アベンジャーズ計画に神代ブリテンの騎士が追加されました   作:アルトリウス(深淵歩きはしない方)

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鷹の目と黒の未亡人

 

 

 アルトリウスがSHIELDに『特別教導官』および『神秘戦闘顧問』として仮契約してから、約一週間が経過していた。

 彼の学習能力は、SHIELDの研究員たちを幾度も戦慄させるほどに異常だった。現代英語の日常会話は、すでにほぼ問題ないレベルに到達している。ただし、複雑な法律文の解釈、軍事略語、街角のスラング、そしてアメリカ英語とイギリス英語の細かなニュアンスの差については、現在も猛スピードで学習を続けている最中だ。

 発音もかなり現代風に矯正されているが、気を抜いたり感情が動いたりすると、どうしても古いコーンウォール語や古ブリテン系言語の響きが混じってしまうという、言語担当者を泣かせる課題が残っていた。

 

 そんな中、コールソンはアルトリウスをSHIELDの巨大な専用訓練施設へと案内していた。

 無機質で頑丈な灰色の壁が続く通路を歩きながら、コールソンは前を向いたまま口を開く。

 

「今日会っていただくのは、SHIELDの中でもかなり特殊な二人です」

「君たちの組織は、私から見ると大体が特殊だよ。現代の常識の枠に収まっている人間の方が少ないんじゃないか」

「その中でも、群を抜いて特殊です」

「なら、期待しておこう」

 

 アルトリウスの軽い返答に、コールソンはわずかに口角を上げた。

 

「一週間前なら、そこで“期待”という単語の正確な意味と意図を確認していましたね」

「今は分かる。危険かもしれないが、個人的な興味はある、という意味だろう」

「十分です。満点に近い」

 

 軽口を叩きながら、二人はブリーフィングルームの分厚い防爆扉を開けた。

 

 扉を開けた瞬間、アルトリウスの五感は室内に満ちる静かな殺気を正確に捉えていた。

 室内にいたのは、男女の二人。

 女性の方は、中央の椅子にリラックスした様子で座っていた。一見すると自然体に見えるが、手の位置、足の置き方、そして視線の逃がし方に一切の隙がない。いつでも任意の方向へ跳躍し、あるいは隠し持った刃を抜けるよう、全身の重心が完璧に制御されている。

 男性の方は、壁際に背を預けて立っている。一見すると退屈そうにしているが、出入口、天井の構造、監視カメラの死角、アルトリウスの利き手、そしてコールソンの立ち位置まで、その目は部屋のすべての情報を一瞬で測り、把握していた。

 

 間違いなく、実戦で血を浴びてきた者たちの気配だ。アルトリウスは、彼らがただの兵士ではないことを即座に見抜いた。

 

「紹介します。ナターシャ・ロマノフ。そして、クリント・バートン」

 

 コールソンの短い紹介を受け、アルトリウスは二人を一瞥して短く評した。

 

「密偵と弓兵か」

「おいおい、第一声がそれかよ」

 

 クリントが呆れたように肩をすくめる。手にはタコがあり、特に指先の筋肉の発達具合は、彼が強力な張力を持つ武器を日常的に引いていることを雄弁に物語っていた。

 

「私はまだ、ただ座っていただけなんだけど」

「座り方が静かすぎる。それに、その笑い方が見事な仕事用だ。相手を油断させるための仮面として洗練されている」

「仕事用の笑顔、結構気に入ってるのに」

「よくできている。だから密偵だと言った」

 

 アルトリウスの迷いのない指摘に、ナターシャは少しだけ目を細めた。美しい微笑みの奥で、彼女の思考が冷徹に相手の力量を測り始めているのが分かる。

 

「で、俺は弓兵?」

「目が先に撃っている。手を見るまでもない」

「……悪くない」

「早いわね」

「弓を分かる奴は貴重なんだよ。特に現代じゃな」

 

 クリントが少しだけ楽しそうに笑う。彼のような狙撃手は、標的を見る時に単なる視覚情報だけでなく、風、距離、遮蔽物、そして相手の次の行動を予測して視線を動かす。アルトリウスは、その視線の動かし方にかつての戦場にいた熟練の弓兵と同じ匂いを感じ取っていた。

