チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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レシピが無理ゲーすぎる

 レシピを置かれたものの、読めなくて呆然とした元アラフィフ主婦で転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよう。読めないというか読んでもよく判らないと言った方がいいでしょうか。食材と手順は判りますが、かなり細かい作業が入るので私には難しいということが判明しました。それほどに難解レシピです。というか、再現が非常に難しいレシピだと思います。

 

 スティーブンが置いてったレシピを見た私は、その紙をテーブルに叩きつけた。もちろんホレス小屋の中で。

 

「無理に決まってんだろー!!」

「お嬢様! 自分は食べられないでありますか!?」

 

 メイプルとのバトルに勝利したジャスミンが背後で叫ぶように言う。というか喚く。煩いけどこればかりは仕方ないかも知んない。メイプルが食べたホルモンの煮込みが再現出来ないんだから。

 

「これは……やっぱりレシピを自力で作った方が良かったかも」

 

 テーブルから拾った紙に書かれたややこしいレシピを私はじーっと見た。何回見ても私に出来るとは思えない。しかも今日はスティーブンがいないから出来ない。おかあさまを呼ばなくて正解だった。まだですの? と急かされたけど。

 

「確かにややこしいですのう」

 

 橫からレシピを覗いたホレスが小声で同意してくれる。ですよね……。自炊してるホレスがややこしいっていうんだから、私にだってややこしいよ。転生前も複雑な料理とか作ってないしな! 必死でやったことはあるんだけど不評だったから二度とやんないと思った。作った時は息子娘がまだ幼かったから、食いつきが悪かったのかも知れない。特に私の息子娘はボリューム重視だったし。

 

 あ。話が逸れてしまった。

 

 今日はテオとメアリーは何とか押し止めることに成功した。レシピを見るだけで作るかどうか判んない、という説明で渋々納得したらしい。……まあ、ホルモン焼きを食べないとは言わなかったから、不承不承って感じだったけども。

 

 何度もレシピを見たけど、家庭料理しか作ってなかった私には作るのは無理だ。いっそのこと味噌煮込みの方が簡単かも知んない。でも味噌はなあ。まだ作ってないんだよね。醤油は受け入れられたけど、味噌はもっと匂いが独特だし。醤油がいけるんなら大丈夫という気もするけどさ。

 

 今日はお茶をすることになった。菓子を持ってきたからか、さっきまでふてくれさていたジャスミンもご機嫌になった。単純だな、コイツ。しかもここでは私と同じ卓につくことを許されてる感があるから嬉しいらしい。まあ、他のとこでは無理だしね。外出した時はメイプルとも一緒に食べたり飲んだりしたけども。あの時のメイプルは渋ってたからなあ……。そういうところがジャスミンとは違うと思う。

 

「はー。まさか再現不可能なレシピだったとは思わなかったなあ。スティーブン的にはフツーなんだろうか、コレ」

「わしは厨房の事情はわからんので何とも言えんですな。厨房の者はわしらよりえらいからのう」

 

 偉いって。そいえば前にホレスとテオが使用人にもランクみたいのがあるって言ってたな。アシュフォード家では厨房シェフはかなり地位が高いのかも。執事とかはまた別かも知れない。あんまり喋らないしな。アーサーが私に近づかないようにしてるんだから、執事はもっと地位が高いのか。その辺りの事情は私にも判らん。

 

 私はレシピを見ながらため息を吐いた。これならレバニラ炒めを作った方が良かったかも。あれなら私にもさくっと作れるし。ここにもニラに似た香草があるんだよね。行者ニンニクっていうんだけど。私も最初はナニソレだったけど、食べたらニラぽいってのは判った。

 

 もやしもないけど、大豆あるから某白ポケットでどーにか出来ると思う。豚レバーはスティーブンも使わなかったぽいので、残ってはいる。日本酒とかみりんは今のところはないから、砂糖で代用かな。生姜はここではジンジャーと呼ばれるものがあるし。あ、どっちも同じものね。私は転生前から生姜って呼んでる。自動翻訳機が活躍してくれるので、生姜と言っても通じる。

 

 塩コショウはある。醤油もある。レバーは血抜きはがっつりしてるけど、かたくり粉があるととろみが出るからいいかも。あ、小麦粉でもいいかな。一度、ちょっと油を通してから作るといいかも。

 

 うっかりレバニラ炒めを思いついたけど……今ここで試作したら他のやつらが後で喚きそうだな。でもちょっと食べたい気分かも。ご飯も欲しい。でも炊いたらメアリーがすっ飛んで来そう。メアリーを見てると、前世の幼○戦記のメ○リー准尉(劇場版)にそっくりだと思う。米の香りがター○ャみたいな感じかな。アニメだと仇だからターニ○にめちゃくちゃ執着するんだけど、原作はどーだっけかな。それにしてもレーザーはヤバいだろ、あれ。

 

 あ。しまった。うっかり話が逸れた。

 

 レバニラ炒めは作るなら次回かな、と思ってたら、何故かジャスミンが私に顔を寄せてきた。

 

「リディアお嬢様! そのお顔は何か思いつかれたのでありますか!」

「何で表情を読むかな!? こんな時に!」

 

 私はお茶を吹き出しそうになったのを我慢して叫び返した。でもジャスミンが目をキラキラさせている。ヤバい、この流れ! このままだとそのうちここで大量のレバニラ炒めを作る羽目になる! それはさすがに色々まずい!

 

 こうなったらもう、レバニラ炒めを作って食わせるしかないじゃんか! ジャスミン覚えてろ。




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