チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

130 / 131
レンチンはOKじゃないと困る

 その日の食事はやっぱり私が作ることになった。最初は見張りの女子二人も動揺してたのに、アーサーが喜んで私の飯を自慢したら、急に私に期待の目を向けてきた。それ以前にメイプルやテオとかは最初から当たり前の顔で私に食事を要求してくる。おのれ!

 

 今日はアーサー秘蔵……というか、私の某白ポケットに入ってるホルモン煮込みは出さなくていいと言われた。何でよ!? あれをあっためるだけにするのが一番楽なのに! と、言ったらここでは出さないと頑なに言われた。おのれ!!! 転生前のレンチン飯反対派的なものか! 私の旦那は特にそうだったからな! 私作のおかずをちょっとレンチンするくらいなら気付かれなかったけども! 何でスーパーとかの惣菜が駄目なのか知りたかったね!

 

 話が逸れてしまった。失礼。

 アーサーはあっためるだけの飯が嫌とは言ってないので念のため。

 

 それにしてもここに長く住んで(待機して)いるからなのか、小屋はかなり老朽化してた。そしてそれを直したのも私だよ! ええ、はい! 石とか木とか色々あるからね! 足りないなら小屋の周りの木とかを吸引すればいいからね! だって女の子二人でぼろ屋ってどうかと思うじゃん! まだ十代の子だよ!?

 

 そして小屋が無駄にゴージャスになってしまったのは、私がヤケをおこしたからだ。でもそのことに見張り二人に感謝されまくった。ま、まあいいけど。だからって訳でもないけど、飯くらい作ってもいいけど? 女子二人は綺麗になった小屋に感動し、整った室内に感動し、新調したベッドに感動し、カーペットに感動し……とにかく感動しまくったからか、料理を自ら手伝ってくれることになった。

 

 てわけで、まあ、料理だよ。かまどは二口にした。作り変える前はかまども小さくて、鍋も使い古したものしかなかった。……アーサー。見回りするならその辺り気付いて! 新調してあげて! しかもこんな山奥に女子二人なんだよ!? 調達しようと思っても出来ないじゃんか! 飛行魔法とかもないし! 単に転移するためだけに訪ねてたのかもだけども!

 

 料理しながら突っ込んだら、アーサーが感動していた。感動ポイントがおかしいよ! 帰ったら絶対にスカーレットにちくってやるし!

 

 女子二人は綺麗になった小屋に感動し、整った室内に感動し、新調したベッドに感動し、カーペットに感動し……とにかく感動しまくったからか、料理を自ら手伝ってくれた。

 

「は? 川魚しかない?」

「はい。獣もいますが、二人ともさばくことが出来ませんので」

 

 食事事情を聞きやすいのは、やっぱり料理中。ふむ。タンパク質が足りないのか、と思ったので私は海で獲った魚を何匹かと、さばいた豚肉を放出した。牛肉のホルモン以外のとこは、ホレスとかが煩いから好きに吸引は出来ないんだよね。……まあ、熊肉とか鹿肉とかはまだあるんだが。

 

「えっ!? おっ、お嬢様、これは!?」

「あ、ごめん。びっくりしたか。魚と肉だよ。魚のさばき方とかは判るかもだけど、内臓は出しておいた方がいいかも」

 

 私がそういうと、女子の一人が手早く魚の内臓を処理し始め、もう一人が肉を見て困った顔をする。

 

「あの……これは」

「え? 冷蔵庫……じゃない、箱に入れればよくない? あ、冷凍しておいたらいいかも?」

「はっ!」

 

 それまで肉を保存することがなかったのか、慌てたように女子一人が肉を冷凍庫に入れる。どうやら氷魔法は使えるみたいだから、保存は問題ないと思う。

 

「今日は何にしようかなあ。あ、寄せ鍋にしよう。魚もあるし、野菜も村でもらったのがあるし」

 

 ……キノコは前に森で取ったのがあるからな……。テオが持って来た血まみれのやつが。もちろん血は綺麗にとってあるけどさ。

 

「よ、せな、べ!? とは!?」

「それっ、美味いっすか!?」

「リディア! それはどういう料理なのだ!」

 

 煩いのが一人増えた。寄ってきた三人を振り返って、私はギロっと睨んだ。

 

「出来るまで待てない子にはあげません」

 

 まるで子供を窘めるようにすぱっと言うと、三人が大人しく引き下がった。OH...。これは他でも使えるのでは!?

 

「酒はあるし、トマトあるし、コンソメはスティーブンを脅して奪ったのがあるし……いけるか」

 

 和風のはまだちょっとね。醤油が大丈夫かどうかが判んないし。あと、下手に使うとスカーレットに怒られる気がする。アーサーはまだホルモン煮込みしか知らないし。

 

 そんな訳でトマト風味の煮込みぽい鍋を作ってみた。ちなみに鍋は適当なサイズのものを作った。金属製なら違和感はないかな、と思ったんだけどトマト入ってるからなあと思い、仕方なく陶製にした。七輪見てるから大丈夫だろう、きっと!

 

「ん!? この鍋は!?」

「あー……」

 

 アーサーがそこに引っかかってしまった。くっ! もしかして私が作ったというか、放出したのがまずかったのだろうか。

 

「アレです。魔法特訓で色々出してた感じの!」

 

 雪だるまとかフェニッ○ス的なものを放出してた時のことを思い出し、私は言い訳してみた。それでアーサーは納得したらしい。ていうか、手軽に納得したな! でもってみんなで取り皿に鍋の中身を分けて食べ……。

 

「は! これって魚っすよね!?」

 

 ……うん。真っ先に反応するのは、アーサーかテオだと思ったよ。今回はテオだったな。そう、鍋には白身魚をけっこう突っ込んだのである。女子二人のタンパク源が少なそうだったから。

 

 他にも野菜とかキノコとかも入れた。ついでに豆腐も入れた。これは豆腐ハンバーグを出したから大丈夫だろうと思ったら、四角い白い豆腐を初めて見たらしいアーサーが驚いていた。う、うん。そうだね。ハンバーグは混ざった状態で焼かれてるから判んないかもね!

 

「なるほど! これが鍋か! うむ、美味いぞーーー!」

 

 感涙という感じで喚いてから、アーサーがガツガツと食べる。鍋を三個にして良かったかも。アーサーは自分付の執事と同じ鍋、メイプルとテオと御者、でもって私と女子二人の鍋と分けたのだ。

 

 みんなでわいわいと鍋をつついているのを見て、私はかなり懐かしい気持ちになった。




https://syosetu.org/novel/413002/
こちらから作品を登録してもらえると嬉しいです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。