超闘争   作:四脚好き

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第34話

7年後

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 2037年7月5日、かぐやが初めて地球にやって来た年から7年が経過した年。ついにかぐやとヤチヨは肉体をもって完全に現実に帰還した。それを祝うパーティーが開かれ、当時から俺達が住んでいたマンションの俺の方の部屋にネスト、ブラックオニキス、獅子堂瑛斗・獅子堂真実夫妻が集まっていた。ヤチヨはこの7年の内にいつの間にかネスト入りしていた。……もとがかぐやだし入ってて当然と言えば当然だが。

 

「うぉーー! 味! 味がするよ彩葉ぁ!」

「はいはい、分かったからもうちょっと落ち着いて食べなさい」

「……美味しい。ずっと、ずっと食べたかったんだ、パンケーキ。うん……本当に……美味しい」

「良かったな、かぐや(ヤチヨ)

 

 目の前でデザートのパンケーキを頬張るかぐやとヤチヨ。……パンケーキってデザートなのか? あ、別腹? あ、そうなんだ……。

 俺がヤチヨの頭を撫でると心地よさそうに手のひらに頭を摺り寄せるヤチヨ。あぁ……本当にかぐやとヤチヨの二人が現実にいる……。ここに来るまで本当に長かった……。

 

 かぐやをツクヨミに連れ帰り様々な事情説明が終わった後、俺がまずさせられたのは遺書の場所を教えることと、同封していたプレゼントを彩葉たちに身に付けさせることだった。といっても当時の俺は目が殆ど見えて居なく身に付けさせるのには大変苦労した。リンも態々神奈川からぶっ飛んで来たんだもんなぁ、びっくりしたよ。その上で遺書については『そんな縁起でもないもの見たくもない。なにか大事なことが書いてあるならそれを口に出して今言って』とのことだったので見ることはなく彼女たちの前で破り捨てることになった。

 

 その後、彩葉はなんと理転。工学部を目指し始めた。一体どうしたと思ったかぐや達に肉体、ロボットの体を与える、それも味覚や触覚といった様々な機能を持ち合わせたアバターボディなる完全な義体の完成を目指すと言ったのだ。多くの困難が立ちふさがる道だが彩葉は『それでもやりたい』と必死に努力してまさかの東大工学部に一発合格。その後主席で卒業。うちの両親とのコネを存分に活かして烏丸研究所に入所、その後若干24歳にして東京支部を立ち上げ支部長に就任。かぐやとヤチヨのアバターボディ、そして俺の義眼を完成させた。

 ……え、なんだこの超人?

 

「どうしたの九朗。そんなジッと見て?」

「いや……こう今まで彩葉がやってきたことを考えてたらちょっと『え、こいつヤバくね』ってなっただけ」

 

 かぐやの口元を拭いてあげている酒寄彩葉(24)の姿をジッとみる。かぐやとヤチヨが主導し俺も含めた他のネストの面々が努力したお陰で睡眠時間、食事内容などがドンドン改善され、元も綺麗だった彼女は研究者でありながらそこらのモデルにも引けを取らない美人へと変貌した。……今だに彼氏の一人が出来たなんて話を聞かないのが少し不安だが。……まぁ、かぐやとヤチヨいるし別に良いのか。

 

「ほんと、彩葉ったら綺麗な上に大天才すぎ~」

 

 お酒の注がれたグラスを傾けながらそう言い放つのは芦花。彼女の美貌は高校の時からますます磨きがかかり、現在大人気インフルエンサーとしてブランドのアンバサダーをしている。街中で芦花の姿が写らない広告を一枚も見ることがない、なんてことはあり得ないほどの人気っぷりだ。

 

「ほんっと、凄いよね~、彩葉。ノーベル賞の化学賞、生理学・医学賞の最年少受賞おめでとうー!」

「それからイグノーベル賞の受賞もおめでとう」

 

 そう笑いながら話すのは獅子堂真実(旧姓 諌山)と獅子堂瑛斗。高校卒業後、真実は栄養学部のある大学に進学した。そして瑛斗は卒業後プロ野球選手として活躍。高校時代からのバッテリーはいまだ健在の様でグラウンドの上で猛威を振るっている。そして真実の大学卒業に合わせて瑛斗がプロポーズ、結婚へ至り、現在双子の親になっている。

