超闘争   作:四脚好き

6 / 6

そう言えば日間9位にランクインしました!(2026/5/21)
初めてランキングに乗ったのですごく嬉しかったです。これが超かぐや姫パワー……。
しかも『9』位ですよ! 9! フロム民としては1位よりも嬉しいかもしれない。
 こんな作品ですが最後までよろしくお願いします!

あと、感想欄で思ったよりも妹ちゃん人気で嬉しいです。 


第6話

カフェ

────────────────────────

 

「という訳で俺と彩葉は3連休中ずっとアイツ……かぐやの面倒を見ていたわけだ」

 

 俺は芦花と真実の二人にこの3連休中にあった出来事をできるだけ詳しく話した。彩葉が七色に光る電柱から赤ん坊だったかぐやを拾ったこと。近所と言うこともあり頼られたという事。その赤ん坊が3日で成長したこと、それがかぐやであること。本人曰く月からやって来たという事。ここまでツッコミどころ満載だと思うが二人とも遮ることなく最後まで聞いてくれた。ただ最後に学習能力が高く『KASSEN』での技術を仕込めば最高のエモノになるという計画を話そうとしたら『それはいい』って遮られた。くそぅ……。

 

「なるほど、本当に月から来たんだ……」

「それじゃぁ、お寿司屋さんは知らないかー」

 

 二人は納得したように一息入れてパンケーキを口に運ぶ。……俺も食べるか。かぐやのやつホイップクリームの付いてる部分だけ食っていきやがった。

 

「だいぶおかしなこと言ってると思うが二人とも信じるのか?」

「んー? まぁ、何言ってるのとは思ったけど最後の『KASSEN』の話、九朗くんが『KASSEN』に関わることで嘘はつかないし、それまでの話も本当なんだろうなーって」

「彩葉も九朗もそういう嘘をつく人じゃないって私たちは知ってるから。勿論信じるよ」

 

 ……ふん、随分高く評価されたもんだな。しかし理解ある人手が増えたのは良い事だ。

 

「二人とも、出来れば彩葉、あとはかぐやのことも気にかけてやってくれ。彩葉はかぐやに振り回されっぱなしだし、かぐやは好奇心が旺盛すぎて何をしでかすか分からん。あと男の俺だとフォローしきれない部分が絶対に出てくる」

「おっけ~」

「お任せくださーい」

 

 俺の言葉に芦花と真実の二人は笑って答えてくれた。これなら彩葉も大分楽になるだろう。かぐやの面倒を二人が見てくれていればその間彩葉は勉強なり、なんなり出来るしそうなれば心にも余裕が出来る。余裕があれば憂いなく『KASSEN』が出来るというもの。彩葉はあの帝アキラと腕前、というか戦い方? センスが似ているから戦っていて楽しんだ。ヤチヨのライブも良いけどもっと『KASSEN』にも夢中になってくれたらなぁ……。どうにか、戦い続ける喜びを感じさせられない物か。

 そんなこんなで二人の追求を攻略して帰路に就く。

 

「……ん?」

 

 アパートの前まで来たところ敷地内でキョロキョロと辺りを見回しているかぐやがいた。……あいつ、また外に出て……いや、ギリ敷地内か。というか彩葉も部屋に居るはずだしあそこまでならOKということにしたのか?

 

「あー、烏丸! ねぇ、来てきて!」

「うん? ちょ、いきなり引っ張るな」

 

 かぐやとばっちり目が合った瞬間、眼を輝かせてこちらにパタパタと走り寄って来るかぐや。なんだなんだ? 俺の所まで来たかぐやは俺の手を掴んでアパートへ引っ張る。

 えっと……白サイン『おそらく犬』っと。

 と、まぁ冗談かましつつ、俺はかぐや手を引っ張られて彩葉の部屋へと通される。部屋の中にはちゃぶ台の前に座っている彩葉。俺もかぐやに背中を押されてちゃぶ台に座らされる。

 

「ちょっと待ってて~」

 

 そう言ってかぐやは台所へ向かう。なにか温めている? ……今はそれより彩葉か。

 

「大丈夫だったか? というか芦花真実に対してはナイス誤魔化しだった」

「なんとかね……平気。それよりも急に出て行っちゃって二人とも怒ってなかった?」

 

 まぁ、俺が全部バラしたし意味のない誤魔化しだったけどな。

 

