チートがチートじゃない世界に転生したらしい   作:よしほ

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二章
そこは雪国?


 どーしてこうなった!!!!

 

 と、幼○戦記ター○ャちゃんのように叫びたくなった、元アラフィフ主婦転生者の斉藤奈美恵です。ごきげんよ……私はごきげんじゃない! なんだこれは!!!

 

 初めて島の外に出た私の目の前には、吹雪というよりホワイトアウトな景色が広がっ……広がるもなにも、見えないよ! 転移の時の特徴なのか、深く積もった雪が円柱みたいにくりぬかれてる。だから傍にいるメイプルとテオは判るけど、他は見えない! 防寒具がないと死ぬとこだったのでは!?

 

「寒いですねぇ」

 

 メイプルが呑気に笑って言う。私はガッ! とそっちを向いてメイプルの服をつかんで揺すった。

 

「寒いですねー、じゃねえ! 何でのんびりしてるのかと!」

「大陸の北端はこんなもんですよ、お嬢様。転移先を変えた方が良かったっすかね?」

「当たり前だ!」

 

 今度はテオの服をおもっきり引っ張って揺する。出来るなら襟首をつかんでぶん回したいところだ! 背丈の都合で出来ないのが腹立つ!

 

 ブリザードを越える猛吹雪を避けるため、私たちは間近にあった小屋に入った。通れる道はメイプルが風魔法でさっくり作ってくれたけど……ねえ。最初から転移先をこの小屋にしとけば良かったんじゃ? と思ったけど、寒すぎて歯の根が合わなくなってきた。小屋に入ってガチガチ震える私の足元にメイプルが毛布を敷く。その間にテオが暖炉に薪を放り込みメイプルが火を点ける。出来れば暖炉二馬力とか三馬力とかにして欲しい!

 

 暖炉の火だけでは暗いからか、テオが指を振ったかと思うと部屋の真ん中辺りに光の球が浮かぶ。あー、これライティングとかだな。島を出たのが朝だったから丁度良いかも。でないと時間感覚が狂いそう。それにしても周囲が暗くなるくらいの吹雪ってどうよ。

 

 出かける前に分厚い服でモコモコにされた理由が判った。ふかふかコートや帽子に手袋、ブーツにズボン。出る前は汗が出るほど超暑く感じたけど、こういうことだったのか……。もちろんメイプルとテオも同じような格好になってる。

 

 暖炉の火は思った以上に強いのか、小屋の中はほどなく暖まった。おおう。これなら暖炉は二馬力以上は要らんかったな。早く暖かくなったのは暖炉が大きいからなのか、それとも何か仕掛けがあるんかは知らん。でも私はようやくモコモコな防寒着を脱がせてもらった。その後でメイプルとテオがモコモコの服を脱ぐ。うん、さすがにこれだけ暖かいと暑くなってくるよね。

 

「それにしても、これってどういうことだってばよ」

 

 曇った窓をちょっとだけ手で拭いて外を見る。外はやっぱりブリザードというか真っ白だ。暗いけどそのくらいは判る。

 

「あー。ここ大陸の北なんで! しかも冬だってことうっかり忘れてました。俺も転移先をふわっと設定したし!」

「うっかりすんなし。てけとーが過ぎる!」

「いやー。いつもこの辺で釣りしてて。今回は違うって忘れてました!」

 

 ははは、と呑気にテオが笑う。つかみかかろうかと思ったけど、メイプルに止められた。というか、窓を拭いた手を布で拭かれた。

 

「お嬢様。冷たくなりますし、汚れるので手で窓を触らないでください。それに下手をすると凍傷になりますから」

「ひっ!」

 

 しまった。私は転生前は北国で暮らしたことがないから、その辺のことは詳しくないんだった。はー、と疲れたため息を吐いて、私はあらかじめ吸引しておいた机やテーブルとかを放出した。吸引って便利グッズみたいになってるな、我ながら。そのテーブルの上にメイプルがちゃっちゃっとお茶を準備していく。

 

 暖炉に鍋をかけて水を湧かしているのをぼんやり見ていた私は、前に見たアニメや漫画を思い出した。チーズとか焼いてパンに載せて食べるやつ。他にもでかいチーズを半分にして、熱して柔らかくしたのを茹でた野菜にかけたりするのもあったっけ。食べたことないけど美味しそうだった。ああいうのって憧れたなあ。でかいチーズを溶かすのは何か機械? みたいのがいるっぽかったな。

 

 今日は珍しくメイプルとテオが同じテーブルについてお茶を飲んだ。メイプルはやむなし、という顔をしていたが、私は初めてのことでとても嬉しい。吸引しておいたのは木のテーブルがひとつで、椅子は三脚だったからこうなったのかも。フフフ。次があったら同じようにすればいい……しまった! こんな吹雪の中に放り出されるような状況になったら困る!

 

「それにしても冬があるんだなあ。あの島にいると季節とか気にならないから、ないもんだと思ってたよ」

 

 転生前世界日本にも冬はあった。昔は四季が割とはっきりしてたんだけど、転生直前は夏はクソ暑くなってて、そこまでくっきりはっきり分かれてる感じじゃなかったな。秋をすっ飛ばして冬ですか!? みたいなこともあった。

 

「そうですね。あそこでは寒さや暑さを感じないから、私も忘れてました」

「俺はちょいちょい外に出るから、季節は何となく判ってるっす」

 

 のんびりとテオが言う。私はカップを置いてテオを睨むように見た。

 

「判ってたなら、もっと考えろと!」

「いやー。すんませんっす!」

「元気に言えばいいってもんじゃねえし!」

 

 ひとしきりテオに文句を言ってからあったかい茶を飲む。はー、寒いと温かい茶は格別だね。




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