アフリカ前線
ザフト地上軍アフリカ方面軍司令の命令により出撃し強行偵察型バクゥ隊は、その機動力を生かし前線の奥地へと進んでいた。
彼らの任務は前線の情報を収集し持ち帰る事であり、その為に特に高価な装備と機体を与えられていた。
ザフト地上用MSの中で傑作とも言われるバクゥをベースに、偵察用レドームと頭部に各種センサーを装備し最低限の武装しか持たない事から、その任務は専ら偵察を主としている。
その強行偵察型バクゥ隊の隊長であるラオは、狭苦しいコクピットの中機体を巧みに操縦していた。
バクゥのバリエーション機の中でも、この機体は複雑な計器や各種電子装備を操るスイッチやコンソールに画面が所狭しと並び、小柄なラオでさえスペースを圧迫しているのだ。
ラオは元々東アジア共和国出身のであったが、地球でのコーディネイター排斥運動が強くなりプラントに移住しその後ザフトへと入隊した過去がある。
彼は元々情報系の仕事をしていた為、ザフトでは専らその特技を生かす部署についており、地上に降りた後もプラント〜地球間の通信用アンテナ設置の部隊に所属していた。
そんな彼に転勤が訪れたのは、ザフトとアフリカ共同体が連合を組んで連邦領に攻め入った時の事である。
その時、ザフトとアフリカ共同体軍は互いに同じ通信を使っていた為現場は混乱し、時に命令が届かない事さえあった。
それを解決する為、彼が所属していた部隊に司令部と前線部隊との直接通信を可能とする中継施設の設置が命ぜられた。
しかしそれは途方も無い大事業であり、MSを主力とするザフト軍は絶えず動き回り、その度に彼らは設置場所を変え前線の動きに振り回された。
その結果彼等は、従来の中継施設では無くより現実に即した柔軟な対応が取れる方法を模索し、偶々擱座し放置されていたバクゥを修理しそれに中継アンテナを乗せて、前線と司令部との間を走り回っ事からそれが噂となり。
それが司令部の目にとまり、正式に部隊として編成される運びとなった。
その時偶々バクゥを運転していたラオが偶然隊長となり、さらに正式な部隊となった事で装備が整い、何故か部下を持つ事となり。
全てを押し付けられたラオが張り切って結果を出し続けた結果、前線と後方の司令部との通信を中継するアンテナ部隊がいつのまにか敵地奥深くに侵入し情報を持ち帰る強行偵察部隊へと変わっていた。
元々貴重なバクゥをベースとした事で、前線から戦力が減ることを懸念した各地の指揮官からの要請により、彼等はそのムダに高い通信能力を生かし時に部隊を先導したり、時に後方のザウート隊と連携して関節射撃の観測を行ったり、時に戦場で孤立しSOS信号を発信する味方の救助を行ったり、時に連邦軍の通信に割り込んでジャミングしたりなど、ムダに有用性を示してしまった為、安全な後方部隊から危険な部隊へと変化したのだ。
そんな立場が二転三転するような出来事があっても、ラオは部隊長として与えられた任務に取り組んでいた。
前線の各地に散らばったラオの部隊は、其々情報を持ち帰ることになっていたが、彼等は出撃を命ぜられた当初からこの任務が途轍も無く危険な物になるであろう事を予感していた。
そしてそれは前線の状況を知る為、次々とアンテナから入ってくる前線の悲鳴に近い声で確信に変わった。
今回は今までとは違う、と。
ラオが操るバクゥは涸れ谷を這うように進み、上空から見つからないように前線へと向かっていた。
今まで収集した味方空軍の通信から劣勢であることは明白であり、連邦軍の航空機に見つかる事は何としても避けねばならなかった。
その為、上空から見つかりにくい涸れ谷をルートに選んだのだが複雑な地形がバクゥの行く手を阻むかに見えた。