 

「ありがとう、二人とも。けど、瑛斗君。イグノーベルの方は言わんでいいから」

「ふふふ、受賞が発表されたときの彩葉さんの顔、面白かったなぁ……」

「ちょっとリンちゃん?」

 

 あぁ、あの時の表情は本当に傑作だった。思い出し笑いをしそうになるのを目の前で彩葉に頬を引っ張られて笑いながら『降参、降参です』と言っているリンの様にはなるまいと必死に抑える。リンは現在大学生。意外なことだが父さん、母さんとは違い法学、というより政界の方を目指しているらしい。なんか『変えたい法律がある』って言ってたけど何なのだろうか?

 

「彩葉さん、折角の祝いの場ですしある程度手加減してあげて下さいね」

「と、止めてはくれないんですか?!」

「あはは、誰も怒った彩葉ちゃんを相手なんかしたくないですよ~。リンちゃんは自業自得ということで~」

 

 彩葉に手加減するように言ってリンの自業自得を笑うのはカヨコと広美。カヨコは独立し自身の呉服屋を立ち上げた。主に黒色の商品を中心に扱っていて、黒と一言で言っても沢山の色と合わせたり、僅かな色味の違いのものを取り揃えている。黒い店の中に溶ける彼女の黒い髪と逆にハッキリと見える赤い瞳が独特の雰囲気を醸し出す妖しくも艶やかな雰囲気の店だ。『黒は女を美しくする』みたいな言葉をどこかで聞いたがまさにその通りだと思う。はて、聞いたのは今世だったか前世だったか……?

 まぁ良い。一方の広美は大学卒業後、本格的にMCとして仕事を始めた。広美の盛り上げ上手な明るい性格とそのルックスから現在はツクヨミ、リアル問わず多くのイベントに司会役として引っ張りだこだ。今ではイベント内容はあまり知らなくても広美の司会が聞きたいがためにイベントに参加するなんていう酔狂なファンが数名いるぐらいだ。ちゃんと仕事が終わればこの家に帰ってきてくれるが今の所ネストの中で一番家にいない時間が長いのは広美かもしれない。

 

「ははは、なんだ! 現実の方だとこの家で一番強いのは彩葉なのか? なぁ九朗、どうなんだ?」

「朝日、大分酔ってるねー。ゴメンね、九朗。しばらく絡まれといて♡」

「また……大騒ぎが始まるな」

 

 ビール瓶を片手に俺に寄って来たと思ったらバシバシと俺の肩を叩いてくる帝アキラこと酒寄朝日。こいつ、こんな悪酔いするタイプだったのかッ!? そんな朝日を見て俺に手を合わせ小さく舌をだしてゴメンとかるくポーズする乃依。そんなやり取りを少し離れた位置からみて呟く雷。……いや、これ、雷もちょっと酔ってるな!? く、くそぅ……俺は何故かネストの面々から飲酒禁止令がだされてるから飲めないというのにバカスカ飲みやがってぇ……。ブラックオニキスの三人はまだ絶賛活動中で、今だツクヨミ人気トップを独走している。ほんっと、恐ろしいライバーたちだ。朝日と乃依に関しては別に驚きもしなかった。ただ彩葉は個性的な兄と弟に挟まれることになって苦労しそうだな、と思ったぐらいで素直に祝福させてもらった。

 

「まぁ、実際家の中だと一番発言力あるのは彩葉だな。さすが超人」

「超人って、まだまだだよ。アバターボディもヤチヨとかぐやの協力で月の技術がなかったらあと4、5年は完成までかかってただろうし、烏丸研究所の協力、お兄ちゃんと九朗の出資がなかったらもっと時間がかかってたかもだよ。今度は地球の技術だけでアバターボディの完成を目指さなきゃ」

「相変わらず目標が高いこと……」

 

