この世界に神と呼ばれる奴はいない   作:黄泉路

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第2話

 それはなんとまぁ突然の事だった。俺もいつかはやらかすと思っていたんだ。それが遅いか早いか……ただ思っていたより早かったってのはあった。だからなんだかなぁって感じで今だに信じられない。

 それは家に帰ってきたら居間のテーブルに置いてあったんだ

 

 そう手紙と通帳がね。

 

 俺も最初はまた旅行に行ったのかと思ったが今まで通帳を置いていく事はなかった。そして手紙の内容を見て理解したんだ。『やっぱりか』ってね。

 

『すまない』

 

 手紙にはそれだけ書かれてた。ただ一言すまないって文字だけ。

 俺が手紙の内容を見て固まっていた所に丁度、妹の九雨霞(ここのめかすみ)が帰ってきた。ちなみにこいつも転生者だ、多分あの悪魔の青年が言っていただろう犠牲者の1人だろう。

 

「あ、兄さんお帰り。」

 

 トテトテと俺へと近寄ってくる。まだ2歳だが、そこはまぁ転生者だし?簡単に喋るし簡単に歩いてる。さっきまで散歩にでも行ってたのだろう。そういえば霞の前世は男だと言っていたがこの世界がインフィニット・ストラトスとわかった途端にならいいやって言ってた。うん、いいよね。女尊男卑の影響を受けないんだから。

 

「兄さん?」

 

 俺の様子がおかしいと気付いたのか霞は椅子に登りやがて俺が持っている手紙に気付いた。そして俺の手から手紙を取った。

 

「……なにこれ」

 

 霞も1発では理解出来なかったらしい。まぁこんなのって非常識だもんね。

 

「そのまんまの意味だよ。」

 

 そして理解したのか霞の顔が驚愕の表情へと変わった。

 

「…え?…ウソ……ウソだよね?」

 

 霞のその言葉に俺は首を横に振った。

 

「いつかはやると思っていた。それが早かっただけだ」

「冗談って言ってよ」

 

 こればっかりは仕方ない。仕方ないんだ。どうすることも出来ない。子供の力では何も出来ないんだよ。世界は何時だって不条理さ。

 

「……」

「…お願いだから冗談って言ってよ……冗談って言えよ!!」

 

 霞は怒鳴りながら俺の肩を掴み必死に揺らした。顔に涙を浮かべて。

 俺は霞を見てられなくなり思わず抱き締めてしまった。それで霞は抑えきれなくなったのかとうとう泣き出してしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「…兄さん……ごめん…」

「いいよ、別に」

 

 俺はそう言って霞の頭を撫でてやった。親に捨てられるのは流石に辛かったかな。でもまぁ俺からしたらどうでもいいんだけどね。両親のことは信頼してなかったし。

 

「…兄さんは辛くないの?」

 

 ポツリポツリとだが霞はそんなこと言ってきた。大泣きして感情の整理がようやくついてきた所だろう。

 

「正直に言えば辛いけど。元々あの2人は信頼してなかったしねぇ。今まで1人が多かったしもう慣れたかなぁ」

「なんだか他人事みたい」

 

 言われてみればそうかもしれない。俺はどこか客観的過ぎる気がする。多分。

 

「凄いね兄さんは」

 

 霞は冗談が上手いなぁ俺が凄いなんて、ねぇ?

 

「ハハハ、凄くなんかないさ。慣れれば誰でもこんなふうになれるさ。」

「……慣れって怖いね」

「全くだ」

 

 そうして2人で笑いあった。両親は確かに何処かへ行ったが生活は今までと変わらない。ただそれに妹が加わっただけだ。一癖も二癖もあるがな。

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

「パッシブ・イナーシャル・キャンセラー?」

「そうそう略してPIC」

 

 今俺は束にISというものを教わっている。そして何故教わっているかと言うと。まぁ単なる興味だ。原作ではコアのほとんどがブラックボックスしていると聞いてたし。教わってみるのも良いだろうと俺は思ったんだ。

 

「それのおかけで空で3次元的な動作が可能なんだよ」

「へぇ~便利だな。」

「でしょでしょ?」

 

 とそこへ織斑千冬(おりむらちふゆ)が俺達のところへやってきた。ちなみにこの人運動神経が有り得ない。人間を越えてる。

 

「やあやあちーちゃんげんきー?もしかして愛しの束さんに会いにギャ!?」

「おい、二人してなにしてる?」

 

 そして横暴、口より先に手がでるタイプ。非常に取り扱いが危険です。

 

「べんきょー?」

 

 俺としては勉強だが束にとっては分からないので束を見る。

 俺が見ていることに気づいた束は素早く立ち直り千冬にパソコンを見せつけた。

 

「そうだよちーちゃん!!束さんはそーくんにISの素晴らしさを教えていたところなんだよ!」

 

 ハイテンションな束に対して千冬は鬱陶しそうにパソコンをどけた。

 

「そんなことは知らん。それよりもだ」

 

