この世界に神と呼ばれる奴はいない   作:黄泉路

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第5話

 

 

「コア・ネットワークねぇ……」

 

 ここ数年ISについて色々学んだが……今だに理解出来ない事がある。

 例えばシールドバリアっているか?束は何を思ってシールドバリアを採り入れたんだ?普通に考えて必要が無かったと思うのだが……第一、絶対防御があるのにシールドバリアまで作る理由がわからん。何故、宇宙での活動を目的としてるのにこんなにもオーバーテクノロジーで武器寄りなんだ?

 ………まぁ……いいか、別に。

 しかしこうやって見るとISのコアっていうのは不思議だな。

 そんな事を考えながら俺は透き通るような水色をした球体を手に持った。

 

「お前に最適化(パーソナライズ)を行うのは俺と霞のどっちなんだろうな?」

 

 そんな疑問を球体に聞くが、答えてくれるわけでもなくすぐに俺は何をやっているんだと思い溜め息をついた。

 ISは自己進化すると聞いていたが……どうしてそんな機能をつけたのか。まぁ俺には関係の無いことか。

 

「何となくだが、お前には(かすみ)が乗るだろう。そんな気がする。」

 

 そう言って俺はISのコアを机に置いた。

 あくまで何となくだが俺よりも霞の方が似合っている。やっぱり男より女の方が見栄えはいいよな。

 そんな事を考えつつ俺は気持ちを入れ換えるために伸びをした。

 

「うぅーん」

 

 伸びきったところでほどよく緩める。

 しかし第二回モンド・グロッソまでもう4年を切った。ISのコアを束に手伝ってもらって完成させたとはいえここからが大変だ。武装やら出力やら考えなきゃいかんから正直4年で完成するか難しいところだ。最悪束に手伝って貰うことになるな………

 などと考えていると珍しく家の電話が鳴り出した。俺の交流関係はかなり少なく。その少ない交流関係も電話ではなく直接会うことが多いために普段から家の電話が鳴ることがないのだが……

 ふむ?誰からだ?束は直接会いに来るだろうし、千冬かな?

 そうやって当たりをつけながら俺は受話器を取り耳元へとやる。

 

「はい、九雨(ここのめ)ですが?」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 以外にも電話の相手は霞の学校の担任だった。堅苦しい敬語で色々言ってたが要約するとこうだ。

・お宅の娘さんが問題を起こしたので学校に来て欲しい。

 との事だった。それを聞いた瞬間、霞には珍しい事だと思った。転生者であるため見た目の年齢よりも精神は周りより年食ってる。そのため大人びてるし、ましてや自分から問題を起こすような子ではないのだ。

 ただ容姿を除いて。

 彼女の容姿は特殊だ。いや世界を探せば要るかもしれないが、それでも珍しい方だ。ではどんな容姿なのか……白い髪に白い肌、そして緋色の瞳。俗に言う先天性色素欠乏症(せんてんせいしきそけつぼうしょう)だ。分かりやすく言えばアルビノだ。今まで霞の容姿について触れなかったのもこれが理由だ。因みに瞳が緋色なのは恐らくチート能力を無効にするモノを埋め込んであるからだろうと俺は予測している。

 

「こちらです」

 

 学校の職員らしき女性に通されたのは会議室みたいな所。そこに入ると知らない女性が3人、向かいに何故か一夏と千冬。

 あれ?霞は?

 入ったはいいがなんだこの構図は……千冬は目をつぶって微動だにしていない。その向かいの女性3人は若干イライラしている。

 

「説明を頂きたい」

 

 そう言って俺は千冬を見るが千冬も俺を一瞥して『私も知りたい』って言ってきた。なので俺は教員らしき女性を見るが俺が見た途端に彼女は急に慌て出した。

 一体なんだというんだ?

 

「い、いや!あの、ですね?」

 

 視線がキョロキョロと安定してない。慌てすぎて言葉が出てこないのか。

 

「お宅のお子さんがウチの子を怪我させたからと聞きましたが?」

 

 千冬と一夏が座っている向かい側の女性の一人がそんな事を言ってきた。それを追うかのように他の二人も『私のところも』と言ってきた。

 はて?霞がそんな事を?

 

「霞は?」

 

 そんな女性3人の言葉は適当に流し再び俺は教員らしき女性を見る。

 

「……びょ、病院です。」

 

 語尾がかなり小さくなっていたが、ちゃんと聞こえた。

 てか病院?何故?

