チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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高級系スーパーを探して

 屋根の上で料理する、というテオの提案を却下して、私たちは近くの宿の部屋をちょっと借りることにした。泊まってる宿よりかなり小さいけど、部屋さえ借りられれば文句はない! この世界にはカラオケボックスとかないし! あ、転生前世界日本のカラオケボックスでも料理しちゃはダメだよね! まあそれはいいとして!

 

 そんな訳で借りた宿で某白ポケットを駆使して作った飯は美味しゅうございました。メイプルとテオも満足していたので良かった。てか、テオ。街で食ってた串焼きとかをディスりながら食べるのはやめたまえ。こっちも飯がマズくなる!

 

 食事を終えた私たちは今度はちょっとお高い店が並ぶとこを散策することにした。高い店が並んでいるからか、露店がなくて買い食いは出来ないと思う。たまに酒場兼食堂みたいのがぽつぽつあるけど、小さくて客が多いからかテオが突進しない。まあ、ああいうところは腰を据えて食べないとだろうし、そもそも入ったら私もメイプルもテオを置いてくし!

 

 歩いているうちに服屋とか雑貨屋が見えてくる。でも露店とは違う。お貴族様相手の店だろう。置いてる品が違う気がする。まあ、要らないんだけども。メイプルとテオも無視してるので、必要ないんだろう。私の目的は食料品である! あ、調味料? 嗜好品? まあ、いっか!

 

 だがしかし。道をだらーっと歩いても食料品の店がない! OH...。もしかしてこの街にはお高めな食料品店はないのか。転生前世界日本の成城□井なアレ。紀○国屋とか。あ、書店じゃない方ね。あと、デパートと一緒になってるとこ。ああいうとこはきっちり壁があって、色々並んでてって感じだったんだけど、やっぱこの世界だと無理かー。

 

 って、思ってたらあったよ! 奥の奥に! 食料品が硝子越しに見える店が!

 

「メイプル! 突撃するよ!」

「えっ、は!? お嬢様!?」

「食べ物っすか!」

 

 びっくりするメイプルとノリノリのテオを連れて、私はその店に入った。すぐに見えたのは高級野菜である。え、この値段どうなの。キャベツが露店の4倍以上するんですけど。転生前世界日本の高級系スーパーも高いは高かったけど、ここまでだったか?

 

「あー。これは取り寄せに転移魔法を使っているから、お値段が高いのだと思います」

「はっ! そうか、魔法のせいか!」

 

 こっそり教えてくれたメイプルに合わせて、私も小声で返した。へー、と言ってテオも野菜をじっと見る。三人とも品物には触っていない。

 

「何かご入り用でしょうか?」

 

 三人で見てたらどこからか店員がすっ飛んで来た。早! 転生前世界日本でもたまにこういうの食らってたなー。何となく見てるだけなのに、店員がいつの間にか寄ってきてるというね! いや、あれ、怖いんだよ! 何となく見るというのも許されないのか、と思って立ち去るしかない感じというか。まあ、私は雑な性格だったから買わずに居座ることも多かったが! 高級化粧品とかを見てるわけじゃないんだから、ほっといて欲しい、と何度思ったことか!

 

 あ、しまった。話が逸れた。

 

 店員は私たちを見てニコニコしてる。ついでに揉み手はしなくてよろしい。

 

「勝手に見て回ってもいいかね? ていうか、ほっといてくれるかね?」

 

 私は駄目元で店員に言ってみた。でもメイプルとテオが私を止めない。ということは、これは言ってもOKなのか。なるほど。

 

「あっ、はい、かしこまりました。ご自由にご覧くださいませ」

 

 あっさり頷いた店員が礼をして去った。え。あっさりどっか行ったけど!? あれでいいのか!? 転生前に引き留められまくった私はびっくりしてメイプルを見た。

 

「あの、メイプル。あれはフツーなのかね」

「え? 別に問題ないのでは?」

「露店じゃないから、フツーっすよ」

 

 二人にさくっと返事をされたので、私はビビりつつも商品を見て回ることにした。とは言っても、この世界の野菜とかは転生前世界日本のスーパーみたいにラップされてなくて、ザル? カゴ? に入ってるだけ。肉は冷凍してあるのか、冷え冷えのものがぶら下がってる。氷魔法を使うからか、こっちも馬鹿高い。ってか、私は肉の相場を知らないんだけど。高いんじゃないか、これ。金貨とか書いてあるし。

 

 あと、菓子コーナーとかに分かれてないんだなあ。壁に沿って置かれてて、空いた真ん中のとこには台が置いてあるって感じ。それに狭い。やっぱ、転生前世界のスーパーを思い描いていた私の方がおかしいんだな。

 

 そして残念ながら蜂蜜はひとつしかなかった。瓶入りの蜂蜜を手に取ると、途端にテオがものっすごい嫌な顔になる。

 

「何で蜂蜜っすか!」

「だから探してるっつってんだろ!」

 

 何度言わせるのか、この小僧は! と思いつつ、私はおもっきり突っ込んだ。するとどこからか店員がシュバってくる。おいいい! 早い早い!

 

「お客様! いかがされましたか!」

「あー……えーと、この蜂蜜ってどこの何の花の蜜ですかね?」

 

 勢いよく訊かれたから、思わず丁寧に話してしまった。まあ、自動翻訳機が頑張ってくれてるだろうから、周りには言葉遣いもちゃんとしてるように聞こえてると思うけども。

 

「え? 花の種類、ですか?」

「そう」

 

 私が頷くと店員が腕組みをして首を捻った。思い出そうとしてるのかも知んない。が、その時点で私は見切りをつけた。恐らく知らないというより、花の種類別に蜜をとる、ということをしてないトコから仕入れてるって判ったから。この街付近の店は駄目かも知んない。

 

「判った。ありがと」

 

 瓶を箱に戻して私はすたすたと店の外に向かった。慌てたメイプルとテオが追っかけてくる。ちらっと振り返ると店員は唖然とした顔でぼーっと突っ立っていた。




https://syosetu.org/novel/413002/
こちらから作品を登録してもらえると嬉しいです

明日は更新出来ないかもしれません

何とか書けたのでアップしました
雑なところは後で修正すると思います
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