 

「現代では弓兵は少ないのか」

「銃の時代だからな。俺みたいなアナログな武器を使ってる奴は、職場でもたまに変な顔をされる」

「それでも選ぶなら、そこに合理的な理由があるのだろう。音がしない、軌道を変えられる、あるいは弾頭に特殊な細工を仕込める」

「そういうこと」

 

 クリントの返答に、ナターシャが少しだけ意外そうに口を挟んだ。

 

「聞いていたより、ずっと自然に話すのね。一週間前はひどく古い言葉だったって聞いたけど」

「今も油断すると戻る。言語担当に何度か止められた」

「古代語モードってやつか」

「君たちには魔術の補助で意味が通じているはずだ。ただ、専門家が外から聞くと古いコーンウォール語に近いらしい」

「それ、ちょっと聞いてみたいな」

「やめてください、バートン。言語担当のスタッフが本当に泣きます」

 

 コールソンが頭痛を堪えるように制止する。

 

「発音を戻すな、と強く言われている」

「優秀な生徒?」

「必要だから覚えているだけだ。言葉の定義を正確に知らないと、契約で法務部に首を落とされるからね」

「物騒な比喩だな」

「契約書に関しては、そこまで間違っていませんよ。実際、うちの法務部は文字の隙間を縫って首を狙ってきますから」

 

 コールソンの真顔の肯定に、ナターシャが小さく笑う。

 

「SHIELDの法務部、本当に怖いものね」

「私の時代の騎士団より厄介だと聞いた」

「私が教えました」

 

 軽い談笑の後、ナターシャはあえて『王の影』という大仰な肩書きではなく、個人名で彼を呼んだ。

 

「アルトリウス、と呼んでいい?」

「ああ」

「王の影よりは、そっちの方が人間らしくて呼びやすいわ」

「君は、相手との距離を測る呼び方を選ぶのが上手いね」

「私の単なる癖よ」

「無意識を装った、武器になる癖だ」

「そういう見方をするのね」

「君も私にしているだろう」

「まあね」

 

 ただ強いだけの古代の騎士ではない。言葉の裏にある意図を正確に読み取り、腹の探り合いに応じるだけの知性がある。ナターシャは、アルトリウスが会話の裏を正確に読める相手だと判断し、警戒レベルを一段階引き上げた。

 

     *

 

「で、今日は顔合わせだけで終わりか?」

 

 クリントが壁から背を離し、首の骨を軽く鳴らしながら問う。

 

「できれば平和に終わらせたいところですが」

「無理だろ。俺たちをここに呼んだ時点で、フューリーは実戦形式でこいつの動きを見ろって意味だ」

「同感ね。会話だけなら、普通の会議室でいいもの」

「なら、軽くやるか」

 

 アルトリウスの提案に、二人は即座に釘を刺した。

 

「軽く、の基準は先に決めよう。あんたの“軽く”は全く信用できない」

「同意するわ。地下施設を一つ潰した人間の基準は当てにならないもの」

「殺傷禁止。施設破壊禁止。インヴィクトゥス使用禁止。非殺傷装備のみ。これでお願いします」

 

 コールソンが手慣れた様子で、あらかじめ用意していた条件を提示する。

 

「了解した」

「あと、正面から殴り合えとか言うなよ。弓兵にそれをやらせるのは、純粋な嫌がらせだ」

「私も正面衝突は趣味じゃないわ。そういう泥臭いのは別の人の仕事よ」

「当然だ。密偵と弓兵が真正面から堂々と来るなら、その時点で何か致命的な罠を隠していると判断する」

「話が早くて助かる」

「そこは本当に同感ね」

 

     *

 

 防弾ガラスと特殊素材の壁で覆われた訓練場へ移動し、三人はそれぞれ装備の確認を行う。

 

