ミノタウロスの♀でダンジョンの中ボスを務めているメイちゃんはそろそろ番が欲しい   作:ムラムリ

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メイはもう少し都市に留まる

 数日に渡って、厳密な検査を受ける事になった。

 手荷物も全て調査するとのことで全部預かられ、もっときちんとした宿に移ることになり……実質的に軟禁となり。

 聞き取り調査や体の検査を受ける以外は部屋の中で時間をただ過ごすしかない。

 ある程度の要求には応えてくれるものの、やはり体を動かしている方が好きな皆にとっては、退屈だった。

 その3日目。

 扉がノックされた。

 

「入るよー」

「あ、サブマスター」

「メイちゃん。皆も元気そうで何より!」

 

 ユーリが入って来た瞬間に、マイマも含め、皆は畏まった姿勢を取った。メイを除いて。

 

 ……多分、文字通り飛んできたんだろうな。

 歩きで10日以上、船で数日の距離を。

 

「マイマ、こちら、私の勤めていた西のダンジョンのサブマスターのユーリさん。私の何倍も強い」

「よ、よろしくお願いしますっ」

「いいよいいよ畏まらなくて。サブマスターなんて言ってるけど、やってる事半分以上雑用だしね」

 

 手を軽く振ってユーリは軽く答えた。

 メイは聞いた。

 

「もしかして、マスターも来てたりする?」

「うん。色んなところのダンジョンマスターやらがここに集まってるよ。

 それだけヤバい事が起きたって事で」

「そう……どおりで外もうるさいというか、圧迫感があるというか」

「メイちゃんくらいになると感じられるか。メイちゃんもそうだけど、ウトもエロクーも前に会ったよりちょっと強くなってるね。

 それにしても……この部屋、ごちゃごちゃしてるね」

「だって、もう3日もここに閉じ込められてるんだもの」

 

 ユーリが呆れたように見る広い部屋の中。カードが散乱していたり、この都市で子供達が遊ぶという宝箱が幾つも開けられてあったり。

 苛々したのか、あからさまに力でこじ開けられたものも幾つか。

 他にも用意して貰った暇潰しの玩具やらが色々。

 

「まあ、仕方ないよ。起きた事はそれだけ大きいから」

「それで、これからどうなるの?」

 

 そう聞くと、ユーリは腕組みをして難しそうな顔をしながら。

 

「うーん……。まだ決まってないけど、多分ダンジョンは再開する事になると思う。

 起きた事は摩訶不思議で、ダンジョンという機構の不具合と言うには大き過ぎるし、そもそも空間を別で用意するだなんて事は、僕でも出来ない。

 でも、だからと言って、これからこの事象が続くのか続かないのか、続いたとしてそれはダンジョン外にも広まっていってしまうのか。

 そんな事を調査するにも、対策するにも、備えるにも、ダンジョンを締め切るなんて事は愚策になっちゃうからね」

 

 災厄は、ただ怯えて過ぎ去るのを待つのではなく、真正面から見据えて備え、立ち向うべきものだ。

 ユーリの言葉からは、そんな全体としての意志が感じられていた。

 

「まー、積もる話は色々あるけど。こっちにメイちゃんのリベンジに来た人が居るとか、スィニチが来たとか。

 それより、これからの話の方を先にしておこうか。

 メイちゃんは、まだ旅をしたい? まあ……お婿さん探しって言わずともね」

 

 また、真面目な顔で見られた。街で、私をクビにした時の真面目さ。

 

「うん。都市のダンジョンはまだまだ先もあるけれど、でもまた挑むのは別にいいかなあ。

 あんな異変に巻き込まれたのが嫌だったっていう事じゃなくて、ここの人の多さ、やっぱりちょっと……いや、かなり嫌だ」

 

 ユーリはちょっとだけ苦笑して返す。

 

「まあ、メイちゃんらしいね。皆も付いて行きたい?」

「俺は、そうですね。何だかんだ色々楽しめそうですし」

「ワタシも同じく」

「えっ、あの、僕にも聞いてます?」

「一緒に行きたいなら止めないよ。でも、ちょっとばかし鍛えて貰う事になるけど。

 もしかしたら、今回みたいな事がメイちゃんにまた降りかかるとも言えないからね」

 

 ……そのちょっとばかしが、どれだけ厳しい事か。

 