 そしてかぐや奪還、遺書破棄の後、俺が最初に手を付けたことは社会復帰。いつまでも休学している訳にはいかず本格的に盲学校を選ばなくてはと考えているときに俺の両親がヤチヨと共に製作した義眼を持ってきた。僅かに残った右眼の視力を補助して視界を確保する為のものだ。ヤチヨが色々隠さなくなったお陰で張り切ってデータを提供し、その義眼を烏丸研究所が実際に作ったというものだ。その義眼のお陰で俺は転校せずに済み、彩葉達と同じ高校で思い出を作ることが出来た。『見た目とかにも拘ったより高性能な義眼はちょっと待ってて』と当時言われ『このままでも十分じゃないか?』と意味が分からなかったが、数年後彩葉がアバターボディにも使われる人工眼球を持ってきたことでその言葉の意味が分かった。

 現在俺はプロゲーマーとしてブラックオニキスと同じ事務所に所属している。俺にできることなんて結局『KASSEN』で勝利することのみ。プロゲーマーとして勝利を重ね彩葉に資金提供することで協力しようとしたわけだ。そこでブラックオニキスの面々に相談したところそのまま自分たちの事務所に説明してくれたらしく『是非ウチの事務所に!』とんとん拍子で就職先が決まった。アイドル的な要素は乃依に指導され、朝日からは資産運用の仕方などを教えて貰った。雷は何故か綺麗なピースの仕方となぜかファミリー向けのおススメ旅行先をよく教えてくれる。……俺はまだ独り身なんだが? 

 

 それから個人的に驚いたことだがこの世界にフロムがあった、というよりかは誕生していた。俺がこの世界にフロムはない、と捜索を打ち切った後、いつのまにか企業向けアプリケーションソフトの作成会社としてこの世に産まれていた。かぐや奪還作戦のあと両親が感謝する為に協力してくれた企業、団体のリストを作っていたのだが、そこに物凄く見覚えのある企業の名前を見つけたときは狂喜乱舞した。そのときは嬉しすぎて三日三晩かぐやと『KASSEN』し続けて電子の存在になり疲れなくなったはずのかぐやをダウンさせたほどだ。7年たった今もフロムはビジネスアプリの開発をし続けていて大人気企業へと成長していた。

 ……もしかしたらこの世界のフロムはこのままアプリの会社として発展していく運命なのかもしれない。少しだけ残念な気持ちもあるが、俺も前世に囚われずにこの世界で好きに生きると決めた身だ。この世界のフロムにはこの世界のフロムの生き方ってものがあるんだ。無理にゲーム業界に突っ込ませるわけにはいかない。ただこれからも筆頭株主ではあり続けるけどな! ゲーム業界に参加したくなったら是非言ってくれ! 資金提供は好きなだけするから! え? 口出し? んなことするわけないだろ! クリエイターたちが好きなもん、好きなように作れるように金を出すだけだよ! それが一番良いゲームを生み出すんだから! 

 

「ハッピーエンド、か」

「九朗?」

 

 俺の呟きに彩葉が反応する。

 

「色々考えていたんだ。……ようやくたどり着けたかなってな。 どう思う彩葉?」

「そうだね、私も幸せかも。でもまだ一つ手に入ってない物があるんだけどね」

 

 へぇー、この景色が終わりではないと。一体何が欲しいんだろうか?

 

「ま、彩葉のことだ。すぐに手に入るだろうさ」

「……よう言うたわ。7年前からずっと手に入らんのに……ほんまに」

 

 ん? い、いきなり京都弁? 7年前から? え、かぐやが来た時から欲しいものがあったのか?

 

「別にええけど、近い内に絶対手に入れてやるから」

 

 そう彩葉はいつかの時の様に力強い決意に満ちた目でこちらを見てくる。何が欲しいのかは分からないが彩葉がこんな表情をしたんだ。もうそいつは逃れられないだろうな。

 さて……彩葉たちのハッピーエンドはもうすぐだし、俺も自分のハッピーエンドの為に動き出しますかね。

 

「なぁ、ヤチヨ?」

「どうしたの九朗?」

 

 ヤチヨの方に顔を向け、名前を呼びかける。

 

