チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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ご飯はホルモンと共に

 激しい訓練が続いていますが、割と元気な元アラフィフ転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよう。10年近く経っていますが、私は永遠のアラフィフなので気にしません。気にしませんったら気にしません。

 

 ホレスのトコでこっそり料理を始めた頃、スカーレットに嗅ぎつけられるのではないかとビビり倒してたけど、意外とバレなかった。というか、今でもバレてない。調理をした時の独特な香りが服や髪についてるのを、水とか風とかの魔法で綺麗さっぱり落としてるからかも知れない。一応、危険を避けるために煙突状の結界を作ってるし、匂いもそれほどないんだけどね。もちろん小屋に一緒に行くジャスミンも、そこにいるホレスも約束通りに秘密は守ってくれている。

 

 ホルモンはざっと下処理するのはホレス。がっつり下処理するのが私。といっても、ホレスが準備したホルモンを吸引して、合成したり色々してから放出するだけだけども。こんなテキトーな方法で処理できるのは楽だと思う。実は最初はこれをやんなかったから、けっこう生臭いというか、食べづらかったんだよ。ホレスはこれまでその状態で食ってたっぽいけど。

 

 で、処理をしたホルモンを七輪で焼く。焼きにくい時は串に刺したりもする。独特な食感、脂が溶ける甘み、噛んでるとどんどん出てくる旨味。がっつりと処理をしたホルモンを食べた時のホレスとジャスミンの反応は愉快だった。というか、自分たちだけで食べてるからか、特別感があるぽい。……いや。さすがにこれは、屋敷に持って入るのは難しいと思う。少なくとも醤油に慣れてくんないと。

 ちなみにこの二人は醤油が平気なんだよなあ……。だからってアーサーとスカーレット、使用人の全員に受け入れられるとは思ってない。未知な食い物ってどうしても苦手って人もいるからね。たまたまジャスミンとホレスが平気なのかも知んないし。豆腐と醤油コラボを食べた時、ジャスミンが号泣したのはちょっと呆れたけども。

 

 だからというか、侍女にメイプルがついてる時はホレスのとこで料理は出来ない。内緒にしてるのでちょっち心苦しいところもあるけど、こればかりは仕方ないね! ホルモン焼きとかだからね! 醤油も使ったりするし! メイプルは出来る侍女なので、何かあったら報告は忘れない。侍女としてはそれが正しいんだろうけど、私はちょっとというか、かなり困る。

 

 そんな訳で私のスケジュールには、ホレスのトコに行くというのが追加された。元々、乳しぼりとかで行ってたから問題ないと思う。ホルモン食べたりするから、ちょっと時間が延びるだけで! あっ、いつも食べてるわけじゃないよ!? 毎日毎日、牛はさばかないし!

 

 それに私にはホレスのとこで他の料理をするという使命があるのである! ていうか、厨房ではどうしてもフライパンとか使わせてくんないんだよ! でもホレスのとこだと止められない。むしろ私のための踏み台もあるくらいだ。まあ、木材が某白ポケットに残ってたから、自力で作ったんだけどね!

 

 カツオとかが某白ポケットに入ってたから、乾燥させて鰹節を作り、トンカツを作り、醤油と卵を使ってカツ丼も作った。はっはっはー! これも二人にはウケたので、いつか厨房でも作りたい。醤油問題が解決してからだけど。

 

 ホレスとジャスミンが七輪で焼いたホルモンを食べては頷く。

 

「今日もとても美味しいですなぁ」

「自分も感動しております!」

 

 私は自分の好きなミノをじっくり焼きつつ頷き返す。もちろん厚めのミノには切れ目を入れてある。子供の身体と口だと、噛みきれなかったら困るしね。ちなみに味を変えたい時とかにホルモンを醤油につけたり、串焼きの前にちょっと塗ったりする。んー! これが最高なんだよ!

 

 そしてお供のおにぎり! これまた美味しい! 付け合わせの漬け物も切ってある。醤油の絞りかすで漬けた野菜は、美味しい漬け物にできた。試しに二人に食べてもらったら、とても美味しいと言われたのでほっとした。キュウリとかナスの漬け物! 人参だって漬けられる! ちょっち時間はかかるけど!

 

 そーいえば転生前世界日本で暮らしてた時、ぬか漬けを作ってたなあ。ぬか床を大事に大事に使ってたんだけど、ある時、庭にぶちまけられていた。どーしてそーなる!? と旦那に訊いたら、臭かったから肥料にしたとか言われた。小さな畑すら出来ないのに、何の肥料だよ!? というか、塩分濃度が高すぎるだろ! 私のぬか床を返せ!! しかもその後、バハハーイ! みたいな感じでとっとと単身赴任先に戻りやがった!

 あの時の衝撃と怒りは今でも忘れられない。しかもそれがトラウマになってしまって、ぬか漬けを作れなくなったのだ。かなしい。

 

 そんなことを思い出しながら私はポリポリとキュウリの漬け物を食べた。美味しい。この方法で漬ければ、もしかしたらぬか漬けもいけるくね!? あ、でも某白ポケットの中って時間が停止してるぽいから、ホレスのとこにぬか床をおくことになるのか……ちょっと不安だな……。

 

 いつものように私たちはホレスの小屋の中でご飯とともにホルモン焼きを堪能した。ドアの向こうに誰かが立ってることにも気付かずに。




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