「全然、怒ってなんかなかったぞ。また別の機会に誘うってことになったから」

「そう、良かった」

「で、俺達は何を待ってるんだ?」

「私にも分らん」

「そうか」

「そうよ」

 

 台所を背にするようにちゃぶ台に並んで座らされたため、彩葉がとなりにいることでいつもより距離が近い。そのせいで彩葉の顔がよく見える。こうみるとやっぱ綺麗な顔してるよな……。ツクヨミ内のアバターもイケてるし。

 はぁ~~、その顔歪めてぇーー。

 

「なぁ、待ってる間一戦でも『KASSEN』しよう――「しないから」――そうか……」

 

 ダメだった。

 

「二人とも出来たよー!」

 

 クッ、お願いの交渉の時間も無かったか……。かぐやはそう言ってちゃぶ台に料理を乗っけ始めた。あ、料理してたんだ。というかすげぇ、本格的だな……。

 

「まずは生のトウモロコシから作ったポタージュ。こっちは新ごぼうとアスパラのカリカリサラダ温卵付き。メインはトマト煮込みハンバーグ、ズッキーニのソテーをそ・え・て♪」

「何……これ? もしかして作ったの?」

「そだよ~」

「凄いな、かぐやは」

「でしょー! 食べて食べて!」

 

 まるでレストランか何かの様な綺麗な料理が次々とちゃぶ台の上に並んでいく。……いや、ちゃぶ台ミスマッチすぎる。キラキラとした目で俺たちが口にするのを待っているかぐや。彩葉と向き合い頷く。

 

「「いただきます」」

 

 そう言ってポタージュから口にする。あ、うっまいわこれ。おそらく料理番組かTakeTubeで動画を見て学習したんだろうけどねいや、やっぱり驚異的だな。……洗い物の動画は見てないようだけど。

 

「なんなのよ……旨いじゃないのよ……なんなのよ、あんた……久しぶりの美味しいご飯で喜びが身体に満ちていくじゃないのよ……」

「とっても旨いよ。かぐやは料理が上手なんだな」

「えへへ~、ありがとっ!」

 

 頭を撫でてやると嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねやがる。……下の階が俺で良かったな。

 

「悪魔……」

「悪魔じゃないよ、かぐやだよ!」

 

 おおぅ……。隣で随分複雑そうな表情の彩葉がそう呟いた。

 

 

食後

────────────────────────

 

「あのさぁ……マジでここでは匿えないよ。ただでさえ親に無理いって一人暮らししてるんだし、面倒ごとは御免なの」

 

 俺は面倒が嫌いなんだ。そんな幻聴が聞こえる。彩葉は食事で膨れた腹を抑えながらフローリングに寝っ転がってそう言った。三連休初日から今日にいたるまで激動続きで疲れたんだろう。要塞彩葉の城壁はもうボロボロ。取り繕う気力もないのだろう。男の俺がいるというのに随分無防備でいらっしゃる。

 因みに俺は食事の礼として食後の洗い物をしていた。ま、これくらいはしないとな。

 

「はい、ここでこう! もういっちょ、タカタカタカ、ターン!」

 

 彩葉さん、恐らくかぐやの奴効いてませんよ。さっきからなんかPC弄ってますよ。

 

「出来たぁ!」

「ん?」

「まさか、サイバー犯罪とかじゃないですよね?」

 

 そう言えばかぐやが何をしてるかは詳しく見てなかったけど確かに何をしでかしたんだ? 洗い物が丁度終わったので手を拭いてかぐやの元に向かう。

 

「これ『犬DOGE』! 携帯ゲーム見つけたから弄ってみた!」

 

 犬、童子? かぐやが掲げるゲーム機を彩葉と一緒に覗き込む。そこには柴犬の様なキャラクターが尻尾を振っていた。おそらく犬。

 

「これでいつも一緒だって~! ふっふぅ~♪」

「ご機嫌ですね……。てか、一生住む気満々かよ」

「だって、ほかにどこに行けばいいの? もし捕まったらかぐやちゃん解剖されちゃうかも~」

 

 ふふ、コイツ自分の顔が良い事自覚してやがる。甘えた声と上目遣いで彩葉に抱き着くかぐやを見てそう思う。ほら見ろ、そんなことされると基本的にお人好しの酒寄彩葉さんはな……。

 

「じゃ、じゃあ迎えが来るまでね」

 

 ちょれ~。

 

