連邦の野望   作:rahotu

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陰謀と打算

地球連邦軍の本拠地であるジャブローにあるとある建物。

 

その会議室では幾人かの人物達が集まっていた。

 

「どうやら、我々が出した餌に食いついた者が出たようだ」

 

「して、状況は」

 

「今の所はプラントいやザフトと言った方が正確か。奴らがサイド7を襲撃したとしか情報が上がってきていない」

 

「ザフトか、てっきり連合が動くかと思っていたが…態々連中の為に此方の哨戒艦の配置を教えてやったと言うのに」

 

情けないとばかりに彼等は溜息をつく。

 

本命である連合が誘いに乗ってこないばかりか、月に引籠るばかりか地上でも劣勢と聞く。

 

敵国であり再構築戦争からの因縁の相手が弱体化している事は喜ばしいことであるが、この戦争を長く続けたい者達にとって戦争の早期終結の可能性は避けなければならない。

 

「まあ、これで少なくともMS開発に支障は出ると言うものだ。非武装コロニーでまさか連邦のMSを開発していたなど、MS推進派に対して格好の攻撃材料だ」

 

「今連邦がMSを完成させればこの戦争は一気に終戦へと傾きかねない。我らとしてもこの戦争はもう少し長く続いて貰わなくては」

 

「そうだ、戦争特需によって地上経済を回しコロニーの疲弊を狙う。戦後連邦のライバルとなり兼ねないジオンも出来ればこの戦争中に打撃を受けて欲しい位だ」

 

「これ、余り穏やかではない発言をするものでは無い。彼の国は我が国の構成国の一員であり同盟国何だぞ」

 

「しかしMSを独自開発する重工業力を持ち、戦前はプラントとも親しかったのだぞ。いざとなれば獅子身中の虫となるやもしれん。今の内に打てる手を打っておくべきだ」

 

「だが、下手に手を出せば月の連中が黙ってはいないぞ。特にグラナダは実質ジオンと同盟関係にある」

 

「皆さん、話が脱線しています。今はジオンでは無く我が国の今後をどうすべきかですぞ」

 

パンパン、と手を叩いて話を修正するが史上最大且つ歴史上類を見ない巨大国家である連邦が、一コロニー国家に後塵を配した事が気に入らないのだ。

 

連邦とジオンの国力の差は凡そ30倍と戦前では言われていたが、MSの登場以来その差は埋まりつつある。

 

今は蜜月関係であるが、何は星間惑星開発競争にも乗り出す予定であるジオンを此処で蹴落とすべきだとの考えを持つ者は連邦にも少なく無い。

 

そう言った点でこの場所にいる彼等、「地球至上主義者」達はある意味で連邦の一側面を象徴しているのだ。

 

「兎に角、今後の情勢に注意しつつ連携を密にしていきましょうぞ」

 

その後幾つかの話し合いと決定が行われた後、彼等は建物を後にするのであった。

 

 

 

 

 

大西洋連邦バージニア州マクレーンには地球連合軍の諜報機関が置かれている。

 

歴史的にラングレーと呼称されるこの国の諜報機関は、その優れた能力によって戦前からプラントそしてジオンのMS開発を察知しているなど規模こそ地球連邦の諜報機関に劣るこそすれ、その質においては決して引けを取らなかった。

 

現在は他の連合国諜報機関と綿密な連携と情報収集能力によって日夜目に見えない闘争を諜報員達は繰り広げている。

 

そんな中とある情報が一人の女性の所に舞い込んで来た。

 

マティスと呼ばれる彼女は連合の諜報機関の一員であるが、その正体は「一族」と呼ばれる組織の長である。

 

組織とは古くから地球圏に存在し、一説には旧世紀に起きた大戦を切っ掛けに組織されたともあるが実態は不明であり、長く連邦諜報機関や各国の組織が追っているが未だにその全容を掴めない恐るべき組織である。

 

組織の唯一にして無二でありその至上の目的は人類の存続と繁栄。

 

その為ならば戦争さえ辞さず、実際組織が動く時歴史も大きく動いた。

 

宇宙世紀の始まり、その後の再構築戦争の切っ掛けとなったラプラス事変を裏で操っていたともされ、それ以前は地球連邦の成立に深く関与していたともされる。

 

組織の構成員らは連合国のみならずプラント、ジオン、連邦政府にさえ及び全く底の見えないが隠然たる影響力を歴史に齎して来た。

 

当代当主であるマティスは大戦勃発に深く関与している。

 

その目的とする所は戦前地球連邦の一人勝ち状態の打破と、戦争による地球圏の疲弊と停滞。

 

それによる各勢力間の均衡でもって地球圏に平和をもたらす事である。

 

以前にもこれと同じ手が使われた事がある。

 

そう、ラプラス事変後のテロの首謀者達を逃し民族決起を促す事で再構築戦争を引き起こし、それによって現在の世界体制を築き上げたのだ。

 

類稀なる才幹と行動力、そして「一族」の力によって今の所戦争は彼女のシナリオ通りに進んでいる。

 

そんな彼女に伝えるべき情報とは何か?

 

それを目にした時彼女は口角を吊り上げた。

 

そして徐ろに地球軌道上の監視に注意するよう部下に命じ、そして一族の力でもって月に篭る連合軍宇宙艦隊に出動要請を行うのであった。

 

連邦軍のMS開発を行っていたサイド7が襲撃され、連邦政府内の一族から地球至上主義者達の策謀。

 

それを知った彼女は地球圏に更なる戦火を広げるべく策謀を巡らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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