-C.E.70 五月三十日-
先の二十に行われたカサブランカ沖海戦においてザフトは水中用MSグーンを初の実戦投入を行いユーラシア連邦地中海艦隊を壊滅させジブラルタルへと上陸。二十五日には基地の建設を開始しザフトのアフリカでの優位が確立されることとなる。
地中海艦隊を喪失し地中海の制海権を失った連合はアフリカ最後の砦スエズ運河防衛に全力を尽くしモーガン・シュバリエ大尉率いる戦車軍団を派遣。
アレクサンドリア西方100kmの地点にあるエル・アラメイン港にてザフトと一進一退の攻防を繰り広げることと為る。
-エル・アラメイン-
旧世紀においてアフリカを我が物とせんとこの地でアフリカの所有者を決める戦いが行われた。
この地は北アフリカの主要な港のひとつでありここに集積された石油によって北アフリカのエネルギーが賄われているといっても過言ではない。
更にここから東にはアレクサンドリアがその無防備な姿を晒し果てはスエズ運河まで続くその道はこの場所がどれだけ重要化を物語っていた...。
市内に設けられた指揮所でモーガン・シュバリエ大尉は机の上に広げられた地図を睨み考えにふけっていた。
ジブラルタルが陥落し地中海艦隊を壊滅した今、欧州からの補給に滞りが出始めている。
これはジブラルタルから侵入したマルコ・モラシム率いるザフト潜水艦隊により少なくない数の輸送船が拿捕ないし撃沈され地中海はザフトが手中に収めようとしていた。
そんな中彼の部隊はよく戦っているといえよう。日に日にジブラルタルから送られてくる部隊によって戦力を増強したザフトに対し、補給不足で車両の移動でさえ間々ならない中彼の部隊は数と地の利を生かした戦法でここまでザフトの進撃を阻んでいた。
しかし、それも限界がある。
事実幾つかの戦線で綻びが生まれそこを突破したザフトにより後方を蹂躙されたり、その救援に向けって居る隙を突かれザフトが浸透戦術を行い戦場全体が危機に瀕したりと既に防衛自体が不可能なレベルにまで落ち込んでいる。
それにも拘らず、連合軍上層部は援軍を送らず逆に各戦線から優秀な将兵を引き上げ替わりに新兵を送るなどその対応に前線の兵士達の間では不満が溜まっていった。
彼自身も再三軍司令部からの出頭命令が来ているが、その度に彼是と理由を付けてこれを拒み続け士気の下がった兵士達を鼓舞しながらここまで戦い続けてきた。
だからこそ彼はこれ以上の防衛は絶望的だと悟っていた。
日々のザフトの侵攻で兵は疲弊し彼らが駆る戦車自体も補給と整備が間々ならない状況ではその性能を十分に発揮できずにいた。
これでは恨み言の一つも言いたくなるが部下の手前それを表情には出さず黙々と防衛体制の再構築といざという時の撤退準備を行うことしか出来なかった。
-ザフト軍-
エル・アラメイン南西五十キロの地点に築かれた野戦陣地にて一人の男が戦場だというのに優雅にコーヒーの香りを楽しんでいた。
-う~ん、少しブレンドの比率を変えてみたが矢張り前の方がいいな。-
呑気にそんなことを考えつつも彼はジット机の上に広がる地図の一点を見つめていた。
エル・アラメイン
本来ならばとっくにアレクサンドリアまで制圧してスエズ攻略に取り掛かっているはずであったが、初期の攻勢の失敗とアフリカ共同体軍との合同作戦も上手く行かず結局ここまでかかってしまった。
そんな中彼事アンドリュー・バルトフェルド率いる部隊は北アフリカ沿岸を電撃的に制圧しつつスエズ運河を目指していた。
だが、そんな彼らにエル・アラメインが立ちはだかった。
エル・アラメインを守る部隊は頑強な抵抗を続け此方に少なくない出血を強いていた。
各戦線で補給が滞っている中、指揮官がよほど優秀なのだろう彼の部隊をして二週間もこの地に釘付けになっているいじょうこの地を守る部隊がどれだけ精強なのかを物語っていた。
「やっかいだねえ。できればこんな手合いとはやり合いたくはなかったんだが。」
ふとおちゃられた風に装いつつもバルトフェルドは体の奥底から漲る闘志を感じていた。
そんな中野戦指揮所ないに赤毛の男が入ってきた。
「失礼します。バルトフェルド隊長。」
だが入ってきて早々彼は部屋中に充満するコーヒーの匂いに思わず鼻を押さえてしまったのは仕方ないだろう。
「隊長。何度言ったら分かるんですか。指揮所に私物を持ち込など兵の士気に関わると。」
生真面目にそういいつつも彼自身は内心これで何度目になるかの注意に頭を抱えていた。
「まあまあダコスタ君、そう気張らずどれ君も一杯どうだね?」
そう言ってバルトフェルドは火にかけていたコーヒーポッドからコップにコーヒーを注ぎマーチン・ダコスタに差し出した。
