チートがチートじゃない世界に転生したらしい 作:よしほ
魔力が減ったことにびっくりしていた、元アラフィフ主婦の転生者、斉藤奈美恵です。ごきげんよう。転生してから10年くらい経っていますが、永遠のアラフィフなので問題ありません。そして減った魔力も問題ありませんでした。
一晩寝たら、魔力のキラキラが戻ってた件について。回復水も飲んでないし、キラキラのことは誰にも言ってない。だから私にしか判んないんだけど、ちょっと減ったように思った分は回復していた。ていうか、キラキラのMAX量を把握していないので、私にも治ったかな? みたいな感じなのである。
いや! ゲージとかバーを出してよ! 把握し辛いんだってば、コレ! みんなどーやって残存魔力を把握してるんだよ! 転生前世界日本で私がプレイしてたゲームとかでは、大体、HPとMPのバーがあったよ!? それがないと私的には判んないというかね!?
と思いながら起きたら、早速、メイプルに着替えさせられてあったかいタオルで顔を拭われた。うーむ。このタオルもなあ。パイルにしたいところなんだけど、どーすっかなあ。どこまでやってもいいもんだか判らん。ていうか、転生前世界でパイルがいつ頃に出来たのかを私は知らない。まあ、知らんことのが多いんだけどね! 別にどーでもいい、と居直り過ぎても色々めんどくさいので、手探りで試してるところ。……たまにキレてどーにかするけど。
「おはよー。朝飯どーする?」
「はっ! そうですね! テオさんを呼んで来ます!」
お茶をいれたかと思うと、メイプルが部屋の外にすっ飛んでいく。この部屋に張った遮音結界は簡単に出入りが出来る。少なくとも私が張ったのはそうなってる。テオの時もだったな、そういえば。もしかしたら出入り不可の遮音結界もいけるかも。やったことないけど。メイプルとテオに限る、とか条件付けも出来そう。
あ。結界といえば、この街に城壁みたいのがないのはどーしてなのかと二人に訊いたら、ある時間になると結界が発動するから問題ないらしい。夜盗などもいるので、街に無断で入ってこられるのはマズい。夜間に出入りすることもあんましないけど、街から出るだけなら許可があればいいっぽい。そういう許可を出しているのが門番みたいな二人らしい。
とは言うものの、警備の人はあくまでも警備の人で、結界は結界師? みたいのが来て、時間経過で開閉が出来るようなものを作っているという。フツーは作るとなかなか破れないんだけど、定期的に張り直してるっぽい。確かにそのくらいしないと稀少な空間魔法の使い手が儲かんないか。
ていうか。結界を素手で破るのはアーサーだけで十分と思われ。結界魔法を使う私にもさすがに物理で破壊は出来ない。ていうか! 自分で作った結界なら自分ですぐに解けるし!
それよか朝飯だ。この宿の台所を借りる気は毛頭ないので、朝食も某白ポケットで自作するつもりだ。それにしてもこの宿より、前に寄った村の宿の方が台所は綺麗だったし、実際に使いやすかった。あの村はアシュフォードが保護しているからかも知れない。念のため、この宿だけがおかしいのか、と二人に訊いたら逆だと言っていた。つまり、村の台所の方が整いすぎているということだ。多分だけど、アシュフォード家の誰かが視察にきたりするのと、単にアーサーがウマ飯を望んで整えたんだろうと思う! たぶんね!
だとしたらこの先、どこの宿の台所も借りるのは嫌だということ! 私が!
「ばーん!!」
ぐるぐる考えてたらテオが威勢の良い声を上げてドアを開けた。
「いや、まあ、部屋に入ってくる時の音にこだわるのは勝手だが」
私は目を細めてテオを見てから、その背後にいるメイプルに目をやった。テオに負けず劣らずワクテカしているのが判る。
「お嬢様の真似っす!」
「要らんとこ真似なくてよろしいです!」
私が放出する時の真似だったらしい。おのれ、テオ。朝飯少なくしてやろうか。そうは思ったけど、思うだけにした。もしそれをやったら、テオがメイプルとガチバトルをし始めそうだから。二人とも強いから怖いんだよ!
パンは二人に好評なのでいつものを。でもってスクランブルエッグ、サラダ、ちょっと醤油味が入った和風ドレッシング、ハム、苺、オレンジジュースを放出した。うん、転生前世界日本で食べてたモーニング的なものになったね。
「おっ、おおおー!! 凄いっす! 焦げてないっす!」
「かまどがないのに焼きたてです! さすがです、お嬢様!」
「やかましい。かまどで鍋を焦がした私へのあてつけか!」
二人に軽く突っ込んでから、私は自分用に入れてもらったお茶を飲んだ。朝っぱらからこんなに食べられないので、私はトーストだけにしている。ていうか、二人ともよく食うな。まあ、美味しそうに食べてくれるのは嬉しいし、悪い気はしない。
それにしてもこの二人、醤油にすっかり慣れてきたな。この分だと、味噌、そろそろいけるかも知んない。