チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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色んな理由があるんだよ

 遠い目をしながら夕食を終え、遠い目をしながら風呂に入り、遠い目をしながらベッドに入った、アラフィフ主婦転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよう。

 

 遠い目になってたのは、トーマスとかに頼まれてノコギリを作りまくってたことでがっくりしてたから。いやホント! 自分の武器をゲットしに行ったのに、何で鍛冶を手伝わなきゃならんのかと! でもってそれを夕食時にスカーレットにチクチクと文句を言われなきゃいかんのかと! でもってメイプル、おまい、私を庇えと! 私の後ろに無言で突っ立ってんじゃねえし!

 

 と、思ったけども。実際にはメイプルには報告義務があるだけで、チクチクされてる私を庇う必要はない。でもスカーレットにチクチク言われたことはホントだし。アーサーはいつもの通りに感激して食事してただけだけど。ていうか! アーサーも止めろよ! 女房の尻に敷かれてるんか!? 同意ってことなのか!? だと思うけど!

 

 ある意味で理不尽なことを考えつつ寝たけど、起きた時には多少はすっきりしていた。寝たら忘れるという特技がないと、旦那との結婚生活はやってられなかったしね! 得意技ではあるよ!

 

 そこまでアレな旦那だったらどーして離婚しなかったのか? それはだな! 入る金が自分一人だけで遣えるものだったら良かったけども、2馬力体制でもちょっと貯蓄が出来るくらいというギリギリだったんだよ!? その状態で離婚してみ!? 破滅しか見えん!

 

 それに子供の養育費を出してくんないと困る! その時だけ生活が出来ても老後が困る! 一人で蓄えられるほど稼がねばならんのに、それを望めるほどの環境がないというかね? 正規でも非正規でも、とにかくコツコツ働いて、住むとこ別にするなら家賃とか払って、税金納めて保険料払って年金払って……とにかく出る金が多すぎて無理!!!

 

 正規なら退職金一発逆転とかはあるかもだけど(非正規には当然ない)、その先、どんだけ生活出来るのか知れたもんじゃない。ていうか、老後のこと考えたら全然足りない。私も保険は掛けてたけど養老とかだと保険代でかなり持って行かれる。

 

 昔、海外から入ってきたという生命保険って掛け捨て商品だったんだよね。だからなのか日本では流行しなかったらしい。当時は村社会の中で互助みたいのがあって、外から入ってきた掛け捨て保険って必要なかったというか? わざわざそんなもん使わなくてもいい、みたいな風潮があったのかも知れない。

 

 そういう事情があるからか日本では養老にする人が多いぽい。かなり前に聞いた話だから、今の若い人たちがどうしてるかは知らんけども。中には年金が下りる系のものもある。抱き合わせってか、どっちもみたいな商品もあると思う。あ、学資保険はまた別。あれはかけた方がいいと思う。子供の進学に要るお金が準備できるから。一気に出すよりちくちく保険代を払う方が楽。もしもの時も安心だしね。

 

 ちなみにバブル全盛期くらいの生命保険商品は当時の試算式に基づいた掛け金だったから、後に莫大な額になったって人もいるはず。ラッキーだね★ 掛け替えてなければね★ 生命保険屋は他の商品に掛け替えさせるという、グロい営業をしたりするからね。危ない危ない。

 

 そんな風に保険を掛けても足りないんだよ。贅沢せずに生きてくくらいなら、ある程度までは行けるかもと思われるかもだけど、それって持ち家がある前提ですよね!? ですよね!?(大事なことなので二度言いました) それって家賃払わないじゃん!? しかもマイホームローン組んでる&車ローン組んでるのコンボの支払いを必死で頑張ってる時、離婚とか離縁とか考えられると思う!? そんな暇ねーよ!

 

 でもって子育てが一段落してほっとした頃のアラフィフになるとな! もはや離婚の手続きとかがだるいんだよ! 浮気とかのはっきりくっきりした理由があれば問題なかろうが、証拠がないなら手続きからの申告からの、と手順も踏まねばならん。

 単身赴任で旦那は家にいない、月々定期的に金が入る、ローン終わった、息子娘も成人独り立ちしてる、多少は私も呑気にお茶が飲める、という状況を捨てるのに、そんだけの労力をかけるのが面倒だよ! よほど困ったら考えるけども!

 

 ……あ。私、死んで転生してるんだった。老後とか関係ないわ。忘れてた。

 とにかく! 寝て起きたら忘れるという私の華麗な技は今でも現役である!

 

 私はベッドから下り、窓から差し込む日の光の中で大きく伸びをした。するとすぐにメイプルがベッドを囲む天幕を開けて姿を見せる。押してきたワゴンにはティーセットとかが載っていた。いつも通りだ。

 

「おはようございます。お嬢様」

「うん、おはよ。メイプル。あ、先に顔」

 

 目を覚ますにはホットタオルが一番。メイプルが私が出した手に素早く布を乗せる。まだパイル生地は採用されてないというか、ここにはないんだよね。パイル生地を作ればいいのかもだけど……家中の拭き布をタオルにするのも手間だから、今は布で我慢してる。……いや、どう考えても言い出しっぺの私が全部やることになるからね。

 

 ちょっと厚めの布を吸引し、あったかいお湯に浸けてしっかり絞るとこまでイメージして合成し、手の上に排出する。するとほかほかタオル(布)の出来上がりだ。ホントはレンチンしたいとこだけど……そこまでのイメージが難しいから濡れタオルの応用で我慢。

 

 ほかほかに出来た布をメイプルに渡す。顔くらい自分で拭きたいんだけども、こういうのは侍女のお仕事らしい。だから今はメイプルにお任せしている。慣れた手つきでメイプルが私の顔を拭いてくれる。その後、温かいお茶を飲み、着替えてから食堂に出陣である。途中で湧いたモンスターは小指一本で倒せるようになったので、さっさと蹴散らして進む。大抵はメイプルがやってくれるんだけども。……メイプルってやっぱ、サーチスキル持ってるのでは?

 

 今日はアーサーとスカーレットは朝食の席にはいなかった。なので私は給仕してもらった食事をもそもそ食べる。朝はトーストと目玉焼きだけでいいんだが。と思うんだけど、出された分は食べないと。朝食はトースト目玉焼きだけでいいって一度はリクエストしたんだよ。でもスティーブンが絶対に譲らなかったので、仕方なく他につけるものは量を減らしてくれと頼んだ。スープやサラダやデザートだ。いくらデザート好きな私でも、朝っぱらからたくさんは食べられない。というか、基本、要らん。でもあるから食べる。美味しい。

 

 前は牛肉だけだったんだよなあ……。食べながら私は遠い目になった。今の食卓には色んな料理が並ぶようになったけども、牛肉オンリーの時は超辛かった。朝から牛肉とかどういう罰ゲームなのかと。でも今は私好みの食事に変わっている。やっぱり食事は大事だよね!




https://syosetu.org/novel/413002/
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回復水の存在を完全に忘れていたので書き直しました
すみません……。
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