コップから香るコーヒーの芳しい匂いに渋々ながらコップを受け取り内心誤魔化されたと感じつつも、この味は確かだと口を付けながら思っていた。
「どうだね?中々の出来じゃないか。」
そう聞いてくるバルトフェルドに彼は思ったことを告げた。
「そうですね、ちょっと配合を換えたんじゃないですか。私としてはこの前の方が味はよかったんですけどこれも香りは良い方じゃないですか。」
バルトフェルドはこの副官も段々分かってきたなと嬉しそうに笑いながら話を現場へと移した。
「で、君が来たということは準備が出来たんだね。」
突然話題を振られたダコスタは慌てて自分がここに来た理由を思い出し、自分の義務を果たした。
「失礼しました。バルトフェルド隊は全機補給を終え何時でも出撃できる状態です。更に我々の侵攻と合わせて各戦線でも大規模な攻勢に出て一気に戦線をスエズまで押し進めるとの事です。」
その報告を聞いて安心した彼はかねてからの作戦通り自身もまた前線に立つため指揮所を後にした。
その彼の後を慌てて副官がついて行くのは御愛嬌だろう。
時を少し戻してジオ共和国首都ズムシティにてある重大な極秘会談が行われていた。
U.C.0079四月八日
「では、連邦は地上でのジオン軍の派遣を望んでいる。ということで宜しいのですね、兄上。」
キシリア・ザビが探るような目つきで長兄ギレン・ザビに言った。
「うむ。その点は心配いらん。連邦との密約で既に地上での拠点も手配した。」
ギレン・ザビは事も無げにそう言い放ったが聞くものが聞けば卒倒するような内容であった。
あの自軍に絶大な信頼を置く連邦が、しかも自分達の最重要拠点である地上に態々他国の拠点を用意するなど、本来ならばありえない話であった。
しかし連邦議会の議員の中には連邦軍の不甲斐無い結果と政府の初動の遅さに危機感を覚え、地上に降りたマ・クベらのロビー活動もありジオン共和国軍の派兵已む無しという機運が高まっていた。
この情報を見逃さなかったギレン・ザビは早速連邦大使館と連絡を取り地球連邦議会議員の何名かと接触を持つことに成功した。
そして幾度かの極秘会談の結果ジオン共和国軍は建国以来初の地上軍を持つ事にいたったのだ。
これ等の活動は最初はキシリア・ザビ一派が行っていたのだが、ギレン・ザビは更に独自ルートを使いキシリアの目がグラナダに向いている隙にまんまと出し抜き連邦との協定を結ぶことに成功した。
そういったことからキシリア・ザビの見る目がきつくなっているのも仕方がないことと言えた。
「しかし兄貴、今の軍に地上に送れる戦力はそう多くはないぞ。本国の防衛を疎かに出来ん以上逆に戦力の分散に繋がるんじゃあないか?」
ドズル・ザビが軍の指揮官の立場として派遣される部下の心配と暗に地上軍の指揮権は誰が取るのかと聞いてきた。
「心配はいらん。送るといっても教導団と本国防衛隊から抽出した部隊だけだ。専ら地上での活動は連邦軍MSの教導と地上での運用データ、それに何よりこれは政治的な判断でもある。我が軍の力を地上に示し戦後の主導権を握る。お前も承知しているはずだ。」
そう、別にギレンは善意から地上に軍を派遣しようとしているのではない。
寧ろ連邦を地上に釘付けにし、長期化した戦争によって疲弊した連邦に代わり戦後の地球圏を支配するためにギレンは策を練っていた。
今は同盟関係を結んでいるがもしかしたら連邦と戦っているのはジオン共和国だったかもしれないのだ。
史実においてはハマーン・カーン率いるネオジオンがグリプス戦役で疲弊した連邦に漬け込みダカールを占拠。
更にはブリテン島ダブリンにコロニーを落下させその恐怖を地上の民に植え付け一時期は連邦そのものを支配した。
その彼女と同じ様にギレンもまた、今次大戦を利用し連邦を疲弊させ真の意味でのジオンの覇権確立を狙っていた。
たとえ世界が変わり、ダイクンの教えに疑問を抱こうとも若き野心は変らない。
ギレン・ザビは自らの強い使命感を持って地球連邦を自分の前に跪かせようと画策していた。
「だが兄貴。連邦はそう簡単には此方の思い道理には動かんぞ。それに連邦にはあのレビルがいる。あいつが軍の主導を握っている今事を急ぎすぎているんじゃあないか。」
ドズルが珍しく理知的なことを言っているように見えるが、彼は外見からは想像できないが一国の軍を率いる見である彼は当然それに見合う洞察力と何よりも政治的思考を兼ね備えていた。
彼本人は否定するが、こうしてジオン共和国がザビ家の私兵集団と言われていない所を見る限り唯の武人という評価はあまりに低いといわざる終えない。
