ミノタウロスの♀でダンジョンの中ボスを務めているメイちゃんはそろそろ番が欲しい   作:ムラムリ

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メイはスカウトする

「それでは4日後の正午より、20階から……そして再三の確認になりますが蘇生の保険はなし、でよろしいでしょうか?」

「うん」

「……それでは予約を取りました。如何なる理由でも遅れた場合はこの一時金は戻ってきませんので、ご了承を」

「分かった」

 

 そうしてメイ達は予約を取った。

 ウトとエロクーは後ろで、本当に保険なしでやるのか……と少しばかり戦々恐々としている。

 メイからすれば、自分がそういう保険なしで殺している側だから、挑む側になってもそんな保険を付ける事などプライドが許したくないだけなのだが。

 

「それで、盗賊を一人臨時でも雇いたいんだけど、そういうのってあります?」

 

 そう聞くと、受付の人は凄く悩んだ顔をした。

 

「残念ながら、保険なしとなると一気に限られますね……」

「意気地なしが多いのかあ」

「とりわけ20階からとなると、フリーで活動している方は早々少ないですが……一応、候補になりそうな方が居そうな場所を記したものを渡しますので、少々お待ちください」

「ありがとう」

 

*

 

 そうして、最寄りの候補地に足を運ぼうと、夜とは比べ物にならない人混みの中を歩いていると、何故か寺院に目が向いて足が止まった。

 

「メイさん?」

「なんか……変なのが居る」

「変なの?」

「要するに、不死か、悪魔か、私が不快に思うような何かが……でも、そのままじゃない、何か変なの」

 

 確かめずには居られないようにメイは寺院に向かって歩き出す。

 ウトとエロクーは顔を見合わせるも、それに付いていく。

 さっきまでは、人混みに若干気圧されつつ、その巨体も小さく見えてしまうくらいだったのに、今となればずんずんと歩いて他の人達が道を自然と開ける。

 

「やはりメイはこうでなければな」

「まあ、そもそも都市って場所がそんな好きじゃなさそうだけどな」

「それはそうだな。ワタシもそうだが」

「正直俺も。ここまで人が多いと、まるで違う世界に来たみたいだ」

 

 そう喋っているとすぐに寺院に着く。

 怪我人やらが並んでいるが、やはりダンジョンに保険なしで挑むような人は早々居ないようで、死者の蘇生はやっていない様子。

 

「……やっぱり、変なのが居る」

 

 そうは言いつつも、並んでいる列を追い抜いてまで入ろうとはせず、一応並ぶ。

 

「メイも治せるんだから勝手に直してしまえば良いのでは?」

「軽い怪我とかなら良いけど、病気とかだったら、ぱっと見じゃ無理だから。

 時々ね、治したつもりが悪化させた、って事もあったりして」

「因みに、そういうのってどうやって治すんだ?」

「麻酔をして、悪くなった臓器を切り取って、その上で欠損を治したり。

 もっと悪いと、一旦燃やして骨だけにしてから蘇生したり。

 もちろん、病弱だった体で骨だけからだなんて、蘇生の可能性も相当低くなっちゃうけど、成功すればまた健康な体になるから。

 だから健康に見えていても、定期的に寺院で体を見て貰う事は重要なんだって」

「……あの婆さん、そういう事自然とやってたな」

 

 そんな会話を聞いていた人から、単なる怪我とかは治してしまう事となり、思ったより早くに寺院の中へと入れた。

 そして、メイは寺院の中に居ながら雑用ばかりしている1人に目を留めた。

 ヴァンパイアでもない。それで居て悪魔憑きでもない、ただの僧侶の服装をしたヒューマン。けれど……その不死や悪魔に似た雰囲気が強くある。

 

「……何あれ」

 

 メイは思わず口に出してしまうと、その人も気付いたようで近付いてくる。

 

「貴方、そんなゴツい体しながら僧侶の資質があるんですね。僕に気付くって事はそういう事ですし」

「……ええっと、貴方、何?」

 

 メイは困惑を隠せないまま聞く。

 

「ヴァンパイアの男と、悪魔憑きの女から生まれたダンピールですよ」

「……そんなのが」

「別に隠すものでもないし、ここに初めて来て僧侶の資質がある人は、大体僕に驚くんですよね。

 ただの名物ダンピールです」

「でも、その雰囲気…………」

「生まれつき魔法も使えたりしますし、ヴァンパイアの技も少しは出来ますけど、どれも中途半端ですよ。それに蘇生も難しいと来た。ただのヒューマンと比べたらよっぽど頑丈でもありますがね」

「こんな場所に居るのは?」

「勘違いし易い方が多いので、言ってしまえば庇護されてるんです。父母は愛し合っていていて僕という子供を作るまで至ったは良いものの、子供を育てるという点においては難があり過ぎたようなので」

「……色々、苦労してきた?」

「それなりには」

 

 メイは自分を見上げてくるそのダンピールとじっと目を合わせた。

 聞いた限りでは、生まれが特殊だけの、ヴァンパイアと悪魔憑きのヒューマンのハーフたるダンピール。

 気付いたら、何となく聞いていた。

 

「宝箱を開ける事って出来る?」

「ん? もしかして、ダンジョンに誘おうとしてます?」

「うーん、まあ、何となく。それで、出来たりする?」

「ある程度には出来ますよ。この都市の子供はおもちゃの宝箱で遊ぶんです。最高難易度となると、ダンジョンに実際設置されているものと大体同じカラクリが入ったものまでね」

「へぇ……」

「でも、僕、言った通り蘇生しにくいんですよ。ダンジョンの保険処理でもヴァンパイアとかは確実にならないみたいで。死んだ事はないですし、そもそも頑丈ですけど。

 なので条件は色々付けても良いなら」

「呑める事なら」

 

*

 

 そこから話は進み。夜に改めて会話をする事となった。

 名前はマイマ。見た目こそただの人間だがメイからすれば、嫌悪感ではないものの妙な雰囲気を感じ取ってしまう。

 寺院から出て、無駄になった紙は一旦仕舞い。

 

「……メイさんは何で誘おうと思ったんだ?」

「何となく、としか言えないかなあ。自虐が多くて何か放って置けなかったというか。それに、自衛くらいは出来そうだったし。

 ……別に好きになったとかじゃないけど」

 

 ……メイさんが抱いたらへし折れそうなのは変わらないしなあ。へし折れてもダンピールだから再生するのかもしれないけど、それだったら更に最悪じゃないか?

 

「メイも人混みにも疲れただろう、さっさと帰ろうじゃないか?」

「うん。でもちょっとお腹減った」

 

 朝から歩いていただけだけれど、気配に敏感なメイさんはそれだけ俺達以上に疲れているのかもしれない。

 メイも同じような事を思っていたのか。

 

「ここのダンジョンに1回挑んだら、ちょっとここからは離れたいなあ……」

 

 人混みを掻き分けるように歩き始めれば、またメイは小さくなったように覇気がなくなってしまった。




マイマ(11月)
この世界でもかな〜り特殊な生まれ。

メイちゃんの見たいところ

  • 容姿の克明な描写
  • 戦っているところ(圧倒、虐殺)
  • 戦っているところ(苦戦、敗北)
  • 食べているところ
  • のんびりしているところ
  • ブチギレているところ
  • 年頃なところ
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