チートがチートじゃない世界に転生したらしい 作:よしほ
常夏の島(湿度超高め)みたいなところに来ました。元アラフィフ主婦、転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよう。暑さは魔法で何とかしました。ですが日差しはどうにもなりません。仕方なく日傘でガードしています。ですが隣にいるアーサーがいちいち手を翳していたので麦わら帽子を被せました。具体的には某白ポケットで麦わらをアレコレして、帽子に合成して放出しました。ド━(゚Д゚)━ン!! と。
ぽん、と頭に帽子を乗せると、アーサーがむせび泣くという、訳の判らん体験をしつつ私たちは歩いていた。でかいな、と思ってた建物は、近づくとよりでかく見える。馬車から降り、坂の上から景色を眺めてたから海まで見えたんだな、と改めて思った。いや、でかい。近づくと建物すら見えなくなり、壁だけが見えた。壁に囲まれた建物が二階建てみたいなんだけど、天井が高いのか、それとも他に何か理由があるのか知らんけど、少なくとも私が知ってる転生前世界日本の住宅二階建てとかのサイズ感じゃない。どう言ったらいいんだろ。でかいビルとかじゃないんだよなあ。石とかレンガとかで出来てるでかい建物? って言えばいいのかな。
「ここは商館だ。リディアは初めてだろう」
私があまりの大きさに唖然としてたからか、ウキウキ顔のアーサーに言われた。なるほど。商館というものなのか。そいえば転生前世界日本でプレイしてた大航海時代○nlineでは商会ってのがあったな。あ、もしかして商館って、ゲーム内アイテムを販売出来たアレ? 建物って感じじゃなかったら商会と商館の違いが判んなかったかも。ははは! ゲームでは国とかが小さく見えるから、実際のサイズは判りにくいし!
それはともかく。
商館の入り口がひとつしかないらしい。高い壁にまるで門みたいなアーチ型の入り口がある。でもって、門に出入りする道? の幅も広くて馬車も数台は並んで進める。ついでに人もその間を歩いてる。でもって門をくぐると建物に囲まれるような広場があった。建物の大きさと広場のでかさも凄いけど、ここにいる人数もすごい。ていうか、ここにどんだけ人がいるのか!
「お嬢様、珍しく無言でびっくりしてらっしゃいますね」
「商館って俺も初めて見たっすよ! 建物の上の階は、商人の取りまとめしてる人とかしか入らないっすよね!?」
後ろが騒がしい。クーラー魔法で涼しいから、いつも通りに戻ってるんだろうと思う。でも私はこの世界を知らないんだから、見るもの聞くものが大抵は初めてなんだよ! びっくりし過ぎて慣れたっていうか!?
「広すぎてびっくりしたし、いっぱい人がいることもびっくりだし、アロハで隣を平然と歩いてるおとうさまにもびっくりだよ!」
「ん? 流行の服だぞ?」
「その流行服を誰も着ていない件」
アーサーが流行と言い張ったアロハは誰も着ていない。むしろもっと暑そうな服を着ている人が多い。長いTシャツを腰のところで紐みたいので縛ってるもの。その上にマントっぽいのを着てる人もいる。何で!? 暑くない!? 蒸れるくね!? と思うけど、もしかしたら私たちみたいにクーラー魔法を使ってるのかな?
素材は麻に見える。すれ違う人をチラ見して私は頷いた。麻ならちょっとは涼しい……おい! すれ違った男の人(アラフィフぽい)、汗だくなんですけど!? 熱中症とか大丈夫!?
「おとうさま。暑いのに何で長い服を着てる人が多いんですか?」
「ああ。防御のためだな」
頷いたアーサーは当然という顔をしていた。びっくりした私は思わず振り返ってメイプルとテオを見た。すると二人ともうんうん、と頷いている。
「腰の袋から武器を取り出すと時間がかかりますし」
「そっすね。服の内側に仕込むのが普通っす。俺もそうしてるっす」
「何故、二人とも攻撃前提なのか」
呆れた私が突っ込むと、何故か隣にいるアーサーに逆に突っ込まれた。
「防御用の魔法を使えない者は、自分の力で防御しなければならないのだ。商館は比較的安全だが」
「おとーさまがアロハなのはどーしてですか。危なくない?」
「ん? 私は武器は要らんぞ? 執事は魔法が使える護衛だ」
ああああああああ! 常識が覆る音がするぅぅぅうう!! アロハは薄っぺらくヤバいのでは、という私の心配を返して!