 クリントの装備は、訓練用の刃のない矢、壁に撃ち込んで移動経路を作るワイヤーアロー、相手の動きを止める粘着弾頭、視界を奪う閃光弾頭、そして音響撹乱用の非殺傷矢。

 ナターシャの装備は、衝撃を与えるだけの模擬弾入りの拳銃、刃の潰れた訓練用ナイフ、拘束用のワイヤー、スタンバトン系の訓練装備、そして煙幕や閃光系の非殺傷装備。

 対するアルトリウスは、質量兵器である大剣《インヴィクトゥス》は当然不使用。エーテルによる局所的な装甲も展開せず、身体能力も常人の達人レベルにまで抑え、ルーンの使用も必要最低限に留める。

 

 目的は勝敗をつけることではない。二人の現代におけるトップクラスの戦術を見ることだ。

 

「弓相手は慣れてるのか」

 

 クリントが弓の弦の張力を確かめながら、不意に問う。

 

「慣れている。王のそばに立つと、まず最初に必ず遠距離から矢が来る」

「嫌な職場だな」

「その次に毒、暗殺者、呪い、裏切りが順番に来る。日常茶飯事だ」

「本当に嫌な職場ね」

「だから君たちのやり方は、珍しくはない」

「なら楽勝か」

「いいや。慣れていることと、侮ることは全く違う」

 

 アルトリウスは、静かに二人の目を見た。その眼差しには、強者の驕りではなく、同じ死地に立つ者への純粋な警戒があった。

 

「良い弓兵と良い暗殺者は、手口を知っていても厄介なものだ。君たちのような連中は特にね」

「よし、今のは純粋な褒め言葉として受け取る」

「私もそうするわ」

 

     *

 

 開始のブザーが鳴った瞬間、クリントは即座にワイヤーアローを撃ち込み、訓練場の上部に設置されたキャットウォークへと高所移動した。

 彼は正面からは絶対に撃たない。アルトリウスの退路、視線の向き、足場の限定、そしてナターシャの突入角度を作るための『配置』として矢を使う。

 

 ナターシャは訓練場に点在する遮蔽物を巧みに使い、わざと足音を消さずに会話を続けながら距離を詰めていく。模擬弾を放ってアルトリウスの視線を誘導し、ナイフで致命傷ではなく手首や膝の関節を狙う。拳銃、ナイフ、ワイヤー、足払いを流れるように繋げて、制圧だけを狙う極めて合理的な動きだ。

 

「これで正面からやれって言われたら、俺は帰るぞ」

「同じく。正面から殴る役は別の人に頼んで」

「正しい。自分の役割を間違えた兵は、必ず戦場で無駄死にする」

「ほら、教官もこう言ってる」

 

 クリントが上部から声を張り、ナターシャの援護射撃を行う。

 

「楽しそうですね」

 

 監視ルームからマイク越しにコールソンが告げる。

 

「楽しくはない。真正面から化け物の挙動を見る趣味はないんでね」

「でも見ないと仕事にならないわ」

「君たちは良い兵だね」

「褒めるなら、もう少し手加減してくれ」

「まだ何もしていない」

「それが一番嫌なんだよ」

 

 息の合った連携が始まる。

 クリントの一射目は、アルトリウスの肩を狙ったように見えて、実際は彼が攻撃を避けて『半歩下がる位置』を的確に潰すための布石だった。続く二射目は足元への威嚇。そして三射目は、天井の反射板に当てて角度を変え、背後の死角から入り込む跳弾の軌道。

 

 射線を一瞬で計算したアルトリウスは、下がるのではなく、あえて半歩だけ前へ出た。

 

「うわ、そこに出るか」

「逃げ道を作るんじゃなくて、自ら射線の中に入ったわね」

 

 ナターシャが驚きの声を上げる。アルトリウスは、飛来する矢の軌道を完全に読み切り、最も安全な『敵の懐』へと潜り込んだのだ。

 

「矢が殺す場所ではなく、敵が私を動かしたい場所を見ればいい。弓兵の意図を潰すのが一番の防御だ」

「やりづらいな、本当に」

 