 

「……一夏、説明をしてくれる?」

「え?あ、わかった」

 

 この教員だと埒が明かない。ここはもうこの場で一番知っているだろう一夏に説明をお願いした。

 大方篠ノ之菷(しのののほうき)のいじめ騒動だろう。それに霞も巻き込まれたのか。っていうか一夏と同じ学校だったんか。知らんかった……

 

 

 でまぁ一夏の説明を要約すると。

・男3人で菷をいじめてた

・それを見た一夏が止めに入る

・しかし一夏も色々言われて激昂

・そこに霞が来て『掃除をしろと』一喝

・だけど女子に言われて頭にきたのか男の一人が霞に向かって椅子を投げた

・それが霞の目にクリーンヒット

・それを見た一夏が再び激昂し喧嘩に

・そして今この状況

 

「そ、そんなのその子のでっち上げだわ!!」

 

 さっきの女性がそう言い、他の二人も『そうだ!』と言ってくる。俺はというと説明をしてくれた一夏の頭を『ありがとう』って言いながら撫でてる。対する一夏は少し恥ずかしそうだ。

 しかしなんとまぁこれは酷いね。さっきから教員らしき女性がびくびくしすぎて涙目だ。あんた借りにも教員でしょうよ。

 そんな事を思いながら内心で溜め息をつきながら俺は女性3人を見た。そんな俺を女性3人は訝しい目で見てくる。

 

「貴女方が思っているよりも子供は正直ですよ」

 

 俺の言葉に女性3人はポカンとしている。まるで鳩が豆鉄砲くらったような間抜けな顔だ。そして俺は教員らしき女性へと目を向ける。それに気づいた女性はビクリと肩が跳ねてた。

 なにこの人?大丈夫か?

 

「霞がいる病院を教えて下さい」

 

 そしたら教員らしき女性は驚いた顔をした。

 いやいや一体何をされると思ったのこの人は?

 

「え、えっと、ここで、す……」

 

 そして渡されるメモ用紙。

 それを変に思いながらも受け取り一夏と千冬に一声かけて会議室みたいな部屋を出ていこうとするが。

 

「ちょ、ちょっと?話しはまだ終わってないわよ?」

 

 止められた。さっきの女性に。なんだか凄くイライラする。まだ、自分の立場をわかってないらしい。

 

「私から話すことなんでこれっぽっちもありませんよ」

 

 俺は振り向いてこう言ってやった。そしたら女性はなんだか悔しそうな表情をしていたが無視して俺は会議室から出た。

 

「二人も霞の様子を見に行くかい?」

「あぁ行くよ」

「私も行こう」

「ありがとう二人とも。霞も喜ぶよ。」

 

 そう言って一夏の手を繋ぎ歩き出す。俺と千冬の間に一夏。端から見たら異様だ。

 

「お前の事だから容赦しないと思ったよ」

 

 突然千冬がそう呟いた。

 

「本当は叩きのめしたかったけどね」

「してた場合、私が止めていたが」

 

 俺はニッコリと笑い、千冬はフッと小さく笑った。

 

「しかしなんでしなかった?」

 

 千冬はそう言ってきたが、何だろう?殴って欲しかったのだろうか。もしかしたらあの会議室にいて千冬もストレスが溜まっていたのかもしれない。

 

「………親の存在は子供にとって大切だよ」

 

 俺がそう言うと千冬は少し俯いた。親という存在は子供にとっては重要だ。詰まるところ愛情だ。親と子。子は親の愛を受け取り成長する。

 

「他人の親を奪うってのはやっちゃいけないことだと俺は思ってる。」

 

 そう言って俺は一夏の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

 

「わっ!?何だよ?」

 

 急に撫でられて一夏は不満そうな声を上げる。

 まぁ千冬にも思うところはあるだろう。親というのは子に多大な影響を与える。いい意味でも悪い意味でも。

 

「ありがとな、霞のために怒ってくれて」

「そんなの当たり前だろ?だって霞は友達だからな」

 

 一夏に礼を言うと一夏は何を言ってんだ的なノリで俺にそう言ってくれた。

 こうゆうことをさらっと言うから一夏は好かれるんだろうな。誰に対しても裏表がない。それでいて自分の意思を貫き通す。貴重だよこうゆう子はね……

 

