この世界に神と呼ばれる奴はいない   作:黄泉路

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プロローグ

 

 

 当たり一面水張りで遠くに山さえ見えない。見えるのは雲がちらほらと見える空と地面の水に映る自分と空のみ。

 俺はどうしてしまったのだろうか。仕事のし過ぎ?あぁなるほど現実逃避か。

そしてふと気づくと目の前で傘をさしている好青年がいた。

 はて、何時からいたのだろうか?そしてなんで傘をさしてんの?まぁ今の俺にとってはどうでもいいことだが。

 

「ふむ、思ったよりも冷静だな」

 

 そしてその好青年はあろうことか俺に話しかけてきた。

 

「信じられないって顔をしているね」

 

 え?俺ってそんな顔をしてた?まじかよ、初対面の人に対してめっちゃ失礼なことしてるやんけ。

 

「まぁいい、話しをしよう」

 

 だが青年は特に気にした様子も見せずに話しを続ける。

 

「君は自分が死んだ事を理解しているか?」

 

 今、俺は聞き捨てならない言葉を聞いてしまった。

俺が死んだ?何時?どこで?どのように?

 

「そしてあんたはどうしてその事を知ってるんだ?」

 

 思考と一緒に言葉が出てしまったが、まぁ気にしないでおこう。今大事なのは何故俺が死んだについてだ。

 

「ふむ、まず君が死んだ理由だが」

 

 そこで一旦間を置いた青年に対して俺は聞き逃さないように集中する。

 

「ストレスによる精神崩壊の後に餓死だ」

 

 一瞬俺は言われた事が理解出来なかった。

 

 いやなんだよ餓死ってしかも精神崩壊もしてるしマトモな死に方じゃねぇよ。どう考えても異常だよ。なんだよ俺、何なんだよ俺!?いや覚えてないけどさぁせめてもっとマトモな死に方が良かったよ!!

 

「今どき餓死………有り得ねぇよ……」

「そしてそんな死に方をしたのは天界にいる神モドキ共だ」

 

 そしてまた俺に耳に聞き捨てならない事が聞こえてしまった。

 

「……どうゆうことだよそりゃあ」

 

 天界とか神モドキとか色々気になるけどさぁ

 

「そのまんまの意味だ。奴等は暇潰しと称し生きる人間を殺し、物語の世界へと転生させる。そしてその人間の作った舞台を見て楽しんでいる」

 

 それは、なんとまぁ……酷い話だな。だから神モドキなのか……あれ?じゃあ……

 

「あんたは何者だ?」

 

 確かに話しを聞くと酷い話だとわかるが、なぜ俺の目の前にいるこの青年は俺にその話しをするんだ?そしてなんでそんなことを知っている?

 

「そうだな、私は君らの世界で言う悪魔と呼ばれるモノと理解してくれればいい」

「は?」

 

 俺はこれで何回目の驚きになるだろうか?もう俺はお腹一杯だぜ。いくらなんでも有り得ないだろ。いや待て、別に理解しなくてもいいんだ。話しを聞くだけでもいいんだ。俺はまだなんでここにいるのか聞いてない。

 

「それで、君にはやってもらいたいことがあるんだ」

 

 そこでようやく無表情だった悪魔の青年が不機嫌そうに溜め息をついた。

 え?なに?なんでそんなに不機嫌なんですか?何か不安になるじゃないですかヤダー

 

「君は文字どうり神モドキ共の暇潰しで殺された訳だが、これまた奴等の気まぐれで君はそのまま捨てられた」

 

 それを聞いた瞬間、俺は有り得ないと思った。いくらなんでも勝手すぎるだろ?神モドキだったらなんでもしていいのかよ……

 

「なんだよそれ、理不尽過ぎるだろ……」

 

 そんな俺の言葉に悪魔の青年は頻りに頷いていた。

 

「その神モドキ共の尻拭いをしなければならないのが私達悪魔の仕事なんだ」

「そ、それはめんどくさいな」

「そうだろ?全くどうして私達が駆り出さなければならないのか……」

 

 さっきまでの無表情はどうしたのだろうか、悪魔の青年は肩を落として酷く落ち込んでいた。

 

 苦労してんだな……案外悪魔も楽じゃないってことか。

「まぁいいや」

 

 そう言った悪魔の青年はすっかり無表情の顔に戻っておりさっきのはなんだったのかと思わせるほど無表情でこっちを見てきた。

 

「それで君には転生するんだけど。やってもらいたいことがあるんだ」

 

 そう言いながら悪魔の青年は傘をくるくる回した。

やるよねぇ傘を持ったら一度はやるよね。くるくる回す奴。あれなんかやってしまうんだよなぁ。なんでだろ?

 

「君が転生する世界は神モドキ共の力で所謂チート能力を持った転生者が多く、いやそれほど多くはないけれども、まぁその好き勝手やってる転生者共の調教もとい矯正をしてほしいんだ」

「はぁ……」

 

 なんか厄介な事を頼まれたなぁ。いやわかるよ?好き勝手したくなる気持ちは分かるけどさ、どうしてそれが俺になるんだろうか……

 

「まぁ相手はチート能力っていう訳のわからないモノを持ってるからね。君の目にその能力を無効化する物を埋め込んでおくから、安心していいよ」

 

 怠そうに青年は言ってきたがそれって安心していいのか?というか悪魔の青年の口調変わってないか?あれ?いいのか?別に違和感ないし。

 

「じゃあよろしく。頼んだよ。」

 

 そう言って悪魔の青年は無表情からニッコリと笑って手を振ってきた。

 なんか物凄く怖いんですけど、笑ってる様に見えない……

 すると思い出したように悪魔の青年が手を振るのを止めた。

 

「あぁ流石に調教するのは君だけじゃないから。と言ってもこれから考えるから遅くなると思うけど」

 

 そんなことを笑顔で言ってきた。

 え?なにそれどういうこと!?

 と文句言う前に俺の意識は失った。

 

 

 

 

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