で、主人公なんでね、少しだけ九朗くんについて弁明しますね。九朗くんも初心者には優しいですよ。それが協力プレイや助けを求められたらですが。
ただ九朗くんがプレイしているのは『KASSEN』の『SETSUNA』一対一での対人戦です。優しくも何も……って感じです。
エルデンで例えますが彼はレベル低い別データで初心者の所に侵入して攻略の邪魔する訳でもなく、闘技場で初心者狩りをする訳でもなく、ちゃんとメインデータで自分と同レベルの闘技場をプレイしているんです。
話はツクヨミに戻りますが、『KASSEN』にはレベル制がないので彼は彼なりに気を遣っています。配信では基本的に挑戦者を募集するスタイルですし、7話でも『対戦者募集中』のマークをつけてあくまで自分に挑んでくるユーザーを相手にしています。九朗くんが自分から戦いに行くのはある程度の実力があると分かっている相手だけです。
最後に感想欄を見ていてはっ、とさせられたあることについて。
九朗くんに『雑魚狩り』と称して狩られるユーザーですが、あくまで九朗くん視点での雑魚であり、ツクヨミ最恐と呼ばれる渡り鴉に挑むだけあって一応の実力と気概を持っていてツクヨミ全体でみれば中と下を行ったり来たりするくらいのユーザーです。ですので8話妹ちゃんとこの雑魚たちで戦えば間違いなく雑魚たちが勝ちます。本当の初心者やへたっぴなユーザーはそもそも渡り鴉には認識されていません。ここら辺説明してないと雑魚狩りが好きなのに妹ちゃんへの辺り強くない? ってなりますよね。本当に申し訳ありませんでした。
とまぁ長く語りましたが、九朗くんが人として最低なのは事実なので! こんな本作ですがどうかお付き合いよろしくお願いします。
後書きに妹ちゃんのことも書いてるよ。
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「……うへぇ~」
「九朗大丈夫?」
一学期最終日、終業式も終わり明日から夏休みが始まる。時刻は12時近く帰宅するには暑すぎる時間なので昼飯を食べて時間を潰し少し涼しくなってから帰ろうということで俺と芦花は空き教室で一緒に昼飯を食べていた。通常授業の日でもこの空き教室で俺たちは昼飯を食べており、普段は彩葉に真実、後たまに真実の彼氏の
「んー……。大丈夫じゃないって言ったら……どうする?」
「え!? えっと……その……ひ、膝枕とかしてあげる、よ?」
「はは、顔真っ赤じゃん。冗談だよ、大丈夫」
「そ、そっか……」
そこはあれだよなー。『こっそり「KASSEN」しちゃう?』とか言って徐ろにスマコンとコントローラー取り出してほしかった。俺はいつでも『KASSEN』できるように学校にもスマコンとか持ち込んでるけど? なんなら充電用にモバイルバッテリーも持ち歩いてる。
それは置いておくとして昨日の出来事を芦花に説明する。
「実はさ昨日初めてヤチヨのライブに行ったんだよ」
「うん」
「かぐやにスマコンの使い方を教えるのと同時に彩葉が同伴者あり握手券付きライブチケットに当たったらしくてそれで連れていかれたんだ」
「……へぇ。普段は一人でライブ行く彩葉が。珍しいね」
なんか声のトーン下がった? ま、良いか。というかあれだ。あの時何忘れてるかわからなかったけど今ようやく思い出した。俺、握手券付きチケットでライブ行ったのにヤチヨと握手しないで帰ってきてたんだ!
……いや別に戦えるわけでもないしどうでも良いか。たしかにヤチヨはファンを大事にしてるけど分身とか大変だろうし、普段迷惑かけてる俺が途中で帰っても大して気にしないだろ。
「かぐやがツクヨミを知らなかったせいで『どこ行くのー』って(彩葉に)抱き着いて離れなかったんだよ」
「そ、そうなの!? かぐやちゃんが(九朗に)抱き着いたの!?」
「ん」
「そ、そうなんだ……」
え、なんか驚くことあったか? アレくらいの距離感の子供なら割とあることだと思うんだけど……。
「でさ、彩葉の部屋で三人並んでツクヨミにログインしたんだよ。で、ライブ見に行って……ヤチヨカップの話は?」
「聞いた。凄く話題になってたし、動画も出回ってた。途中で黒鬼がやってきて九朗が……あ」
「そう、そこ」
そこからが問題なんだよ。
「実は昨日の目的ってかぐやをツクヨミにログインさせるのと普段、『KASSEN』ばかりの俺に彩葉がヤチヨライブの楽しさを教えるっていうものだったんだよ。けどいくら歌が終わったとはいえ黒鬼たちに絡みに行って彩葉達を放置してあの大立ち回り」
「あー、それは確かに怒っちゃうか―――」
「しかもさ」
「まだ何かやったの?」
「黒鬼と別れた後絡まれちゃってさ。『KASSEN』しました」
「……あとで彩葉にちゃんと謝ろうね」
「ん」
そう、俺は先にかぐやと彩葉がログアウトしているのに彩葉の部屋で長々と『KASSEN』をしてしまいましてね。ログアウトして瞼を開けた瞬間怒り心頭の彩葉さんが目の前に居ました。友達の家にいってその友達放置してずっと対人ゲームしてる奴とかヤバいだろ。
彩葉としては俺に『KASSEN』以外にも楽しいことがあると教えたかったみたいなんだが、結局『KASSEN』してる俺を見て不機嫌になってしまいまして、昨日そのまま追い出されて今日にいたるって感じだ。
芦花が励ます様に俺の頬に手を添えてくれる。……ん?
