ガンダムとホワイトベースが地球へと降下し本来ならば彼等が主役となる場面だが、ここで一旦地上へと目を向ける。
UC.0079 8月 地上における戦いが膠着状態に陥り、地球連邦軍が反攻作戦の準備を整えている中、ジオン共和国地上軍は独自の作戦を立案していた。
オーストラリアにあるカーペンタリア基地を租借したジオン共和国地上軍では、地上軍支援を目的としたキシリア・ザビの肝入りによりジオン初の潜水艦隊を編成し並びにジオン初の水中用MS MSM-03ゴックを開発。
太平洋やインド洋において活動を開始していた。
この潜水艦隊は元々キシリア・ザビが兄ギレン・ザビに対する対抗心と、地上における自らの耳目となる部隊を欲したことに端を発していたが、同時にグラナダに拠点を置くキシリア機関の組織拡大にも繋がっている。
キシリア・ザビはこの潜水艦隊編成の功績により、政治家将軍として少将へと昇進。
後年、同じ様に地球連邦軍准将ブレックス・フォーラも地球連邦議会議員の職を兼任している。
ジオン潜水艦隊は実戦に投入された水中用MSの性能に自信を得て、キシリア・ザビ少将に東アジア共和国カオシュン基地の奇襲作戦を立案。
地上における潜水艦隊の独自性と主導権の両方からこの作戦は容認され、ここに地上において初の本格的な反攻作戦が実施される運びとなった。
作戦に動員される兵力は連邦軍より供給されたユーコン級攻撃型潜水艦8隻、マッドアングラー級潜水母艦を旗艦とし32機ものMSが投入された。
UC.0079 8月中旬
カーペンタリア基地より出航したジオン潜水艦隊は途中太平洋、インド洋方面へと艦隊を分けカオシュン攻撃時に集結する分散合撃戦術を取った。
この時、地球連合軍の目は主戦線であるアフリカ、ヨーロッパ方面へと向けられており、アジア方面は比較的手薄であった。
と言うのも連合軍の主要敵はあくまでもプラントであり、ザフトを地上から追い出す事に心血を注いでいたのだ。
対して東アジア共和国にある台湾、カオシュン基地は宇宙への玄関マスドライバーを有する重要な拠点ではあったが、開戦当初より海軍力の消耗が激しい大西洋連邦、ユーラシア連邦と違い主力艦隊を温存。
カオシュン基地の守りを海軍に任せるのと同時に、陸空の主力をインド方面に転用。
エイプリルフールクライシスにより国内で高まっている厭戦気分を、勝利により払拭しようとの党政府の意向が強い方針ではあったが、インド洋方面軍司令イーサン・ライヤー大佐とコジマ機械化大隊のゲリラ戦術の前に思う様な侵攻が儘ならない状況であった。
これにより、ジオン潜水艦隊はバシー海峡まで進出。
ここにジオン潜水艦隊は本格的な艦隊戦を経験する事となる。
カオシュン基地近海にまで接近したジオン潜水艦隊は、水中用MSゴックを長距離より浸透させ東アジア共和国艦隊を奇襲。
並びに戦場に散布されたミノフスキー粒子により通信を遮断。
突然海中より攻撃を受けた東アジア共和国艦隊は混乱、大西洋連邦やユーラシア連邦が辛苦を舐めた水中用MSの脅威を彼等が全く活かせなかった事に起因している。
水中速度70ノットをも超すゴックを前に、既存の対潜兵器では付いていけず。
仮に命中しても戦車の主砲さえも耐えうる堅牢な装甲を前に有効打とは成らず、唯一戦艦の主砲の直撃だけが撃破出来る可能性もあったものの、ジオン潜水艦隊は同じく水中用MSを運用するザフトから学び。
いたずらに海上に飛び出す事なく、海中から船底を攻撃する攻撃を徹底させ敵を翻弄。
ゴックの強靭な爪は戦艦の装甲さえも容易く切り裂き、格闘武器を持たないグーンには無い強みであった。
ジオン水中用MS隊の活躍により、東アジア共和国艦隊は瞬く間に壊滅。
次いでカオシュン基地への上陸を開始した。
東アジア共和国軍は地上において必死の抵抗を試みるも、戦車の主砲さえ弾き返す堅牢な装甲と、ジオンMS初のメガ粒子砲を装備したゴックの火力に苦戦。
結局抵抗は無残にも食い破られ、橋頭堡を確保したジオン潜水艦隊は水中より巡航ミサイルを発射しマスドライバーを直接攻撃し、多大な被害を与えた。
そして、トドメとばかりに横列を組んだゴックから最大出力で放たれたメガ粒子砲によりマスドライバーを支える柱が倒壊。
カオシュン基地のカオシュン基地たるマスドライバーを破壊され、東アジア共和国軍はまだ余力を残していたが、ミノフスキー粒子下での戦闘経験が少ない事もあり各部隊間の連絡が途絶。
一方目的を達成したジオン水中用MS隊は悠々と撤退。
ほぼ一方的な攻撃でもって連合軍の主要拠点を陥落させ、結果ジオン軍の武威を内外に示すと共に、キシリアも又ジオン共和国軍部内での影響力を拡大する事となる。
カオシュン基地の陥落とマスドライバーの破壊は、宇宙における戦局にも作用し、図らずともプラントザフトの戦略目標であるウロボロス作戦を助ける形となると共に、益々ザフト地上軍の攻勢を強める結果となった。
また、アジア方面におけるジオン潜水艦隊の躍動は、各地で広がり切った戦線を更に圧迫させ、少なく無い戦力がアジア方面へと振り分けられると共に、アフリカ、ヨーロッパ方面の戦力が減少。
これが巡り巡って地球連邦軍主導の、一大反攻作戦の陽動へと繋がる。
膠着した戦局は、ジオン潜水艦隊の躍進と共に終わりを迎えようとしていた。
各地で反攻作戦前の準備が進められる中、UC.0079 9月。
サイド7から脱出したガンダムとホワイトベースがアフリカへと降り立ち、歴史の流れは大きく動き出そうとしていた。
ジオン水泳部のお話と、紫ババア暗躍回でしたw
ホワイトベース隊の活躍はほぼほぼダイジェストで飛ばすと同時に、ジオンの御坊ちゃまをどうするか…