「私もそう思います。兄上は少し急ぎすぎています。今は戦局を様子見しその上で今後の策を練るべきだと思います。」
キシリアもまた地上軍の派遣には難色を示しているように見えるが、内心地上軍の主権をこちら側に引き込もうという魂胆が見え隠れしていた。
「お前達の言いたいことも分かる。だが如何に強大な連邦とて連合とプラントを相手にすれば無理もする。ただ手をこまねいて見ていては折角の機会を棒に振ることになるやも知れん。」
ギレンはそう言ってドズルとキシリアの意見を退けた風に見えるが、家族である彼らには自分達の長兄が連邦の動きさえ折込済みで敢て危険な橋を渡ろうとしているのが見て取れた。
「分かりました。情報部のほうでも人員の選定と各部署との調整に参ります。」
「兄貴がそこまで言うのなら俺は反対せん。一軍人としてジオンの為に戦うのみだ。」
話は終ったとばかりに部屋を出て行く二人の後姿を見てギレンは暫し自身の思考へと没頭した。
休戦期間を利用して複数のルートで極秘裏に地球に降り立ったジオン軍は地上軍の指揮権及び連邦軍との折衝を地球通で知られる、マ・クベ中将に一任した。
並びにジオンの御曹司であるガルマ・ザビ大佐を地上に派遣することにより連邦にたいしてジオンの本気を示していた。
ジオン軍の地球降下の半月前から連邦軍はジオン地上軍の活動拠点としてカーペンタリアを用意した。
これはプラントと開戦によって既に基礎工事が完了していたカーペンタリアを再利用するためという形で連邦が再整備を行ったのだ。
また地球連邦議会の中でもコロニー国家であるジオンは如何にMSをもっていても地上戦では足手まといでありそれよりも後方においてのMSの教練のみに限定すべきだという声があったためだ。
しかしザフトが投入する様々な環境に適応したMSが上げる戦果とその脅威に晒される前線との間で軋みが生まれ、結局ジオン軍は連邦軍と共同で地上で戦うこととなる。
また地球に降下したことによるジオン本国の戦力低下を補うため連邦に対しジオンのザクをライセンス生産する事が認められ以後連邦でザニーの愛称で知られるこのMSは多くのMSパイロットを育てることとなる。
コロニー国家と地球上の国家。方や連合とプラント、方や連邦とジオン。
互いに似た立場である彼らは、しかし互いに異なる立場において其々が戦いまた同盟して戦乱の時代を駆け巡る。
C.E.70 六月五日
エル・アラメインの戦いに勝利したザフトはその勢いを駆り防衛線を突破しスエズ運河をその掌中に収めた。
アフリカ共同体は長年の悲願であったスエズ奪回と国土から連合の勢力を排除したことにより歓喜に震え、ザフトもまた地上に来て負け無しの進軍は振るわぬザフト宇宙軍とは対照的に隊員たちは皆楽観的な笑みを浮かべていた。
-このまま行けば自分たちの圧倒的勝利に終ると。-
スエズ奪還を目指した紅海艦隊はマルコ・モラシム率いるザフト潜水艦隊により海中に没し、事地球においては地上、空、海中において連合相手にザフトに敵は居なかったことは事実であった。
しかし彼らのトップ、プラント評議会議員等は事態をそう楽観しする事が出来ずにいた。
そもそもザフトの地球降下作戦の主要目的は、
1.地球連合のマスドライバー施設を奪取又は破壊することによって親プラント国家との通商路の確立と地球連合の疲弊を誘う。
2.破壊されたユニウスセブンに代わり必要になった食料を地球から賄う。
3.地球で”迫害され””虐げられている”同胞(コーディネイター)を”救うため”地球に住むコーディネイターをプラントに”移住させ”もって地球と宇宙との棲み分けを図る。
当初の予定通りアフリカのマスドライバー、バビリスを奪取し新プラント国家であるアフリカ共同体との連携も確保した。
しかし、地球から宇宙に、宇宙から地球にへと重要な物資人員の運搬施設であるバビリスが連合により徹底的に破壊されアフリカ共同体からの食料輸出が滞っていること。
地上の宇宙空港が破壊されたため満足な補給物資が集積できず、危険な地球軌道上に補給物資投下艦隊が足止めを食らっていること。
更には当初優勢であったザフト宇宙軍がジオン共和国との戦闘で疲弊し思うように制宙権の安全性が図れないこと。
大きく分けて現在プラントは上の三つの問題を抱えていた。
もし仮に連合だけが相手であれば、中立国や連邦ジオンなど複数の輸入ルートを使ってプラントの食糧事情を解決し、後背の安全性が図られていれば予定よりも早くオペレーション・ウロボロスを完遂できジオンに続いて二番目の独立コロニー国家が誕生しただろう。
