バビリスを攻略することに一応成功したザフトだったが、しかし、払った犠牲は大きく、投入戦力の実に五割以上の損害を受けてしまい、また、敵の司令官に逃げられるという失態も演じている。
さらに、航空戦力を持たないザフトは、戦略爆撃に対応できず、マスドライバーとその周辺施設共々大きな被害を蒙ってしまった。
現在はアフリカ共同体の支援を受けつつも復旧作業に取り掛かっているが、マスドライバーを最低限復旧するには三ヶ月以上もかかった。
今回の事態を憂慮したプラント評議会は、更なる地球への援軍派遣とこれまで以上の攻勢を求められた。
さらに、今回の戦訓からMSは現代戦よりもNJ影響下での目視戦闘こそ最大の威力を発揮する事が改めて認識され以後ザフトでは戦闘前にNJを散布する事が鉄則となった。
当初、クライン議長は当初の目的が達成できない以上地球上からの撤退を行おうとしたが、パトリック・ザラ率いる国防委員会らはあくまで地球上での戦闘継続を主張した。
だが、プラントは地球全土を支配下におけるほどの戦力を持っていない、あるとすれば連邦だけだ。
その為必要最小限の攻撃で最大限の成果を上げられる方法が模索された。
その中には廃棄された世界樹コロニーを地球に落すなど物騒極まりない意見も合ったが何とかまとまり、「オペレーション・ウロボロス」が発動された。
プラントは作戦の機密性を保つ為親プラント国家にさえ作戦の内容を説明せず、作戦を強行した。
地球連邦軍はプラントが大規模な地球増援艦隊を察知していたが、関係部署に連絡するも連邦は今非常に微妙な立場にあり、ザフト艦隊に対して手が打てない状態だった。
そして、悲劇は起きてしまった。
地球降下のその直前にプラントは地球全土に向けNJを無差別に散布、核の無力化と現代戦の破壊を行った。
そして、地球に飛来する数えるのも馬鹿らしい数のミサイルが降り注ぐのを見てある連合仕官はこう記した。
『空が落ちる』
残された日記にそう記してあった。
NJの被害は核兵器や現代戦の破綻だけでなく、今回の大戦に無関係な一般市民にもその牙を突き立てた。
エネルギーの枯渇した地球では、消費電力の大半を原子力に頼っていた、しかし、今回散布されたNJにより全ての原子力発電が不可能になり、エネルギー不足によるインフラ破壊、食料、燃料不足による被害は二次被害、三次被害も含めると、地球上の総人口の一割にも及んだ。
この暴挙の結果、プラントは地球上の国家全てを敵に回すことになるが、その結果彼らがどうなったのかは押して知るべしであろう。
地球連邦も被害を受けたが幸いにしてジャブローをはじめ各拠点の直接的な被害はそれほどでもなかった。
これは、ジャブローに代表される宇宙までも視野に入れた堅牢な防空体制と事前に発動されたデフコン1の結果であり、多くの突入ミサイルが撃墜された。
また、懸念されたエネルギー不足も、各コロニーから送られてくるエネルギーで不足分を補える事が出来、緊急事態のため隠匿されていた核融合炉発電にも火が入り連邦は他国ほど深刻なエネルギー不足に陥ることは無かった。
しかし、NJにより従来の通信全てに支障が発生し、情報という面では地球連邦は各所で寸断された形になった。
ジャブローでもまた、突入してきたミサイルの、内九割は堅牢な対空砲火によって迎撃されたが、僅か数発の本命のミサイルにより、地球全土で通信が取れなくなり、連邦軍の組織的ネットワークはここに破綻した。
だが、地球連邦はまだましだった、いや、寧ろ世界的に見れば僅かな混乱と被害で済んだだけで奇跡だった。
しかし、核融合炉技術も、エネルギーを送電してくれるコロニーも持たない国家は悲惨であった。