「少し気になってたんだがな? 意識をこうして電子から肉体に移しただろ? 7年前にそれっぽく条件だししてヤチヨが反対しなかったからある程度確信はしてるんだが……肉体から電子に魂を移すことも出来るんだろう?」

「「「「「……」」」」」

「……それを知って、九朗はどうするつもりなのかな?」

 

 俺が質問した瞬間、一気に会場が静まり返ったんだけど……。え、なんで? 俺が混乱しているとヤチヨが俺の顔を見上げながらゆっくりと聞き返して来る。え、目ぇ真っ暗じゃんコワァ……。っとまぁ、どうするつもりもなにも……。

 

「ヤチヨみたいに電子の海の中の存在になって肉体の枷を外れ疲れ、食事、睡眠といったものから解放されて永遠に戦い続けたい! 身体が、意識が闘争を求める限り!」

 

 これしかないだろう!

 

「……相変わらず、だね」

「ヤッチョ驚いちゃったなぁ……まだそんな考えがあるなんて」

「私は勿論かぐやもヤチヨも頑張ったけど完全克服ならず……いや、AMSが出来て悪化したかもね」

 

 かぐや、ヤチヨ、彩葉が口々にそう言う。ん? なんか他のネストメンバーもため息ついてより顔を怖くしてるし……。逆にブラックオニキスや真実たちはなんか青い顔して帰る準備してる? なんだ、なんだ?

 

「よしっ! それじゃあ私と瑛斗は子供両親に預けてるしそろそろ帰るね! 二人とも孫にデレデレで甘やかしちゃうからちゃんと迎えに行かないとお菓子ばっかり食べちゃうんだから!」

「そうなのか、じゃあな。気をつけて帰れよ真実、瑛斗」

「存分に分からせされろ、頭KASSEN」

 

 えぇ……急に久々の罵倒を真実からされたんだけど……。

 

「じゃ、俺らもお邪魔するわ。次会うときはお義兄ちゃんって俺の事呼ぶんだぞ!」

「あ、俺もお義兄ちゃんって呼んでね♡ 弟欲しかったんだよねー♡」

「頑張れ」(ピースサイン)

「は? なんで―――」

 

 言い返す暇もなく、ブラックオニキスも家を出ていった。……え、ギリ朝日は分かるが乃依まで兄なの? というか雷は何を頑張れって言ったんだよ!? 頑張るのは最近事務所の女性と良い感じのお前の方だろうが!

 混乱する俺の腕を彩葉とかぐやがガシリと掴む。

 

「かぐや?」

「かぐやも肉体が出来たし、やっと『あの時あげたかったもの』、あげられるね……」

「恥ずかしかったけど"ここ"もしっかり作ったからちゃんと気持ちよくしてあげるね」

 

 反対側の腕をヤチヨに捕まれ立ち上がらされる。

 

「言うとくけど、九朗が悪いんやで。……欲しかったもん、今手に入れることにしたから」

「彩葉?」

 

「九朗はやっぱりそれを望んじゃうんだ……絶対そうさせないから。だめだよ九朗。ここが九朗の(ネスト)なんだから」

「芦花?」

 

「ふふ、えぇ。いつまでたっても手を出してこない九朗さんが悪いんです。それに私も、もうこれ以上は待てませんから……」

「カヨコ?」

 

「やっと、やっとなんですね! もぅー、7年前の介助の時からずっと、ずっと我慢してたんですから! いっ~ぱいワンワンさせちゃいますよー」

「広美?」

 

「お兄ぃ……いいえ、九朗さん。両親にはしっかり話して、この想いが止められないことも理解してもらいました。だから思いっきりぶつけます」

「リン?」

 

 え、まって本当に何? みんなして俺を隣の彩葉の方の部屋に押して連れて行こうとするじゃん。

 

「ま、まって! な、何をするつもりだお前ら!?」

「何ってまぁ……『KASSEN』?」

「え?」

 

 あぁ、なぁんだ、ただの『KASSEN』じゃぁ別に良いか。俺は抵抗を辞めて押されるがままに彩葉たちの方の部屋に入る。ガチャリと誰かが鍵を閉めた音が聞こえる。

  えぇ……なにこのリビングにあるクソデカいベッド……みんなして寝れそうじゃん。いつの間にこんなもの運び込んで―――

 

「ッぷえっ!?」 

 いきなりベッドに向かって投げ飛ばされる。うぉっすっげぇフカフカ。何だろこの手触り……撥水加工でもされてる? 