当面のプラントは一刻も早く地球間航路を復旧させ、プラントの食料事情改善と地上部隊との連絡確保に心血注ぐこととなる。
しかし、史上まれに見る巨大建造物であるマスドライバーの復旧作業は技術に優れたプラントといえども困難を極め、アフリカ共同体との支援も受けてはいるがそれとて余裕が無い前線から掻き集めた物資だけではとても間に合うものではなかった。
せめてもの救いは連合が仕掛けた自爆装置全ての解体が完了し復旧作業員が安全に作業が出来、自爆の被害を受けなかった航空基地と周辺基地施設が使えることであった。
こんな中、ザフト前線将兵の間にはある作戦が真剣に議論されることとなる。
それは-地球連邦軍の打ち上げ施設を奪取する-というものであった。
地球連邦は連合やオーブのような大規模なマスドライバー施設を余り保有せず、各地に分散した打ち上げ施設で地球と宇宙との交通を行っていた。
その為、各地に分散した打ち上げ施設の警備は薄く少数のMSでも制圧出来るのでは?と前線の部隊は考えていた。
奇しくも連合との地上戦はザフト優位に進み前線には余裕が生まれており、南アフリカに送り込める十分な量の部隊が確保できていた。
ザフト地上軍司令部は前線から上げられてきたこの作戦を吟味し、マスドライバーが復旧するまでという期間制限とアフリカ共同体と共同で作戦を行うことで許可した。
アフリカ共同体は成立期から絶えず連邦領への進出を狙っていた。
連邦領南アフリカは北アフリカと違い、火星で培ったテラフォーミング技術により旧世紀以来警告されていたアフリカの自然破壊を食い止め地球有数の自然資源豊かな土地へと生まれ変わった。
更に、地球連邦は母なる守るべき地球のシンボルとして連邦の重要施設をアフリカに建設し、特にダカールは戦争が無ければ地球連邦議事堂の移転地候補にさえ上がっていた。
自分達よりも豊かな土地、暮らし、ゲリラに怯える事の無い日々、それらの誘惑から世界中からは連邦領への移民者が増加し隣国であるアフリカ共同体にとっても無視できない現象であった。
事実国内の優秀な人材は国を出て皆連合か多くは連邦へと職を求めていった。
豊富な資源、優秀な人材、地球圏経済の一角、これほどの土地をアフリカ共同体が欲しくない筈がなかった。
ザフトとしてはアフリカ共同体軍を動かせればそれだけで作戦の成功率は上がり、占領地の維持など後方任務に当てることでアフリカ共同体との分業を図ったのだ。
この話を持ち込まれたアフリカ共同体はザフトが思った以上に話に食いついた。いや食いつきすぎた。
アフリカ共同体は作戦に国内に残った軍を全て総動員してザフトの支援に当たるといってきたのだ。
流石のザフトもこれには面食らい、協議の結果アフリカ共同体の顔を立てるという形で予定よりも多くの部隊を作戦に投入する事となった。
思わぬ形で大規模な作戦を行うことになったザフト地上軍は本国に追加の増援と軌道衛星上からの支援を要請。
プラント評議会は地上軍の指揮を現地指揮官に一任しており要求どおり追加のMSとパイロット及び必要物資等の補充を行った。
だが、ここで問題が発生した。
連日の作戦会議で何時に無く乗りきのアフリカ共同体軍と旧連合軍出身のザフト指揮官とで大まかな作戦プランは決まり後はどこが主導を握るかという問題であったが...
これが大いにもめた。
と言うのも、降下したザフト地上軍は所詮は民兵、モラルや統制と言ったものから程遠い存在であった。
その為占領地での略奪行為や捕虜の虐殺など後を断たなかった。
友軍でさえ眉を顰めるその蛮行は、プラント特有のコーディネイター至上主義の弊害と言えた。
事実彼らは友軍であるアフリカ共同体と度々衝突し現地軍人や市民の間に不満が溜まっていた。
無論良識あるザフト部隊長や指揮官などは率先して隊の規律や軍の統制を図り一応の事態の収縮を見ていたが、しかしザフトと市民との間に大きな溝ができたことは事実であった。
軍としての機能に問題があるザフトの指揮に従いたくないアフリカ共同体軍。虎の子のMSを素人の下手で失いたくないというという意見とザフト地上軍の一部部隊のナチュラルの指示に従いたくないと言う本音とが混ざり合い結局のところ指揮権はそれぞれの軍が保有するということで一応の決着を見た。
ザフト地上軍、アフリカ共同体両軍は一見すると共同で作戦に当たる格好を示してはいるが内面は其々の部隊がなんら統一性や連携を考慮されておらず更に会議の一軒とあるザフト指揮官が不用意に発した一言で両軍の関係は好ましいと言えず互いに互いを「後ろから撃たれないだけの存在。」と揶揄し作戦開始前から部隊内で不協和音を奏でていた。