「いいの!?」

「一、目立たない!  二、許可なく外に出ない!  三、私の邪魔しない! このルールが守れるならここに居て良いよ」

「色々きつくないか?」

「良いの! これでも有情なんだから!」

 

 んー……頑な。

 

「じゃあ、かぐやは外にも出れず、楽しみもなく、ずっとずっとこのまま幽閉されてバットエンドって……こと?」

 

 携帯ゲーム機を握りながらかぐやの顔が青ざめていく。

 

「まー、だけどほら、スマコン渡しただろ。あれでツクヨミに行けば大分楽しいと思うんだが?」

「烏丸のくれたコレ? 使い方わかんない」

「……」

 

 そう言えば使い方教えてなかった!! し、しまった……いや、なんで料理の動画とか見てスマコンの使い方とかの動画は見てねぇんだよ!?

 

「つ、使い方、今度教えるからな……」

「ほら、九朗がくれたスマコンもあるんだし工夫次第で何とでもなるでしょ。ハッピーエンドには自分でするんでしょ」

「うぅ……でも―――」

「それじゃあ、この話なかったことに……」

「やっぱ一緒にハッピーエンドに行こう? お願ーい」 

 

 ふっ、変わり身が早ぇよ。二人のやり取りに笑みを浮かべているとアラーム音が鳴り出す。俺のじゃないな、彩葉のか。

 

「しまった。この時間までに予習終わらせるつもりだったのに。仕方ない、行かなくちゃ」

 

 やはり彩葉のだったか。言葉的にこれから何かがあるということか。なら俺はそろそろお暇しようかな。

 

「何?どこ行くの?またかぐやを置いてくの?」

 

 立ち上がった彩葉の腰にかぐやが抱き着いて止める。いや、まてよ。彩葉になにか用事があるなら俺が一時的にかぐやを預かってスマコンの使い方や『KASSEN』について教え込むチャンスか?

 

「離して。どこにも行かないよ。ただツクヨミに行くだけだから」

「行くじゃん! さっきから烏丸の言ってたツクヨミって場所! かぐやも連れてって!」

「あっ、そっかあるんだスマコン……。あ! それから四、食事は定額制!」

「増えた!」

 

 あー、なるほど? どうやら彩葉もツクヨミに用があるらしい。なら、俺が別に教える必要はないか。

 

「あ、待って! 烏丸もどこ行くの!?」

「まぁ、部屋に戻って、俺もツクヨミかな」

「それならこの部屋に居てよ! みんな一緒にいよ?」

「「はぁ!?」」

 

 なぁーに言ってんだこのトンデモ上位者。……いや、上位者は元々とんでもなかったわ。

 

「あのなぁ、そう言う訳には行かないんだよ」

「なんでなんでなんで!? この前まで一緒にいたじゃん!?」

「それはあの三連休が特殊だっただけで。基本的にこんな夜に女の部屋に俺がいるのはマズいだろ」

 

 かぐやの奴、赤ん坊形態の記憶があるのかよ。というか、彩葉さん、貴女もかぐやを説得するのに協力してくれませんかね。何顎に手を当てて考えてるんですか。

 

「ねぇ、九朗」

「んだよ」

「九朗がツクヨミに行くのって『KASSEN』?」

「当たり前のことを」

 

 何当然のことを言ってるんだ?

 

「配信じゃないよね?」

「あぁ、ただ適当に斬り合うだけで、配信の予定はないけど」

「いいよ」

「ん?」

「この部屋に居て、ここからツクヨミにログインして良いよ」

「んんんん?」

 

 遂にぶっ壊れたか、この優等生。

 

「今日ヤチヨのミニライブがあるんだ。で、その握手券付きチケットが当たったの。同伴者二名までのオッケーの奴」

「興味ないな」

「だと思った。だから、私が教えて上げる! ヤチヨの素晴らしさを! 普段は九朗が長々と『KASSEN』の良さを教え込んでくるんだし、私も私の好きな物を教え込む権利、あるわよね!」

 

 そ、そぉーきたか……。

 





 九朗が戦いにしか興味がない事をある程度理解しているため無防備な姿をさらしても大丈夫と思っている彩葉さん。
 なお、九朗も襲うとかそういう感情は一切ない模様。あくまで常識的に大丈夫か?と彩葉を心配してます。
 お前に常識説かれたくない。

 次回。九朗、ヤチヨライブ初参加。

 
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