 クリントの舌打ちが聞こえる中、ナターシャがその隙を突いて懐へ入り込む。

 彼女の打撃は、骨を折ることではなく、手首、肘、膝、そして重心のバランスを狙っていた。アルトリウスはそれを受け止めず、ナターシャの動きの起点だけをわずかにずらす。腕を取って極めることもせず、投げ飛ばすこともしない。ただ、彼女が踏み込もうとする足場だけを、靴の先で撫でるように消して立ち回る。

 

「今の、投げられた方がまだ楽だったかも」

「投げるとそこで終わる。今は君の次の動きを見たい」

「模擬戦中に冷静に観察されるの、やっぱり腹立つな」

「君も上からしているだろう」

「してるけど、言うなよ」

 

     *

 

「弓兵相手に無闇に距離を詰めるな。仕事がなくなるだろ」

「だから詰める」

「正論で嫌なこと言うなよ」

「王を狙う弓兵は、まず自分から距離を作る。王を守る側は、その距離を殺す。戦の定石だ」

「そりゃそうだが、言われる側になると腹立つな」

「君は良い弓兵だ。だから放置できない」

「褒められてるのに状況が最悪だ」

 

 クリントが嘆く中、ナターシャも同意するように息を吐いた。

 

「分かるわ。私もさっき、褒められながら見事に足場を潰された」

「嫌な教官だな」

「よく言われる」

 

 ナターシャは模擬弾で牽制しながら、素早くワイヤーをアルトリウスの足元へ這わせた。

 極細の強靭な糸が足首に絡みつく。だが、アルトリウスは足を抜くのではなく、ワイヤーに張力がかかる瞬間に、あえて自分から一歩強く踏み込んだ。

 その結果、ワイヤーを引こうとしたナターシャの方が逆に強引に引きずり出され、体勢を崩しかける。

 

「今のは普通、引っかかって転ぶところよ」

「暗殺者の糸は、引かれる前にこちらから引かせてバランスを崩す」

「嫌な経験則ね」

「何度か寝首を狙われたからね」

「何度かで済むの?」

「……途中で数えるのをやめた」

「本当に嫌な職場だ」

「同感ね」

 

     *

 

 模擬戦の山場。

 クリントが、音響撹乱と閃光を同時に放つ特殊な矢を天井へ撃ち込む。ナターシャがその爆発の瞬間に合わせ、模擬弾を三発立て続けに撃ち、さらにアルトリウスの退路へワイヤーを滑らせる。

 目的は命中させることではない。圧倒的な情報過多によって、一瞬だけアルトリウスの判断を詰まらせることだ。

 

 強烈な閃光が訓練場を包む。

 だが、アルトリウスは閃光を目で追おうとはしなかった。視覚への依存を即座に捨て、音、空気の流れ、足音、そして射線のわずかなズレだけで二人の位置を空間的に把握する。かつて暗闇の戦場で培われた、騎士としての純粋な直感。

 

 迫る模擬弾を紙一重で躱し、ワイヤーを跳躍して避ける。

 それでも、完璧な連携の果てに放たれたクリントの最後の一矢が、アルトリウスの襟元を鋭く掠めていった。

 

「今のは良かった」

「当たってない」

「戦場なら、一拍止められた」

「一拍止めれば、私がその隙に誰かを殺せるわ」

「ああ。見事な連携だ」

「よし、今日はそれで俺たちの勝ちにしよう」

「異議なし」

「私も異議なしです。これ以上やると施設が壊れそうなので」

 

 監視ルームからのコールソンの終了宣言を受け、アルトリウスも静かに頷いた。

 

「では、君たちの勝ちだ」

「本当に?」

「目的を達成しただろう。私を物理的に倒す必要はない」

「そういう判定なら、悪くないわね」

「弓兵は真っ向から長引かせる職業じゃないんだよ」

「よく分かっている」

「そりゃ本人だからな」

 

     *

 

 模擬戦後の評価。

 アルトリウスは息一つ乱さず、二人の戦術を正確に講評していく。

 

「ナターシャ。君は暗殺者として非常に優秀だ。銃も刃も、すべては本命の致命的な攻撃を隠すための布石として使っている。動きに無駄がない」

「ありがとう」

「ただ、笑う癖は相手によっては読まれる。気をつけた方がいい」

「またそれ?」

「強い敵は、そういう小さな癖の裏にある緊張を見る」

「嫌な教官」

「よく言われる」

 