ザフト侵攻準備という情報を入手した地球連邦情報部及びジオン情報部は其々の観点から情報を収集整理し敵の目的が連邦領にある複数個所の打ち上げ施設であること。更には参加する人員と装備、軍の規模と侵攻予想ルート、大まかな日時までも割り出しザフトの作戦は連邦とジオンに筒抜けであった。
地球連邦は長年培われてきた諜報技術、人材、装備によって情報体制の甘いプラントを圧倒しジオンもまた女傑キシリア・ザビ直属の特別顧問団通称キシリア機関と連携更にマ・クベ中将が地球降下当初より築いた情報網は時に連邦よりも先んずる事もあった。
本格的な地上戦に連邦ジオンは悟られぬ様防衛の準備をはじめジャブローから送られてきた貴重なMSや戦訓獲得を目的としたガルマ・ザビ大佐やノイエン・ビッター大佐等が率いるジオン地上軍も参加し強固な防衛ラインを築いた。
両者の機密は徹底しており、連合にも気付かれないよう補給は極秘裏にジャブローを出発した潜水艦隊やミデアによる危険な夜間飛行等で戦力の増強を行った。
更にマ・クベ中将はザフト、アフリカ共同体との不和を見抜きアフリカに潜伏する反体制派やゲリラを煽り時にブルーコスモスにさえ極秘裏に武器の支援をして後方撹乱とザフトとアフリカ共同体との分断を図った。
無論それと平行してジオンシンパを増やすというキシリア・ザビから仰せつかった指示も忘れないあたり彼の強かさが垣間見える。
着実に防衛体制を整える連邦、ジオンに対し溝を埋められずにいた。
果たしてザフト・アフリカ共同体連合軍は連邦の強固な防衛ラインを突破し宇宙への活路を掴み取れるのか?
プラントの明日はどっちだ!!
C.E.70 六月十九日 5:00
太陽がまだ昇りきらない時間に国境から五十キロの地点に集結したザフト、アフリカ共同体連合は時間と同時にアフリカ中部旧コンゴ国境へ向け侵攻を開始した。
上空ではアフリカ共同体空軍機が幾筋もの尾を空に引きながら連邦の領空へと侵入していく。
まず口火を切ったのは後方に控えていた火力支援部隊であった。
アフリカ共同体が保有する重砲、野戦砲、自走砲大隊、MLRS大隊と足の遅いザウート更にスエズ攻略戦で鹵獲した連合軍自走砲などありとあらゆる火力が国境に降り注ぎ暫し舞い上がる砂埃で戦場が見えなくなるほどであった。
国境を一番最初に突破したのはザフトが誇る地上戦最強のMSバクゥであった。
四速歩行による高い地形走破性、機動性、安定性を持ちふくらはぎの部分に装備された無限軌道とで本機は連合の機甲兵力を圧倒した。
今回もまた、高い機動性と各種ミサイルポッド、レールガンの圧倒的火力により一気に連邦の戦線を突破し蹂躙するはずであった。
が、バクゥが国境線を越え姿を見せた途端連邦からの盛大な歓迎を全身に受けることとなった。
巧妙に隠蔽され強固な防衛陣地に寄ってひたすら砲撃に耐えていた連邦は今までの鬱憤を晴らす如く圧倒的火力をザフト侵攻部隊に浴びせかけた。
この時活躍したのがエイガー少尉率いる第三十三特殊重駆逐大隊であった。
エイガー少尉は連邦屈指の砲術のエキスパートであり自身が開発に携わった砲撃MSガンキャノン四機に加えジャブローから送られてきたガンタンク初期型三機、量産型が七機、これに自走砲二十両、各種大小の野砲と護衛の六一式戦車十二両を加え部隊間の通信を行う通信車両と砲撃の支援をするための観測車両等を加え総勢二千五百名ばかりの兵が彼に与えられていた。
一介の少尉にしてはこれ以上はないと言うほどの装備と人員を与えられており上層部の彼にかける期待の大きさが見て取れると同時に連邦においても今だMSの集中投入におけるノウハウの蓄積がなされておらず砲術の専門家であると同時にMS開発も任されているエイガー少尉に臨時に部隊を編成その指揮を任せ実戦での連邦MSの戦訓獲得を目論んでもいた。
兎に角エイガー少尉は上層部の期待に十分答え今までその進撃を止めることさえ出来なかったバクゥの足を止める処か火力の集中運用と高度な索敵射撃観測による高い命中率は実際の戦果以上にザフト軍に心理的圧迫感を与えていた。
味方のMSが撃破されずとも自分達の周囲に次々と打ち込まれる砲弾はそれだけでもどんな屈強なパイロットであっても精神を疲労させ、更に苛烈な砲撃で前進出来なく動かなければ撃破されてしまうと言うジレンマが益々彼らの精神を疲弊させた。
