第1話
生まれてから何事もなく平穏に小学生まで無事に育つ事ができた。
なんかこういう言い方すると巻き込まれる事が前提みたいな感じだけど決してそんなことはなかった。両親も普通だし、ただ時々両親だけで旅行に行っていたっていう時もあったけど……うん普通じゃないな。なんか物凄くこの両親に不安を感じてきた。俺の前からいなくならなければいいけど。それから俺の目の色が黒じゃなく赤色と言っても緋色に近い色でなんだか不気味だったが今じゃ慣れた。黒髪に緋色の瞳とか凄く違和感感じるけど、両親は何も言わなかったし。
まぁそんなことは置いておこう。
正直俺はこのまま無事に小学生も何もなければと思っていた。だけどやっぱりそんなことは許されなかった様だ。
「ねぇねぇ君何て名前?」
………一体何故だ。俺が何をした?
「……
神は俺を嫌ってんのか?……あ、いや俺って神に捨てられたんだった。
内心凄く落ち込んでしまっていたのでボソッと言ってしまったが何故か篠ノ之は俺が呟いた瞬間途端に笑顔になった。
なんでだろうか今君のその笑顔がとても眩しいよ。……なるほどこれが子供の力か。
「そーくんだね。今日さ『空からの景色は最高だったな』って言ってたよね?そーくんは空を飛んだことでもあるの?」
言ってたなぁ!?そんなどうでもいいことをどうしてこの子は覚えてるのかな?というか俺ってば口にだしてたのか。しかもそれを聞かれるという……恥ずかしいなぁおい!くそっ!!なんでそんな一人言なんて言ったし?
ま、まぁいいさ。空といやぁ……そうだなあ
「スカイダイビングをヤらせれた。……死ぬかと思った」
文字どうり死ぬかと思った。両親が『人生は挑戦だ!』とか言って三人で飛んだ。もうね、子供にやらせるなよって俺は思ったね。結構楽しかったけど。
その時の事を考えながら俺がまたボソッって言うと篠ノ之が首を傾けた。
「スカイダイビング?」
あぁこれ知らない系だ。と言っても俺もなんて説明すればいいんだろうか?適当に言うか?うんそうしよう。
「空から飛び降りるヤツ」
あながち間違ってない。でもこれだけ言うと相当な命知らずだ。というか自殺志願者だ。
篠ノ之束はその言葉で理解したのか、あれねっと言って頷いていた。
いやはや天才さんは出来が違いますなぁおかげで会話が楽だわ。
「で、空から見た景色はやっぱり綺麗だった?」
そう篠ノ之に言われ俺は暫し考える。とはいえ俺が出せる答えは一つだけ
「そりゃぁもうね最高だよ。人なんか見えないしね。街も小さくてさ。自分がこの街に住んでるとは思えない位だったもの。ただもっと安定して飛べたらな、とは思ったけど……」
その時の情景を思い浮かべながら俺は口にした。ある意味あの出来事は寿命を減らした。飛行機に乗せられていきなり飛べと言われた時はまじでびびったし処刑かと思った。
「そーくんはまたその景色を見たい?」
物思いに耽っていると篠ノ之は期待を込めた眼差しで俺を見てきたがそんなのすでに答えは決まっている。
「そりゃあ見たいよ、ただまぁスカイダイビングはしたくないけどね」
そう言って俺は溜め息をついた。
あれは二度と経験したくないね。マジで洒落にならん。
「そっか………束さん良いこと思いついた。じゃあまた明日ねそーくん!」
なんか篠ノ之は1人で納得して笑顔で帰ってった。
一体何だったんだ?しかし篠ノ之が何か思い付くとなると厄介な事になりそうで怖いんだが………何もなければいいんだが。
しかしながらインフィニット・ストラトスの世界だったとはねぇ。男にとっては生きにくい世界じゃねぇか、前途多難だなぁ。
これからの事を考えて俺は頭を悩ませるのであった。
◇◆◇◇◆◇
インフィニット・ストラトス
通称ISと呼ばれるマルチフォーム・スーツ。元々は宇宙空間での活動を想定して造られた物だったと思う。だが白騎士事件とかいうヤツのせいでISは戦闘方面、主に武器として認識されてしまったのだ。まぁそれをよしとしなかった篠ノ之束さんが頑張ってアラスカ条約とかいうモノを作ったんだけどね。あれ?篠ノ之束さんがアラスカ条約とかいうの作ったんだっけ?うーん?いまいち覚えてないなぁ。まぁいいか、この転生者共が蔓延る世界で正史通りに進むとは思えないし。とりあえずは適当に暮らすのが一番かな?
