C.E. 60年代からプラントが地球への工業製品、エネルギー供給地として開発が進み、理事国はその恩恵に与った。
この時地球圏では「プラントに作れるもの無し」と豪語されるようになるが唯一つ食糧生産だけは地球からの輸入に頼るほか無かった。
何故か?初期の頃は閉鎖空間であるコロニーでのバイオテクノロジー農業が危険視されそれを理由に生産を禁止されていたがしかし、連邦コロニーでは自前の食糧生産プラントを持ち地球に輸出までしていた。
そしてようやくプラント市民は気付いた。此れは自分達を縛る首輪であると。食料が無ければプラント市民は生きてはいけず食料の輸入停止=プラントの滅亡を意味し、何かあれば直ぐに理事国は食料の輸出を止めるだろう。
その場合食料の備蓄が少ないプラントでは直ぐに理事国より先に限界が来るだろうし、第三国を頼ろうとも理事国側の何らかの妨害があることは明白であった。
又プラントの利益独占に対して非理事国の反発が日に日に強まり一部では連邦との関係強化に進む国や黄道同盟を支援する国も出てきた。
プラントは重いノルマを課す理事国に対して起こした技術者の一斉サボタージュを行ったが理事国は此れに対して新鋭のモビルアーマー艦隊を派遣しプラントを威嚇。
折りからの深刻なエネルギー不足で理事国に対する不満が高まっていた時にこの行動は逆にプラント市民が一気に独立派へと傾く切っ掛けになった。
評議会内部でも秘密裏に独立を目指すグループが結成。
工業用機械モビルスーツの軍事転用が水面下で進められた。
そして黄道同盟も此れを境に次々とシンパを増やし組織拡大と活性化に勤めた。
C.E. 68年には黄道同盟党首のシーゲル・クラインが評議会議長に選出され、また多くの独立派が評議会議員の多数派を占めた。
そして監察官に極秘でプラントの自治権獲得と貿易自主権を決議し翌月理事国に発表、監察官はこの前日に運悪く交通事故に巻き込まれ重傷を負い以後評議会への出席が不可能になった。
理事国はこのため対応が遅れ結局のところ武力による示威行為に出るがプラント側も貨物船を改装した武装商船で対抗。
両者は睨み合い互いに軍拡への道を進む。
この件により地球上でブルーコスモスの勢力が強大化し全地球上で(連邦支配下を除く)コーディネイターに対する迫害や弾圧が強まり殆どのコーディネイターがプラントへと移住することになる。
残ったのは身分を隠した者か、連邦領に住む者に限られた。
プラントは極秘裏に非理事国に近づき食料輸入及び工業製品輸出の取り決めが行われまた連邦に対しても上記のことが交渉され第三国経由での支援を取り付けた。
非理事国が食料の輸出を始めたが「マンデルブロー号事件」が発生。
プラント籍の食料輸送船が理事国哨戒船の臨検を拒否しそのままプラントへと突っ切ろうとしたため理事国側は此れを撃沈。
しかし調べた結果非常に驚くべき結果が出た。この船は確かに登録上はプラント籍だが実際は連邦所属の船であり行きはプラント製の工業製品を満載し、月面のコペルニクス市で降ろし帰りは引き換えに食料を満載して帰ってきたのだが此れは偽装で本当は連邦政府が送り込んだ工作員が乗っておりプラントに潜入し独立派への接触を行おうとしていた。
こうした事が手段を代え相手を代え行われていたことが判明し理事国は関係国を強く非難し理事国と非理事国及び連邦との関係が悪化した。
プラントでも一部事実は伏せられ「マンデルブロー号事件」は非道な理事国によるプラントに対する悪質な弾圧だとしてパトリック・ザラを中心として黄道同盟は解散、再編成され保安組織と合併しMS中心の軍事的組織であるZAFTが結成された。
翌年の C.E. 69年 シーゲル・クラインは独自食料生産の開始に踏み切りユニウス市の7~10を食糧生産プラントとして改装。
此れに伴い理事国は実力で此れを排除すると勧告しプラントに対して威嚇行動に出るがプラントは此処で初めてMSを公開し、世界初の公式での実戦を行った。
ZAFTは理事国側のMAを翻弄し駐留艦隊を完全に排除しクライン議長は此れを受け理事国側に完全自治権と対等貿易を要求。