 

「な、何を!?」

 

 それはそれとして投げ飛ばされたことに文句を言おうと彩葉たちの方を振り向いて言葉を失った。なんでみんな服脱ぎ始めてんの? パジャマとかそれぞれの部屋にあるしみんなで寝るにしても着替えてから―――。

 

「誰が一番に行きますか!?」

「うーん、私は何でも良いかも」

「取り合えずかぐやとヤチヨと広美さんは最後の方で」

「えぇ―! なんで!? 彩葉酷ーい!」

「うるさい、三人ともそれぞれ過去に抜け駆けしようとしてたでしょ! その罰よ! それから芦花、何番でも良いなんてダメ。芦花ももっと積極的になって良いの!」

「うっ、そ、それは……」

「うぅぅ8000年の記憶のせいで余罪が……」

「はい……忠犬我慢しますぅ……」

「私は年長者ですし最初は譲りますよ。やっぱり彩葉さんからでいいのではないでしょうか?」

「っとなると彩葉さん、芦花さん、私、カヨコさんでその後は抜け駆け三人衆で決めて貰いましょうか!」

「リンちゃん遠慮ないわぁ……。あ、あと気合入ってるところ申し訳ないけどリンちゃんはゴムしといてね」

「え!?」

「同性間で子供を作れるようにはしたけど、まだ近親姦の危険性を無効化するブレイクスルーは起こせてないから……。もう少し待って!!」

「分かりました……待ってますからね」

 

 な、なんか俺が知らない間に色々話が進んでるんだけど!? 

 

「ま、まって! な、何をしてるんだお前ら!? 『KASSEN』するんじゃなかったのか!?」

 

 てっきり俺はネストメンバーの総力戦が始まるのかと。

 

「あぁ、それは嘘」

「彩葉!?」

 

 嘘、うそなの!? 

 

「騙して悪いけど、運命なの。頑張ってね」

「最近(九朗の体調も)随分調子良さそうだしねぇ……問題ないでしょ!」

 

 ヤチヨとかぐやがそう言い放つ。ここまで来れば自分が一体何をされようとしているのか嫌でも分かる。ある程度改善はしたが相変わらず俺の現実の身体はこの面子で一番力が弱いまま、抵抗なんて無理に決まっていた。

 

「あっ……え、……や、優しく、してください」

 

 俺はそう懇願するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くして俺の苗字は酒寄になった。なんなら芦花やかぐや、ヤチヨといったネストのメンバーも酒寄性になった。後の歴史に彩葉の名前がどう残ったかを表すなら……まぁ、『天才と変態は紙一重』って感じで伝わってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??年後

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「やった! 最速タイム更新! ふっふーん、やっぱりサッチョてんさーい!」

 

 私、酒寄サチヨ! 青春真っ只中の高校二年生! 現在私は全世界でもっとも人口が多い仮想世界『ツクヨミ』で出来る『KASSEN』の『八つの試練』と呼ばれる様々なプレイ技能の腕前を競うチャレンジモードをプレイしていた。

 なんでもこのモード、出される八つの試練すべてを一定以上のスコアでクリアすると挑戦できる9個目の試練があるともっぱらの噂! そんな噂の真偽を確かめる為こうして夏休み前の三連休、試練に挑み続けた訳なんだけど……。

 

「どうだ! 全部S評価!」

『お~見事~! 良き『KASSEN』でしたー!』

「……月見、ヤチヨ」

 

 私がリザルト画面で両手を合わせてお祈りしていると上空からツクヨミの管理人月見ヤチヨがやって来る。

 ……月見ヤチヨ、ずっとずっと昔からツクヨミの管理人をしているAIでずっと昔には機械の体をもって人間と同じように現実で生活していたらしい。そして私の何代も昔のおばあちゃんだという。今でこそ当たり前だけど大昔の大天才『酒寄彩葉』博士は何を思って同性間、近親間、ましてや機械の体をもった相手との間に子供を作れるようにしたんだろう。

 

『ハイスコア、おめでとうー! 流石、私と九朗の子孫だね。さぁて、そんな素晴らしい腕前を持った君にはなんと……』

「な、なんと……?」

『隠しボス! 9個目の試練への挑戦権をプレゼントしちゃうよー!』

 

 やっぱりあった! 9個目の試練!