しかし、ラオ操るバクゥはまるで障害物など無いかのようにスピードを緩める事なく風のように進んでいく。
これは通常のバクゥには備わってはいない高度な各種センサーにより、複雑な地形であってもどこに何があるのかが直ぐに判明し、バクゥ本来の走破性物にあって彼は部隊の中で最も奥深くに侵入していた。
そうして、暫くして涸れ谷の出口に差し掛かりそこで一気に視界が晴れた。
そこは見渡す限りの荒野と地平線、それと砂煙を立てる車両の列があった。
バクゥのモノアイに接続された高感度カメラが動き、砂塵に覆われた列の正体を見破る。
「61式戦車一個連隊、しかもまだまだ後方から出てくる」
ラオはカメラを操作し、敵の詳細な構成を探った行こうとしたが列の中腹辺りで見慣れない物を見つけ。
不審に思いセンサー類を動員してその正体を探ると、段々とその正体が浮かび上がってきた。
明らかに車両より大きい全高、人型のフォルムに、車両の列を挟んで両側から周囲を警戒しているその様子から、自ずと答えは見つかった。
ラオがその正体に思い当たった時、センサーからの情報でバクゥのコンピュータに納められたアーカイブから最も確度の高い情報がモニターに表される。
ザフトとも、ジオンのMSともましてや戦車擬きとも違うその姿は、連邦軍の新型MSであった。
ラオはノーマルスーツ越しに、背中にツーッと冷や汗が流れるのを感じた。
コクピットの中は高度なコンピュータを冷やす為、常に冷房が効いているというのにも関わらずラオの汗は止まらなかった。
何故なら早く司令部にこの事を伝えねばと言う焦る気持ちが半分と、もう半分に敵がまだこちらに気付いていないと言う冷静な面とがせめぎ合っていたからだ。
そうこうするうちに、今度は今ならば連邦軍の新型MSを狙撃して撃破できるのでは?と言う功名心が鎌首をもたげてきた。
噂に聞く連邦軍のMSを撃破したとあっては、その功績はラオのみならず部隊全体にも波及する。
そうすれば、今よりも最優れた装備を支給され部隊も拡充されるかもしれない。
ひょっとすればプラントから勲章を貰えるかもしれない。
ラオの心は震えた、その震えは実際に手の震えとなって操縦桿を握る手に伝わり、それを抑える為ラオは固く手を握りしめなければならなかった。
ラオは考えそして決断しなければならなかった。
そうして彼は、敵に合わせていた照準を離しゆっくりと後退し始めた。
あの数の敵を自分一人で相手するのは不可能である、とそう悟ったからであり、もし自分が見つかれば部下達が危険に晒されるとの思いが、彼に自制を促したのである。
この時のラオの判断は後に正しい事が証明された。
ラオは車両の列がのみに集中していたが、実はあの時連邦軍のMSをもっと多く広く展開していたのだ。
そして一部は、彼と極間近に迫っていたのだ。
もしラオが攻撃を仕掛けたとすれば、立ち所に発見され不利になっていた事は否めない。
そうして敵MSの出現は全軍に警戒を引き起こし、ラオの部下も又危険に晒しただろう事は明らかだ。
最も、後ろ髪を引かれるかの様な思いで後退するラオには、分からない事であったが。
強行偵察型バクゥ隊が危険を冒し持ち帰った情報により、ザフト前線司令部は連邦軍の目的が判明した。
前線で攻勢に出た連邦軍は、事前の砲撃により戦線に綻びを生じさせ、そこを一気に機甲部隊により突破旋回し野戦軍を包囲殲滅しようと企図していた。
既に前線に殺到した連邦軍により前線部隊は拘束され、身動きが取れない彼等はこのままでは包囲され味方から孤立する危険性があり、これを阻止する為司令部は虎の子のバクゥ隊を前線の救援にではなくこの包囲しようとする機甲部隊にぶつける事を企てた。
