超闘争   作:四脚好き

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第7話

マイホーム

────────────────────────

 

 結局彩葉の部屋でツクヨミにログインすることになり、かぐやを真ん中に三人手を繋いで目を瞑りツクヨミにログインする。まぁ、俺が普段自分の好きなことに勧誘しまくってるんだから、相手にも自分の好きな物に勧誘する権利はあるだろう。

 スマコンを目に付けて目を瞑り、数秒すればそこは俺がツクヨミ内で買ったマイホーム。……なんてことはない長屋の一室って感じ。いっつも『KASSEN』してばっかだからマイホーム弄ったりしたことないな。

 ふじゅ~も余ってるし今度両舷航希あたりと協力して建築物立てるのも良いかもしれない……。

 

「目指すは、源の宮だな」

 

 きっとツクヨミの雰囲気にもピッタリだろう。……破戒僧コスも作っておかないと。

 ガラリと戸を開けて初めてログインした人間が出てくる門に向かって歩き出す。和の雰囲気を持ちながら空中モニターやネオンの様な光が近未来感も醸し出す不思議な空間、ツクヨミ。なんど来てもワクワクが止まらないし、道行く人たちの笑顔を見ると和む。しかし刺激が足りない。そうするとどうなるか―――。

 

「身体は闘争を求める」

 

 ……なんかこう、門につくまでに軽ーく戦える相手とかいないかな。どうせかぐやはキャラメイクしてるだろうしこう2、3人手ェ出しても良いだろう。うん、きっと。

 俺はすぐにメニューをだして設定を弄り、『対戦者募集中』のマークをつける。これなら同じように暇してる奴らが勝負を仕掛けてくるだろう。そう考え俺は再び歩き出した。

 

 

 

 

 

「ヴぇぇッ」

「金髪ギャルいかぐや姫。……ふふっ」

「……」

 

 初心者の門まで一切、誰も! 勝負を仕掛けてこなかったんだが!? あまりに誰も勝負仕掛けてこないもんだから芦花か乃依を呼ぼうかと思ったぞ! あの二人連れてると二人のファンが喧嘩吹っ掛けてくるからな! 

 ただ、まぁ今回はあくまでかぐやの初ツクヨミとヤチヨのミニライブへの参加が目的だったし自重したけど。

 

「ほら、手ーかして」

 

 そんな俺の不機嫌関係なく目の前ではキャラメイクを済ませたかぐやが門から飛び出てきて初心者あるあるのズッコケを披露している。しかしかぐやはセンスもいいのか。彩葉は何がツボったのかは知らないがかなり可愛くキャラメイクできている。

 

「あ、もしや、彩葉? と誰!?」

「烏丸だ。ここでは渡り鴉という名前だがな。長いと思うなら鴉と呼んでも良い」

 

 彩葉に手を引かれて立ち上がったかぐやは俺を見て驚き後ずさる。まぁ、浪人笠で顔見えないしな俺のアバター。

 

「それよりもかぐや。この俺の周りを走り回ってる犬をどうにかしてくれ」

「え? あ! 犬DOGE! 連れてこれるんだね!」

 

 いや、初めて見たが? 携帯ゲーム機で作ったキャラクターを連れてこれる? 彩葉なら知ってるかと顔を向けるが彼女もこちらを見てブンブンと首を振っている。知らないらしい。ふーん、新事実。

 今度あれだな、俺も犬作って、二匹くらい引き連れて狭い路地とかで戦ってみるか。勿論俺は大鉈二刀流で山羊頭のコスプレするけどな! ツクヨミ中のプレイヤーを震え上がらせてやる。

 

「わー! すごいすごい、これがツクヨミなの!? すげー! 面白そうなもんが死ぬほどある!」

 

 犬DOGEを抱えたかぐやが目の前に広がる世界に圧倒され立ち尽くしている。初ログイン時は目の前に広がるファンタジック平安京とでも言うべき景色に目を奪われて動けなくなる。これも初心者あるあるだな。

 

「さて、彩葉。ツクヨミには多くの見どころかあるがライブまでの時間は?」

「んー……そんなにはないかな」

「そうか。それなら細かい案内は後日にして今日はライブ前にこのツクヨミで最も楽しい行為について教えて上げるか!」

「え、何々! 楽しい事!?」

 

 お、再起動したかぐやが食いついてきた。キラキラと輝くその目は貪欲に知識を求めている。良い、とてもいい目だ。

 

「そう、それは! 『KASS―――「はーい、戦バカは放っておいてカフェでも行こう。かぐやついて来て」

「あ、待って彩葉ー!」

 

