チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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お前なら出来ると言われても!

 ホレス小屋に急に乗り込んできたスカーレット、その他三人(メアリー除く)に迫られ、私は泣きたくなりながら一応、豚ホルモンの説明した。豚も処理すれば内臓も食べられる……はず。転生前世界日本の焼き肉屋で出てきたし。でもどんだけとれるかとかは判んない。実際に私が見てたのは、処理された肉だし! だからやり方とか言われても!

 

 そんなことを思いつつ、私はメアリーに提案された焼きおにぎりを作ることにした。でないとこの場が落ち着かないんだよ! 話をいったん逸らせば、この集団も多少は落ち着く……に違いない!

 

 それにしてもスカーレットも醤油が平気だったとは。意外だった。メアリーも平気みたいだし、スカーレットもなら他の人もいけるのかな。いつの間にか和気あいあいと話してる連中を無視し、私は黙々と焼きおにぎりを作った。無視してるのはアレだ。ひたすらホルモンの話をしてるからだよ! いつ私にとばっちりがくるか判んないじゃん!

 

 馬毛で作った刷毛を某白ポケットで洗いまくり、醤油をおにぎりの表面に塗る。あ、某白ポケットに残った汚れた水とかは、畳んで畳んで畳みまくり、小指の爪の先程度にまで圧縮してから捨ててる。もちろんホルモンを洗った時もそう。さすがに生ゴミとかを溜めとく趣味はないから!

 

 刷毛で醤油を塗ったおにぎりを焼く……んだけど、箸が欲しい! 切実に! だが、ここで箸を出したら、コレ何祭が開催されるのは必至! 仕方ないからフォーク二刀流でどうにかひっくり返す。七輪はもっと大きくしなきゃ駄目かな、これ。大きめに作ったつもりだけど、さすがに六人分となると小さすぎる気がする。それか2個目を作るか。炭火焼きが美味しいからなあ。でもバーベキューコンロはさすがにやり過ぎな気がする。

 

 そいえば七輪を見てもスカーレットはびっくりしなかったし、何も突っ込まなかった。……もしかして七輪のこともメイプルが報告してる!? だとすると、ここにメイプルを呼ばなかったから後で暴れそうな予感が。まあ、いっか!

 

「はい、出来ました。おかあさまからですね」

 

 まずは焼けたおにぎりをスカーレットの皿に置く。次に焼けたのをジャスミン(煩いから)、その次がホレス(小屋の持ち主は自分と強調したから)、次がテオ(じーっと見られ続けると困るんだよ!)、続けてメアリー、でもって私の順に焼いた……手が痛い! 慣れない道具で焼くと手首が!

 

「焼いたおにぎりも美味しいですわね」

 

 もうすでに食っちゃってるスカーレットがしみじみと言う。私、まだ口にも入れてねえんですけど!? ジャスミンも凄い勢いで食べちゃってる。2個ずつしか焼けなかったし! いや、七輪の網の端ギリギリまで使えば3個目はいけたかもだけど、落としたら嫌じゃん! だから安全に焼ける数にしたんだよ。

 

 私も焼きおにぎりを一口食べた。うまー!! 懐かしい味に涙が出そうになる。白飯も美味しいけど、焼いたおにぎりはまた格別。しかも炭火! 転生前世界日本の生活でも七輪&炭火で焼きおにぎりを作ったことはなかった……気がする。うろ覚えだけども。コンロに網を載せて焼くみたいにしてたと思う。あ、今というか転生直前は火災報知器があったし、コンロで網焼きはものによっては難しくなってたな。秋刀魚とかね! あれ、網で焼いたら美味しいんだけどさあ。家でやると煙が凄いから、多分、ビービー鳴ったと思うね。怖くてやったことはないけど。

 

 そうそう。流行りのIHクッキングヒーターとかじゃなかったから出来る技だったんだよねえ。あれって掃除がしやすそうで半分は羨ましかったけど、半分は使いにくそうって思ってた。アレは買い換えがどーとか言う旦那を必死で阻止した。だって使うの私じゃん!? さすがにキッチン周りは止めてくれ! ただでさえ大理石の床まみれにしたんだからいいだろ! 値段の問題じゃない、私のテリトリーに入ってくんなや!!

 

 しまった。興奮して話が逸れた。

 焼きおにぎりと漬け物をかじってたからか、つい転生前のことを思い出してしまった。

 仕方ないね!★

 

「リディア。小屋を広くする前に、豚のホルモンについて聞きたいですわ」

 

 焼きおにぎりでその場はごまかしたつもりだったけど、スカーレットは容赦なくホルモンの件を蒸し返しやがった。ちっ! 駄目だったか!

 

「あー……うーん、途中までは牛と変わんないと思うんですけど、匂いとかがかなりあるので、処理に手間が」

「貴女の吸引なら問題ないでしょう?」

「え」

 

 私がおにぎりを焼いてる間にホレスがバラしたらしい。このやろう! 呑気に焼きおにぎりを頬張ってる場合か! いや、年いってるからゆっくり食って欲しいけどさ!

 

「え、えっと、出来るとは思うのですが、今日はちょっと……」

「もちろん今日のお話ではありません。先ほど頂きましたもの。それにこの小屋を大きくするのが先でしょう?」

 

 何でもないことのようにスカーレットが言う。だめだこいつらはやくなんとかしないと。




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