「芦花、なんかメイク変えた?」
「わ、わかる!?」
「んー……えっと、なんかいつもと目尻の色が違う?」
「正解! よくわかったね!」
「芦花のことはよく見てるし。その色もとっても可愛いと思う」
「!! そ、そうでしょう! 気が付いてくれるんだ……やった」
そりゃ戦ってて楽しい相手だし、その一挙手一投足に目を配るのは対戦の常識だよね。それに芦花はメイクとかを変えたときに褒めてあげるとテンションが凄く良くなるから、『KASSEN』のお願いもよく聞いてくれるようになるし、ポテンシャル全開って感じで最高! 正直、メイクの色がどうこうは分からんが、褒めておくに限る。
「よし、それじゃあ芦花!」
「うん!」
「『KAS―――「一緒に彩葉に謝りに行こッ! っと九朗なんか言った?」――なんでもない。謝りに行くから、後ろについてて欲しい」
「おっけー♪」
……マジかぁ。
「……」
「……」
そして俺は芦花に引っ張られて彩葉の前に連れてこられた。場所は下駄箱、彩葉は真実と帰る直前だったのだろう。腕くみをしながらジトッとした目をこちらに向けてくる。ちらりと視線を逸らして芦花と真実のほうに向けると二人とも少し離れた位置の廊下の曲がり角に退避していてこちらを覗き見ている。
「なに目逸らしてんの。私に言いたいことがあったんじゃない訳?」
「う……」
いや、怖いっすね彩葉さん。たぶんあなたも十分に話に聞いた激ヤバお母さんの血を引いてますよ。本人には絶対言わないけど。
「その……ゴメン。折角誘ってくれたのに途中で抜け出したりしちゃって。あと……『KASSEN』のことも悪かった。本当にごめんなさい」
頭を下げる。……『KASSEN』は元々俺受けるつもりはなかったんだよ! もう、全部
「……はぁ。もう良いよ、許してあげる。昨日は私もいきなり追い出してゴメン」
「いや、あれは真っ当な反応だと思う。俺も俺の部屋でずっと一人で『KASSEN』してる奴がいたら『俺も混ぜろや!』って怒ると思うし」
「いや、そうじゃないし……あー、もうホントバカ。戦バカ! かぐやも会いたがってるし、本気でライバー目指すみたいだから私が勉強してる間帰ったら相手してあげて! 良い!?」
「了解した」
ヨシ、仲良く話せたな。
「真実ー! 芦花ー! 帰ろー!」
彩葉が離れた位置にいた二人を呼び寄せて俺達はまた4人で帰るのだった。
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「これは……随分な模様替えをしたな彩葉」
「そんな訳ないでしょ……」
「あ、烏丸。かぐやっほー」
アパートに着いた後俺は一度に持つを下ろして彩葉の部屋に向かった。すると部屋の中にはぬいぐるみ、不思議な置物。謎のお面など、まとまりも何もない小物群に目を向けた。彩葉が暑さでとち狂ったわけじゃないとなると原因はかぐやか。不思議な挨拶をしたかぐやに視線を向けると俺の疑問の視線を理解したのか小物たちの前に立ってどや顔をする。
「配信用の小道具たち! 全部百均だから安心だよ!」
「小道具か……」
俺はそう言うの使わないからわからんが普通はこういうの必要なもんなのか?
