チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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数字を半角に修正しているところです。
抜けがあるかも知れませんが、ご了承ください。
(和数字は見辛いとかなかったんですけども……)


揺れる馬車(物理)

 アシュフォードの屋敷から転移したトコは見たことのない町だった。というか、街? 何だろう。前に島の外に出た時に見たとことは規模が違う気がする。でも私たちはすぐに馬車で街から出た。アーサーがごく当たり前に馬車で街を出てしまった時にはかなりびっくりした。

 

 あの。折角、街に来たんだから見物くらいさせろや。私、ここに来るの初めてなんですが!? と思ったけど、楽しげなアーサーには言えなかった。ていうか! わざわざ街の外に出るんなら、そっちに転移すれば良くね!? 期待させるなし! まあ、転移陣が街中にあったのかもだが!

 

 そんなこんなで私たちが乗った馬車が進んでいるのは、田舎道というか、畑とかのど真ん中にある細い道だった。OH...。懐かしいというか。こういうところには転生前世界日本で行ったことがあるなあ。車で走るとゴツゴツという妙な音がする土の道。フツーの車での移動だったから、車がおかしいって訳ではなかった……と思う! 多分!

 

 実は墓参りだったんだよね。旦那がルンルンだったのはホントに意味が判らん。ちなみに道は数年後に舗装された。ていうか。毎年毎年、ド田舎……失礼。郊外の山の中というか、そんな感じのとこに行ってたんだけども、蚊がね! ものすごくて! 転生直前には蚊除けスプレーとかあったけど、ない頃には超刺された! もうかゆいのなんのって! かゆみ止めとかも気休めだったし!

 

 しかも墓参りが終わったらバーベキューて。どっちがメインなんだよってくらい、大量の肉肉肉&酒。あ、そいえばあの時も肉は嫌だったな。脂が凄くて、私は野菜を黙々と食べていた。旦那がルンルンだったのは、バーベキューのせい。酒のせい。

 

 しかも近くにある川に入って魚手づかみで獲って焼いて食べるってどゆこと!? あ、魚は美味しく頂きました。鮎とかヤマメとかだったからね。獲って良かったかは知らんけど!

 

 でもさ! バーベキュー場じゃないトコでバーベキューをやってもいいもんか!? そういうのががっつり禁止されるずっと前だったけども! 確か30年くらい前……は!? 転生してから10年くらい経ってるから40年!? 違う、私は永遠のアラフィフ!

 

 話が逸れた! ついつい。年齢の話はデリケートだからね。

 現実に戻ろう。

 

「見ろ! リディア! 小麦畑だぞー!」

「そっすね」

 

 馬車に揺られつつ、アーサーが言うことに私は淡々と答えた。最初はそうですね! とアーサーに合わせていたんだけど、何度も何度も言われるとさすがにダルくなる。それにメイプルとテオは後ろの馬車に乗ってるから、いつもの突っ込みも出来ない。テオはともかく、侍女のメイプルは私についてるもんでは!? と言ったら、アーサーは自分がいるから問題ないとか言いやがった。しかもアーサー付の執事もここにはいない。メイプルとテオがいる馬車に一緒に乗ってるのである。

 

 くっ、突っ込みが出来ないのはかなりつらい! もしかして私には突っ込み癖でもあったんだろうか。そうだ! アーサーが用事をする間は時間があるから、その時にメイプルとテオに徹底的に突っ込むことにしよう。うん、そうしよう。

 

 そうそう。通り過ぎた街の周りには城壁みたいのはなかった。転生前世界日本で私が読んだり見たりしたラノベ、アニメ、漫画とかのファンタジーものでは、街の周りにはかなり高い壁があったりしたんだけども。出入りに金が要ったりしたんだけども。入る時にチェックみたいのがあったりしたんだけども。私たちを乗せた馬車が何事もなく街を出た時、そういうのはないんかい! と思ってしまった。むしろ何でないんだ。敵がいないのか。あ、どこにでも敵がいるものだと考えるのがおかしいのかな?

 

 ついつい話が逸れてしまった。テンプレを期待してたから悲しい。

 

 ちなみに私とアーサーが乗ってる馬車は二頭立て、つまり馬二頭で引かれている。馬車もかなり豪華で、御者もパリッとした良さげな服を着ている。……だが! 揺れるんだよ! これ! 最初は酔ってしまったよ! 馬車酔いってナニソレオイシイノ? 車輪にゴムはついてないんか! 木で出来た輪っかで動いたら、そりゃ揺れるよ! この世界にゴムが存在してるかどうかは知らんけど!

 

 どうやらこの辺りは石畳とか石すらない、舗装とかされてない道しかないっぽい。なーるーほーどー。道はどこでも綺麗に塗装されてるアシュフォード家というか、あの島内が特別なのかも知んない。前にメイプルが土魔法が使える使用人が整えるとか言ってたな。

 

 そーいえば私も屋敷を修復した時、吸引と放出の魔法を使ったけど、吸引したのは瓦礫とかだった。要するに石とか土とかその辺のものを某白ポケットの中で加工して放出したのだ。まるでビデオの逆再生みたいに修復したからか、その場にいた使用人があんぐりと口を開けていた。……ていうか、あの時の使用人たちは、何でお嬢様が自ら工事してる!? という焦りが大きかったぽいが!

 

 アーサーに言われたからじゃないけど、窓の外を見ると小麦畑が広がっていた。小麦が風に揺れる様はなかなかいい感じと思ったので、景色を転写してみた。吸引して転写して放出。

 

「あ、ぶれた。動いてるからなあ」

「リディア! それが噂の写し絵か!」

 

 唐突に大きな声を出したアーサーが、私の手から転写した紙をひったくる。おーい! 貴族! ひったくるとかしていいんか!?

 

「おおー! リディアが作るところは初めて見たぞ! 感動だー!」

「あの。それ、ブレブレなんだけど……」

 

 馬車で移動してる最中だと写真みたいにブレブレになるっていうことは理解した。それでもアーサーが感動の涙を流してるものだから、微妙な気分になる。そこまで感動されるとブレてるのが悪いみたいに感じるくね!?

 

 仕方ないので私は目の前で泣いてるアーサーの姿をじっと見て、それを転写した。すると今度は綺麗に転写できたものを放出することが出来た。良し!

 

「おとうさま。こちらをどうぞ」

「ん?」

 

 それまでさっきの転写した紙を見て感動していたアーサーが、私が差し出した紙を受け取った後、硬直した。え。何か変だった? 見たまんまのアーサーの姿が転写されてるんだが。

 

「おおお! 娘が初めて私の姿絵を描いてくれたぞー!」

「描いてない描いてない! 転写だから! 吸引と放出魔法で自動で作ったから! 見たままだから!」

 

 号泣するアーサーに焦って私は必死で言った。が、アーサーは男泣きをしながら自分の姿が写った紙を抱きしめている。……だめだこれは。私は早々に匙を投げてアーサーに勝手にさせた。ていうか、毎回毎回、アーサーの感動の仕方って大げさな気がするんだよね。無反応っていうのは悲しいけど、ここまで喜ばなくても、とも思う。

 

 でも悪い気はしないからいっか。




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