この世界に神と呼ばれる奴はいない   作:黄泉路

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第三章 冬来たりなば春遠からじ
第1話


 

 IS学園

 それはISという兵器について学ぶ場所の事。

 IS

 それはインフィニット・ストラトスの略。

 インフィニット・ストラトス

 それは既存の兵器を凌駕してしまったマルチフォーム・スーツ

 

 何故私が今さらこんな事を言い出すかと言うと………

 

 織斑千冬(おりむらちふゆ)さんに強制的に入学させれました。

 どうも九雨霞(ここのめかすみ)です。

 事の発端は数日前。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「霞、すまないがIS学園に入学してくれないか?」

 

 風呂上がりのラフな格好の千冬さんがいきなりそう言ってきた。

 

「何故?」

 

 テレビを見ていた私は振り返りそう告げると千冬さんは無言で一夏(いちか)を見た。

 成る程、一夏に言えない事か。そういう事ならば仕方がない。

 そう納得し私は頷きテレビへと向き直った。

 

 兄さんが行方を眩ませてからというもの千冬さんは目に見えて動揺していた。終いには自分のせいだと言うほど。千冬さんと兄さんの間で何が起きたが知らないが千冬さんを元に戻すのに苦労した。

 逆に一夏は落ち着いていた。まぁ箒と離れ離れになってしまったからそこまでショックは大きくなかったのだろう。だけどたまに寂しそうにしていた。

 かくいう私も落ち着いていた。理由はわからない。けど何故か心の中で兄さんは戻ってくるという謎の確信があった。

 一番荒れたのは(いちい)だった。でもまぁこの子は仕方がないと思う。なんせ恋してたし。

 どちらにせよ兄さんと仲が良かった人は少なからず動揺していたと思う。

 そこからは私が家で一人になり、流石に不味いと思ったのか千冬さんが私を引き取り一応千冬さんと一夏の家族ということになっている。

 それからしばらくして千冬さんがドイツに行くことになり家に一夏と2人っきりになった。当時は櫟がとても文句を言っていた。

 『若い男女が1つ屋根の下で暮らすなんて………羨ましい…』って言っていた。それに対し一夏は『霞と俺は家族なんだし問題なんかねえよ。な?』と笑顔で私に向かって問うてきた。微妙に会話が噛み合ってない2人である。

 しかし本当に真っ直ぐな男だと思う。織斑一夏という人物は………

 

「…霞……この人物と会った事があるか?」

 

 ふと気がつけば千冬さんが私が座るソファーの隣に座っており此方に1枚の写真を手渡して来ていた。それを受け取りその写真をみる。

 その写真に写っていたのは白髪のメイド服を着た女性。会話をしたことは無いが確かに会っている。不思議な女性だったのは覚えている。

 

「ある」

 

 私がそう言うと千冬さんは缶ビールをあおり、そっとため息をついた。

 

「もしかして会った?」

「………あぁ会った……しかも(たばね)と行動していた。」

「あの他人に興味無い人と?」

「そう言ってやるな。だが本当の事だ。」

「……ふーん」

「近々束がまた何かするかもしれん……」

「……」

 

 成る程、私も目の届く範囲に置いておきたいと。そう言いたいのだろう。あの天災が直接千冬さんと会ったなら何かしら企んでいる証拠だろう。

 

「わかりました。……というかもう手続きは終わってるんでしょ?」

「………何故わかった?」

「外堀から埋めて嫌と言えない状況を作る。いつも千冬さんがやってる」

 

 私がそう言うと何故か千冬さんは驚いた表情をしていた。そして苦笑した。

 

「ハハッこれは一本取られたな」

「何年見てきたと思ってるの?」

「確かにそうだ。」

 

 そうして2人して小さく笑い合う。

 

「すまないな。お前には迷惑をかける」

「何を今さら………」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 てのがあった。まぁ正直なところ私を1人にする事は千冬さんが許さないだろうとは薄々気づいていたが。まさかIS学園にそのまま入学とはビックリだ。面倒な書類も試験とかその他諸々も全部パスである。裏口入学とはまさにこの事だ。

 

「よっ、霞。いやぁ知ってる奴がいて助かったよ。つか同じクラスだったんだな。」

 

 そんなふうに爽やかな笑顔を向けてくるのは今噂の一夏である。男なのにISを動かした1人で、私がIS学園に行く切っ掛けとなった張本人である。因みにさっきのSHRの自己紹介で大失敗をしていた。

 

「………ヘタレ」

「ぐっ!?」

 

 ボソッと言うと一夏は目に見えて落ち込んでしまった。この男、自分がヘタレだと自覚はあるらしい。

 

「相変わらずひでぇな霞は、まぁいいや取り敢えずまたよろしくな」

「ん。………そういえば、よかったね男1人じゃなくて」

「あぁ本当だよ。」

 

 恐らくはその男全部は転生者だろうが………そいつらとどう関係をつくるかちょっと楽しみである。

 

「霞さん霞さん。」

 

 と私を呼ぶ声が聞こえたので振り返ると教室の外から手招きする櫟の姿がある。

 

「じゃ。私は行く。暇なら箒の相手したら?」

「あ、あぁ!またな!」

 

 そう言いながら私は足早に教室を出る。いやはや一夏を見に来ていた女子の多さが半端ない。まだ他の場所にバラけているとはいえ織斑千冬の弟という肩書きは女子達にはとっても魅力的なモノらしい。私には到底理解出来ないが。

 

「いやー、まさか霞さんまでココにいるとはビックリですよ。取り敢えず歩きながら話しますか。」

 

 教室を出て櫟の元へ行くと、何処か行くらしく直ぐに歩き出した。

 

「私もビックリしてる」

「ふふ、織斑先生の差し金ですよね?」

「正解」

「やっぱりか。第一あの人が霞さんを1人にさせるとは思いませんし。」

 

 どうやら同じ考えだったらしい。

 

「ところで霞さん。杜若(かきつばた)の様子はどうですか?」

「ん、問題ない。」

「そうですか。りょーかいです。」

 

 ………何かするのだろうか?

 

「霞さん。貴方は試験をパスしたでしょ?だから織斑先生が直々に……」

 

 疑問に思っていたのが顔に出ていたらしく、それを汲み取った櫟に説明された。しかしながら千冬さんが直々に試験官とか嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか?

 

「まぁ幸運を祈りますよ」

 

 そう言われた瞬間、項垂れた私は悪くないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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