地球軌道から見ると、連合を始めとした北半球の国家は文明の火が消え、その下で何億という市民が苦しんでいった。
北の大地では、飢えと寒さで四肢が凍り、エネルギーを絶たれインフラが崩壊した都市では世紀末さながらの混乱と暴力とが踊り狂い、人々は神に祈り、己が無力を嘆いた。
病院では担ぎ込まれる患者を治療できず、野晒しにされた死体が疫病を運び、水も食料も住むとこさえ無くした者達は思った。
何故、何故、自分達がこんな目に合わなくてはならないのか。一体自分達が何をしたんだ、と。
そんな時、彼らの耳に何処とも知れずにこんな噂が入った。
『今の状況はコーディネイターが地球に住むナチュラルを全滅させるために起こしたのだと』
あながち間違っていないこの噂は一気に膨れ上がり、各地で過激なコーディネイター狩りが行われることになる。
この噂の陰には、連合内に浸透したブルーコスモスと民衆の不満の矛先を逸らしたい政府との思惑が結託して起こしたことだと言われているが、真相は不明である。
世界中で火が消えた直後に、ザフトは地球に大規模な増援と新型MSを送り込み、以後地上で泥沼の殲滅戦を行うことになる。
地球にNJが打ち込まれた頃、ジオン共和国では国家総動員令を発令。
各サイドと共に連邦、中立国など地球国家の救助支援を表明、これによりジオン共和国宇宙軍の一部は地球に降下し治安の回復と物資投下の援助を行った。
また、エネルギー不足の国家に対して無償でエネルギーの供給を開始し以後、中立国と連邦、ジオン共和国は極めて友好的な関係を築くことになる。
連邦も、NJでエネルギー不足に喘ぐ連合を敢て「人道的支援のため」と称してエネルギー、及び救援活動をする準備があると表明。
代わりに、パナマからの撤退とL1での被害の謝罪を求めた。
しかし、連合はこれを無視、逆に地球連邦が独占する核融合炉技術の開示を求める始末だ。
流石にこれには連邦外交官も呆れ果て、その間にも世界中で大勢の市民が死んでいった。
連合としても、戦後を見据え核融合炉技術は何としても手にしなければならなかった。
もしそれが出来なければ、エネルギーを握られた各国は、戦わずして連邦に膝を屈することになる。
プラントでもまた、地球連邦並びにジオン共和国の行動に危機感を覚えた。
仮にもし、連合が地球連邦の援助を受けたら、折角NJによって核兵器を無力化しても連邦からのエネルギー供給によって何れは国力を回復し自分達に復讐戦を挑んでくるだろう。
そうなったら目も当てられない。
プラントは外交の総力を挙げ地球連邦に連合のエネルギー支援中止の圧力を掛けたが芳しくなく、もはや座して滅亡を待つか、史上最大の組織に戦いを挑むのかを強いられた。
両勢力は知らず知らずのうちに追い詰められていた、そして、最も愚かな選択をすることになる。
連合は「中立でありながらプラントと共謀して地球にNJを打ち込むのを容認したばかりか、戦後には地球全土の掌握を図った、全人類の裏切り者である。よって連合は連邦に対し以下のことを要求する。一 全てのコロニーの管理権を連合に譲り渡すこと、一 連邦軍の解体、一 核融合炉技術の無償譲渡、一 現政権の即時解散、以下の事が受け入れられない場合武力を持って制裁を課す」と宣言、突如としてL2のジオン共和国に向け艦隊を出撃させ連邦を恫喝した。
プラントでも、「地球連邦は我が国の『積極的中立勧告』を受けながら、対戦国である連合を支援した。明らかにこれはプラントに対する裏切りである。ゆえにプラント政府は連邦に対してサイド1のかつ譲渡、十年間食料の無償供給、対連合戦の参加を要求する。」と大使館経由でこのことを連邦に伝えた。