 アルトリウスは次に、頭上のキャットウォークからワイヤーを使って降りてきたクリントを見た。

 

「クリント。君は良い弓兵だ。的そのものを撃つのではなく、敵の次の一歩を予測して撃つ。戦場を俯瞰する目が素晴らしい」

「そこまで分かるなら、頼むから弓兵に距離をくれ」

「それはできない」

「だよな。知ってた」

「だが、かつての戦場で、王の側に君のような弓兵が一人でもいたなら、我々はかなり助かっただろうね」

 

 その言葉に、クリントは少しだけ目を丸くし、やがて照れたように鼻の頭を掻いた。

 

「……それは、かなり嬉しいな」

「本当に嬉しそうね」

「今のは素直に嬉しいだろ。本職に褒められたんだからな」

 

 評価を終え、コールソンが二人に尋ねる。

 

「二人から見て、どうです?」

「危険。けど明確な線引きと理屈はある。命令より理由で動くタイプね」

「戦場では背中を預けられる。逆に、上から不合理な命令だけ渡したら確実にズレる」

「扱いづらいと」

「かなりね」

「でも悪いやつじゃないわ」

「そこは同意する」

「……すべて聞こえているよ」

 

 少し離れた場所で汗を拭っていたアルトリウスが口を挟む。

 

「本当に耳がいいな」

「戦場で他人の評価をする時は、もう少し離れるべきだ。小声のつもりでも筒抜けだぞ」

「悪口じゃないわよ」

「なら評価か」

「かなり良い評価よ」

「それはどうも」

 

     *

 

 帰り際、コールソンが今後の予定について軽く触れた。

 

「彼は今後、アベンジャーズ計画の周辺にも関わる可能性があります」

 

 コールソンの言葉に、ナターシャとクリントの表情がわずかに引き締まった。

 

「フューリーは本気なのね」

「本人は従うのか」

「命令なら難しいでしょう」

「理由があれば動く」

「ええ」

「じゃあ、上の連中が理由を間違えるなって話だな」

 

 アルトリウスは小さく息を吐き、肩をすくめる。

 

「私は随分と面倒な駒扱いらしい」

「駒ではありません」

「切り札?」

「ジョーカー寄りだろ」

「カードの比喩は、まだ私には少し理解が弱い」

「そこからか」

「現代教育の後半のカリキュラムですね」

「じゃあ今日のところは、面倒な切り札ってことで」

「不名誉なのか名誉なのか分からないね」

「SHIELDではだいたい褒め言葉だ」

「その解釈は危険ですが、完全には否定できませんね」

 

     *

 

 夜。

 SHIELDの客室に戻ったアルトリウスは、机に向かい、いつものノートを開いた。

 ペンを取り、今日の出来事を整理していく。

 

・教育開始から一週間。

・現代英語の日常会話はおおよそ問題なし。

・ただし発音はまだ古くなる時がある。

・ナターシャ・ロマノフ。

・密偵。笑顔が武器。距離の殺し方が上手い。

・癖を見られることを知りつつ、癖を武器にもしている。

・クリント・バートン。

・弓兵。目が良い。

・的ではなく逃げ道を見る。

・現代にも、良い弓兵はいる。

・弓と暗殺は珍しくない。だが、この二人は極めて洗練されている。

・二人ともSHIELDの通常兵とは違う。

・アベンジャーズ計画。詳細はまだ伏せられている。

・フューリーは私を命令ではなく、理由で動かすつもりらしい。

・カードの比喩はまだ学習が必要。

・ジョーカーは褒め言葉なのか不明。

 

 最後に一行、確かな手応えと共に書き足す。

 

・現代にも、戦場を知る者はいる。

 

 アルトリウスはペンを置き、ふと思い出したように呟いた。

 

()()()()()に、()()()。現代の異名も悪くない」

 

 少し考えて、彼は口元を緩めた。

 

「王の影より、よほど本人たちの性質をよく表している」

 

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