連邦の野望   作:rahotu

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地球軌道上の戦い

月面連合軍拠点プトレマイオス基地から慌ただしく出航した連合軍艦隊は、一路地球を目指し進んでいた。

 

構成国であるユーラシア連邦の要請により出撃した彼らの任務は、軌道衛星上からの支援を行い連邦軍の進撃を阻止することにあった。

 

その方法として彼らは南極条約ギリギリの軌道衛星爆撃を敢行するつもりであった。

 

南極条約では大気圏外からの大質量弾の使用を禁じていたが、連合軍は条約が定める制限ギリギリの大きさの質量弾を用いて、地球連邦軍を爆撃しようと試みたのだ。

 

無論軌道衛星上からの爆撃など人類史上初の事であり、これが成功するかどうか誰にも判らなかった。

 

しかし之を成功させねば将軍や提督達の首では済まない。

 

まさに連合軍にとって正念場を迎えようとしていたのだ。

 

そして無論その目論見を黙って見過ごすほど連邦軍はそしてなによりもあの国はやさしくはない。

 

 

 

 

 

宇宙要塞ソロモン、ジオン共和国宇宙軍の根拠地でありジオンきっての闘将ドズル・ザビ率いるジオン宇宙軍は連合軍の動きを察知し、事前にあらかじめ定められた行動通りに出航していた。

 

主な陣容だけでもジオン最大の戦艦グワジン級を始めチベやムサイ等の通常艦艇の他、パプアやパゾクに牽引された夥しいHLVユニットが目を引く。

 

之に加えドズル・ザビ大将が自ら軍を率いての出撃は、まさにジオン共和国がいかにこの作戦に本気を掛けているかの証左であった。

 

出撃前ドズルは本国にいる家族や兄弟に向け通信を繋げていた。

 

「漸く連合軍に一泡吹かせる機会がきたぞ兄じゃ」

 

ドズルは何時ぞやの連合軍によるソロモン攻撃の事を思い出し、やっとそのときの鬱憤が晴らせると旨を踊らせていた。

 

「ドズルやはり貴様が出ない訳にはいかんか」

 

「おうともよ兄じゃ、指揮官が前線に出ずして何が男か。俺を臆病者にしいないでくれ」

 

とドズルは豪快に笑い飛ばした。

 

兄ギレンはこの武張った所さえ無ければと常々思っていたが、それを表面上はおくびにも出さずドズルを激励する。

 

「まあよい、それよりもしっかりと連邦軍に貸しを作ってやれ。今後のジオンの為にもな」

 

「がはは吉報を待っていてくれ」

 

レーザー通信の回線がきれドズルの顔が切れると、ギレンは之までの事に思いを巡らせていた。

 

なぜジオンが同盟国にすら秘密にしていた連邦軍のオデッサ攻略を察知できたのか。

 

それはキシリアとマ・クベが宇宙と地球の両方で構築した情報網の成果だからだ。

 

キシリアは例え同盟国であろうとも諜報員を送る事に躊躇せず、マ・クベもまた元キシリア配下という事もあり情報の扱いに炊けていた。

 

無論ギレン・ザビとて情報の重要性を知っているが、その扱いに関しては妹のキシリアの方が長けていたという事である。

 

そしてキシリアが集めた情報を元にギレンが戦略を組み立て、ドズルが実行する。

 

図らずしてザビ家兄弟の連携プレーによりジオンは他の誰よりも情勢を制御し抜きんでることに成功したのだ。

 

もっともこの兄弟において連携などと言えば鼻で笑われるだけだろうが・・・。

 

 

 

 

 

地球軌道衛星上に進入した連合軍宇宙艦隊を率いるロジェスト准将だが、彼の胸中は決して明るくは無かった。

 

と言うのも彼が率いる艦隊は大戦初戦プラントとの戦いで壊滅した艦隊を統合し新兵で水増ししただけの部隊であり、お世辞にも練度装備ともに満足できる者では無かった。

 

しかし軍人である以上命令には従わねば成らず、しかも自分たちの結果によって今後の戦局を左右されるとあっては彼も緊張を隠せずにいたのだ。

 

一応彼の慰めとして、そもそも軌道爆撃用の爆弾が足りず兎に角軌道上で一回ばらまけば任務完了という点である。

 

もっともそううまくいかないのが世の常なのだが・・・。

 

兎に角ロジェスト提督率いる連合軍宇宙艦隊が爆撃コースに入ろうかという瞬間突如として艦隊に警報を知らせるアラームが鳴り響く。

 

「ど、どうした!?一体何が起きた」

 

「ミノフスキー粒子です!ミノフスキー粒子が散布されました」

 

ミノフスキー粒子、それはNJと同じく電波妨害をもたらす特殊な粒子なのだが、現在之を実用化し実戦で使用出来ているのは地球連邦軍のみ・・・いやロジェスト提督は自身の記憶中枢から必至に情報を掘り起こす。

 

しかしその前に答えが彼が乗る戦艦の前を横切る。

 

ザフトのジンと同じモノアイをした緑色の巨人、ジンが騎士に似た姿だとすればそれはヘルメットを被った兵士のように思える。

 

「識別照合でました!MS-06ザクです」

 

「そんなことは見れば判る!!」

 

彼は慌てて全艦隊に対空防御を命じるも、その時既に相当数のザクが艦隊に進入していた。

 

いやザクだけではなく新型のドムの姿もちらほらと見えている。

 

この戦いにさいし本国からMS隊12個にも及ぶ新型機が受領されていたのだ。

 

ザクがライフルの銃口を構え、120mmもの砲弾がはき出され迎撃に出たメビウスの装甲をなめる。

 

そうしてメビウスをザクが引き付けている間に、艦隊に接近したリック・ドムがジャイアント・バズの巨大ロケット弾を戦艦にたたき込む。

 

ザクバズーカを超える威力を誇る380mmものロケット弾の威力は、戦艦を文字通り一撃で粉砕した。

 

「連合軍め月で大人しくしていればいいものを。俺たちが本物の宇宙戦をおしえてやる!」

 

「どっちを向いても敵だらけだぜ、球が外れる心配がないぜ」

 

「ばか突出し過ぎだ!各機相互に連携しつつ敵を各個撃破しろ」

 

MS隊の突入により算を乱したかのように陣形がバラバラになる連合軍。

 

その様子を見てドズルは敵にとどめを刺すべく艦隊に攻撃を命じた。

 

「見ろ敵は逃げ腰だ、ここで決着をつけてやる。全艦一斉射撃開始!」

 

グワジンがチベがムサイがそれぞれ強力なメガ粒子報を放ち、連合軍の戦艦はビームに触れるだけで装甲が溶けていく。

 

僚艦が次々と敵の餌食になるのを見て、戦意を喪失した連合軍は次々と戦場から逃げ出し戦いはジオンの完勝に終わった。

 

戦場から逃げ出す連合軍を散々に追い散らしたジオン軍は、しかしそれだけに終わらず今度は自分たちが軌道衛星上に布陣する。

 

兵員やMSを満載したHLVユニットを抱えたパプアやパゾクを守るように艦隊を布陣し、そしてそれらは次々と地球へ向けHLVユニットユニットを投下させた。

 

オーストラリア以来ジオン軍による二度目の地球降下作戦、第二次降下作戦がここに実行されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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