「え、ええと……少し考えさせて貰う事は?」

「良いけど、メイちゃんもそんな気も長くないと思うし、それにメイちゃんと一緒に行きたいって言ってる人他にも居たりするしね。

 まあ、まずはメイちゃん次第だけど」

「えっと……私としてはマイマは来ても良いけど。その私と一緒に行きたいって言ってるのって、誰?」

「ガラドン三兄弟。30階の」

「えー……そっちには、あの兄が一人で、斧槍を持った私に10回中1回でも勝てたらって言っておいてくれない?」

 

 ……やっぱりその位だよな。

 ウトと同じような事をユーリも思っていたのか、また苦笑いしながら。

 

「手厳しいな、メイちゃんは」

 

*

 

*

 

 軟禁も解けたものの、マイマが付いていくか、それからダンジョンの異変の調査の為にももう暫く留まっていて欲しいと言われ、だったらせめてと、人混みの薄い都市の外れの、大きめの空き家に泊まる事となった。

 その家の外で大きな地図を広げる。

 三人が色々な注釈の書かれたそれを覗き込む。

 

 都市の南。

 海沿いに進んだ先には特にダンジョンはなく、また国境も近い。

 その隣の国は、ヒューマンやエルフ、ドワーフと言った、獣の様相を持たない人種至上主義の為、余り仲も良くなく、警戒も強い。

 

 都市の北。

 過去に災厄の影響を強く受けた場所があり、そこでは今も特殊な人種が住んでいるのだとか。

 ユーリなど、ダンジョンの上層で務めるような人もそこの出身が多い。

 ダンジョンは幾つか道中にあり、どれも西のダンジョン難易度が高い。その中でも最北にあるのは、西のダンジョンよりも更に難易度が二段階くらい上の、この国での最高難易度を誇る。

 

 都市の東。

 山脈があって、そこの麓と、山を超えた先にダンジョンがある。

 麓の方は街のダンジョンと同じく初心者向けで、山を超えた先にあるのは、西のダンジョンと同じような、より実戦向けのものがある。

 

「都市を出るとしても……北か東か、どっちに行こうかな」

「これから寒くなるだろ? 俺にとっちゃ、北は嫌だな……。かと言って東に行こうがどうせ山を越える必要があるなら、どっちにせよ寒いか?」

「目的の為なら北だろう。最北にはメイが一般人に思えるくらいの強者ばっかりかもしれないぞ?」

 

 言っておいてそんな光景を想像したのか、エロクーは体が震えていた。

 

「北、なのかなあ……ん?」

 

 誰かの気配を感じて顔を上げると、オットーがやって来ていた。

 心無しか疲れている様子だった。

 

「よお」

「何か用?」

「ああ。まずはこれ」

 

 そう言って渡されたのは、鉄球。メイがあの異変の起きた35階で投擲したもの。

 

「誰も知らない内に、本当の35階に落ちていたのを発見した」

「えっ……」

 

 何の変哲もない鉄球。でも、大きさは同じだった。

 多分、同じ鉄球。

 

「それと頼み事。検証の為にまたダンジョンに入ってみて貰えないか?

 色んな人があれからダンジョンに入ったんだがな、あんた達が遭遇したような出来事は起きなかったんだ」

 

 色んな人……多分、サブマスターとかも含んでいる。

 そしてオットーの疲れた表情。

 ……保険処理が効くとは言え、何度も殺されたのだろう。

 

「それって頼み事っていうより命令じゃないの?」

「それもそうだが、金は出る。あんたら、その内また旅に出るんだろ? それに十分な位のな」

「……まあ、それなら」

 

 

 

 最初から隠密を徹底しなかったオットー達が、きちんと最初から鉄球を備えたメイに1人ずつ体を弾けさせられたのは、その翌日の事だった。

 言うに、どうしようもない相手が淡々と命を刈り取っていくよりも、よっぽど絶望的でもう二度と戦いたくないとの事だった。




ユーリ:
苦もなく急所を一突き。反応させる間もなく、出来るだけ苦しませる事もなく。
メイ:
今回は少しは戦いになると思って意気込んでいたら、最初から覚醒したメイによって一人一人に鉄球を投げつけられて体が弾け飛んでいく様を見る羽目になった。犠牲覚悟で残り全員で一気に襲いかかったら、散弾を投げつけられて大半が壊滅した。
味方もドン引きしてた。

メイちゃんの見たいところ

  • 容姿の克明な描写
  • 戦っているところ(圧倒、虐殺)
  • 戦っているところ(苦戦、敗北)
  • 食べているところ
  • のんびりしているところ
  • ブチギレているところ
  • 年頃なところ
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