ザフト地上軍司令部は前線に突出した形になった友軍を救うため援軍のMSを派遣し別働隊を編成戦場を迂回させる指示を与えつつもアフリカ共同体軍に敵火点にたいして徹底的な砲撃と爆撃を要請し要請を受けてから三十分後攻撃により判明した敵火点に対してザウート隊と共にアフリカ共同体軍の砲撃が降り注ぐ。
それと同時にアフリカ共同体空軍の攻撃機部隊が戦場後方の連邦野戦砲陣地に向け飛び立っていった。
同じ頃アフリカ中部上空では熾烈な制空権争いが続いていた。
質、数に劣るアフリカ共同体空軍はザフトのディンの援護のおかげで何とか五分の戦いに持ち込めていたが、それは逆に今次作戦における貴重なMSを長時間拘束されることを意味していた。
連合との戦争で消耗していた空軍であったが、今次作戦にあわせ各航空基地からなけなしの戦力を集めそれでも足りない戦力をザフトの支援を受けることで何とか帳尻を合わせているのが現状であった。
逆に連邦空軍はアフリカ中部だけでも五百機を越える航空部隊を配置しており一回の出撃のたびに部隊を交替させ部隊の消耗抑制と制空権の維持に当てていた。
更に、戦場後方には常時空中管制機二機が展開し戦場全体を見張り航空管制や航空部隊の指揮を行っていた。それ以外にもジオン軍のガウ攻撃空母が少数だが後方に展開し出撃のその時を待っていた。
ディン対策に対しては現状で量産が始まったばかりのセイバーフィッシュしか対抗手段がなく専ら連合と同じ様に遠距離からのミサイル攻撃による一撃離脱を行うしかなかった。
ザフト軍も連合との戦いを潜り抜けた猛者達はそうそうミサイルに当たる事はなかったが、中々距離を詰めてこない連邦軍に対して打つ手がなくそれだけ見れば千日手状態であった。
しかしこの戦場にいるのは彼らだけではなく本来友軍である筈のアフリカ共同体空軍は度重なる出撃で早くもその戦力をすり減らしつつあった。
ザフトはディンを前に出すことにより少しでも被害を減らそうと努力したが、指揮系統が分けられていた為如何しても指示の遅れが生じてしまい余り効果を示す事が出来なかったのだ。
-ザフト地上軍司令部-
攻略戦にあわせ本国から送られてきた地上侵攻用兵器大型陸上戦艦レセップス級で指揮を取る「砂漠の虎」ことアンドリュー・バルトフェルドは地図上の戦力配置と味方から送られてくる通信とで自軍の不利を悟っていた。
「ダコスタ君、艦を二十キロばかり前進させるぞ。」
「はい?隊長何を言っているんです!!危険ですよ。それに本艦は後方での待機を命じられていますし...。」
バルトフェルドの副官であるマーチン・ダコスタは素っ頓狂な声を上げながら上官を思いとどまらせようと言葉を口にするが。
「といっても、このままじゃ幾らたっても前線を突破できない。空の連中も苦戦しているようだし今は少しでも戦力が欲しい。な~に、心配は要らないよ、ちょっと前に出て味方を支援するだけだから。」
なんでもない風に陽気な口調で指示を出すバルトフェルドに渋々ながらダコスタは同意せざる終えなかった。
三十分ほど前からアフリカ共同体と自軍のザウート部隊とが連邦軍火点に攻撃を集中しているが強固な野戦陣地に阻まれ思うように効果が望めず、逆にこっちの位置を割られて反撃を受けて被害を出す始末だ。
このままでは悪戯に消耗するばかりで目的を達成することは不可能に近かった。
「分かりましたよ。これより当艦は前進し味方の支援に向かいます。僚艦にも通達、機関の最大戦速!!それと各部隊にも支援に向かうとの連絡を入れろ。」
ダコスタは結局折れることになるがそれでも一応副官と言う立場上、上官に釘を刺すことを忘れない。
「言っときますけど危なくなったら直後退させますからね。また何時もみたいな無茶はしないでくださいよ。」
と、若干呆れ半分に言われたバルトフェルドは肩を竦め
「ヤレヤレ、まだまだ硬いねぇ。」
と首を横に振って言った。
-地球連邦軍ミニトレー-
連邦軍が誇る陸上戦艦ビッグ・トレー級を二回りほど小さくしたそれでも大型と言える陸上車両が前線から僅かばかり離れた後方で戦場を見守っていた。
無論艦橋の中では忙しなく動く艦橋スタッフと刻一刻と変化する状況に対応するために矢継ぎ早に司令官が指示を出し戦場特有の熱気に包まれていた。
「司令、現在ザフト及びアフリカ共同体軍は前線から凡そ二十キロの地点で侵攻を停止し目下我が軍の十字砲火の中にあります。」
「うむ、予定通りだな。しかし凄まじいなMSの威力は。」
艦橋の椅子に座る司令官は目を細めながら渋々といった。
「はい、特にエイガー少尉率いる重駆逐大隊は凄まじい戦果を上げています。特に彼らのおかげで厄介なMSの動きを封じる事が出来たのが一番大きいでしょう。」
副官は司令官の言葉を自軍のそれに向けたものだと思い、エイガー少尉らの事を言った。