 うわぁ何してるって聞いてきたのに知らんってないでしょうよ。それじゃあ束があんまりだ。ほら束がめっちゃ落ち込んでる。

 

「お前ら授業はどうした?」

 

 千冬がそう言った瞬間凍りつく束。ちなみに俺はベンチに座ったまんま。特に表情も変わらないちょっとだけ笑みを受けべてる。

 

「た、束さんには必要ないし?束さんは天才だから全部わかっちゃうし?」

「ほう?」

 

 なんか束が一人言を言い出したと思ったら束の後ろに千冬が立った。相当な重圧が掛かってるらしく束は汗ダラダラだ。

 

「た、束さんは!!用事思い出したからか、帰るね!!」

 

 重圧に耐えきれなくなったのか束は全速力で逃げていった。

 そして千冬は溜め息をつき俺がいる方へと近寄って来た。

 

「………叢雲」

「なに?」

 

 名前を呼ばれ俺は千冬を見る。少し雰囲気が変わったから何かあったのだろうか?

 

「お前は何を焦っているんだ?」

 

 焦っている?俺が?一体何に?

 

「どうしてそう思うの?」

 

 もしかして俺も動揺したか?でもそれは表情とかに出してないはずだが……

 

「どことなく余裕が無いように見えるというか、いや、私の勘違いならいいのだが……」

 

 どうにも歯切れの悪い答えだったがすぐに俺は理解した。

 

「なるほど」

 

 確かに心に余裕がなかった。そのせいで周りを考えず行動して、今に至ると。……霞、兄ちゃんは全然凄くなかったよ。それに慣れきれてなかったよ……

 

「いやはや、ありがとうな。千冬」

 

 俺がそう言うと千冬は納得出来なかったのか首を傾けてた。

 

「何かいいことしたか、私?」

 

 しかしながらこの人はよく周りを見ているな。流石と言ったところかな?是非とも彼女とは善き関係を作っておいて損はないね。

 

「ハハハ、家族の事で色々あってね……」

「む……」

 

 俺がそう言うと千冬は少しだけ眉を動かし何故か俺の隣に座った。

 

「聞こう」

 

 たったそれだけ言って千冬は目を閉じ聞く態勢に入ってしまった。

 

「遠慮するなよ」

 

 敵わないなぁ……

 

 それから俺と妹が親に捨てられた事を大まかに千冬に話した。ただ彼女、終始無言だったから気まずかったけど、まぁ誰かに自分の悩みを明かすのってなんか勇気いるけど、ちょっと気が楽になるよね。

 

 っで俺が話し終えると千冬はゆっくりと目を開けた。

 

「……お前は強いな」

 

 凄いの次は強い………

 

「千冬程じゃないよ」

「強いさ」

 

 わからないなぁ千冬の言っている強さがわからない。俺は自分の事を強いと思った事はないしこれからも思わないつもりだ。

 

「私よりもずっと強い。」

「わからない、何の事を言ってるのかわからないよ千冬」

「『揺るがない心』というモノだったか……お前はそれを持っている」

 

 揺るがない心ねぇ?千冬は俺を過大評価し過ぎではないだろうか?束はともかくとして俺はそんなもの持てないな。いやあれはどちらかというと『信念』か?

 

「悩んだり不安になったりしたら私か束を……いやアイツはダメだ。ともかく私を頼れ、私達は友達と言うモノだろう?」

 

 そう言って千冬は微笑み俺の頭をゆっくりと撫でた。

 いやはや、この人なんなの?凄く格好いい事を言うじゃないの。その辺の男より男らしいよ。はぁ、全く……敵わないなぁ。

 

「友達なら、その弟を見る目は止めて欲しいな」

 

 言われて気づいたのか千冬はばつが悪そうな表情をして手を引っ込めた。

 

「すまん」

 

 途端にショボくれる千冬。なんだこの人、さっきの格好よさはどこにいったんだよ。

 

「ふふ、いいよ別に」

 

 千冬の変化にちょっと俺は笑ってしまった。それを見た千冬は不服そうな目で俺を見てくる。

 

「笑うなよ」

「ふふっ。ごめんごめん。でもありがとね」

 

 そうやって謝りお礼を言うと、千冬がちょっとだけにやけた。

 やっぱり真っ向からお礼言ったりすると照れるらしい。本人は隠しているらしいが………まぁでもそこも織斑千冬のいいところでもあるんだけど。だからこそこの関係を崩さないよにしないとね。

 

そう考えて俺は織斑千冬の俺の中の評価を上げるのであった。

 

 

 

 

 




PIC→パーティー・今のところ・キャンセル待ち


淡白でマイペースな主人公


千冬さんはやっぱり格好いい


案外泣き虫な妹ちゃん


安定のハイテンションの束さん


旅行が好きすぎる主人公と妹の両親


「霞ってさ下ネタ大丈夫系?」
「ぇ!?」

普段ほんわかしててソッチに興味無さそうなのに、下ネタを振られたときの驚きは半端ない。
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