック気味な上司として呆れられていた。
戦争勃発後もこうしてルナツー宙域しかもサイド7方面の哨戒任務に就いていものの、安全な後方警戒任務で軍功を立てる機会もなく人並みの昇進欲求もあるリード中尉は気持ちを燻らせている。
そして今日も哨戒任務にでた彼の船は士気の上がらない中、黙々と日々の任務を終わらせるはずであった...
サラミス級マダガスカル艦橋、本来艦長が座るべきシートには人は無くブリッジクルーのみで航行していた。
と言うのもリード中尉は任務を部下に放り投げ自身は艦長室で昼寝をしている最中であり、任務放棄とも取れるその態度は部下達の上官への敬意を大幅に下がらせているが、居れば居ればで何かと煩く文句を付けるので部下達としてはブリッジに居ない方がありがたかった。
どうせ昼寝でもしているのだろうと何時もの事のように片付け、頭の隅に追いやっていた。
以前まだ慣れない士官が昼寝中の艦長を起こした際寝起きと言う事もあってか理不尽な癇癪と暴言を吐いたことがあり、以来昼寝中の艦長に敢えて触れようとする者はいない。
そして普段は何もない哨戒任務なのだが、今日は何時もと様子が違った。
通信手が自艦に宛てた長距離レーダー通信をキャッチした事から始まる。
Nジャマーによりレーダーや無線通信の類が大きくその効果を下げてからと言うもの、地球連邦軍は宇宙空間の各所にレーザー通信衛星を配置しており、今回もその内の一基から発せられたモノであった。
通信手は通信を受け取ると高度に暗号化されたそれを定められた手順で解読機にかけ、次いでその内容を見た彼は思わず口を大きく開けてしまった。
それもその筈、地球連邦軍本拠地ジャブローからの直接通信であったからだ。
ジャブローからの通信は他の何者にも勝る最重要事項であり、直ぐさま船の責任者たる艦長に知らせる義務があるが生憎とその艦長が不在であった。
この様な場合艦長の次の階級の者が取り次ぐのだが、生憎と先方は艦長を御指名しており何故艦長が出ないのかと問われた際、まさか昼寝の最中ですとは口が裂けても言えない。
「はぁ」とため息をついて内心渋々ながら通信手は艦長室へと通信を取り次いだのであった。
マダガスカル艦長室
何時ものように退屈な任務を部下に放り投げ、服を着崩して自室で昼寝をしていたリード中尉は突然の通信で叩き起こされ不機嫌さを顔一面に浮かべながらも受話器を取った。
自分の昼寝を邪魔した相手になんと怒鳴ってやろうかと思い浮かべながら、通信手が伝えた内容を頭で理解するのに三秒かかった。
寝起きの彼の脳内はやっと覚醒し慌てて身形を取り繕うのが終わるのと、艦長室のモニターに相手の顔が映し出されるのはほぼ同時であった。
「れ、連邦宇宙軍マダガスカル艦長リード中尉であります」
相手の姿を認めて直ぐに敬礼をするリード中尉、そんな彼にモニターに映る男は答礼した。
「うむ、ごくろう。地球連邦軍ジャブロー参謀本部のエルラン中将だ」
連邦軍中将でありジャブロー参謀本部所属となれば地球連邦軍全体で一体何人いるかという高官中の高官である。
そんな彼が一介の中尉に何の用があるのだろう。
「それで、中将殿は本日はどの様なご用件でしょうか」
必要以上に相手に遜るリード中尉に、エルラン中将は一方的に用件だけを伝える。
「リード中尉これから伝えることは極秘事項である。これについて貴官の一切の発言及び質問を受け付けない」
有無を言わさないその物言いにリード中尉はゴクリと喉を鳴らした。
「本日サイド7において開発中であった我が軍のMSがザフト軍の襲撃を受けた。MSを回収する筈であった新造艦も同じく攻撃を受けたが、現在MSを回収しサイド7を脱出している。貴官にはその新造艦と合流しMSをジャブローまで護送せよ」
余りの事に言葉を失うリード中尉であるが、エルラン中将は護送中は敵の通信傍受を防ぐ為ジャブローに付くまで一切の通信をしない様付け加えると一方的に通信を切った。
レーザー通信が切れた後、暫く呆然としていたリード中尉であるが何とか事態を呑みこむ。
「お、俺にも漸くツキが向いてきたぞー!!」
リード中尉は部屋の中で叫ぶとブリッジへと進路変更の指示をし自身も急いで上がって行った。
地球連邦軍ジャブローのしかも参謀本部直々の勅命に上手くすれば連邦の機密を守った英雄としての道が開けると、腐りかけていた彼の心に火が付いたのだ。
ブッリッジに上がる途中取らぬ狸の皮算用とばかりにあれこれと夢想し喜色を浮かべるリード中尉とすれ違った部下達は後でこう噂をした。
普段機嫌が悪い男が何時に無く上機嫌なのは何か不幸な事の先触れではないかと、そう囁くのであった。