チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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叩き起こされて書庫へ

 訓練だけで魔力だけでなく体力気力その他諸々が削れました。元アラフィフ主婦の転生者、斉藤奈美恵です。ごきげんよう。三歳だから三年経ってるだろ? は? アラ還だと? 違う。私は永遠のアラフィフである。

 

 訓練で強引に回復水で魔力を戻された後、私はメイプルの腕に抱えられて運ばれ、ベッドでちょっとだけ休憩した。でもって今度は書庫に行かねばならない。何なの。三歳児のタイムスケジュールなのか、これ。そもそも三歳児くらいなら昼のおねんね時間くらい捻出してくれよ!

 

「行きますよ、リディア」

「は、はい、おかあさま……」

 

 私をベッドから叩き起こして書庫に向かわせるのはあくまでもスカーレットだ。普通ならメイプルに連れて行ってもらえば十分なのだろう。でも前にメイプルをだまくらかして、訓練から逃げたことあるからなぁ……。スカーレットはメイプルというより、私を信用していないのだろう。訓練とかに関しては、だけど。

 

 スカーレットに書庫までがっつり送られた私はメイプルと一緒に本棚の前に立った。書庫の管理人、つまり司書? 学芸員? まあ、どっちでもいいや。管理している若い女性が挨拶してくれる。

 

「ようこそ、リディア様」

 

 微笑みを浮かべたこの女性はレベッカという。最初にその名前を聞いた私は、懐かしいバンドを思い出した。80年代にものっすごく活躍したロックバンドで、歌ももちろん有名だった。カラオケで歌うことも出来たけど、当時はまだレーザーディスクだったような気が……しまった、年がバレる! あっ、もうバレてたか! まあいいや! カラオケボックスが出来た頃と被ってたっけか。うろ覚えだけど。

 

 ちなみに昔は飲み屋とかでコイン入れたり、リクエストしてカラオケをかけてもらう、つまり伴奏を流してもらうっていうのが普通だった。でもそれには色々問題があってね。音楽著○権協会とかの取り立てとか色々あったりして、面倒なことになってたという経緯があったりなかったりする。もしかして、あれって今でも揉めてるん? 酷い時にはものすごい金額を要求されて、泣く泣く潰すしかなかった飲み屋もあったって聞いたよ。ホントか嘘かは知らんけど。

 

 しまった。話が逸れた!

 

 書庫管理人のレベッカは大人しくて可愛く線の細い女子だ。娘より下だけど孫ってほどの年齢でもない。いや、孫はいないよ!? いないけどさ! たまには思い描くというかね!? 友達から、孫が出来ました★ みたいなメッセージをもらうと微妙な気持ちになるわけですよ! もちろん私は息子娘に結婚を強要はしないし、子供を望む望まないも自由だと思ってる。でも気持ちがざわっとするんだよ!

 

 あ。また話が逸れた。

 

「ごきげんよう、レベッカ。今日もお願いしますね」

「はい。植生についての本ですね」

 

 にこりと微笑んだレベッカが本棚の高いところから本を取ってくれる。まずは植生から、という方針のまま、私は本を読んでいる。アシュフォード家、つまりこの屋敷は涼しいところに建ってるらしい。周辺にはミズナラとかが生えている。転生前世界日本のちょっと寒い寄りのトコにも生えてる木だ。他に生えてる植物も涼しいところ寄りのものらしい。全部は判んないけど、転生前世界日本と同じ植物もある。私の知識だと同じだー、と思う程度の理解しか出来ないけども。

 

 土壌と水質などの記録もあった。……pHとかは判んないし、私も判ることが少ないけども、案外細かいデータがあるんだよね。平らなところ、つまり標高が低いとこと、標高が高いとこの様子も書かれてる。つまり少なくともこの世界は全部平らではなく、山があると。屋敷周辺には山が見当たらず、地平線が見えてるから、本を見るまではこの世界に山があるかどうかも判んなかったんだよね。

 

 でもってどうやらこの辺りは森林が多いようだ。この辺りの民は森と共に生きている。よーするに日本人と似てるとこがあるってことだ。転生前世界には森と喧嘩してた国もあったぽいので、それを考えるとここが木材や綺麗な水が豊富な土地であると判る。サン○リーの水と生きるじゃないけど、水と森は切っても切り離せないと私は思ってる。

 

 そもそもこの世界というか、この屋敷と周辺には水道が引かれている。魔法があるからかも知れないけど、上水道と下水道が整ってるのだ。私もこれは想定外だった。厨房で詳しく聞いてようやく判ったのだ。そういえば料理にも水使うしな……。しかもトイレに違和感がないしな……。

 

 私の肝心なとこがすっぽ抜けるのは、転生前と変わってないなー。いかんいかん。




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