ミノタウロスの♀でダンジョンの中ボスを務めているメイちゃんはそろそろ番が欲しい   作:ムラムリ

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メイは省みる

 改めて前回と全く同じ条件でダンジョンで挑んでいる最中、マイマに聞かれた。

 

「メイさん達は、旅は楽しいんですか?」

「旅、かぁ。旅って言っても、別にまだそんな長く旅なんてしてないし、どっちかって言うと、まだ遠征とかそういう言葉の方が似合いそうな気がするけど。

 でもまあ、楽しい、かな?」

「ワタシは楽しいぞ。毎日毎日ダンジョンでフロアボスをしているより余程刺激的だからな」

「俺? 俺も何だかんだ楽しいかな。最初こそギクシャクしてたけどさ、結構早くに……まあ、ちょっとハプニングもあって打ち解けたし、それに1人でダンジョンに愚直に挑んでるよりメイさんと居る事で強くなれている感覚もあるし」

「私もそういう意味だと、こうやって外に出たのは私の意思じゃなかったりするんだけど。

 西のダンジョンに閉じこもってばっかりいるべきではないって、サブマスターに言われて、その意味は理解したかなあ。

 私は、私の外の事も、私自身の事もあんまり知らないままで、それは西のダンジョンでフロアボスをしているだけじゃ絶対に広がらない事だったんだよね」

 

 私は、私が思うより執念深かった事。

 お金に釣られてダンジョンで勤める事にしたのに、意外とお金には頓着しない事。

 私は、私というだけでかなり目立つ事。

 人混みがとても苦手な事。

 おにぎりが好きな事。ジュースもリンゴのが好きな事。ネバネバとしたスープも最近好きになった事。

 腕輪を触る度にあの女の子の事を思い出して元気にしているか少し気になる事。

 エロクーの事は相変わらずクズだと思うけれど、その羽毛に背中を預けるのは好きだし、そのくらいには信頼出来ている事。

 ウトは、私でももう絶対勝てるとは言えないくらいに強くなっている事。

 外の世界には、私が想像する何倍も、何十倍も、何百倍も人が居て、それぞれが違う日々を暮らしている事。

 ……どれもこれも、西のダンジョンに篭っていたら知らない事だった。

 

「そうやって、色んな事を知れていくのはやっぱり楽しいというか、充実していると思う。

 ……ただ、のんびりしていたいなあって思う時もやっぱりあるんだけどね」

 

 マイマはそこまで聞いて、それでも悩んでいる様子だった。

 

「まあ、私は……付いて来て欲しいともそこまで思ってないけれど、前に言った通りガラドン三兄弟よりは良いかな、とも思ってる」

「そう、ですか」

「それとマイマって、なんかなりたい職業とかってあるの? 見たところ、私やウトとそんなに歳は変わらないように見えるけど」

「僕は……ええと、こんな生まれなので、そんなに多くを望んでいないというか……、いや、ちょっと違います。

 僕は、都市のダンジョンの近くでそれに挑む人々を眺めながら日銭を稼いで、美味しいものも食べて暮らせている。

 それだけで、とても満足出来ているんです」

「ふぅん……」

 

 ……そうなると、サブマスターの扱きに耐えられるとも思えないなあ。

 私が耐えられたのは……お金を貰っている以上に、単純に毎回あの見た目はひょろっちいサブマスターに徹底的に叩きのめされるのが気に食わなかったからだったし。

 いつの間にか慣れちゃったけど。

 

「でも、サブマスターに鍛えて貰えるっていうのは、多分とても恵まれた事だから、試しに1日でもお願いしてみると良いと思うよ」

「……検討してみます」

 

*

 

*

 

 それから2日後。

 やる事もそんなにないので、より手軽に覚醒出来るように座禅していると、ユーリが空からやってきた。

 

「マイマ君はとても惜しかった」

「惜しい?」

「言ってしまうと、反骨精神がないね。強くなれるのに、強くなりたいと思ってないなら、結局意味がない。

 その点、ガラドン3兄弟にも軽く鍛錬したんだけど、あっちは良いね。僕に瞬殺された身なのに、鍛錬する時になっても全く目が濁ってもなかった。

 特にあのデゼンは良いね。荒削りだけど、メイちゃんに並べる素質がある」

 

