シャーレの先生。キヴォトスに降りかかる未曾有の危機を幾度となく救ってきた人間である。生徒達からの信頼も厚く、「超人」と呼ぶに相応しい逸材。しかし、そんな完全無欠な先生ですら手を焼き苦しめられることがひとつ。
"仕事が!!"
"全然終わんない!!!"
そう、仕事である。毎日のように降りかかる山のような仕事量。普段は当番の子と分割しておこなっているのだが、今日に至っては体調不良で休みであり、実質2倍の仕事量なのだ。当然一日中に終わる訳もなく、窓の外を見てみれば、星が瞬き月が顔を出す夜の帳に包まれていた。
"一徹すればなんとか終わる、かなぁ…"
ヴェリタスのハッカー少女に勧めてもらった妖怪MAXのミントゼリー味(本人曰く、妖怪MAX史上1番キマるらしい)を新しく開けながら、そう独りごちる。カフェインを摂取した先生の脳は、燃料を継ぎ足した焚き火のごとく燃え上がり、先程まで感じていた微かな睡眠欲は遠く彼方へ消え去る。そしてまた、パソコンと睨めっこするのだった。
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集中力カフェインが燃え尽き、空が白み始めた頃。
"よ、ようやく終わった……"
パソコンに表示される「送信完了」の文字を眺めながら、仕事が終わった達成感に包まれる。と同時に、耐え難い睡魔が襲ってきた。身を委ねたいところだが、このまま寝てしまうと今日の当番であるニコがシャーレに入ってこれなくなる。というわけで、だるい体をどうにか引きずり玄関のロックを解除する。そしてモモトークに「すこぶる疲れたからしばらく寝ている、何かあったら容赦なく叩き起こしてほしい」という趣旨のメールを送ったのち、ベットへ潜り込んだ。何かを考えることすら億劫で、そのまま泥のように眠りこけた。
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意識が浮上して最初に感じたのは頭のしなやかな感触だった。枕とはまた違う、違和感を抱かせるには十分な柔らかさ。それはまるで人の太もものようで、頭を優しく包んでくれる。はてこんなにも枕は心地よかったものだろうか?と思いながらまぶたを持ち上げる。眼前いっぱいに広がったのは、ピンクの髪に長い狐の耳が特徴的なニコが…
"………ニコ!?"
まるで、どころの話じゃない。本当に人の太ももだった。俗に言う「膝枕」の状態になっていることにようやく気づく。それも、年の離れた生徒に。
「あ、起きちゃいましたか。おはようございます。」
"あ、おはよう…じゃなくて!"
"なんで膝枕!?"
「オトギちゃんに聞いたら、先生はこれが一番疲れが取れる!って言ってましたから…もしかして、嫌でしたか?」
少ししょんみりした顔のニコにそう言われてしまえば、強く否定することなど出来る訳がない。
"嫌、って訳じゃないんだけど…"
"ちょっと恥ずかしいかなって…"
「ふふ、それなら大丈夫です。今日だけ先生は子供なんですから。」
"え?"
…どうやら、強く否定した方が良さそうだった。
初投稿に先駆けまして、ご挨拶申し上げます、しらたきのたたきと申します。普段はpixivで「謎人T」として執筆しておりますが、wipが無いのは視聴者様からしても退屈かと思いましたゆえ、ハーメルンにやってきた、という訳です。こちらでちまちまとwipした後、本文全て出来上がったらpixivに投稿、と言った形になります。…こんな硬苦しい挨拶なんて誰も見らんと思うけどな…