チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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ギリギリ間に合ったので更新します


空飛ぶ馬車

 階下で賑やかな宴会の音や声が聞こえる中、私は口から霊的な何かを出してる気がした。同室のメイプルがどうしたのかと訊いてくる。何で判らんのか! 疲れてるんだよ!

 

「とにかく遮音結界を張る」

 

 色んなバリエーションの結界をザビエルに叩き込まれたので、私もテオと同じように音を遮断する結界は作れるようになっている。ただ、作り方が違うけども。私の場合はその辺の空気を吸引して、部屋の壁に沿うように四角い箱を作っている。箱……うっ、ザビエルの猛特訓を思い出した。

 

「つかれたーーー!!!」

 

 音を遮断してから、私は叫んでベッドにぐったりと倒れた。慌てたようにメイプルが声をかけてくる。でもすぐには起きられない。長時間料理していたから、じゃない。私は毎日毎日ハードスケジュールをこなしてるので、その程度では疲れない。

 

 何が疲れたって、アーサー&使用人と村人のノリだ! その中には当然、メイプルも入っている。みんな酒は飲まないけどそわそわしてるのは判る。あ、アーサーだけは別かな。にこにこ笑って村人を見た後、速攻で部屋に入っていったから。あれは爆睡確定だと思う。気を遣いすぎたのかも? 見た目は筋肉だけども。

 

「メイプル。我慢せずにお酒、飲んできたら?」

「めっそうもない! 駄目です! 護衛中ですから!」

 

 ベッドに伏せてた顔をちょっとずらしてメイプルを見る。するとメイプルは慌てて手を橫にぶんぶん振っていた。そういえばメイプルとテオもだけど、ホレス小屋に集まってくる使用人&スカーレットは食べながら酒は飲んでなかった。スティーブンが料理にワインを使っていたけど、それも誰も飲まなかった。テオは欲しいって言ったことはあるけど、結局は飲まなかったはず。

 

「やっぱり護衛はアルコールアウト?」

「当然です。護衛中の飲酒は厳禁ですし、お嬢様の前での飲酒も駄目です」

「えっ、なんで?」

 

 私はよいしょ、と身体を起こした。メイプルは私用のお茶をいれてくれている。あ、そっか。そういえば食後のお茶は飲んでないわ。

 

「お嬢様は大人扱いをしろと言われていますが、本当はまだ子供ですよ? 子供の前で飲酒は駄目でしょう」

「あ、そうなの?」

「パーティーなどで子供がいるのに飲酒する人はいますが……感心しませんね」

 

 メイプルが眉間にちょっとしわを寄せて難しい顔になる。なるほど。確かにそうかも。転生前世界日本で生活してた時、私は子供の前で飲むとかはなかった。そもそも飲めなかったし。……旦那は別だが! ビールを浴びるように飲むとか、ホントにどんだけアレなのかと思ってたね! しかも焼酎とかとちゃんぽんするんだよ! 二日酔いでふらふらして不機嫌まっしぐらになるのも勘弁して欲しかった。

 そんな父親を見て育ったからか、それとも他の理由があるかどうかは知らんけども、息子娘はアルコールが苦手だった。少なくとも独り立ちするまでは飲まなかったし、家に帰って来た時も飲まなかった。外では知らんけども。

 

 て、それはいいとして。

 

 この世界でも気を遣う人はちゃんと遣ってると判って私は感心した。メイプルはともかくテオは色々と残念なのにそういうのは守って……あ。スティーブン作のホルモン煮込みを食った時に酒を要求されたな。冗談だったのかもだが! 実際には飲んでないしね。

 

 メイプルと何気ない話をしているうちに、私はやっぱり眠気に負けて爆睡した。テオが扉の前で見張りをしているんだよねー、とか思いつつ。

 

 そして次の日、私が作った朝食をみんなで食べて村を出た。……ねえ。何で私が朝食を作るの? って、前の晩ご飯を作ったので、問いかける気力もなかった。しかも村人たちも当たり前のように食べてたし! ナンデダヨ! これじゃ転生前世界日本で読んだラノベ、観たアニメのとんでもス○ルで異世○放浪メシじゃねーか! みんなにひたすら飯を作り続けるあれだよ! まあでも、私はあそこまで酷……もとい、大変じゃないよね。相手は人間だけだし。

 

 私たちは再び馬車に揺られて移動し始めた。今度は川の上流に向かって進んでいるらしい。この川の上にいるアシュフォードの使用人のところに行くのだろう。そこに転移の魔法陣があるらしい。設置された転移陣はアシュフォード家の人間か、許可されている者しか使えない。島を出た時にはそこそこ大きな街に転移したけど、普通は目立つところに扉はないという。確かに余計な目立ち方をするのは困るというか、使いにくいだろうと思う。

 

 上流に向かう途中で私たちは二度ほど野営した。……ていうか。私が放出した小屋で過ごした訳だが! しかも今回は小屋を二戸出せといわれたが! 女性と男性は分けていないとならぬ、と言ったアーサーのせいである。つーか! 小屋と小屋を繋げとか、どんだけ私の魔法が便利だと思ってるの!? まあ便利ですけどね! もちろん料理は私担当でしたけどね!

 

 これは二世帯住宅では。と思うような小屋……最早、小屋サイズではないものを使って、私たちは二泊してから上流に辿り着いた。移動にかかった時間は二日だけど村からはかなり遠いと思う。

 

 本当はかなり時間がかかるらしい。数週間くらいか。でもそんなに時間がかからなかったのは……アレだ……。私が馬車ごと結界で包んで飛行魔法を使ったからだよ! 最初は思いつかなかったんだけど、そいえば、と思ってアーサーに言ったら採用された。危機感ないんか!? かなりの速度で飛ぶし、メイプルとテオ、それにアーサー付の執事がガクブルしてるんですけど!?

 

 そして私は馬車を二台、アーサーやその他を一緒くたにして飛行魔法を使った。おおー、と感動してるアーサーに方角を訊いて移動。メイプルたちは馬車の中にこもって震えている。……まあ、高速で移動中だからな……。でも結界内の空気は動かないっていうか、風は吹いてないからマシだと思うけど!? 何でそんなにビビるのか!

 

 そんな理由もあって二日で川の上流、アーサーの目的地にさくってついたのである。2回の小屋でも休憩の時は元気だったのに、メイプルたちがげっそりしている。おい。どんだけ私は信用されてねーのか。そう言いたいけど、かなり疲れてそうなのでやめた。元気なのはアーサーだけだ。

 

「せ、せめて、小屋ごと飛んで欲しかったです……」

「そ、そっすね……それなら馬車よりはマシだったかも」

 

 メイプルたちが文句を言う間に、アーサーがとっとと進む。そこには私が放出したサイズくらいの小屋が建っていた。ドアのところで若い女子二人が深く頭を下げる。

 

「いらっしゃいませ。旦那様。お嬢様」

「ようこそおいでくださいました」

 

 二人は見るからに仕事着……普段テオが着てるような作業着を身に着けている。どうやら作業中だったぽい。でも私たちがここに来るってどうして判ったんだろ。馬車を飛ばすのをやめて、着地したところからはフツーに走ってきたから気付いたのだろうか。

 

「なんで私たちが来るって気付いたの?」

「わたくしはジャスミンさんと同じ仕事をしておりますので」

 

 ……あああー! 暗殺&諜報系の使用人が他にもいたよ!!




https://syosetu.org/novel/413002/
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間違って次のを投稿したので戻しました
すみません
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