 ……。

 

「ほら、渡り鴉もついて来て! あと『対戦者募集中』のマークは消しておいてよ!」

「……おぅ」

 

 俺は彩葉に言われた通り、マークを消して二人の後を追うのだった。

 かぐやは目に映る全てが興味をそそるものなのであっちにいったり、こっちに行ったりと走り回るので大変だ。最終的には手を繋いで歩くことでどうにか逸れることだけは防いだが……次回からリードが必要だな。うん。

 

「あむっ……んぐ、味しなーい!」

「まぁ仮想空間だしな」

「そういうのはまだ試作段階みたい。あと20年ぐらいかかるんじゃない?」

 

 店で買ったパフェを食べながらかぐやが叫ぶ。まぁ、これだけ美味しそうなのに味がしないのはつまらないわな。彩葉がいうには20年くらいかかるらしい。20年かぁ……そのころには触覚とかも再現出来てるのかな? ……でもあれか? 『KASSEN』に触覚が実装したら骨だ肉だの抵抗が増えるのか? となると今までみたいに刃が通らなくなるかもしれないな……。

 

「そうなれば、武器も……。いや、新しいステータスを増やせば……。切れ味とかか?」

「おーい、戦バカ。なに考えてんだー。移動するぞー」

「烏丸! なんか彩葉が始まるって! 移動するよ!」

 

 俺が考え込んでいるとぐいぐいとアバターが引っ張られているのが目に入る。かぐやが座り込んだままの俺を立ち上がらせようとしているらしい。彩葉は……あ、もう先歩いて行ってるな。

 

「悪い悪い、それじゃ行こうか。また手、繋ぐか?」

「うん!」

「そうか、ほら」

「えへへ」

 

 かぐやの手を取って彩葉に追いつくように二人で歩き出す。『KASSEN』について教えられないのは残念だけど今日はまぁ初日だし仕方がない。俺の手をギュっと握りしめているかぐやの手を見る。きっとこの子は強くなる。この手から一体どんな攻撃が繰り出されるのか、本当に楽しみだ。

 

 

 

ライブ会場

────────────────────────

 

 

 あの後彩葉に追いついて同伴者ということで会場に入った。……人が多い。

 

「ヤチヨのライブっていつもこんなに人がいるのか?」

「当たり前じゃん! なんて言っても(人気が)ツクヨミ1のライバーだよ!」

「確かに(強さが)1番だしな……」

 

 そりゃ人気もあるか。

 

「ねぇねぇ、さっきヤチヨと話した」

「マジか」

「いや、それはチュートリアルでしょ。渡り鴉、あんたも最初に会ったでしょうが」

「あれか」

 

 なぁんだ、チュートリアルのことか。ライブ前の緊張ほぐしにどこかぶらついてるのかと思った。場所とパターンさえ分れば珍しいこちらからヤチヨに勝負を仕掛けられる機会だと思ったのに……。

 

『キタキタキター! これがないとツクヨミの夜は始まらない! 本日もヤチヨミニライブの開演だあぁぁぁ! 今夜も完全生中継をツクヨミ各地でもお届け中でぇーす!』

「あ、オタ公」

 

 そういえばオタ公もヤチヨの大ファンだったな。なんどかインタビューも受けたことも有ったし。オタ公、俺、お助けヤチヨの三人で『KASSEN』の『SENGOKU』モードをやったこともあった。俺の片手で数えるほどしかない『SENGOKU』でのゲームプレイの内の一つだ。腕は中の下って感じ。うん、思っていたよりかは強かったけど……って感じ。あとあれだ、前に拝み倒して隠者コスと砂の魔術師コスしてもらったな。あの写真は今もフォルダの中に大切に保管してある。

 そんな過去を思い出しているとカウントダウンがゼロになりライブステージ中央にあった巨大な鳥居の上にヤチヨが姿を現した。

 

「ヤオヨロー! 神々のみんなー、今日も最高だったー?」

 

 ヤチヨの言葉に会場中から歓声が上がる。俺としては配信を止めに来る運営ってイメージしかなかったけど。いやー、こうしてみるとやっぱ凄い人気なんだな。

 

「よーし、今宵も皆を誘っちゃうよ☆ Let's go on a trip!」

 

 そしてライブが始まる。歌っているのはどうやら『星降る海』という曲らしい。……彩葉が解説してくれるかと思ったんだが彼女はライブしているヤチヨの姿に感動して泣いているので自分で調べた。いや、ライブしている人が歌っているから黙っているのは正解なのかもしれない。なるほど、『星降る海』。その曲の名前の通り会場が水で満たされたり、様々な海洋生物が星のように煌めいて泳いでいたりして、ヤチヨの歌声が合わさり神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 ……河童も魚人もいないか。いや、フロム民としては水辺はちょっと……ね?

