千冬さんと山田先生がいる場所に近づいていけば何やらモニターの先で一夏が左手を開いたり閉じたりしついた。それを見て思わずため息をついてしまう。
「あの、バカ………」
「浮かれているな」
どうやら千冬さんも同意見のようだ。千冬さんの隣りで山田先生が不思議そうな顔をしているがここは敢えて無視をしていおく。
「戻ってきたら説教ですね………」
「そうだな。しかしあの癖、まだ治ってなかったか」
「矯正したと思っていたのですがね………」
私の言葉に千冬さんも苦い表情だ。もちろん私もそれに近い表情をしているだろう。端から見ればだが。
「あ、あのー」
さっきから不思議そうな表情をしていた山田先生が恐る恐るといった感じてこっちに声をかけてきた。いやまぁどういった理由かはわかるけれども。
「お二人は一体何のお話しをしているのでしょうか?」
そんな問いにちらりと千冬さんを見るが反応せずモニターを見つめている。どうやら説明は私がしなければならないらしい。
「一夏の左手……閉じたり開いたりしてると浮かれていてその後、必ず失敗するんです……」
「へえぇ、よく知ってますね。もしかして、その……九雨さんは織斑君と付き合ってたりとか?」
その質問に思わず苦笑してしまう。やっぱり端から見るとそんなふうに見えてしまうのだろうか、私はそこまで一夏と一緒ってわけでもないのだけれど。
「それはないですよ山田先生。付き合いが長いだけですから……」
「そ、そうですか……」
私が呆れながら言えば、察したのか山田先生はそれ以上の質問してこなかった。
まぁ察してくれなければ色々と困るが。
その時丁度千冬さんが私を見ていることに気付きそっちを向けば千冬さんが『何でもない』と小さく呟きモニターへと目を戻した。
そんな千冬さんに疑問を覚えつつも私もモニターへと視線を戻す。
戻して見れば丁度一夏にミサイルがあたる瞬間だった。
次の瞬間には一夏が煙りで見えなくなる。それを見て終わったかと思ったがいつまで経っても試合終了の合図は聞こえない。
「機体に助けられたな。」
そんな千冬さんの呟きに気付いた。そういえばまだ
煙りが晴れた場所から現れたのは純白の騎士の鎧を思わせる様な白式を纏った一夏であった。
そしてその手に一振りの刀を持っていた。
「……雪…片………」
確か千冬さんが乗っていた機体の武器だった筈だ。形が若干違うが果たして……
『俺は世界で最高の姉を持ったよ。』
そう一夏が呟けば持っている刀が展開しそこから青白い光が出てくる。
それを見た瞬間右目に痛みが走る。驚き思わず私は視線をモニターから外し右目を抑える。
あの光に杜若が反応した?でも一体何で?
『だからせめて姉の名は守らなくちゃな……』
そんな一夏の声が聞こえたと思えばすぐに雄叫びが聞こえてきた。多分突っ込んだのだろうが、私はそれどころではなくさっきの痛みが気になってしまいその場から少し離れた。
「大丈夫ですか霞さん……」
私が離れたのに気付いた櫟が近づいてきて心配そうに小声で話してきた。
「一応は………ただ急だったから…」
そう返せば櫟は安心した表情を見せた。
「無理は体に毒ですからね?」
櫟はにっこりと笑って私から離れていった。
心配、かけてしまっただろうか。しかしさっきの痛みは何なんだろうか?
考えて見るが予想がつかない。そもそもあの光と杜若の接点が全く持って分からない。ただ分かる事は千冬さんが使っていた機体の武器に似ているということ。
結局分からないと気付くと私は頭を振り今考えていたことを忘れようとする。
ふと気付けば一夏が戻って来ていた。そして目に見えて落ち込んでいた。あの様子だと恐らく負けたのだろう。
結果が何となく予想出来て思わずため息がでてしまう。
だけど言える事はある。流石は『千冬さんの弟』と、いうこと。
◇◆◇◇◆◇
「
私はアリーナで浮遊しながら呟く。
零落白夜はエネルギーを消滅させる質の悪い能力。シールドエネルギーさえも突破するのだから本当に質の悪い能力だ。ただ、使えば自分のエネルギーも使うという諸刃の剣だが。
「悪い、待たせたな」
そう言ってやってきたのは白式を纏った一夏。
「……別にいい」
私がそう言えば明らかに好戦的な笑みを浮かべる一夏。その姿に思わず苦笑する。
「霞……俺さ、今とても気分が高揚してるんだ」
「……そう…」
「そうさ、またこうやって霞と戦える時が来るなんてな。」
「………」
「だから、最初から全力で行かせて貰うぜ!」
そう一夏が言ってタイミングよく試合開始の合図がなる。
その合図と共に突っ込んでくる一夏。上から振り下ろすそれを私は右手の
受け流された一夏は直ぐ様後ろへ下がり距離を図る。
いい判断だ。一刀と二刀の手数の違いを理解しているのだろう。いや、一夏の事だ勘の方があり得るな。
「やっぱ、通じないな」
そう言ってニヤリと笑みを浮かべる一夏。彼は一体何がそんなに面白いのだろうか?