事実、プラントはL5にある連邦コロニーサイド1にザフト艦隊が展開し、レビル将軍率いる第一宇宙艦隊とコロニー駐留艦隊との間で睨み合いが続いていた。
連邦は両国の要求を拒否し国民に対し戦時体制に移行したことを告げた。
両国は要求を拒否されるとすぐさま行動を起こし、L2に展開していた連合艦隊はジオン共和国を目指しソロモンへ。
ザフトは疎開作業の始まっているサイド1に向けMS隊を出撃させレビル将軍率いる宇宙艦隊と激戦を繰り広げた。
-L2宙域 宇宙要塞ソロモン-
司令室のスクリーン一杯に広がる三角の光点の一つ一つが、真っ直ぐソロモン要塞を目指し進んでいく。
ジオン共和国宇宙艦隊総司令官ドズル・ザビ中将はソロモン要塞の司令室で腕を組みながら戦術モニターを睨んでいた。
連合の布陣を見る限り、NJを散布せずレーダー兵器使用可での決戦を望んでいる。恐らくソロモンを抜き、ジオン本土での決戦を見越して戦力を温存するつもりだろう。
此方にMSが無いと思っているのだろう、だがこれしきの戦力でソロモンが落とせる筈がない。
「準備は抜かりないな。ラコック大佐。」
「はっ。既に予定のポイントに部隊を伏せ後は閣下の御指示があればいつでもいけます。」
「よし、連合め、要らぬ言い掛かりをつけた事を後悔させてくれる。」
ドズル中将はその傷だらけの顔で不敵に笑いながらも、その目は獲物を駆る獅子のそれであった。
連合艦隊のクルーは何処となく釈然としない様子だった。
確かに政府の発表を鵜呑みにすれば連邦はとんでもない裏切り者だが、だからといってジオン共和国を攻めるのはやり過ぎではないかと。
彼らはてっきり、L2を掠めてプラント本国に向かうとばかり思い込んでいた。しかし、司令部からの命令はジオン本国を強襲せよときた。
何の脈絡も宣戦布告も無しに攻撃するなど、彼らはどうしても納得いかなかった。
しかし、司令部は命令の一点張りで艦艇司令官も唯「命令を遂行するのみ」とだけでまるっきり話にならなかった。
ジオン共和国には連合を苦しめたMSは無いと情報部から報告が入ってきているので、戦いそのものは楽だろう。
だから、彼らは何処かすっきりしない気持ちを押し込んで、ソロモンへと向かっていったのだ。
要塞が確認できる位置に来ると、艦隊は部隊を展開しジオン共和国軍を挑発する仕草を見せた。
しかし、ジオン軍は要塞に引き篭って出て来ず、じっとこちらの出方を伺っていた。
旗艦では、精強で知られたジオン艦隊が要塞に引き篭って出てこないのを笑い、司令官自ら楽勝だと将兵に語った。
そして、連合の宣戦布告と共に艦隊はジオン共和国の領空を侵し、ジオン艦隊をその射程に納めんと距離を詰めていった。
司令官は頭の中で、これだけ挑発して尚且つ宣戦布告したのに艦隊がでて来ないところを見ると恐らく要塞は空っぽで、ここにいる艦隊は本隊の撤退までの時間稼ぎ。目的は本土での決戦がジオンの目的だろうと思い、プトレマイオス基地から旗艦に極秘裏に運び込まれた核ミサイルも使わずに済むと思っていた。
だが、早くもその思惑は覆されることとなった。
突如として要塞から無数のミサイルが発射され、艦橋に緊張が走った。
が、直ぐに迎撃命令が出されミサイルは次々と打ち落とされ目的を遂げることは無かった。
司令官はまだ要塞の機能は生きている。制圧まで時間が懸かるだろうと思った。
だが、ミサイルの目的は敵を攻撃することではなく、ある物を戦場に散布するためであった。
互いに距離を詰め先程ミサイルが迎撃された地点まで来て砲撃戦を行おうとした連合は、突如として全てのレーダー、センサーが機能しなくなり一瞬で艦隊の機能が失われてしまったのだ。
NJは散布されていないはずのこの戦場で何故?