理事国側は此れを当然拒否したが軍事力の整備が未だ不十分でその意味で時間稼ぎとしてプラントと理事国との間で交渉が行われるが議論は平行線を辿りプラント側は70年の1月1日までに回答が得られないならば理事国に対して資源及び工業製品の輸出を停止すると宣言。
プラント側でも理事国に対して戦力が十分揃う前に決着をつけたいと強く思いその為、互いに緊張が激化した。
多くの群衆が見守るなか、首を長くして今か今かとその時を待っていた。
今日地球圏の多くの人々がこの時をテレビやラジオ、或いはネットの情報に耳目を傾けていた。
「ジオン共和国はその独立の際、実に幾多の困難を乗り越え、今日この日を迎えました。」
「見てくださいこの群集を。今日この日のために各家庭及び各コロニーから多くの人々が集まって来ています。それほど今日この日多くのスペースノイドにとって重要な意味を持つ日に成るからです。」
そこでレポーターは言葉を切り改めてカメラに向かって話した。
「本日主賓が到着次第始められるこの式典。そう、既にご存知のように今日この日史上初めてコロニー国家が正式に認められた日であると同時にジオン共和国独立十年を記念する記念式典が行われます。」
「既に会場には多くの人々が入り本日発表されている出席者の中には現内閣首相以下関係スタッフやザビ家を筆頭とするジオン有数の名家達、ジオニック社を始めとする各企業の重役や地球連邦政府からは連邦議会議員が多数出席しています。それ以外にも各国大使職員やプラント評議会からも大使団が来る予定です。」
そう言ってカメラがレポーターを離れ会場全体を映し出していく。
式会場はズムシティの首相官邸裏にある広場で行われている。テロを警戒してか広場には銃を持った警備員やそれ以外にも此処に来るまで何重にも設けられた検問所を通るしかなくそれ以外の道は全て軍や警察によって封鎖されていた。
宇宙港でも厳重な身体検査や荷物検査が行われいつも以上に気合が入っていた。
またコロニー周辺ではジオン共和国国防軍艦艇と地球連邦軍による警戒が共同で行われており正に蟻の子一匹たりとも通さない念の入れようだった。
そうしてカメラが会場の全体像を写したあと今度は壇上にいる来賓達の顔を一人ずつ写し始めた。
「現在まだ到着していない方もいますがそれでも錚々たる面々がその姿を見せています。中でもとりわ...。」
そこでリポーターの声は不自然に途切れカメラの画像が会場まで一直線の道を走る二台の車を追い始めた。
そこに掲げられていた一際目立つジオンの国旗。それを棚引かせながら会場に入る黒塗りの車。
まず先頭を走っていた車が止まると自然会場の目もそちらに集中する。
車の周りを屈強な男達がガードしながら扉が開けられた。
まず最初に出てきたのは細身の長身をスーツに包んだ男である。国民の絶大な支持の元若くしてジオン共和国議会議長と国防大臣を兼任し又ザビ家筆頭であり長男でもある天才カリスマ、ギレン・ザビ。
続いて降りてきたのは軍服に身を包み、周りを固める屈強な男達を頭一つ分上回る巨躯を誇り、顔には夥しい傷跡が目立つが逆に臆することなく歩を進める男。ザビ家三男にして事故より奇跡の生還を果たした男。現国防軍艦隊司令を勤める武人、ドズル・ザビ。
その次に降りてきたのは此方もスーツに身を包み肩から踵までを確りと着こなし確かな足取りで歩を進める女性。その政治力はかのギレン・ザビに勝るとも劣らぬ手腕を発揮しジオン外交を一手に引き受ける女傑。ザビ家長女キシリア・ザビ。
二台目の車からまず降りてきたのはまだあどけなさの残る顔立ちをした美形の少年である。士官学校を卒業しまだ若く任官したばかりだが、その優しい人柄が国民に好かれ甘いマスクも相俟ってジオンの御曹司として人気がある少年。
四男ガルマ・ザビ。
最後にガルマに手を取られるように出てきたのは嘗て建国の父にして急逝したジオン・ズム・ダイクンの右腕として建国に尽力し、ダイクン亡き後二代目首相として国内の建て直しに勤め現在は第一線を退くも政界のご意見番として確たる影響力を誇る人物。ザビ家当主にしてギレン達兄弟の父、第二の建国の父として称えられる男、デギン・ソド・ザビその人の登場に会場はいよいよ盛り上がった。
片手に杖をつきながらも確たる足取りで壇上までの歩を進めるデギン。