そんなことを思っていると一夏がまた突っ込んでくる。今度は下から切り上げてくるので私は左に一歩後ろに下がり、切り上げを避けてから山茶花で袈裟斬りをするが、一夏は巧く袈裟斬りを受け流し私にお返しとばかりに袈裟斬りをしてきた。
さすがに食らいたくないので後ろへ飛び袈裟斬りを避けた後、私は一夏へ左の
そして起こる爆発。
「ば、爆発!?」
流石に爆発するとは一夏は思っていなかったのか直ぐ様距離をとった。
『
そんなメッセージを無視し私は千日紅を8機起動させる。
『起動完了。独立を開始します。』
そのメッセージと共に胸元と腰から紫色の鱗のような装甲が外れ私の周りを漂い出す。
「まさか、刀が斬られるなんて……」
「い、いや。それは何だ霞?」
「………すぐわかるよ」
千日紅。それは計24機で成り立つ電磁砲。一つ一つが電気を撃ち出すことが出来、尚且つ4機集まって電気を発生させ磁力を高め威力を上げることが可能である。勿論24機フル稼働すれば
昔はホントただの磁力発生装置だったけど、千冬さんや束さんのせいで今やビット兵器となんら変わらなくなってしまった。当初はノリで束さんが作り上げてしまったためいろんな国からチョッカイがいっぱいあった。本当に頭が痛い。たがそのお掛けで第3世代まで引き上げられた。
「……行くよ杜若」
私は呟き一夏へ向かう。それと共に8機の千日紅がそれぞれ不規則に動いて行く。
対する一夏は近づくと不味いと思ったのか後ろに下がる。たが、一夏の先を予測し千日紅が砲撃を始める。
「う、うわ、ビット兵器か!?」
しかしそこは一夏なのか初撃だけ当りそれ以外は避けてしまう。
本当にこの男は本番に強い……普段はだめだめなのに…
「……磁力発生」
『本機より各機に磁力の発生を指示。……各機指示確認。これより8機で磁力発生させます。』
そのメッセージを流し見し、一夏に近づく。
『磁力の発生確認。磁力の持続時間、残り約20秒。』
「うえ!?なんだ、引き寄せられる!!」
千日紅が相手の回りに展開し磁場を発生させ相手を拘束し切り込む。これが本来の杜若の戦い方。
「痛くても許してね………」
「っ!?」
近く私に気付いたのか一夏が慌てて構えようとするが磁力が邪魔して上手く構えられないようだ。
磁力発生が強いとはいえ制限時間はあるので素早く仕止めるにかける。
一夏に素早く近づき山茶花を振り下ろす。続けてすぐに次の攻撃に移るが一夏が零落白夜を発動しようとするのが見えた。
「……それは使わせない!」
「ぐっ!」
私は雪片二型を弾く、が、力が足りなかったのか一夏の手から雪片二型が離れる事はなかった。
『磁力発生時間が限界です。磁力発生を終了します。』
そのメッセージが出た瞬間にその場を直ぐ様離れる。離れた私の元へ千日紅が戻ってくる。
前を見れば雪片を構えた一夏。
「へへっやっぱ強いな霞は……」
「………」
「ちょっと羨ましいぜ。でもだからこそ俺ももっと強くならないとな。」
「………」
「じゃなきゃ背中を預けてくれないしな!頼りない俺じゃ足手まといになるだけだから……」
「……バカ…」
「ハハッなんと言われようと俺は撤回しないぜ?俺は霞の家族だからな!」
「………そんなんだから……」
「ん?……え、ぇ後ろ!?」
一夏がいた後ろから千日紅の砲撃が飛んでいくが一夏はギリギリの場所で避ける。そこへ私は山茶花を大きく振りかぶり一夏へ思いっきり投げ捨てる。
「あぶねぇ…って、おわぁ!?」
千日紅を避けて油断した一夏に山茶花が飛んでいき見事にクリーンヒットした。そして鳴り響く試合終了のブザー。
「……そんなんだから嫌いなのよ……揺さぶるから………」
その呟きはブザーの音と共に掻き消された。
むぅ……
なんか最近ずっと読みに走ってますね……
つ、続きを書かなければ、続きが思いかなくなってしまう!!
いえ、割りと真面目に……
まぁそうゆう事は置いておいて一夏君が割りと善戦しました。しちゃいました。……こんなに善戦するとは思わなかったです、ええ、はい。
というかISの装甲とかって鉄と判断していいんですかね?つか鉄じゃないと割りと困りますね。千日紅がめちゃくちゃ弱くなりますし。
あぁあと、後で杜若の刀が、雪片に斬られた理由も説明されますので、あしからず。
ではまぁ今回はこれで。