それよりもまぁ目の前の事をどうにかしなくては………
今日家に帰るとこんな書き置きがあった。
『喜べ叢雲!!お前はお兄ちゃんになれるぞ!!しかも妹だ!ということで旅行に行ってくる。』
ちょっと待てや。子供が出来たんなら安静にしとけよ!何がということでだ!!軽すぎんだろ、なんだその友達の家に遊びに行ってくる的なノリは!!お前らただ旅行に行きたいだけだろ!!
とこのように俺は心の中でキレた。いやね流石にこれはないと思ったよ?だってあり得ないでしょ。子供置いて自分達だけで旅行って……
はぁ……しかも夕飯どうすんだよ。いや冷蔵庫には俺が買いだめしておいた食材があるはずだ。
実は俺は両親から結構な金を貰っている。自分達の留守が多いから両親達は『生きる知恵を学ばせている。』という言葉を聞いた瞬間、俺はもう何も言うまいと投げた。というか投げるしかない、何を言っても無駄だよ。あの二人は。
まぁ両親の話しは置いといて食材の話しに戻るんだが。俺は両親から貰ったお金でスーパーで安売りしてる物を買い込んで保存して頑張ってる。正直両親は信用出来ないし、だからといって親戚を訪ねるわけにもいかない。八方塞がりだよね、だからこそ今出来る事を自分でやるしかない。
「今日も一人寂しくテレビでも見ながら過ごしますかね」
と言いながら俺は料理を作ることにした。
「はろはろー束さんだよー?そーくんいるー?」
俺が丁度晩飯を作ろうと冷蔵庫の中を確認していると何故か篠ノ之束の声が聞こえた。
うん、気のせいだ。気のせいにしとこう。色々面倒だし。
だがしかし篠ノ之束は普通に玄関から中に入ってきた。
あ、玄関の鍵閉めるの忘れてた。
「なんだ、そーくんいるじゃん。いるなら返事してよ。ぶーぶー」
何故か篠ノ之束が頬を膨らまして俺に何か言っているが無視したい。物凄く無視したい。
だがそんな俺の気持ちを知ってか知らずか篠ノ之束は手に持っていたパソコンを見せてきた
「見て見てそーくん!!」
そのパソコンに映っているのは何かの設計図。
恐らくはISの設計図だろうが何故、それを俺に?
「いや、急にどうしたの?」
俺は正直どうしていいかわからなくなった。
困惑ぎみの俺を見て気づいたのか篠ノ之束は『説明してなかったね』と言ってきた。
「これはね束さんが考えたマルチフォーム・スーツ」
そして腰に手を当ててめっちゃドヤ顔でそんなこと言ってきた。だがまだ終わりじゃないらしい。いやマルチフォーム・スーツということだけ分かれば俺にとっちゃどうでもいいのだけれど。
「その名もインフィニット・ストラトス!!」
ババンという効果音が鳴りそうな感じで篠ノ之束は決めた。
いや、うんわかってたけども。興味あるけどね。
「なんか凄そうだけど夕飯作っていい?」
空腹には勝てなかった。
俺がそう言うと篠ノ之束は芸人もビックリの勢いでズサーっと滑って行った。そしてすぐに戻ってきた。
「ちょ、ちょっとそーくん!!束さんが
かっこよく決めたのに『なんか凄そう』ってどういうこと!?」
あ、そっちですか。じゃあ遠慮なく夕飯を作らせていただきますね。
と俺は束から許可は貰ったので俺はキッチンに立ち夕飯の準備を始める。勿論篠ノ之束に言葉を返す事も忘れない。
「いやぁ興味あるけどお腹すいちゃったしぃ……あ、篠ノ之も食べてく?」
「え?いいの?」
夕飯に誘ったら何故か篠ノ之束が疑うような目をしてきた。
失敬な、俺は普通に料理出来るぞ!美味しいかどうかは保証しないけどね。
「いいよ。今日は一人だし」
俺が了承すると今度は首を傾けてきた。
なんだ表情がコロコロ変わるヤツだな。
「えっとそーくんの親は?」
あぁそこの理解はあるんですね。なのにどうして原作じゃあんなになっちゃったのかねぇ?