 そして音楽に合わせてヤチヨが分身してなんかちっこいヤチヨが沢山泳いでる。彩葉とかぐやが3人のちびっこヤチヨに抱き着かれ……うわぁ、彩葉の顔。純粋にライブを愉しんでるかぐやの顔との差よ……。

 あっ、なんかこっちにも一人来た。んー……いや、ちっこいな。あっ。

 

「ほれ」

「!?!?」

 

 俺の元までやって来たヤチヨを小さい頃のかぐやの要領で抱え上げて、()()()()()()()()()撫でてやる。ふふふ、普段は俺が子供の様に転がされてる。だが、今の俺はかぐやの世話をした経験があるからな、ガチの子供の扱いと言うものが分るんだ。存分に子供の用に扱って普段の屈辱を少しでも晴らしてくれるわ! 

 あぁ、可愛い可愛い。妖王オスロエスのように可愛がってくれよう!

 

「ッ、あ……。 ―――!」

「あ……」

 

 え、逃げられたんだが……。というか後ろ姿だから上手く確認できなかったけど泣いてなかった? え、泣かした俺? もしかして向こうから触ってくるのはOKだけどこっちから触るのNGだったりするの? それともあれか!? かぐやと同じように扱ったのがダメだったか!? そんな屈辱か!? 初めてだから! ライブ初参加だからルールとかよく分からないんだよ! ノーカウントだ! ノーカウント! 同じライバーじゃないか……! 

 ぁああああ! 頼む、BANだけは! BANだけは勘弁してくれ! ライブの出禁は全然構わないから! 『KASSEN』が出来なくなったら……。フロムゲーがない世界で、『KASSEN』もできなくなったら俺もう自殺するしかなくなるから!

 

「頼む、頼む頼む頼む頼む……」

 

 そこから俺はもうヤチヨの歌声なんて全然頭に入ってこなかった。

 

「ねぇ、彩葉! 烏丸ー!」

「……え?」

「頼む頼むたの―――。どうした?」

 

 耳元で聞こえたかぐやの声で正気に戻って来たらしい。ライブはとっくに終わっていた。となりを見れば彩葉が限界オタクと化して涙していた。おおぅ、大丈夫か? まぁ、素晴らしいモノを見たときに涙するのは俺もよくわかる。カーパルスのハードでセレンが出てきたときとか俺も感動で涙したもん。

 

「感謝、感激、雨アラモード! ヤチヨは果報者なのです」

 

 なんだその語録。

 

「ここでお知らせ、『ヤチヨカップ』っていうイベントを開催しま〜す! FUSHI、詳細よろしくぅ」

「はーい! 参加資格があるのはツクヨミの全ライバー! 一か月の期間の中だけで最も多くの新規ファンを獲得した人が優勝だよ。優勝者にはなんと、ヤチヨとのコラボライブの権利を進呈! 世界一盛り上がるコラボライブステージを一緒に作れるよ!」

 

 ほーん、なんだライブか。本気のヤチヨとの一対一での対決権利とかじゃないんだ。

 

「うっそ、コラボライブ!? ヤチヨが!?」

「そんなに凄いのか?」

「コラボライブ、何それ? 凄いの?」

 

 俺はどうでもいいのだが、彩葉の驚きかたが物凄い。俺が質問すれば一緒にかぐやも同じような疑問をぶつけていた。

 

「当たり前じゃん!! すごいもなにも配信のコラボはあったけど、ライブはいっつも一人だったんだよ! 何? 誰と? これは歴史的なライブになるよ!」

 

 うお、熱量やっば。というか顔ちか。

 

「それじゃあ、三人で一緒にやろ!」

 

 かぐやは無邪気にそう言うが……。

 

「私らみたいなモブとやるわけないじゃん。こういうのは最初から誰とやるかだいたい決まってんの」

「俺もライブで歌うなんてガラじゃないし。勘弁」

 

 仮に実現したとして女3、男1なんて歌える曲あるのか? なんてことを考えてると後ろの方から『ドーン』爆音が響いた。無意識的に手元に武器を出して音の方に振り返る。

 音の共にライブ会場に出現したのは牛の代わりに虎が引っ張る牛車ならぬ虎車。……あぁ、アイツらか。ふむ、少しばかり喧嘩を売ってくるか。

 

「いざ」

「は? ちょ、九朗!」

 

 思いっきり跳躍して人混みを抜けて虎車の進行方向に着地する。車を引く虎がまるでどけ、と言わんばかりに俺に向かって吠える。仮想空間とは思えないくらいに迫力がある。しかしそれで怯む俺じゃない。あんたらのことだ、これも演出としてヤチヨカップ発表と同時に許可を運営に申請したんだろうが、無茶苦茶にさせてもらう。最近、腕のあるやつと勝負できてなくてなァ……。自分の登場を滅茶苦茶にされたら喧嘩の理由としては十分だろ、黒鬼さんよぉ!