其れに続くようにして兄弟達が歩みを進める。周りをボディーガード達が固めながら彼らは堂々と会場入りを果たした。
U.C. 0077 開戦二年前の出来事であった。
式典が厳かに行われる中、ギレン・ザビはここまでの長い道のりを思い出していた。
U.C0067 連邦政府がコロニー自治改正法案を可決し、正式にコロニー国家として独立しその後の様々な各国との協議。
いやもっとそれ以前のことを彼はその脳裏に思い浮かべていた。
ジオン・ズム・ダイクンの思想に触れ若き日に学生闘争に明け暮れた日々、そんな折り父から連邦への留学を決められ、反対するも結局は留学することになる。
最初は愚昧な連邦の下で学べることは無いと高を括っていたが、しかし其処で自分がいかに小さな世界にいたかとまざまざと思い知らされた。
そこで出会った一人の男。
タマーム・シャマランとの出会いが全てを変えた。
そして私は変わったいや変わらざるを得なかった。
今までの小さな世界でのジオン独立ではなくより大きな人類全体の事について、そう人類という一つの種について私は大いに彼と議論した。
そしていままでジオンの思想を盲信していた自分が恥ずかしい。
確かにジオニズムはスペースノイド達に希望を与えた、しかしその考えは本来はスペースノイド達の独立を促し地球に住む者達を全て宇宙に上げる事であったはずだ。
しかし、実際のところその思想は迷走を始めているとしか思えない。新人類、つまるところ宇宙に出た人々はその環境に適応するために認識力が拡大し互いに誤解なく判り合えるようになる。
俗に言うニュータイプ理論だ。
ジオンは段々このニュータイプ理論に傾倒し最近ではニュータイプによって旧人類、つまり地球に住むアースノイドは滅ぼされ新たにニュータイプを中心とした人類社会が形作られる。
そういった暴論の達成のため、ジオンは父デギン・ソド・ザビとたびたび対立してきた。
そして、極めつけはシャマラン自身が語る人類の新しいビジョン。
コロニー等ではなく他の惑星まで人類の生存権を確立し、地球を含む一大経済圏を築き、それによって人類の延命と地球環境の回復を図ろうというものだ。
そして実際に連邦政府は志願制で火星や木星の移住者を募り、その運動はスペースノイド、アースノイドの垣根を越えたものになっていた。
これはジオニズムと対立しないどころか初期のジオンの目標であるスペースノイドの独立さえも夢物語ではなくなる。ある一点を除いて。
そう、ニュータイプ理論と真っ向から対立してしまったのだ。そのためこの考えを発表するまでに何度もジオンの手のものから暗殺されそうになったり、実際に彼は公演中に狙撃されている。(犯人は分かっておらず、未だ捜査中で反シャマラン派の者の犯行と見られているが、実際はジオン・ズム・ダイクンの意を汲むジンバ・ラルの手の者によって行われた。)
私は最初此れを聞かされた時私は信じなかったがしかし留学を終え、父の傍で政治に関わるようになると見えてきたジオンの本質。
私はこのままでは遅かれ早かれジオンの独立どころかスペースノイドの独立さえ怪しく、若い学生の頃に思い浮かべていた英雄の真実の姿に落胆もしていた。
私は表向きはジオン派としてダイクンに近づきつつも父と共に如何にして現実的な方法で独立を勝ち取るかを模索した。
連邦との間で何度も協議を重ねた。幸いにも時代は我々の味方だった、連邦政府は各コロニー駐留艦隊を引き上げたいと考えていた、それによって編成した新たな連合艦隊を地球圏の押さえとして使いたかったのだ。
しかし、連邦は建前上は地球の保持者であり、連邦市民に対してその生命及び自由と安全の保証を行うものである。
コロニーから艦隊を引き上げることは=連邦政府が市民を見捨てることに同義と捉えかねない。
そうなれば各国の格好の介入の口実にもなるし連邦の意義も問われる。
だがその点、ジオンは独立という建前があるから連邦は手を引ける。というよりも既に連邦経済の中心はコロニーではないのだ。
金のかかるコロニー経営よりもよりもっと大きなリターンが期待できる他惑星への開発で連邦はやっていけるし、コロニーに不満な市民も優遇措置を取れば簡単に火星へ移民できる状態にある。
伊達に地球上の全人口の70%を移民させた連邦だ、その手のことはお手のものだった。
