チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

118 / 136
だから突撃してくんなと!

 ホルモン料理を味わいたいためにうっかり色々とドツボに嵌まった、元アラフィフ主婦転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよう。私はごきげんではありませんけども。ホルモンを食べるだけではなく、下処理や小屋建築までする羽目になるとは思いませんでした。

 

 ホルモン料理の試作をしようと材料を集めてたら、いつもは厨房に詰めてるはずのスティーブンに見つかってしまった件。いやー!! ヤバいヤバい! まさかスティーブンに見つかるとは思ってなかったよ!

 

「スティーブンはどーして知ったのか!」

「メイプルが厨房に香草を取りに来ましたので!」

 

 目を輝かせてスティーブンに食らいつかれた。あああ! バレたのこれで何人目だよ! でもって小屋に突撃してきたスティーブンが、私をそっちのけで七輪を見たり調味料を味見し始めた。作ったのは醤油だけだが! 味噌を作るかどうかはまだ決めてなくて! いやそれどころじゃねえ!

 

 小屋にいるのはここで暮らしてるホレスと、メイプル、テオ、メアリー、私。でもってスティーブンが増えた。おかあさまとジャスミンは何とか屋敷に置いてこれたのに! どーしてこうなった!

 

 メアリーがワインを抱えて持って来て、テオが野菜を持って来て、ホレスが炭を持って来て、メイプルが香草とかを持って来た。そのタイミングでスティーブンがやってきたのである! どんなタイミングだよ!

 

「すみません、お嬢様。まさかバレるとは思ってなくて」

「メイプル。馬鹿正直に厨房でスティーブンに香草ください! とか言ったんか!? バレるに決まってんだろ! 何でエミリアのとこに行かない!?」

 

 エミリアは食材管理を担当している女性だ。今はアラ還かな? 私はもっと上だと!? 残念ながら私は永遠のアラフィフである! 転生した時の年齢で止まってるんである! 私ルールで!

 

 しまった。話が飛んだ。

 

 エミリアのところで食材をもらう分には、厨房に持ってくのかなー? と思われるくらいで済む。なのに、メイプルはよりにもよって厨房から直で持って来たのだ。そりゃバレるよ! 当たり前じゃん! しかもスティーブンに直接言うとか、何を考えていたのか! 隠す気ねーだろ! もしかしてウマ飯のことで頭がいっぱいだったのか!? 多分、そーだな!

 

「リディアお嬢様! この調味料で色々と試したいのですが!」

「駄目に決まってんだろ!」

 

 スティーブンが珍しくハキハキと言ったけど私は即座に切り捨てた。だけど今回は何故かスティーブンが必死だ。

 

「この小屋の中だけです!」

「厨房どーすんだよ! シェフがほっぽっていいのか!?」

「問題ありません! 第二シェフを育て中ですので!」

「いや! 育て終わってないなら駄目だろ!」

「ご主人様と奥様がお召し上がりになるお食事を作る程度なら問題ありません! リディアお嬢様にはそういうものとご理解頂くだけでよろしいかと!」

 

 何でこいつはここまで頑ななのか! ここまでくると折れざるを得ない!!

 

「あーもう! 判ったよ! ただし! 毎日は駄目! 二日置きなら許す!」

「そこを一日置きでなんとかお願いします!」

「何でそんな必死かな!?」

「シェフですので!」

 

 ……何かスティーブン、テオに似てない? 勢いが。でもどっちかっていうとウマ飯より調味料の方に興味があるっぽい。それと食材。醤油もだけどワインとか香草とか、でもって処理済みホルモンとかをチェックしてる。食べるのもだけど、作る方に惹かれてるんだと思う。

 

 仕方ないのでスティーブンも一緒に、ホルモンの煮込み料理にチャレンジすることになった。試作だから味の保証は出来ない、と前置きすることも忘れない。だって私はホントに詳しくないからね! 確か転生前にYouTu○eかどっかで観たんだよ。ワインとか香草とか香辛料とか入れて煮込む系のやつ。野菜も色々入ってたし、オリーブオイルとかも使ってたと思う。ホントにそのくらいしか覚えてない。

 

 テーブルにはずらっと食材と調味料が載っている。でもってかまどには小ぶりな鍋をセットした。ていうか、スティーブンが私をコンロ前……もとい、かまど前に立たせてくんない!

 

「ここ、ホレス小屋だから! 厨房じゃないんだから、私も作ってよくない!?」

「少しずつ変えながら作るので駄目です。リディアお嬢様は大雑把な調理はご自身でなさいますが、細かいものは私に任せて頂けるでしょう?」

 

 そんなことを言いつつ、鍋にオリーブオイルを入れて薄切りニンニクを炒め始める。確かにスティーブンの言う通り、私はざっくり主婦料理の時しか手を出さない。豆腐ハンバーグもスティーブンに作るのを任せた。だって手が小さいからさ! 私がやると弁当サイズのハンバーグになるんだよ!

 

「だから駄目です」

「いや! 過程とか見ないと、次に私が作れないでしょ!?」

「レシピはご用意致しますので」

 

 ちゃっちゃか料理を続けながらスティーブンが平然と言う。その間、残った四人はテーブルを囲んで談笑してる。このやろう! 常識人だと思ってたメアリーまで雑談に加わるとか! あ、メアリーは異常に鼻が利くから、やっぱりフツーじゃないか。

 

 仕方なく私はかまどから離れて、テーブルを囲んでるみんなの話に混ざることにした。




https://syosetu.org/novel/413002/
こちらから作品を登録してもらえると嬉しいです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。