 

「鬼さん、こちら。ってなァ! 牙突き!」

 

 渾身の力で槍を突き出して虎を串刺しにする。しかし勢いは止まらず、そのまま後ろの車まで貫通して勢いを殺された車は宙へと浮き上がる。さぁ、どうする帝アキ―――? 俺の槍は確かに車を破壊した。けどこの感じ、内側からも破壊されるようになってる? 空中で車が爆裂して花吹雪が舞う。そして爆炎の中から三人が跳び下りてくる。

 彼らはBlack onyX(ブラックオニキス)。通称は『黒鬼』リーダーの帝アキラ、乃依、雷の三人で構成されたプロゲーマーチームだ。

 

「よう、子ウサギども。お前らの帝様が来たぜ」 

 

 帝アキラが声をかければ瞬間再び会場を歓声が包み込む。そして帝が指をならせば会場のモニターがジャックされてグループのロゴ、スポンサー企業、そして今までの彼らの功績とメンバーの紹介がまとめられたPVが流れ始める。ふぅん……なんか色々大会優勝してんだな。正直俺と彼らでは主戦場が違うからここら辺の大会がどれくらい凄いのか分からないんだよなぁ。でも三人とも実力は間違いなく上の上、トップレベルだ。一対一で戦っても大満足できる最高の獲物だ。負けたことは無いけど。

 

「また、祭りが始まるな」

「俺って今日も作画良すぎ♡ でしょ♡」

「俺たちに優勝してほしいよな?底なしの夢を見せてやるぜ!」

 

 んー、相変わらずのアイドル営業。そんなのやめてもっと戦うことだけに舵を切ればたぶんもっと強くなれるのにな……。そう教えても一向に辞めないんだから困ったものだよ。

 

「というわけで、俺たち優勝するから。ヤチヨちゃんコラボよろしくね」

「そういう運命なら、もちろんヤチヨは従うよー」

 

 ヤチヨカップの勝利条件的にはすでに大量のファンが付いているライバーは厳しそうなもんだけど黒鬼の人気なら案外優勝出来ちまうのかもな。ただ……なーんかヤチヨの声が不服、というか不満そうな気がするのは気のせいか?

 

「ヤぁぁぁぁーーチぃぃぃぃーーヨぉぉぉぉーーー!」

 

 突然会場中に響く大声。……なぜだろう。物凄く聞き覚えのある声の気がする。

 

「かぐやがヤチヨカップ優勝する! そんで絶対コラボライブする! いろh……むぐっ」

 

 あぁ……やっぱりかぐやだったか。彩葉が咄嗟でかぐやの口を塞ぐが既に手遅れ。黒鬼もヤチヨもオタ公も観客の目線さえもかぐやに集中していた。

 

「ほいでは、ライブはいったんここでクローズ♪ みんなとちょっとお話させてね。さらば~い」

 

 どうやら、ライブはこれで終わりらしい。あとは彩葉の言っていた握手会的な時間なんだろう。ヤチヨが分身して何人かの観客たちの元へ向かっていくのが見える。

 

「よぉ、渡り鴉。随分な挨拶だったじゃないか。というかお前、ライブとか来るんだな」

 

 どうしたものかと立ち尽くしていると背後から声がかけられる。帝アキラだ。

 

「普段は来ないさ。今日は友人が握手券付きチケットが当たったから連れて行ってやるって言ってな。半ば無理やりだ」

「へぇ~、遂にアイドル活動の方にも興味が出たのかと思った♡」

「冗談はよせ乃依。俺が笑って歌う姿でも想像してみろ」

「……きも~い♡」

「クソガキ」

 

 確かに俺もキモイと思うが声に出すな、声に。ま、そんなことよりもだ。

 

「お前ら『KASSEN』しよ―――「悪いが俺たちはこの後予定がある」――雷ぃぃぃ……」

 

 嘘だろお前ら! 喧嘩売られてんだぞ! 天下の黒鬼が! 往来で! 帝! 目を逸らされた。 乃依! 目を逸らされた。 雷! 目を逸らされた。 

 