思い当たったのは、先程の不自然なミサイル攻撃。あれは艦隊を攻撃するためではなくここを戦場とするためではなかったのか。
が、直ぐにオペレーターの悲痛な叫び声に一瞬で思考の海から現実へと戻った。
ジオン艦隊から何か射出され、ミサイルかと思ったがあらゆるセンサー類が機能しない今ミサイルは無用な長物だ。
其れにミサイルにしてはその機影は大き過ぎた、そしてオペレーターからの報告でそれが何か悟った。
「敵艦隊から射出されたものは人型兵器の模様、我が方のMA隊を次々と蹴散らしていきます。」
「MS (モビルスーツ)」たった一会戦で従来兵器を向こうに押しやり、現代戦の頂点として君臨する兵器。
現状ではプラントしか保有していなかったはずだ。その最強の兵器をジオンも持っている。
彼の思考はそこで停止した、何故なら前方の艦隊がMSに翻弄されている隙に、ドズル・ザビ率いる宇宙艦隊本隊が側面から強襲。
一気に突き崩された連合艦隊は、対空砲火を抜けた一機のMSによって旗艦を撃沈され、以後組織的抵抗が出来ないまま壊滅することになる。
この戦いによって連合は核ミサイルと二個艦隊が壊滅し、残存艦艇全てがジオン軍に拿捕され一隻も帰ってはこなかった。対してジオン共和国は撃沈艦は無く、MS数機の損害だけで済んでいた。
初めて実戦で使用されたミノフスキー粒子の有効性と、ジオン共和国のMSの威力を世に知らしめる結果になり、宇宙世紀に二系統のMSが存在することになった。
-L5 サイド1宙域-
人類史上初めてのコロニーがここに作られ、以後各ラグランジュ・ポイントに次々とコロニーが建設されることになる。
また地球連邦以外にもコーディネイターが住むコロニー、プラントが建設されこの宙域は正に人類の英知の集結点でもあった。
しかし、世界で最初に作られたコロニーが今崩壊の危機に瀕していた。
プラントは連邦が要求を拒否するや、本土から艦隊を差し向けサイド1に武力侵攻を行った。
これを阻止するため、名将として知られるレビル中将は旗艦アナンケと共に将軍自ら前線指揮を取る異例の事態になった。
レビル中将は今までの戦訓からMSに対して真っ向から向かうのは不利と見て、駐留艦隊と共に連合艦隊を組み、敵MSを駐留艦隊が押さえている間に第一艦隊を戦場後方から突入させ戦場にL字陣形を組み、敵MSを十字砲火の中に誘い込む作戦に出た。
ザフトは宇宙と地上で連勝を重ね慢心し、無策にもMSでの突撃を繰り返すだけだった。
レビル将軍は各所にレーザー通信衛星や中継器を置きこれに対応し、レビル将軍の指揮の下強固に抵抗。また連合艦艇と違い連邦軍の艦艇は驚くべき威力と射程を持つメガ粒子砲を装備し、直撃すればMSは一瞬で蒸発し、ローラシア級を一撃で大破させる程の威力を発揮した。
ザフトは今までと違った敵に戸惑い攻めあぐね、思うように敵を攻撃出来ずにいた。
そして、前線にMSが拘束されたのを見計らい戦線に突入しザフトMSを見事十字砲火の中に置くことに成功したのだ。
ザフト司令部はこの戦法に苦しめられ戦力を消耗、レビル将軍は好機と見て駐留艦隊に前進を命じ一気に敵MSの撃滅を図った。
が、この危機に瀕しザフトは切札を投入。ラウ・ル・クルーゼらエースパイロット部隊を突入してきた第一艦隊にぶつけ、新型艦ナスカ級高速戦艦を戦場を迂回させ連邦軍駐留艦隊の側面を突かせた。
従来艦以上の高速を誇るナスカ級の動きに対応できず駐留艦隊は瞬く間に崩壊していった。
レビル将軍は敗北を悟り撤退を命じ自身は旗艦アナンケに残り艦隊の撤退完了まで殿を勤めた。