「お前のそうゆうところ、俺は好きだぞ」

「な、何だよ……今日のそう(にい)変だぞ?」

 

 それでいて褒められ慣れてない。だから原作じゃ鈍感なのかもしれんな。あぁあと愛情も知らないのか……

 

「そうか?」

「そうだよ」

「ハハハ、そうかもしれんな?」

 

 俺はむず痒そうな一夏を見ながら微笑んでいた。それを見た一夏も何だかんだ言って笑っていた。ただその中で千冬だけ複雑な表情で二人をしていた。

 

 

 

 

◇◆◇◇◆◇

 

 

 

 

 

「先に二人が行ってきていいよ」

 

 俺は二人を霞の病室に行かせ自分は屋上へと来た。そこで携帯電話を取り出しあるとこへかける。

 

『もすもす?皆のアイドル束さんですよー?』

 

 電話越しにハイテンションな声が聞こえてくる。いつ聞いても元気すぎるの一言だ。

 

「やぁ束。元気にしてたかい?」

『むむ?その声はそーくんだね?はろはろー束さんは何時も元気だよだよ?あ、でも最近はそーくんに会えないから寂しいなぁ』

「はは、何時も通りだね」

『えー?そーくんは束さんのことハイテンション過ぎる馬鹿だと言っているの!?』

「言ってないよそんな事」

『え?そう?』

 

 そして『えへへ』と照れたような声が続いて聞こえた。

 確かにハイテンションなのは認めるがだいぶ飛躍したな。

 

「嬉しそうだね。」

『嬉しいよー!なんたって束さんの数少ない親友からのお電話だからねー』

 

 親友だと思ってくれてるのは嬉しいが後処理するこっちの身にもなって欲しいところだ。

 さて、さっさと本題に入りますかね。

 

「さっきの、見てただろ」

 

 俺が少し声色を変えると向こうに理解したのか笑い声が消えた。

 

『菷ちゃんが言われてるところから霞ちゃんが怪我するとこまでバッチリと』

 そこからか……なら…

 

「無闇に人を消すなよ」

『えー……アイツら菷ちゃんを苛めただけでなく霞ちゃんに怪我させたんだよー?たかだが有象無象の分際で』

「だからってその場の感情だけで動くな」

『むぅー……わかったよー。そーくんがそこまで言うならやめるけどさぁ』

「すまんな束」 

『いいよもう。それよりもさそーくんは嫌じゃないの?』

「ん?なにが?」

『怪我させた連中』

「あぁ……本当は殺してしまいたいね」

『だったらなんで?』

「何事も平和的に穏便に波風立たせず行きたいからね」

『うーん……わっかんないなぁその考え方』

「そのうち分かるようになるさ」

『そっか、じゃあ心配はいらないね。あ、用はそれだけ?』

「あぁそれと俺が作ったコアについてだが―――」

 

 それから色々話したISの武装の事なども束に手伝っても貰うことにした。それを頼んだ瞬間、束がめっちゃ嬉しそうにしてた。

 そうして俺は通話を切り携帯電話をポケットに入れた。

 

「束は?」

 

 そんな声が聞こえたので振り向くと千冬がいた。

 もしかして聞いてたか?

 

「踏みとどまったよ」

 

 俺の言葉を聞くと千冬は安心したように溜め息をついた。

 

「悪いなお前に束を任せてしまって」

「……」

 

 本当、千冬は真面目だな……

 俺はある意味何時も通りの千冬を見て内心呆れつつ千冬がいるところまで歩いて行く。

 そしてすれ違い様にこう言った。

 

「それは言わない約束」

 

 そう呟いて俺は屋上を後にしようとした。

 後ろでは千冬が『迷惑をかける』と小さく呟いたのが聞こえた。迷惑と言っても今更なので俺は特に何とも思わない。むしろ千冬は他人を頼って欲しいところだ。

 そんな事を思いながらも俺は霞のいる病室に戻った。

 病室に入ると右目に包帯を巻いている霞だけだった。

 霞に『1人?』と聞くと『さっき帰ったよ』と答えてくれた。

 取り合えず俺はベットの近くにある椅子に座ることにしよう。

 

「兄さんはさ………」

 

 俺が座るのと同時に霞が声をかけてきた。俺は何だろうと思いながら霞を見るが俯いていて何やら思い詰めている感じだ。

 

「……この世界、楽しい?」





なんだか長くなりそうなのできりがいいとこで分割することにしました。
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