「そうだよ! ヤチヨカップで優勝するには、まずライバーにならないと。それでね、見て見て! 彩葉達が学校に行ってる間にもう配信始めたんだ~! どう?」
そう言って今度は俺たちの前に自身満々にPCの画面を開いて見せる。
『かぐやっほー! 月からやってきたかぐやだよー。今日はやること思いつかないからこれて終わり! じゃあねー……ん? これで切れてるのかな?』
手書き満載のイラストが繰り返し手をふる不気味ともいえる動画にバックで流れている不協和音。おまけに最後はインカメの放送事故。凄まじい動画だ。クオリティとこの数秒しかないくせに再生回数とコメントが多いのはこれが理由か。
ひどすぎる動画だ。けど逆にこれはアリかもしれない。良くも悪くも注目は集めている。あとはこのインパクトをどこまで続けられるかだな……。
「この後ろの音楽は何?」
「ジングルだよ。オリジナルで作ったの」
ま、そこは気になるよね。せめてこの音楽だけは変えたい……。気分悪くなりそう。
「って、待って。どうやって曲を作っ………あ、私のキーボード! 勝手に出さないでよ」
彩葉が小物の山の中にキーボードを見つけてそう話す。へぇー、確かに彩葉は音楽の成績も良かったけどキーボードを自前で持ってるくらいなんだ。
「あ、その感じ。彩葉弾けるね。全然上手くいかなくてさぁ、一丁お願いしますよ先生!」
かぐやが舌を出しながらおねだりをする。彩葉のオリジナル演奏か……。
「はぁ? なんで私がそんなこと」
「俺からもお願いしたい」
「九朗!?」
「彩葉の演奏……どうやって曲を作るのかとか興味がある。ダメか?」
素晴らしい戦いはそれだけでも良いものだけど、優れたBGMがあるとより印象深く、より良い思い出になるよね。グウィン戦のBGMとか好きだったなぁ。
「ぅ、ぅぅぅぅ……。しょうがないなぁ……」
俺とかぐやの二人にお願いされて彩葉は仕方がない、という表情になって演奏を始めてくれた。うん、とても綺麗な演奏だ。しだいに調子が上がって来たのか彩葉の表情が真剣なものに変わっていき、演奏に熱が入ってく。
……え? あ、へぇ~。マジか。
「~♪ ~~♪」
いつの間にかぐやが歌っていた。この演奏は間違いなく彩葉のオリジナル、だとすればかぐやは即座にリズムを掴んで即興で歌詞を載せている。稀にカカの歌を聞いたりするんだが、これは……すごいな。この方面を推していくならすぐに人気ライバーになるんじゃないか?
「……なんだろうな」
歌っているかぐやの表情がとても綺麗だった。でも俺にはなぜかその顔が時たまヤチヨに被って見えたのだった。
……またか。どうも最近かぐやとヤチヨの姿がダブって見える。ここまで来ると同一人物だったりするのか? もしくは俺の頭がおかしくなったか。
どう考えても後者か。
「やっばー、これ彩葉が作ったの? 凄すぎ!」
気が付いたら演奏が終わっていた。即席ライブとは思えないくらい彩葉の演奏もかぐやの歌も良かった。
「彩葉、プロデューサーになって!」
「は? プロデューサー? なんで?」
お?
「一緒にヤチヨカップ優勝しよう? 彩葉の曲を私が歌えば大バズ確定じゃん!このボロアパートから伝説が始まる!」
「ボロアパート言うな」
「確かに所々アレだか……」
口に出すな、口に。俺だって一人暮らし始める時に両親にもっと良いところじゃなくていいのかとか言われたけども! うちの両親なまじ裕福だから感覚が少し庶民とズレてんだよ! 一人暮らしに3LDKのタワーマンションとかイカレてるのかと思ったわ! ……優しくて、金も子供たちの夢や成長のために目一杯使ってくれる良い両親なんだが価値観の違いが大きくて辛いんだよな。
「お願い、彩葉……。このまま終わりたくない……ハッピーエンドにしたい……な?」
かぐやが涙を浮かべ両手を握りしめて彩葉にお願いをする。多分、あれはもう落ちる。というか落ちてはいる。ただちょっとかぐやを援護して完璧に堕としておくか。
「俺も……聞きたい。彩葉の演奏、もっと聞いていたい。俺自身ライバーだし表立って配信の協力はできないけど裏方とかなら手伝える」
彩葉の演奏に熱が入りはじめたとき俺は心底驚いた。少しだけ、本当に少しだけだがあの演奏を聞いていて『充足感』があった。今まで『KASSEN』を通してしか分からなかった世界の色彩を彩葉の演奏がくれた。
「だから、その……俺はお前の曲が聞きたい。ダメか?」
「そ、そう言うなら仕方がないか……。でも、ちょっとだけだからね!」
うーん、ちょろ葉。
妹ちゃんについて。四脚好き→四 友人→友
友「この妹ちゃんって詳細な見た目の設定とかあったりするん?」
四「いや無いよ。九朗くんにも妹ちゃんにもなんとなくイメージがあるだけ。なんなら妹ちゃんの設定でも考えてよ。採用するから」
友「マジ? いいの?」
四「だってほらお前百合小説とかよく書いてるし、女のオリキャラについては絶対お前が考えた方が面白いと思うし」
友「じゃぁ……148cm B89 W52 H74で」
四「りょー」
という会話があったので妹ちゃんは148cm B89 W52 H74です。