チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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砂糖はどうした

 私が転生して、一年が過ぎた。……らしい。

 毎度の自己紹介もいい加減、飽きてきたけど一応。転生者の斉藤奈美恵です。こんにちは。

 

 一歳になった私は両親&メイドたちに盛大に祝われた。あのね。産まれて一年くらいで普通はこんなケーキは食べられないって。それにでかすぎる。更に味は薄いのに食感がしつこい。ナンダコレ。

 

 私はやっと食器を握って食事をすることが出来るようになった。コップを両手で支えて飲むことも出来るし、スプーンを上手に使うことも出来る。でもってようやく、ちょっと歩けるようになった。私が成長していくのが嬉しいのか、何かが出来るようになるたびに両親やメイドが嬉しそうな顔をする。たまに涙を浮かべて喜んでくれるのを見ると、何だか居たたまれない気分になってしまう。成長を喜ぶ親の気持ちは判る。私もそうだった。それが判るからこそ居たたまれない。正確にいうと過去の私を思い出して恥ずかしい!

 

 それに出来れば早く、思う存分に喋りたいんだよね。人との意思疎通がほぼ出来ないし。でもちょっとは言葉が出るようになったから前よりマシか。

 

 ま、そんなことはともかく。

 

「リディア! 誕生日おめでとう!」

「リディア様、おめでとうございます!」

 

 寄ってたかって祝われた私は、にっこり笑って返事する。

 

「ありがとー!」

 

 ……うん、まあ、ガ行が発音できるようになったのはありがたいかな。前は『ありあとー』しか言えなかったし。舌が思うように動かないことにイラッとして、こそこそ練習した私、頑張った!

 

 ケーキはスプーンひと匙でごちそうさました。これ、バターケーキだよね? あー、子供の頃に食べたことがある懐かしい味だわ。元の世界換算で50年くらい前だけども。アラフィフ主婦だった私……しまった! 一年たったからアラ還じゃね!? うっわ、元の地球日本時間だとそうなるのかー! 時の流れは無情!

 

 話を逸らさねば!

 

 なるほど、ここはバターはある世界なのか。パンケーキぽいけど一応はケーキがあるしね。もしかして日保ちをよくするためにバタークリームなのかな? それともバターが高級だからケーキに使ってるのかな?

 

 この世界では誕生日だけでなくイベントごとにケーキが出てくる。宗教的な意味があるとかかな。私がいた世界でも昔から記念日にはケーキを食べて祝っていたらしい。食べたことはないけど、この家でたびたび出てきたイベントケーキも、多分バタークリームだと思う。

 

 誕生日のお祝いケーキはバターがべったりしていて、胃がもたれそうだから大人でもそれほど食べられないと思うけど。実際、アーサーとスカーレットも、ケーキは一切れ食べただけで十分だったようだ。ここの人の味覚はやっぱり私がいた世界と同じなのかな? ……うん、すぐにケーキは下げられたから、それが普通らしい。

 

 ていうか! バターが作れるなら、その手前の生クリームは出来るだろ、おい! 牛乳を分離させてクリームにする、という工程が先にあるんだから! でも、しないんかい! とほほ。

 

 ……そして砂糖はどうした、と聞きたい。

 

 私が見てきたこの世界、というか、少なくともこの家は砂糖をたっぷり使える環境ではないらしいということが判った。ケーキもパンケーキというよりはパンっぽくて、噛んでいると甘みは多少は感じられるけど、そこまで甘くない。ケーキの間にジャムが挟まっていたけど、あれは果実を足すことで甘さを出しているのだろう。甘さより酸味の方が強かったけど。それが限界なのかもと思う。

 

 転生前の世界では、砂糖は昔、あったかいところにはあったはず。他にも大西洋の島にもあった気が。うろ覚えだけども。西の島で商品取引した気がするんだよね。マディラとカナリア? あの辺りの諸島ではサトウキビは栽培されてて、砂糖に加工できてたはず。西側だとカリブ辺りで採れた。砂糖そのものもあった気がするし。……まあ、日本にはもっと早くに入ってたぽいけどね。もちろん最初は珍しかっただろうけど。

 

 ちなみに私の知識はゲームで得たものがほとんどです。ゲームばんざい。子供が学校に行ってる間にちくちくネトゲをプレイしていた私、えらい。調理職で遊んでたから、食品とか嗜好品はチェックしてたのよね。はっはー!

 

 とにかく。この世界にも甘味なら果実の他に蜂蜜とかはあるかも知れない。そんなラノベもあったはず。ただ蜂がいれば、だけども。仮にいたとしても、ここって寒いから蜜を作る蜂は少ないかもとも思う。そもそもこの辺りに咲く花があるのかすら謎。

 

 とにかく植生が判んないんだよなあ……。他にも判らないことだらけなので、せめて書物はゲットしたい。雲のイケメンも本はあるって言ってたから、この家のどこかにもあるんじゃないかと思われ。それに魔法のことも知りたい。会得できるのが吸引だけで終わりです、とか悲しすぎるもんね。

 

「リディア、美味しかったか?」

 

 にこにこ顔のアーサーに言われたら、こう返事するしかない。

 

「うん! おいしかった!」

 

 私は口の周りにべったりとバタークリームをつけた私は両親に笑ってみせた。

 ……笑顔はちゃんと作れていたかな? それが心配。




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日付を入れるのを忘れて先に公開されたみたいです
間違えたー!
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