この世界に神と呼ばれる奴はいない   作:黄泉路

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第3話

 

 

 さて、先日の事で俺がもうISなしでは生きられないと理解した。いや理解するのは正直遅かっただろう。ちゃんと理解していれば(たばね)を怒らせることもなかっただろう。本当に今さらだがな。

 まぁそんなことはどうでもいいのだ。束には返せない程の借りを作ってしまっているからこれ以上は借りを作れない。少し考えないといけない。

 

「ねぇそーくん」

 

 水晶を見ながらちょっと考え事をしていたので思考をやめ束の方を向く。

 

「どうした」

 

 俺が向いた先では束がディスプレイに向かったままだ。だが束の手は止まったままだ。

 

「うん……ちょっと頼みたい事がね」

 

 束には珍しく歯切れが悪い。束にとって言いにくい事などないはずなのだが、一体どうしたというのだろうか。

 

「それがどうかした?言ってみなよ」

 

 俺がそう言うとようやく束がこっちを向いた。何やら思い詰めた感じだが………

 

「うん、実はね────」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

『本当にいいの?』

 

 通信から聞こえる不安そうな束の声。今日の束は随分としおらしいな。俺への頼みなんて一々気にしなくていいのに。むしろ束からの頼みなんだから断れない事ぐらい束は理解してると思うのだが。

 

「一々気にしなくていいよ」

 

 そう言うと控えめなお礼が来た。何だろう物凄く違和感。まあいいか。

 あんまり気にしても仕方ないので俺は準備を始める。

 まず水晶を束が作った自律型IS。その名もゴーレム。要は無人機だ。それと共に囲む。そして水晶の後方部分にブースターの形を想像する。

 

『全システム異常無し。何時でも発進出来ます。』

 

 ある程度水晶が展開し終えるとくーちゃんの声が通信から聞こえてくる。こっちはいつも通りのようだ。

 

「了解。じゃあ行ってくるよ。まあ5時間後には帰ってこれるでしょ。」

『はい。約1時間後には目的地にはつきます。昨日のように帰ってこないでくださいね。お姉様?』

 

 俺がそう言うとくーちゃんから何とも痛い言葉が帰ってくる。どうやら昨日のアレで相当心配させたようだ。気を付けないといけないな。

 

「ははは。大丈夫だよ、今回はゴーレムもついてるしね。じゃあ今度こそ。」

『あっ─────』

 

 くーちゃんが何か言う前に俺は通信を切りブースターを点火して逃げるようにってか逃げた。

 

 さて今回の目的。遺伝子を弄くり、より強く優れた子供を作り出す。俗に言うデザイナーベビー。でその施設を潰そうって話し。まぁ束曰く、その中に織斑千冬(おりむらちふゆ)の名前もあったらしいから許せなかったらしいと。正直俺も不快感しか無かったが。千冬のような強者の一団を想像して………やめた。はっきり言ってアレに生身で勝つのは無理です。1人でもめちゃくちゃ強いのにそれが沢山いたら………もうどこの戦闘民族ですかって言いたくなるよ。

 いや千冬の話しは別にいいんだよ。俺が言いたいのは何故そこまでして自分の思い通りにしたいのか、世の中思い通りに出来ない事が一杯あるのに………まっ施設の研究者には悪いけど今から俺が思い通りに出来なくしに行くんだけどね。

 

『5分後目的地に到着します』

 

 ふと水晶蘭からメッセージを送られてくる。

 それを確認して。後ろに待機しているゴーレムを一瞥する。

 

「今回はよろしく頼むよ。」

 

 それだけ言って俺は空間ディスプレイを開く。

 

「システムは………よしよし、オールグリーンだな。水晶蘭、施設は全破壊がいいのかな?」

『そうですね。施設は全破壊です。後、出来れば施設の人間など始末してくれと創造主は言ってます。』 

「ん、了解」

 

 っとなんか水晶蘭がいつもより堅いな、何時もはもっと束みたいに変な事ばっかメッセージを送ってくるんだが………まぁ今はこの方がやり易いしいいか。

 俺は心の中で納得させ時間を見る。後1分のようだ。

 

『施設の屋根に突っ込みます衝撃が来ます。気を付けて。』

 

 そんなメッセージが送られてきたと思ったらドゴンッという音と共に衝撃が来て再び同じような衝撃が起きる。

 

『施設内に突入しました。残り30秒で水晶の展開を解除します。』

 

 水晶蘭からメッセージを確認し俺は辺りを見渡す。因みに水晶は外から中の様子が見えないが中から外は見える優れものだ。

 

「銃を持った兵士らしき人間はいないと……」

 