「二人して旅行に行ってる」
「なにその親」
そしたら急に篠ノ之束は不機嫌な表情になった。
まぁその反応が普通なんだけどね。俺はもう慣れたよ。
「二人は旅行が好きなんだよ。それも二人っきりがね」
そう言って俺は少し微笑んだ。
あんな両親だけど優しい時は優しいし構ってくれる時は構ってくれる。それに親ってのはいるだけでも違うもんだ。
「そーくんは一人?」
「そうだよ。あれさっきも言わなかったっけ?」
「寂しくないの?」
そうだねぇ独りぼっちは寂しいよねぇだけどまぁ仕方ないことじゃないかな?それに……
「慣れたよ」
そう慣れたのだこんなこと毎日やってりゃ嫌でも慣れる。
「………」
なんだかシンミリとしてしまったが俺はちゃんと料理をやってる。まぁ篠ノ之束にも思うところはあるんだろう。ちなみに今日のメニューは魚の味噌汁。味噌汁はいいぞぅ。心が暖まるからねぇ。といっても味噌汁だけだど味気無いけどね。でもまぁ俺からしたらこれだけで十分だし。
とりあえず料理が終わった俺は御飯盛ってテーブルに持っていく。ちゃんと篠ノ之束のぶんも忘れずに。
「篠ノ之ー食べるぞー」
「うん」
俺がそう言うと篠ノ之束は小さいながらも返事をした。
「んじゃあ頂こうかね」
篠ノ之束が席につくのと同時に俺は飯を食べだした。
しばらくして篠ノ之束はなんか思いついたのか俺の方を向いてきた。
「やっぱりおかしいよ」
そんなことを言ってきたのだ。
いやはやまさか他人嫌いのこの子から聞けるとは驚きだな。もしかして織斑千冬以外に誰かがこの子に関わっているんだろうか?だとしたら正史通りに進むとはまず有り得ないな。
「おかしいって言われてもなぁ俺にとってはもう当たり前の常識だし」
俺がそう言ったら急に篠ノ之束は立ち上がった。
なんだ?もしかして怒らせたか?
「うんうん、やっぱり束さんの考えた決め台詞を適当に流したのはおかしいよ!!」
とビシッと俺は指差して言ってきた。
そっちかい……やっぱりこの子はこの子だったか、ちょっと期待はしたけどダメだったようだ。
「その話しね。決め台詞はどうでもいいけどインフィニット・ストラトスっていうのは?」
と俺が言ったら篠ノ之束は急に元気になり俺に近寄って来たが『あ、まだ食べてないや』と言って席に戻り急いで飯を掻き込んでいた。
「ちゃんと聞いてやるから落ち着け。噎せるぞ?」
「……ッ!?」
って言ってるそばから篠ノ之束は噎せてた。幸いにも口に入れたモノを出すことはなかったが。
その後、篠ノ之束が落ち着いたところで話しを聞いた。
とにかくインフィニット・ストラトスは凄いらしい。らしいというのはまだ完成してないからで俺も実物を見ない限りいまいち凄いと実感が湧かない。というのも俺の前世じゃIS見たいなパワードスーツは普通にあったし、バリアみたいな技術もあった。俺も整備を結構してたし。ただ空は飛べなかったけども。
だから俺からしたらなんとも言えないがそれを覚えてるってのは少しおかしいが、信じるしかないだろう。前世の事はほとんど覚えてないし。
まぁ何が言いたいかって言われると、篠ノ之束という天災になつかれた。
俺のこれからの事について更に悩まされるのであった。