チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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憧れの露地栽培

 地図を見ながら唸ってたら、レベッカが近づいてきて橫から本を覗き込んできた。

 

「お嬢様はもしかして、世界全土の地図をお探しなのですか?」

 

 うんうん唸ってた私は、ぱっと顔を上げてレベッカを見た。目を輝かせてたと思う。……たぶん。鏡がないから知らないけど。レベッカの瞳に映る自分を見るとか、器用な真似は私には出来ないから判んない。

 

「やっぱ、これって世界の一部の地図?」

「はい。世界の東側の地図です。西は魔族が多く、正確な地図は判らないのです」

「はっ! そっか! 魔王とかがいるんだった!」

 

 おのれ、魔王め! 私の米道を邪魔するか!

 

「南も結界に包まれているのではっきりとしたことは判りません。ただ、時折エルフが王都で見られるため、エルフ族や他の種族が暮らしていると噂されています」

 

 南ねえ。ってか、エルフまでいるのか。私の呟きを聞き取ったのか、レベッカがくすりと笑う。

 

「エルフは人に似ているのですが、耳が」

「尖ってるんだよね。ステレオタイプのかー。まあ、そうだと思ったが」

 

 レベッカのセリフを途中で掠って私は何度か頷いた。多くのラノベ、漫画、アニメ、ゲームに出てくるエルフは大抵、耳長で人と同じくらいの身長、でもって長寿。その辺りも確認したら、レベッカが驚き顔で頷いた。

 

「お嬢様はお詳しいのですね。どなたかに聞かれたのですか?」

 

 驚き顔のレベッカに愛想笑いだけを返し、私は世界地図の南端を指で押さえた。

 

「ふむ。南は森が多いというか、森林地帯?」

「恐らくそうでしょう。エルフは森を好むと言われていますので」

「エルフって肉は食べられるの?」

「ええと……多分そうだと思います。食事が違うという話は聞いたことがありません。私たちと変わらないと思います」

 

 肉食可能なエルフか。魚もかな。卵もか。だったらあの作品とは違うな。某作品を思い出しながら、私は頷いた。あの洋食屋は美味しそうで良かった。何度もアニメを観ては涎を垂らしたものだ。美味しい料理は人を笑顔にすると思う。

 

 って、今はそれは置いといて。

 

 要するに南に広がる大森林には結界なるモノがあるから、地図を作ることが出来ないのだろう。でも少なくとも東側の北端に近いこの島を含めて、王都のある大陸の地図は存在している。でも植生は判らないというか、調べても無駄感はある。魔石というチートくさいもので、ここの農園でサトウキビとかが栽培できているのだ。他にもトマトなどの夏野菜も露地栽培されている。魔石があからか、ここではハウスが要らないぽい。どうりで植生の本がうっすいと思ったよ。

 

 ……そういえば転生前は露地栽培が出来るくらいの庭は欲しいなあ、と思ってた。転生前世界日本のうちは、猫の額くらいは地面があったけど、野菜を植えられるほどではなかった。せいぜい、多少の花を植えられるくらいだったな。出来れば自分でピーマンとかトマトとかを育ててみたかった。

 

 油断すると単身赴任先からたまに戻る旦那が、気まぐれに乗ったスクーターを庭に無造作に置きやがる。あのな! 狭くても一応は駐車場があるんだから、そこに駐めろと何度言えば! チャリも置くな! やりたいことやったら赴任先にとっとと戻るだけで、後処理は全部、私だよ! 息子娘もさすがに同情してくれてたのか、後片付けは手伝ってはくれてた。

 でもタイヤに踏まれた花は戻らないっての! クソガ!

 

 あ。しまった。話が逸れた。

 

 魔石を使って露地栽培するのはアシュフォード家があるこの島特有のことかも知れない。もしかしたら、ここから南に下っても米がない可能性もある。てか、この世界に米があるかどうかも判らない。欲しいけども!

 

 一度、島を出てみてもいいのかも知んない。




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