レセップス級地上空母、ブリーフィングルームにて、ザフトMS隊のパイロット達は集まっていた。
「こちらの野戦軍を包囲しようとする敵を側面から攻撃を仕掛けこれを分断。可能ならば味方と共同して分断された先頭部分を殲滅し奴らの意図を挫く事がこの作戦の肝だ」
司令部から与えられた命令に、部隊を招集したバクゥ隊隊長は最後のブリーフィングを開いていた。
パイロット達は皆一様に真剣な表情でブリーフィングに臨み、この作戦の成否いかんによって味方の窮地を救う事が出来ると分かったいたからだ。
「制空権は空軍が何とかすると言っているが、余り当てにしないほうがいい。よってこちらは乱戦に持ち込み敵空軍を無力化すると共に、迅速な行動をもって早期に目標の達成を図る。以上だ、何か質問はあるか?」
隊長はグルリとブリーフィングルームを見回し、そして最後に。
「言っておくがこれはスピード勝負だ。遅れた者はその場で置いていく。そのつもりでいけ。無ければこれで終わりとする、解散!」
そうして隊長が退出ふると、次々とブリーフィングルームを後にするパイロット達。
彼等はこれから思い思い作戦開始前までの時を過ごしつつ、その時は刻一刻と近づいていた。
地球連邦軍アフリカ方面軍第17戦車連隊は敵野戦陣地包囲の為、機甲部隊の先頭を突き進んでいた。
地球連邦軍アフリカ方面軍は入念な計画と事前の砲撃により準備を整えた機甲部隊は予定通り戦線を突破し、敵の前線と司令部との間隙をまさに無人の野を行くが如く猛進していた。
これはアフリカの広大な戦線をカバーするには、アフリカ共同体の協力があって尚ザフト地上軍には重く、その為広く展開した各部隊との間に間隙が生じていたのだ。
地球連邦軍の戦車連隊は周囲を警戒しながら進んでいたが、その彼等を見下ろす影があった。
「奴さん、もう勝った気でいやがるな」
敵に見つからないよう丘の上で耐熱処理を施された迷彩シートをかぶり、双眼鏡を覗き込んでいた男が言った。
「へっ、なら地球の奴らに教育してやらないとな」
彼等はそう言うと速やかにその場を離れ、丘の裏に隠されていたバクゥへと搭乗していく。
「隊長、全機搭乗を確認。いつでも行けます」
通信機から部隊の全員が準備万端整った事で、バクゥ隊隊長は攻撃命令を下した。
「よし、連邦軍の奴らにMSの恐ろしさを思いしらせてやれ!」
バクゥ隊27機は一気に丘から飛び出すと100両以上もある連邦軍の戦車部隊に攻撃を仕掛けた。
敵にようやく気が付いた戦車隊が味方に敵襲を告げる前に、車両の列に跳躍したバクゥが躍りかかり一気に場を混乱させる。
不運な車両はバクゥに踏み潰されるか、着地の衝撃でひっくり返るかして部隊を立ち往生させた。
通信機からは悲鳴が聞こえ、救援を求める声が響く中、列に飛び込んだバクゥは内側から腸を食い破る勢いで蹂躙していく。
連邦軍は内側に入ったバクゥを排除しようと砲を向けようとするが、そこに側面からバクゥが猛然と襲いかかった。
次々にレールガンやミサイルが放たれ、大口径の弾丸が戦車をまるでブリキのオモチャの様に穴だらけにしていく。
必死に抵抗する戦車隊を嘲笑うが如く、戦車の砲弾はバクゥの機動性について行けず翻弄され、運良く当たったとしても堅牢な前面装甲の前に阻まれた。
バクゥから放たれたミサイルが爆発して爆炎が広がり、内と外から攻撃を加えられた戦車隊は一瞬で地獄に叩き落とされた。
「HQ、HQ‼︎こちら第17戦車連隊、救援をこう、繰り返す救援をこう‼︎」
「こちらHQ、どうした?」