「な、な、なんで……。なんでこんな……」

「おい大丈夫か?」

 

 がくりと膝から崩れ落ちた俺を心配して帝が方に手を置いて心配してくれる。

 

「心配するなら『KASSEN』しろょぉ……。もう今日俺一戦もしてねぇんだ……」

「い、いや、悪いな。マジでこのあと俺達予定あるんだわ」

「すまない」

「今日は無理だけど~。今度また一緒に買い物行ってあげるから元気出して♡」

「マジで!?」

「急に元気になるじゃん♡」

 

 まじか、乃依と一緒に買い物行けるならどうにか、どうにか! 我慢できそう。

 

「は? 渡り鴉、お前乃依と出かけることあんの?」

 

 え、なんか帝が食いついたんだけど何故?

 

「まあ、偶に」

「そうそう。渡り鴉ってば普段はこんな恰好だけどオーダーメイドのスキンを依頼したり結構おしゃれさんなんだよ♡ しかも一緒に出掛けた日は高いスキンとかのふじゅ~全部払ってくれるの♡」

 

 フロムコスとか依頼するとき、俺が大体のデザインを依頼しておしゃれに詳しい乃依が細かいところの意見をくれるから結構助かる。そして何よりも大事なのが!

 

「一緒に出掛けると乃依のファンから絡まれて『KASSEN』が出来る。他の面子とコラボしていたりでも似たようなことは起こるがやっぱ乃依とROKAだな。二人と一緒にいるとファンたちの食いつきが違う。二人とも最高の撒き餌だ」

 

 まじで助かる。絡んでくるファンはそれほど強くはないが数がある。至高の一品を頂くんじゃなくてジャンクを爆食いしてる感覚だな。

 

「ねぇねぇ、渡り鴉」

「ん?」

「俺は前にも聞いたことあるから良いけどさ。ROKAちゃんにもそれ言ったことある?」

「ん? あるが?」

 

 あたりまえじゃん。

 

「……最低」

「マジかよ……」

「……」

 

 え、急に黒鬼の三人の眼が険しいものになったんだが? 芦花も『ッ、九朗が幸せそうで私も嬉しい…よ……』って言ってたから問題なくない?

 

「お前ってさ、黒羽カカとかオタ公とかとも繋がりあったよな。なんならヤチヨとも他のライバーより関わり有るし」

「そうだな」

「……刺されないようにな。マジで」

 

 ? なんか険しい目で見られたと思ったら帝に心配されたんだが? 

 

「ヤチヨ以外に負けたことは無いが?」

「いや、そう言う意味じゃ……。いやいいや。それじゃ、俺たちは帰るから。……予定開いてる日、送っといてやるよ。その日なら数回『KASSEN』に付き合ってやる」

「マジで!? サンキュー!」

 

 帝の予定表ゲットー! いやー、ライブ来て良かったー! 最高の土産が出来たわ、彩葉に礼言わねぇと!

 そうして再び召喚された虎車に乗り込んだ黒鬼たちを見送った。さてと、これでこんどこそ終わりかな。かぐや達に合流するか。というかまだログインしてるかな? 先に帰ったりしてたら彩葉の部屋で一人だけまだログイン中の変なことになる。

 

「見つけた」

「ん?」

 

 なんだよ、今度は。そう思いながら振り返る。そこに居たのは俺より少し背の小さい女の子のアバター。水色のショートヘアーで頭頂部には猫耳があり、首にはチョーカー(首輪)が付いている。あぁー、とたしか……。

 

「リン、だったか?」

「久しぶりだね。お(にぃ)

 

 あっぶね……名前思い出せて良かったー……。

 

 




・自然とかぐやとヤチヨに同じ扱いをする九朗くん。
・乃依と九朗くんが二人で買い物に出かけると聞いて不機嫌になる帝アキラ。
・好きな人が幸せなら、自分も幸せな芦花。その思考はいけないと思う。
・そして感想欄で大人気妹ちゃん登場。首輪付きの猫、リンという名前。意味するところはお分りですね。

・ある『SETSUNA』の大会前の出来事。

「渡り鴉さーん!」
「オタ公か」
「試合前に一言お願いします!」
「……オタ公、この大会が終わったら伝えたいことがある。時間をくれるか?」
「……え!? あ、うぇ? ん、え、えーと、はい……」
「(いくら仲良くなったからって流石に生放送のインタビューでコスプレしてくれなんて言えないよな……)」

 渡り鴉は炎上した。でもコスプレはしてもらった。

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