ミノタウロスの♀でダンジョンの中ボスを務めているメイちゃんはそろそろ番が欲しい   作:ムラムリ

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メイさんは憂鬱になる

「今日はどうだった?」

「いやーダメだね、高い護衛を雇っても、そもそもクラーケンに漁場を荒らされちゃあ集まるもんも集まんねえや」

「そりゃあ参ったあねぇ」

「もう少し陸の近くまでやってきてくれりゃあ、銛でも幾らでもブッ刺して地の上に晒しあげてやるってのにさあ、警戒心も妙に高いようで困っちまうよ」

「討伐しようって話にはならねえのかい?」

「正直、まーだ上は渋ってるよ。そんなレベルの高い人達を呼んだら、今までの比にならない金が吹っ飛ぶ事も確かだしなあ。財布が固えんだ」

 

「ん……」

 

 目が覚めた。

 久々に警戒心なんて無しに寝た気がしたけれど、それでもあんまり心地良くはない。

 ゆっくりと体を起こして、外を眺める。日が少しずつ登りつつある時間帯。

 

『メイさん、ここに来る前からもう目を付けられてたし、スリが出来そうにもないのも拍車を掛けたって。

 街のダンジョンで復讐劇を遂げた女ミノタウロスだとか、西のダンジョンの(……無慈悲な殺戮者だとか、狂戦士だとかそういう二つ名も付いていたというのは止めておこう)……実力者が街に降りてきているとか、こっちでも噂になっていたみたいだ』

『……はぁ。そういえば、私、そんな目立つ格好してた? ミノタウロスとしてはそんな普通の格好だと思うんだけど』

『いや、グリフォンを乗らずに連れている女性って時点で、もうなぁ。しかも、そのグリフォンの背中には、明らかにグリフォンが使わない斧槍が突き刺さっているときた。

 それにそもそも、メイさん自身のオーラとでも言うのかな……いや、魂の質(レベル)の高さを他の人も察している人も多いんじゃないかな。身に纏っている布も、今は薄汚れているとは言え、かなり上等なものだし』

『……そうなの。あんまり気にしてなかったけど』

『まあ、とにかく。逃げられないと思っておいてくれると助かる。詳細はまた明日』

『はいはい』

 

「面倒臭いなぁ」

 

 ……それに、格闘家としては、まだまだ未熟なのは分かりきっている。

 ウトみたいに呼吸と魂の質(レベル)を掛け合わせる事を容易く出来る人が居るのならば、私は負けても全くおかしくない。

 

「もうちょっと山に篭っていても良かったのかもしれない」

 

*

 

 朝ご飯は変わらず、メイにとっては余り美味しいと思えるものではなく、市場へと出かける事にする。

 日が登ってもウトは来なかったが、まあ色々駆け回っているみたいだし、私とは違って疎まれていた訳ではないのだろう。

 

「…………」

「どうかしたか?」

「やっぱり、面倒臭いなぁって」

「面倒臭い?」

「私がここでも話題になって色んな事に巻き込まれるのも、私がウトの事を羨ましいって思っている事も。

 頭の中がごちゃごちゃしてきて嫌だなあって」

 

 ……ウトが羨ましい?

 

「……ワタシには分かりかねるが……、取り敢えず賭け試合で殴ればスッキリするんじゃないか?」

「殴れればね……。

 賭け試合がどういう場所で行われるのか分からないけど、私の強みって、ダンジョンの中というのに特化しているから。

 広い場所で駆け回って死角から奇襲したり、上手い事囲まれないように立ち回ったり、撹乱したり、誘ったり。

 だからもし、何にも障害物もない、狭い場所で殴り合えだとか言われたら、私は鍛えただけの雄のミノタウロスにも苦戦するんじゃないかなあ」

「それはないだろ」

 

 その声は、エロクーではなかった。メイが後ろを振り返ると、メイより二回りくらい大きい男のミノタウロスが。

 

「あんただろ、西のダンジョンから来たメイって奴は」

「……うん。あなたは?」

「俺はスィニチ。あんたと戦いたい男の一人だよ。

 飯あんまり良いの食えてないんだろ? 奢るから来いよ」

「……」

 

 メイはエロクーと顔を合わせつつも、結局従う事にした。

 

 

 

 スィニチと言ったミノタウロスの男は、ミノタウロスらしいミノタウロスだった。

 でかくて重い。それをひたすらに志して時間を過ごした、ミノタウロスの中でもかなり巨体で、歳もメイの倍以上だろう。

 分厚い鎧を着込めば、それを止められる者はまず居ない。

 そんな鎧すら叩っ切るメイにとっては、ただの鈍い的にしかならないだろうが。

 そのスィニチは穀物主体の屋台飯を買って、メイの元へと持ってきた。

 量は多いが、それぞれにとっては満腹になるまでは程遠い位の。

 

「……ありがとうございます」

「色々聞きたいだけだから気にするな」

「それじゃあ、私からも?」

「構わん」

 

 色々聞きたい事はあるけれど……。

 

「……スィニチさんも格闘家?」

「そうだな。覚醒まで使えるし、西のダンジョンに行った事もある。

 あんたがそこで勤め始めるよりかなり前になるだろうがな」

「……ええっと、それって、もしかして……」

 

『僕だって若い頃は色んな人と殴り合ったからね! メイちゃんの倍くらいあるムキムキなミノタウロスにも殴り勝った事だってある!』

 

「ドラゴニュートと殴り合った?」

「……へぇ。あいつ、まだあそこで勤めてるのか。世界中どこでも行ける癖して、物好きな奴だ。

 いや、苦い思い出だよ。俺は覚醒しても殆どあいつに攻撃を当てられなかった」

 

 メイは、それを聞きながら冷や汗が首筋に流れていくのを感じていた。

 目の前に居るスィニチという同族の男が、自分より長年鍛え上げて、魂の質(レベル)も自分より確実に高い事もあるが、それよりも……。

 メイの鼻にはほんの僅かながらも、雄の臭いが届いていた。

 その警戒心に気付いたのか。

 

「……あんた、相当に魅力的だよな」

「……私、歳が倍以上離れたようなおじさんと付き合いたくはない」

 

 スィニチはそれを聞いて、大きく笑い。しかしそこから、メイをじっと、真剣な眼差しで見つめてきた。

 

「だがな……俺はあんたが斧槍を持とうが勝てると踏んでいる。素手でな。

 西のダンジョンにはあれ以降行ってないが、あのドラゴニュートがあの時のままだったら、俺は確実に勝てるくらいに成長し続けている。

 その気になれば、俺は道中のあんたを手籠にする事だって出来た訳だ」

「…………」

「まあ、俺はそこまで鬼畜じゃない。殴るのが好きだって言っても、好き勝手に殴ってばかりで上達出来る程、格闘家は甘くもない。

 それに俺があんた位の年齢の時は、別に大した事のないミノタウロスだったしな」

「じゃあ」

 

 遮るようにスィニチは続ける。

 

「でもな。あんたを逃したくないって思っているのも抑えきれねえんだ。

 ……30日やる。その後の賭け試合で俺があんたの将来に見切りをつけるようなら……分かるな?」

 

 気持ち悪い……。

 

 その気持ちは、流石に声には出せなかった。

 きっと顔には出ていただろうけれど。




9月って大体の言語で似通ってるんすね。

スィニチ:
魂☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
力☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
速☆☆
技☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
魔☆
神☆

メイ:
魂☆☆☆☆☆☆☆☆
力☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
速☆☆☆☆
技☆☆☆☆☆
魔☆☆
神☆☆☆☆
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