ミノタウロスの♀でダンジョンの中ボスを務めているメイちゃんはそろそろ番が欲しい   作:ムラムリ

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メイは圧倒される

 別に毎回股を濡らしている訳ではないんですよ。

 大兄ちゃんが、装備を剥がされていつも通りの力を出せない挑戦者達をぐちゃぐちゃにしているところなんて見飽きてますし、大兄ちゃんを素手でも倒せるような挑戦者を倒せる人が私も殺していく時だってちゃんと最後まで抵抗してますから。

 でも、その中に魔獣が混じっているパーティなんて早々ありませんし、更にその中で大兄ちゃんを仕留められるような猛者なんて早々居ませんでしたから。

 だから、とても珍しい体験であった事は確かなんです。大体いつもだったら、大兄ちゃんをギリギリ殺せたとしても、私達が磨耗しきったパーティの止めを刺すって事も多かったりしますし、覚醒もしていなかったメイさんがたった一人で大兄ちゃんを足止めするどころか上回るだなんて、それがラッキーな事があったとしても、とんでもない事なんですから。

 それに、私だって焼かれたりして死ぬのは嫌ですからね。強い人には食べられたいみたいな、そういう事を思った事は無かったりしませんか? ありませんか?? 強い人の体の一部になって、その人の中で生き続ける事が幸せだみたいな、そういう考え、草食の獣人だったら思う事少なくないと思うんです。

 そういう意味で、エロクーさんは魔法の方が得意でしょうに、最後には私の事をきちんとその大きな足で縫い止めて、大きな口で迫って来たものでしたから、それはもう、もう、久々に心臓がばくばくして、私のお股が濡れてしまうのがどうしても堪えられなくて、その事に気付かないで私の命をぶちぶちと食い千切ってくれるか心配で心配になっちゃって、でも急いでいるように、私を殺してさっさと援護しにいく事が最重要って感じで、ただ嘴が近付いて来て食らいついて来てくれて、私の首筋にその嘴の内側にある牙が思いっきり食い込んで私の肉が潰れて千切れて、私の千切れちゃいけない血管が容赦無く引きちぎれて、全身が私の意思とは関係なく暴れて、私の意識も一気に遠のいていって。

 ああ、ああ、もう何度も濡らしてるのに、あれから10日以上経っているのに、思い出しただけでまた濡れちゃいそうですよ!

 あ、でも、本当に死にたい訳じゃないんです。昇天まではしたい訳じゃないんです。それは信じて下さい。だって、本当に昇天までしちゃったら、死ぬ時のその私の大好きな感覚がもう二度と味わえなくなっちゃう訳じゃないですか。それは本当に嫌で。私は強い人とか魔獣とかの糧になりたいっていうのも本当なんですけど、だからといってこんな若くして死ぬのはやっぱり勿体無いなってそんな事も思っている訳です。

 でも、ただ、やっぱり、骨まで食べられて、私の魂まで糧にしてくれるなら、やっぱり若い内が良いのかなって思ったりもしているんですけど。だって、老いた、ツヤのない毛皮だったり、シワシワになっていく表皮だったり、筋っぽい肉なんて、美味しくない訳じゃないですか。

 なので、うーん、どうしたら良いと思います?

 

「えっ、えっ、ええ……?? ええと、あの、その、私は、食べられたいだなんて思った事ない……」

「ええっ!? 草食の獣人の女なら誰でもある事だと思ったんですけど、本当ですか!?」

 

 ええっと、何で私が変なものを見る目で見られているんだろう??

 

*

 

 普通のガラドン。ミノタウロスと比べると、毛深くて華奢で身軽。噂によると断崖絶壁もその身一つでひょいひょいと飛び越えていくとか。

 頭の角も、あの兄と比べると細く短くて、頭突きをするにしてもそこまでの威力にならなさそう。

 でも、その中身は……私にも信じられないくらいにドロドロとしたもの……と言ったらちょっと失礼かもしれないけど、そんな変なものが混じってる。

 

「ええっと……そういう事、お兄さん達にも話したり、故郷とかでも話したりしてるの?」

「故郷に嫁いできたワーライオンのお兄さんが居て、その人にどのように食べられたいか友達とで100種類は考えてまして!!」

「え、ええっと??」

「でも、なんか、私も友達も都市に行った方が良いって言われちゃって。友達は更に北の方に行っちゃったけど、私はこうしてお兄ちゃん達とダンジョンに勤める事になって」

 

 ……うん。私、そのワーライオンに同情するよ。食べられたい目で見てくるとか噂されてるとかあったら、何がどうしても食べる側のワーライオンの立場が悪くなっちゃうの、想像に難くないし。

 そもそも、何でガラドンの集落のお婿さんになってそっちに行ったのかも知りたいけど。

 

「ええと、因みにウトはどうなの?」

「肉食の獣人に切り裂かれたり食い千切られて死んだ事はもう何度もあるので、飽きちゃいました」

「……飽きるってあるんだ……。ええと、そのワーライオンのお兄さんにも濡れなくなった?」

 

 何聞いてるんだろ、私。

 

「いや、あれは私の原風景なので。飽きるとかないですね」

「ああ、そう……。

 えっと、あの、その……ご飯食べる? まだ沢山あるから」

「はい! 私も持って来たので一緒に食べましょう!」

 

 

 

「……聞いてた?」

「いや、脳が拒否した」

「そうかぁ……」

「ウト、エロクー、明後日には発つんだから、それまでには回復しておいてよ?」

「うー……」

 

 エロクーが少しだけ首を動かしてディッツェの方を見ると、ディッツェもエロクーをじっと見ていたのと目が合った。

 目を逸らして、もう寝る事にした。




怪文書って自分の目線から書くのは何千文字とでも書けても、キャラの目線からだと結構難しくなるんですよね。

メイちゃんの見たいところ

  • 容姿の克明な描写
  • 戦っているところ(圧倒、虐殺)
  • 戦っているところ(苦戦、敗北)
  • 食べているところ
  • のんびりしているところ
  • ブチギレているところ
  • 年頃なところ
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