「敵MSの襲撃だ‼︎既に車両の多くが撃破されている、このままだと全滅する」
「了解した、援軍を出す。それまで持ち堪えてくれ」
「早くしてくれ!こっちは5分と持ちそうにもない‼︎」
通信で本部に救援を求める中、バクゥ隊は車両の列を分断しにかかる。
広範囲に展開する戦車隊は、宛らナイフでえぐり取られ首の皮一枚で繋がっている様なものであり、最早一刻の猶予もないかに見えた。
バクゥ隊もここまでの損害も少なく、後もう少しの所まで戦車隊を追い詰めたが、突然先頭を行くバクゥが吹き飛ばされた。
「何だ⁉︎何処から攻撃されたんだ‼︎」
突然の攻撃に周囲を警戒するバクゥ、その彼等の前に姿を現したのは…
「ザフトの犬どもめ、このロンメルが来たからにはもう好きにはさせんぞ!」
ドワッジが構えたジャイアント・バズの砲口からは煙が立ち上り、彼等が先のバクゥを撃破したことは明白であった。
デザート・ロンメル率いることロンメル隊はジオンが地球に送った部隊の1つであり、特にアフリカの砂漠地帯におけるエキスパートとして知られている。
「ザク隊は両翼に展開して隊長を援護しろ。バクゥは足さえ止めてしまえば怖くはない!」
ロンメルの副官カラハンはザク・デザートタイプ隊を指揮し、バクゥ隊にザクの120㎜マシンガンを浴びせかけた。
ジオン軍の急襲に浮き足立つバクゥ隊は、堪らず後退しそうになるがその中から一機のバクゥが飛び出す。
ガンッ、と巨大な鉄塊どうしがぶつかる音が響くと列から飛び出したバクゥがロンメルのドワッジを組み敷こうとしていた。
「ぬぅ⁉︎小癪な」
隊長が乗るバクゥはロンメルのドワッジに組み付き、ロンメルはそれをバズーカを盾にすることで防ぐが同時に武器を失ってしまった。
「隊長‼︎」
「怯むな‼︎こいつは俺が抑える。お前達はその間に敵を撃破しろ‼︎」
バクゥ隊隊長は敢えて自らの身を危険に晒す事で浮き足立つ部隊を鼓舞し、それにより士気を取り戻したバクゥは次々とザクとの戦闘に入る。
「ロンメル司令⁉︎」
「カムランか!私に構うな、それより目の前の敵に集中しろ」
ロンメルが言う通り、ザクとバクゥとの戦いはザクが不利であった。
バクゥはザクと比べ全高が低くいため狙いが付けづらく、機動性もザクとは比べ物にならない為ザク隊は苦戦を余儀なくされていた。
唯ロンメル麾下のザク隊もアフリカの砂漠地帯で戦い続けた猛者達であり、早々に敵の接近を許さず部隊が連携し弾幕を張る事で対抗していた。
ジオンMSの救援により、寧ろ蚊帳の外に置かれてしまった連邦軍戦車部隊はこの間に部隊の再編と本隊到着までの防衛線の構築を行なっていた。
「くそっ、奴ら自分達だけで戦争してやがる⁉︎俺たちは蚊帳の外だ」
「ボヤいてないでサッサと負傷者の救助を手伝え。MSが無い俺達が悪いんだ」
「俺だって、俺だってMSさえあれば…!」
戦車兵達はバクゥの強襲により、自分達のプライドをズタズタにされていた。
大戦から今まで目立った大損害を受けていなかった連邦軍戦車部隊は、ここに来て最早時代がMSに移りつつある事を改めて思い知らされた。
「いいかげんに!」
ロンメルは盾にしたバズーカを押しつけるように手を離すと、背中からヒート・サーベルを抜き放ちバクゥを溶断しようとする。
しかしバクゥは素早い反応でそれを回避すると一旦距離を取り、背中のレールガンの狙いを定めようとした。
しかしロンメルが乗るドワッジは砂漠専用に改良が施された機体であり、ドム系MS特有の地表を滑るようなホバー移動でもってバクゥの射線を外れ接近を試みる。
「⁉︎早い」
ドワッジの重厚な見た目からは想像出来ない機動性に驚くバクゥ隊隊長。