「無論彼らの活躍は聞き及んでいる。しかしそれは従来兵器の延長線上でしかない。寧ろ私はザフトMSの方を評価すべきだと思う。」
司令官の意外な一言に副官は暫し面食らったが次の言葉を聞いて納得した。
「報告によるとザフトMSは重砲の一撃に耐えあれだけ熾烈な砲撃の中でも十分な戦闘力を維持している。加えてあれだけの巨体にも関わらず優れた機動性を発揮している。実際幾つか防備の薄い所を突破されかかったしな。」
確かにエイガー少尉率いる大隊は別として、ザフトMSは連邦軍が保有する通常兵器では撃破が難しく良くて行動を不能にする程度しかなく一見すると連邦軍が有利に見えるがザフトMSはまだ十分な戦闘力を保有していると言えた。
「まあ、だからといって負けてやるわけには行かないからな。頃合だろう予定通り部隊を後退させる。それと本艦も移動す、車掌指揮を頼む。」
司令官は部隊に指示を出した後ジット戦術モニターを見つめていたが頭の中では想像以上のMSの性能に如何に対抗するか方策を練っていた。
アフリカ中央部での戦闘が激化する中、戦場を遠く離れた渓谷に数機のMSが互いに警戒しながら進んでいった。
「隊長、本当にここを通れば連邦の裏側に出れるんですか?」
MSの大地を踏締める振動の影響で若干モニターのノイズが激しくなる中、部下の一人がそう疑問を示した。
「情報通りなら、ここを突破すれば連邦の裏側に出れる。あともう少しの辛抱だ、我慢しろ。」
そういいながらも彼らは彼是30分以上もの間、戦場を離れ味方が戦っている中ここだけがまるで何事も無い道無き道を通っているのだ。
彼らが不満に思ったり暇を持て余すのも無理は無い。
「ですが隊長、私にはその情報もどうも信用なら無いんですわ。だってそうでしょう、反連邦ゲリラなんてそうそう信用していいもんじゃあない。」
彼らが今渓谷を進んでいるのは、作戦計画のさい現地民を使えないかということで幾つかのゲリラ集団と接触を持ったのだが、彼らにして見れば連邦も、連合も、プラントも関係なく自分達の敵という訳で手荒い歓迎を受ける事となった。
そんな中、マブリブ解放戦線と名乗る武装集団がザフトに協力してこの渓谷の情報を流したのだ。
情報分析の結果、極めて高い精度の情報である事が確認されたが地上に来て手荒い歓迎を受け続けたザフトは中々信用したがらなかった。
無論、アフリカ共同体と情報の真偽を図るなど出来るはずがない。何故なら彼らにとってもゲリラは敵なのだから。
だが、現に彼らは少数とはいえこうしてそのゲリラの情報に従って渓谷を進んでいた。
そんな彼らを荒涼たる風景と見上げた蒼い空と太陽だけが彼らを見ていたわけではない。
ジオン軍が使用するジープの上で立ちながら、スコープを覗くノイエン・ビッター大佐は情報通りザフトのMS隊が渓谷を進んでいるのを確認した。
その後ろでは数機のザクが片膝を付いた状態で待機しており、ザフトMS隊がここに来ることを分かっていたようだ。
何故彼らがザフトMS隊の情報を掴めたかというと、そもそもジオン共和国地上軍最高司令官マ・クベ中将は南極条約の折から地球各地に点在するゲリラや反連合勢力と接触を行っていた。
そして、今回もまたザフトの戦力を削るため敢て反連邦ゲリラに近づき武器や一部物資を融通する代わりにザフトMS隊を誘き寄せる為のニセ情報を流させたのだ。
この他にも、アフリカ共同体内の現地ゲリラの手引きを受け、ランバ・ラル隊や複数の部隊が潜入しザフト、共同体の侵攻と同時にゲリラ活動を行うこととなっていた。
ジオン地上軍はザフト地上軍と比べMSの質こそ同等であるが、数では大きく遅れを取っていた。
これは地球連邦軍に対する配慮と政治的理由であり、事実ザフトはMSを二百機ほど地上に降ろしているにも関わらず、ジオンは八十機とごく少数であった。
それでも貴重な戦力であるMSを温存する訳にはいかず、連邦軍と共に防衛線を守るMS以外は、熟練の指揮官らに率いられてのゲリラ戦や奇襲などでザフトに対抗しようとしていた。
「数は五機、いや六機か。思った以上に少ないな。」
ノイエン・ビッター大佐はかかった獲物が予想よりも少ない事に少しだけ残念そうに呟きながらも通信機を片手に持って部下たちへ指示を出した。
「敵はジン六機だ。数は少ないがだからと言って油断はするな。作戦通りに遣ればいい。後の事は現地の指揮官に一任する、以上。」
と、短く指示を出し終える合間に起動準備を終えたザク達が緑色の巨体を揺るがし、バーニアを吹かしながら渓谷へと飛び上がっていった。