いまは志願制を敷いて急激な移民者増加に備えているが、準備が整えばそれが実行できるし、さらにコロニーが自分達で自治を行い安全や保障を自ら行うようになれば、連邦としてはさらに他惑星に向けての開発に専念できるそういうものだった。
だから、最初は自治権の拡大から徐々に権利の譲渡を行い最終的には現在の連邦構成国と大体同列の権利を認め連邦議会に参加する権利を与えつつも経済的には連邦が握り、またコロニー人口の増加も移民で解消し尚且つ各コロニーの必要以上の躍進を抑える。
そのための先駆けとして連邦政府でも反対派を抑えジオンの自治権の拡大、最終的には独立まで行くと、各サイドでもそういった動きが出るためにわざわざ自分達の手を煩わせる必要がなかった。
そして、U.C.0067 連邦政府がジオン共和国の自治を容認し、ここに史上初めてのコロニー国家が成立した。
しかし、翌年ジオン・ズム・ダイクンは帰らぬヒトとなった。
彼は晩年政治を省みず専らその政務の殆どをデギン・ソド・ザビが行い自身はジンバやローゼルシア等と共に部屋に篭る様になり、久しぶりに人々の前に姿を現し、演説台に立ったところで彼は倒れた。
もともと心身ともに疲弊し、心臓に問題を抱えていたカリスマは結局自身の思想の成果を見る間も無くこの世を去った。
最初此れをジンバなどジオン派はザビ家の暗殺だと騒ぎ立てたが、しかし連邦政府による中立的な司法解剖の結果、心筋梗塞での死亡であり人為的なものではないという証拠が出たため逆に彼らはダイクンが死んだことにより、政治の主流から脱落することになる。
その後は、連邦の後ろ盾の下ザビ家がジオン共和国の実権を握った。
一応平和的で公平な選挙も行いその結果殆どがザビ派の者が当選した。まあ当たり前ではあるが。
ただし、独立したから何でもよくなったわけではない。一番の問題は各国との関係である。特に「理事国」は植民地である「プラント」の自治権を巡り争いが絶えないし、その影響か我々に対してもあまりよい感情を持っていない。
そして、国家にとって一番大切な剣と盾としての役割。つまるところ国防である。
本来は無謀な連邦に対しての武力による独立達成を目指すためにMSや新型船を開発建造していたがこれからはそれを公に出来る分、連邦との相互安全保障条約により互いに同盟関係でもあるから、日に日に理事国と連邦との関係が悪化するにつれ、我々もまた決断を強いられるだろう。
そう遠くないジオンの未来について考えているとどうやら式典が始まるらしい。
今回は特別なゲストをお呼びしているからさぞ父上や式典を見ている者たちを驚かすだろう。
「ふっ。 ジオン百年の計はこのときより始まる。」
式典が始まったとき、シャア・アズナブルは士官学校次席として会場に立っていた。
彼はシャア・アズナブルは本来ならばこの式典の主役として壇上に上がってもおかしくは無かった。
そう、何を隠そう彼こそが、ジオン・ズム・ダイクンが遺児キャスバル・レム・ダイクンなのだから。
シャアは幼い時に父ダイクンが死にその後を受け継いだデギンがキャスバルを保護しようと動くが、ダイクンの側近であったジンバ・ラルはこれを察知し、キャスバル、アルテイシア、そして二人の母であるアストライアを連れ旧知のマス家を頼り地球に逃れた。
二人は身分を隠すためそれぞれ、エドワゥ・マス、セイラ・マスと名乗りテアボロ・マスの養子として地球で過ごした。
ジンバは地球で二人にダイクンのニュータイプ思想とザビ家の陰謀説を説き、二人にザビ家への復讐心を植えつけようとした。
が、成長するにつれキャスバルはジンバが説く陰謀説とダイクン像、母アウトライアが語る生身のダイクンの余りにも激しい剥離にキャスバルは疑問を抱く。
そしてそれは父の理想であるニュータイプ、人の革新にも及んだ。
ジンバが死んだことをうけ、キャスバルはシャア・アズナブルと名乗りジンバの息子ランバ・ラルを頼り再びサイド3に戻ってきた。
シャアは父の死の真相とダイクンの真の姿を知るために士官学校に入学を果し、そこでザビ家の末弟ガルマ・ザビと出会う。
ガルマが語る現在のジオン、そして父が目指したジオンとの違いをはっきりと認識しつつ、彼と友好を深めた。