このドワッジをはじめとするドムは地上に配備されたばかりであったが、今までに無い重装甲とパワー、何よりも速度においてバクゥに迫る事でザフト地上MS最強を誇ったバクゥの地位を脅かす事になる。
この日、初めてドムと対峙したバクゥ隊とその隊長はその為に敵の性能を見誤っていた。
敵の長距離砲を潰したはずが、今度は逆に此方が敵の機動性に翻弄される事となったのだ。
バクゥ隊隊長は、ロンメルを近づけまいと立て続けにレールガンを放つが、ドワッジの機動性とロンメルの卓越した操縦によりそれらは全て明後日の方向に飛んでしまう。
ジグザグの軌道を描きながら迫るロンメルのドワッジが、遂にバクゥを捉えた。
「どうだ!」
気合いとともにロンメルが振り下ろしたヒート・サーベルは、しかし間一髪でバクゥが身を伏せた事でレールガンの砲身を切り裂いたのみに終わる。
「うおおおお‼︎」
バクゥはそのままドワッジに体当たりを仕掛けたが、倒されては叶わんとロンメルはドワッジの腹部に装備された目眩しの拡散ビーム砲を放つ、
「うっ⁉︎」
ドワッジから放たれる強烈な光に、思わず顔を手で隠すバクゥ隊隊長。
その為攻撃は外れ、体当たりは失敗してドワッジを倒す事は叶わず、手からヒート・サーベルを落とすのみに終わった。
ロンメルのドワッジとバクゥは互いに一旦距離を置いた。
先の攻防でお互いに武器を失い、決定打に欠ける双方はこのまま睨み合いを続けるかに思われた時。
「隊長、連邦軍の新手です!」
部下からの通信が入り、連邦軍の増援を知らせた。
それと呼応するかの様に、防衛線を構築した連邦軍戦車隊からの砲撃がバクゥに集中する。
一発一発は驚異でなくとも、大量の砲弾を集中されては流石のバクゥも無傷とはいかない。
更に後方から迫る連邦軍の虎の子のMS隊からの砲撃も始まり、一気に窮地に落とされたバクゥ隊は選択を迫られていた。
「隊長、我々はどうすれば⁉︎」
「隊長、隊長‼︎」
通信機からは部隊の戸惑う声が聞こえてくる。
自身も武器を失い、逆包囲の危険性に晒された自分達に2つの選択が指し示された。
1つはこのまま戦うか、もう1つは撤退するかのどれかである。
しかし撤退しようにも、敵の車列の奥深くに食い込んだ自分達が無事に撤退するのは困難であった。
しかしこの間にも連邦軍の増援は差し迫り、刻一刻と時間は過ぎていく。
「撤退だ、撤退するぞ」
「隊長?」
「全機撤退、擱座した機体は放棄し残存する機体でもってこの場から撤退する」
あと一歩の所まで敵を追い詰めながら、彼等はそれに届かなかった。
撤退を告げる信号弾が空に放たれると、バクゥは急ぎその場を離れる。
「待て‼︎逃すと思ったか」
ロンメルは敵を逃すまいとするが、しかしバクゥ隊隊長は最早ロンメルに付き合う事なく、踵を返し急ぎ部隊と合流しようとする。
ロンメルはそれを追うとするが、それを副官であるカムランのザクが割り込みロンメルを諌める。
「ロンメル司令、我々の勝利です。それに武器も無く敵を追う事は武人の誇りではありません」
「ぬぅ、致し方あるまい」
副官の諌めもあってかロンメルは敵を追撃することを諦めた。
増援のMS隊と合流した連邦軍もこれ以上の追撃は不要と判断し、残存する車両の再集結と戦後の処理に追われた。
この戦いによって連邦軍の戦車は30両以上が撃破ないし損傷をおい、バクゥ隊も又27機中2機を撃破され、3機が擱座して爆破放棄された。
キルレシオにして実に1対6、この数字は通常兵器とMSとの混合を目指すこれからの連邦軍の戦略に、大きな影響を残す事になる。
時に宇宙世紀0079 10月 灼熱の大地にいまだ戦火は木霊していた。