 デゼン……要するに、兄の名前だろう。

 

「えー……」

「でも彼も着いていく気はないってさ。メイちゃんが出した条件を満たせそうにないからってのと……最初に負けた時の事が染み付いちゃってるからって」

「ああ、あれね……」

 

 サブマスターもデゼンから聞いたのだろう。苦笑を隠せていなかった。

 

「だからデゼンともう一人、デケムは西のダンジョンに移って16階のフロアボスをして貰う事になったよ。

 保険がないくらいに厳しい方が彼等にとっても、より強くなれそうだって事でね」

「えっと、もう一人居るよね?」

「ディッツェちゃんは君達に着いて行って貰う。魔法と、それから盗賊の素質もあるみたいだったからね」

「……ちゃん?」

 

 ウトが思わず声を上げた。

 

「兄の体格が異常なだけで、弟と妹は見た目は大差なかったからな。胸があったとしてもメイみたいに露わでもなく、毛皮で隠れていたからか見えなかったしな。見間違えても仕方ない」

 

 ……ウトが気付いたら殺せなくなるかもと踏んで、ワタシがそっちを選んだのは正解だったかもな。

 

「それで、次にどこにいくのかは決めたのかい? 多分、もうそろそろメイちゃん達がここを出られる時も近いはずだ」

「東か、北か……」

「北はやめておいた方がいい」

「えっ」

 

 いつにない真剣な声。

 

「道中も、比べ物にならない。

 エロクーが可愛く見れるくらいの悪意すらあって、それすらも許容している。

 というか、多分、エロクーの血には、北のグリフォンの血が濃く混じっている。見た時そっくりだとも思ったもの」

「ピョッ!?」

 

 エロクーが驚いたような声を上げた。

 ……そんな声、初めて聞いた。

 

「……サブマスターの出身、だよね?」

「うん。僕はね、故郷の事、あんまり好きじゃないんだ。

 恵みもあるけれど、寒くて、厳しくて、弱肉強食で。だから暖かいところまで出て来た」

「なら、東かなあ」

「……僕としては、南に行って欲しい」

「南? どうして?」

「軍隊には、メイちゃんや僕のような、何もかもが分からない災厄に備える、個としての強さは余り求められていない。求められるとしても、僕よりももっと上の、マスターみたいなレベルにならないとね。

 だとしても、戦争に関してはマスター曰く『魂が腐る』とも言っているから、参加して欲しくもない。

 でも、外国に対してどういう事を備えているのか、そういう事は見ておいた方が良いからね。

 このまま東に行っても、まあここから逆戻りして僕達のダンジョンに挑むのと大差ないし、ここまで来たら南の国境もそこまで遠くないからさ」

「ふぅん……」

「そこから帰って来て、まだ北に行きたいなら、また僕を呼べば良い。呼ぶ手段は幾らでもあるからね」

 

 結局、行き先はサブマスターに決められっぱなしになるけれど、そうしようかなあ……?

 

「あ、あと、メイちゃん達がどれだけ強くなったのかきちんと実戦でも見ておきたいんだけど、明日良いかな?」

「えー……でもまあ、良いかな。暇だし。良いよね?」

 

 メイが振り返ると、覚悟する2つの顔が見えた。




デゼン、デケム、ディッツェ: 12月
デゼン: 長男。クソ硬い、でかい角。筋骨隆々でウトと同じくらいの大きさ。覚醒を使える。どうやらそれも独学で習得したらしい。戦士とか格闘家というより狂戦士。
デケム: 次男。普通の大きさの角。ヒューマンと同じくらいの大きさ。魔術師と僧侶の才能。
ディッツェ: 末妹。普通の大きさの角。ヒューマンと同じくらいの大きさ。貧乳。魔術師と盗賊の才能。

マイマは結局シティボーイだったのです。

メイちゃんの見たいところ

  • 容姿の克明な描写
  • 戦っているところ(圧倒、虐殺)
  • 戦っているところ(苦戦、敗北)
  • 食べているところ
  • のんびりしているところ
  • ブチギレているところ
  • 年頃なところ
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