そして現在。
式典が始まり横目に壇上のザビ家の面々を見つつ姿勢を正ししっかりと前を向き、士官学校次席に恥ずかしくないように振舞っている。
そして、演説台にジオン共和国首相、ダルシア・バハロが立った。
「御集まりの皆さん...」
ダルシア首相の演説が始まった。そして演説が一段落し本来ならば来賓の話と国歌が斉唱される所だ。
しかし、そうはならなかった。ダルシア首相が突然「本日はここに居る皆様のほかにさる特別なゲストをお招きしております。」
そういって自然と衆目の眼が壇上に集まりダルシア首相が壇上から降りていく。
そして、その人物が姿を現すと同時に会場がざわついた。それこそ本来ここにはいない筈の人物。地球連邦大統領 ベンジャミン・マッキンリー本人が壇上に上がってきたのだから。
人の良さそうな笑みを浮かべ聴衆に手を振りながらしかし連邦大統領としての威厳を兼ね備えた男が今私の目の前に立っている。
「皆さん、こんにちは。私は現地球連邦大統領 ベンジャミン・マッキンリーです。」
そう、マッキンリー本人が挨拶した。
「今日ここで皆さんと共に、この記念すべき日を迎えそしてこの場に立つ機会を皆さんと共に嬉しく思います。しかし今日世界は大変困難なときにあります。」
「かつて、連邦から離脱した各国は独自の陣営を築き対立してきました。地球に未だ住み続ける各国の皆さん。思い出してください。我々の先人がどういった気持ちで宇宙に飛び出したのか。そして何故地球を離れなければならなかったのか。」
「環境汚染、熱汚染に苦しむ地球に未だ多くの人が住み着き、それを特権として振りかざす。そして今日のスペースノイド、アースノイドの対立を引き起こしました。」
「しかし我々連邦はいち早く地球から巣立つべきだと。初代連邦大統領であり故リカルド・マーセナスは宇宙世紀改暦セレモニーで、人類は地球という揺り篭から飛び出て独り立ちをしなければならないと。そう語った故大統領は非道なテロにより惜しくもその命を落しました。」
「しかし、その精紳は我々一人一人の心に受け継がれています。そして現在人類はその生存圏を大きく広げ、木星まで到達しました。偏にこれは困難な中でも希望を失わなかったスペースノイド達の果敢なチャレンジ精神があったからこそ成し遂げられたことです。そして私が立っているここサイド3は地球史上初めてのコロニー国家として成立しました。」
「ここに来て、最早我々を妨げるものは何者も無いのです。宇宙に住むスペースノイドも地球に住むアースノイドも共に手を携え硬く結びついたからこそ今日の我々があるのです。」
「ですが、それは我々地球連邦だけの話です。今現在世界では紛争やテロ、経済発展による環境汚染が深刻化し、地球はもって後三十年を切ると言われています。それ以降は母なる地球は最早人類どころかこのままでは生物そのものさえ住めない死の星と化すでしょう。かつてテラフォーミング前の火星と同じ様な状況になるという学者もいます。」
「我々は長年の協議で各国にこれ以上の開発の中止と、環境の再生保護、宇宙へのこれまで以上の移民推奨を話し合いました。しかし彼らは頑なに我々の提案を拒みあまつさえこれは連邦の陰謀であると決め付けより一層の開発と軍備増強を行いました。」
「我々はこの暴挙に対しても忍耐を重ね粘り強く協議を重ねました。ここにいたって私は世界中のみなさん(オールピーポー)に語り掛けたい。本当にこのままでいいのか?このまま何もせず徒に地球が死の星に近づくのを加速させてよいのでしょうか?私達は決断し実行しました今度は貴方達の番です。我々と共に手を携え共に地球を救い、宇宙へと旅立とうではありませんか。そのためには国家ではなく一人一人個人の力が重要です。そして共に歩むならば我々は協力を惜しみません。そして終局的には全ての組織が一つに纏まり、新たな指導者のもと地球と人類の輝かしい未来を築こうではありませんか。」
「人類の輝かしい未来を願い新たな諸問題も一丸となって事に当たることをここに誓います。」
演説が終わると会場は割れんばかりの拍手が巻き起こった。
そして各メディアもこれを世界中に報道し、各国に少なからず影響を与えることになった。