 

『それじゃあ、この特設ステージの端にある天守閣から謎の地下施設へ、れっつごー!』

 

 そして私はヤチヨの案内に従いステージの天守閣から地下施設へと向かう。 ……今だ一人もクリアしたことがなく、半ば都市伝説と化している9個目の試練……一体どんな敵が待ち構えているんだろう……。私はエレベーターでツクヨミの最深部に降下しながら興奮と不安を覚えていた。

 

九朗、起きて。8つの試練を突破したプレイヤーが現れたよ。それも歴代トップのハイスコア。きっと九朗も気に入るよ

「成程……それは楽しみだ」

 

 

『全システム、チェック終了……』

「キャッ!?」

 

 突如として足場のエレベーターが崩壊して私はツクヨミ最深部に着地する。……暗い。それに障害物もなにもない円形フィールド、逃げ場はないわね。

 

「それで貴方が最後の試練?」

 

 私は暗がりの奥にいる。一人の武者を見つめる。……とても綺麗な人。顔の左側についた大きな傷跡が目を引くけどそれが気にならない程綺麗な男の人。男の人は肩の部分が大きく⑨というマークの入った紅い鎧に身を包み。両手、両肩に刀を装備している。両肩の刀の鞘は僅かに大型化しておりブースターみたいにも見える。……まさか飛んだりしないよね……。

 その男のNPC? それにしては理性ある目をしているし……ヤチヨと同じAIかな?  ともかく、男の人は私の姿を見るなり剣を構え、こう言ったのだった。

 

『ターゲット、確認。排除開始』

 

 

 




・原作より早めに完成したアバターボディ。ただし月のプログラムなど地球でのオーパーツを多量に使用。
・これから原作の純地球の技術のみでのアバターボディ開発が待っている酒寄博士。
・のちに烏丸研究所から独立『酒寄研究所』開設。
・超担当の能力はいくら盛っても良いって読者が言ってた。
・政治関係にはリンちゃんがフィクサーとして干渉。円滑にかぐやの人権などを世界に認めさせた。他の偉業? ……婚姻関係の法整備かな。

・騙して悪いが。





・⑨郎くん
・ちゃっかりヤチヨを丸め込んで電脳化に成功してる九朗くん。戦い続けたいのも本気ですが、いつか言った『8000年の孤独を味わったぐやがいるならその孤独以上に楽しい思い出を一緒に作ってやる』という言葉の通り8000年以上ヤチヨの隣にいるつもりだったりします。


 はい、という訳でひとまず完結です。あとは地球が滅ぶか、ツクヨミがサービス終了するか、ヤチヨが九朗君を削除するまで五感の実装されたツクヨミでイチャイチャしたり戦ったりの日々が続いていくだけですから、九朗君の物語はこれでお終い。
 感想を下さった方、評価を下さった方、孤児報告をして下さった方、本当にありがとうございました。

 『超かぐや姫』最初はボカロや仮想世界といった単語でなんとなく避けていた作品でしたが劇場で見てドはまりしました。もっと早く見ておけばよかった……あーあー、もうちょっと劇場で見たかったなぁ……。

 この作品で初めてランキング乗りましたし、フロム民としては1位より嬉しいかもしれない9位という順位に輝くこともできました。本当にありがとう、『超かぐや姫』……9月18日は劇場に行くぞ、絶対にな! 


 しばらくは本編で描写するまでもないと判断した部分を番外編をボチボチ書いていく書いていく予定です。
 取り合えず、オタ公との『KASSEN』、紅葉さんとの対話、隻腕月人の襲来は書かないとでしょ。

 では、さらばーい。

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