 これなら簡単に終わりそうだな。ISなんかがあったら多少時間がかかると思ったが今のところ大丈夫そうだな。

 

「んじゃま。始めますかね。悪く思わんでくれ。」

 

 俺はそう言いながら記憶に残っている一番連射が出来る銃を思い浮かべる。

 えっと……あぁ確かガトリングガンがあったな。それでいいや。

 ガトリングガンを生成し終わるのと同時に水晶が解除される。因みに後ろから解除したためゴーレムはもう破壊活動しに行きました。有無を言わせずゴーレムは高出力のレーザーを撃ちまくってる。

 俺はそれを見てここは大丈夫だろうと思い移動する。勿論目にはいるものは全部ガトリングガンで撃ち抜いていく。

 正直なところレーザーガンでも良かったが出力やらエネルギーに依存しそうなので早々にやめた。レーザーガンを撃ちまくってたら俺の命がいくつあっても足りなくなるだろう。その点実弾の銃などは弾を撃ち出すときの出力を考えればエネルギーの消費が少なくなるから。

 っとそこで奇妙な人物を見た。ボサボサの髪で目の下にはくまが出来ており明らかに不健康そうな研究員が無表情で扉に寄りかかってこっちを見ていた。

 

「貴方は逃げないのですか?」

 

 研究員は俺が喋ったのが意外だったのか少々驚いた顔をしたがすぐに元の無表情に戻った。

 

「何、こんな事をしていればいずれ襲撃されると予想していたよ」

「ふむ、では殺されても仕方ないと?」

 

 何やら研究員が疲れた表情で呟いたので俺は研究員に砲身を向けて言った。

 

「まあ、そうだね。私はもう疲れていてね。正直飽き飽きしていたんだよ。この世の中に。」

 

 そう言って研究員は溜め息をついた。どうやら割と話しが分かる人らしい。恐らくは上からの命令で逆らえないかなんかだろう。

 

「貴方、結婚してる?」

 

 そう聞くと研究員は訝しそうにこちらを見てきた。

 

「何故だい?」

「………いいから」

 

 俺が急かすと研究員はやれやれといった形でまた溜め息をついた。

 

「結婚はしてないが子供が2人」

 

 研究員がそう言うのを聞いて俺は砲身を降ろした。そんな俺を研究員は再び訝しげに見てきた。

 

「なら、その子供2人のために生きろ」

 

 それだけ言って俺はその場から去ろうとしたら、研究員が呼び止めてきた。

 

「何故だ?何故私を生かすのだ?」

 

 そう言ってきたので顔だけ振り返るとあり得ないような目でこちらを見てる研究員が目に入った。

 

「ただ何となくじゃあ納得出来ないだろうから、『神に生かされた』とでも思って置けばいいよ」

 

 それだけ言い残し俺はその場を後にした。

 まぁ生きて帰れればの話しだけどね。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 さて一通り破壊し終わったわけだが、所定位置にゴーレムが来ておらず俺は手持ち無沙汰だ。

 

 ということで水晶蘭、なんか話してくれ。

 

『と、言われましても』

 

 俺が適当に水晶蘭を呼んだらすぐに返事が来た。俺としては今日の水晶蘭はどこか堅かったから返事こないと思っていたのだが。

 

 なんかお前といい束といい。今日は変だな。

 

『変?変ですか!?え?えぇ!?そ、そんな………』

 

 あ、いや何もそこまで落ち込まんでも。

 

『う、うぅ…………』

 

 ちょっと言葉を間違えてしまったようだ。俺の言葉が響いたらしく水晶蘭はメッセージでもわかるぐらい落ち込んでしまった。大丈夫だろうか?

 とそこへゴーレムが戻ってきた。何やら目元がピカピカ光ってる。

 

『………光通信ですね』

 

 あ、立ち直った。てか光通信?なんでそんなものを………

 

『……立ち直ってませんよ………。もう。話しを戻しますよ。どうやら遅れた事に謝ってるようです。』

 

 ………えっと…ゴーレムって意志あんの?

 

『………さぁ?』

 

 気になってゴーレムを見るが光通信はもう行っていない。

 もしかして束、ゴーレムにもコア意識を取り入れたのか?いや、そんなまさか………

 そこまで考えて思考をやめ再びゴーレムを見る。が、じっと待機している。

 どうやらこれ以上考えても埒が明かないみたいだ。帰って束に確認しよう。

 そう答えを出した俺は来た時と同じように自分とゴーレムの周りに水晶を展開する。そしてブースターを作り点火する。

 

 おかしいな。俺の知識じゃ無人機って意志を持たない筈だったのにな………

 

 

 

 






レーザー兵器って手入れ大変そうですよね。


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