一方、アフリカ共同体領内では無事潜入を果たしたジオン軍ゲリラ部隊が活動を開始していた。
「ラル大尉、情報通り共同体軍のコンボイを発見しました。数は凡そ三十、結構大規模ですな。」
クランプが連邦製のスコープを覗きながら、砂塵を巻き上げ猛然と進むコンボイを視界に納めながらいった。
「よし、久しぶりの地上だからな。皆腕は鈍っていないだろうな。」
「任せてください、ラル大尉。みな再び貴方の元で戦えるのを待っていたのですから。」
ラル大尉は部下からの頼もしい返事を聞きながら自身の愛機へと乗り込んでいく。
彼らは砂漠の中にある中規模のクレーターにキャンプを張り、その他にも幾つかの拠点を設置しゲリラ活動に従事していた。
クランプが偵察を終え、砂丘を滑り降りて来るのを確認しながらその下でランバ・ラル隊のMSが
トレーラーに乗せられた、仰向けに寝かされたMS-06J陸戦型ザクⅡは彼のパーソナルカラーである青色に塗装され彼専用にチューニングが施された機体に乗り込み部下たちと共にコンボイへと強襲を掛けていった。
アフリカ共同体にとってはそれは悲劇以外の何者でもなかった。
砂漠の大地を、長い列を作って走っていたコンボイはジオンゲリラ部隊の格好の的でしかなかった。
ランバ・ラル隊のアコース少尉のザクが手に持つバズーカを戦闘を走る車両に叩き込み、それを合図にして砂丘の陰から次々とジオンのキュイやワッパが飛び出しコンボイへと攻撃を仕掛けていった。
「さあて、狩りの時間だ。かかれぇ!!」
突如としてMSに強襲を掛けられたコンボイは慌てふためき満足な反撃も退避も間々ならず次々とMSやゲリラ部隊に蹂躙されていった。
比較的後方に位置していたコンボイも、先頭で起こった混乱を確認する暇も無くバズーカを叩き込まれコンボイは地上で立ち往生することとなってしまったのだ。
キュイがその特徴的な車体でコンボイに迫り、ワッパが低空を駆け巡り戦線を撹乱し、MSが次々と護衛の車両を破壊していく。
ものの三十分もしない内にコンボイは壊滅し、アフリカ共同体の侵攻作戦に大きな遅れを齎す事となる。
-アフリカ中部-
エイガー少尉は高台でにホバー・トラックの車内で砲撃指揮を取っていた。
大砲屋である彼が何故自身が開発に携わったMSや本職である自走砲などに乗り込んで指揮しないかと言うと、それらの機体では揮下の部隊を指揮する事が出来ないからである。
彼が乗るホバートラックは、元々は都市部や山岳地帯での対ゲリラ様に開発がされたもので武装こそ20mmバルカン砲一門と少ないものの名前の通りホバー走行による高い機動性と地形を選ばないという事で戦前から各地で配備が進められていた。
しかしMSが登場する時代になると、このホバー・トラックは新たな任務を与えられる事となる。MSはNJやミノフスキー粒子下での運用を基本とするが、そのため従来の索敵、通信機器では十分な支援が出来ない事が判明した。
これを解決するために、幾つかの試作品が作られた中で高い生産性と通信、索敵性能更にはMSの行軍に追従できる地形を選ばない機動性とで本機の改修案が出されミノフスキー粒子下でも運用をに対応するために改修を施され74式ホバー・トラックとしてMSを装備する部隊に優先的に配備されていった。
そんなことでエイガー少尉もまたホバートラックに乗り込み、今現在後退を始めている前線の支援を行っていた。
「少尉殿!!前線で一部部隊が取り残されていると言うことです。本部から支援砲撃要請が出されています。」
「今全力を上げて味方の後退支援を行っている所だ!!そんな余裕は無い。前線にはもう少し耐えてくれと連絡してくれ。」
エイガー少尉らは前線から送られてくる支援要請を捌きつつも、それでも尚余裕が無い状態であった。
無論彼ら以外にも火力支援部隊はいるが、ザフトMSにとって有効打となる兵器を保有しているのはエイガー少尉の部隊しかいなかった。
これは連邦の兵器の威力と言うよりも、ザフトも又ジオンと同じ様にジンを地上戦用に改良を施しており、正面装甲が分厚くなっている為だ。
更に、後方に待機していたレセップス級大型陸上戦艦が前線に現われて40cm砲で攻撃してくる中、防衛ラインに綻びが生まれかかっていた。
この陸上戦艦に対抗するのにアフリカに配備されているミニトレーでは分が悪く、唯一対抗できるのはビック・トレークラスしかないが生憎と他の戦線に持って行かれている為手詰まりの状態であった。
レセップスの砲撃支援により戦線を越えたバクゥを何とか撃退しつつも、前線では今だ降り注ぐ艦砲射撃により後退ができない状態が続いていた。