ザフト軍は殿艦に殺到し旗艦アナンケは多数被弾、それでもその砲火をはき続け味方の撤退完了まで戦場に残り続けその勇姿はザフト兵に連邦軍侮り難し、と呼ばれることと成る。
結局この戦いで連邦艦隊は敗北しレビル将軍は旗艦アナンケを自沈させザフトの捕虜となった。
しかし、ザフトもまたMSの多くを損失し機動戦力を大幅に低下させ、サイド1の制圧は一時延期と成らざるを得なかった。
この戦いにより、連邦は多くの将兵と艦艇を失うもMSの威力を改めて認識し連邦の威信をかけたMS開発に取り組むことになった。
この同時期に起こった戦いは長い間戦乱とは無縁であった連邦を呼び覚ますも、その真の力の解放はまだまだ時間を有することとなる。
-地球連邦 大統領官邸-
窓から日の光が差し込み、部屋の中を明るく照らしていたが、中にいる彼らの顔は皆暗い表情をしていた。
大統領執務室、現在この史上最大にして地球圏最高の権力を持つ男がいる部屋、その部屋には、大統領が座る椅子に向かい合うように、官僚スタッフ達が立っていた。
「大統領閣下...ご決断を。」
きっちりとスーツを着こなし自信と誇りに満ちた男がしかし、今は何処か悲痛そうな声で言った。
大統領は何も答えず、暫し執務室には沈黙の帳が下りた。
「もう一度申し上げます、先のコロニー「もういい!!」...。」
「諸君は...諸君は私にもう一度旧世紀の愚行を起こせと言いたいのか!!」
「閣下...。」
別の男が何か言いたそうな仕草を見せるが、大統領は構わず続ける。
「何のために、先人達が苦労して積み上げてきた偉業を!!今更、全て無に帰せと言うのか。」
そこまで言い切ると、大統領は机の上で白くなるまで握り締めた拳が戦慄いていた。
彼は今ほど自身の立場を後悔したことは無い。今までここまで来るまでに散々煮え湯を飲まされたし政治や権力の魔の手に襲われたことも少なくない。
しかし、彼はそれでも連邦を、人類を導く立場にあると自覚していた。
幾多の苦難を乗り越え、今この椅子に座っているのは偶然ではない。
いま彼を途惑わせているのは、地位でも、名誉でもなく、恐怖であった。
自分が史上最悪の人間として歴史に記され、嘗て旧世紀の冷戦でさえ起こさなかった愚を行った者として永久に記憶されるのは覚悟している。
では、何を彼が恐怖しているのか?
それは、創世記に始まり宇宙に上がりここまで四半世紀以上積み上げてきた、人類の歴史、偉業、英知、理想、全てを失うことを恐れたのだ。
「大統領閣下、お気持ちは察します。しかし、今我々が断固たる決意を示さねば、事はコロニーだけではすみません。」
「いや、寧ろ、ここで決断を引き伸ばすことこそ、連邦市民に対する冒涜です。」
決断を促した男が、しかし先程の悲痛さは収め、心を尽くして大統領を説得した。
「統合参謀としても、その意見に賛成です。現在の状況では軍としては安全を保障しかねますな。」
軍服の多数の勲章を誇示するように身に纏った肥満体型の男が、額に浮かび上がる脂ぎった汗を拭いながら、国防長官の言葉を支持した。
「ここにいる、全員がそうか。」
そう言って大統領は執務室に集まった者達一人一人の顔を見ながら言った。
そして、徐に差し出され、机に放置された書面を引き寄せ、震える手を何とか押さえ、署名していく。
そして、書類を秘書に渡しながら言った。
「これで、私も諸君らも、人類を三度目の大戦に陥れた共犯者というわけか。」
大統領はそれっきり言葉を瞑り、手で一人にしてくれと合図した。