チートがチートじゃない世界に転生したらしい 作:よしほ
湖の景色を見ながら焼いた肉を食べたりして一日過ごした。ホントは魚も食べてみたかったんだけど、淡水魚なら島にもあるらしいので諦めた。でもってそろそろ転移の魔法陣があるという場所に向かわねばならぬ。
間に色んな町とかを見たいと思ったんだけど……やっぱり観光するには時間が足りない! というか、テオが地理を把握してないからどこに出るか判んないってのが困る! メイプルも判んないし、私ももちろん判んない! 詳しいことが書いてある地図がないし!
そーいえば雲のイケメンがゆってた、レイウ○ングとかの空飛ぶ魔法が使えれば、上からの景色を転写することが出来るのでは!? そうすれば詳細な地図がゲット出来るのでは!? とも考えたけど、今の私は飛べないから無理ゲー。転生前世界の作品だと「唆るぜ、これは」の子が気球に乗って写真撮ってたなあ。
いや、それはともかく。
二人には湖の綺麗な写真をたくさん作れ? 合成しろ? と言われて、私は仕方なく色々な景色を紙に転写した。ついでに二人が並んでるとこも転写した。私を写すことは出来んのかと訊かれたけど、自撮りは無理だよ!? スマホじゃあるまいし!
そんなこともあったけども、小屋の中で三人とも楽しかったことを話しながら寝た。いつもなら駄目だけど、夜にこっそり食べた串焼き肉も美味しかった。……何かこう、熊肉とか鹿肉に慣れつつある気がする。野菜もあれば、とメイプルにまたせがまれたけど、無理だって! 野菜は吸引してないし、そもそも他からイメージするのが難しいんだよ!
そんな訳で私たちは今、とんでもなく寒いところにいます。寒いの何度目か! でも内陸だから高い山があると思えば判ることは出来るっていうかね!? でも判りたくないっていうかね!? もう3度目だよ!? さすがにテオの首を絞めたくなってきた。
「何で山!? しかもどうしててっぺん!? 高山病になるっつってんだろが!」
「寒いっすー!!」
「リディアお嬢様! とりあえず小屋を早く!」
三人で叫んでから私は小屋を放出した。ずっとこの小屋使ってるな……そいえば。でもって三人で小屋に駆けこんでから、テオに強引に回復水を飲ませた。ていうか、一日に1度くらいは飲めるみたいだから、いっそのこと毎日飲ませてやろうか!?
泣きながら回復水を飲んだテオが再び転移魔法を使う。移動した先はのどかな草原地帯だった。……いや違う? よく見ると遠くにボコボコと石があるんだけど。遠くだから石に見えるのかな、あれ。
「あ! ここ、判るっす! 遺跡っすね!」
「遺跡? 昔の建物とか?」
何の気なしに私はそう訊ねた。するとくるっと振り返ったテオが親指を立てる。
「ストーンサークルっす!」
テオがイイ笑顔で言い放った。私は一瞬、何を言われたのか判らずに固まってしまった。そんな私の気持ちが伝わらなかったのか、メイプルがにこやかに言う。
「こういうのはよくありますよね。何の意味があるのかは知りませんけど」
「そっすねー。大陸ではちょこちょこ見かけるっす。あっ、島にはないっすね、確か」
「王族に保護されていると聞いたような」
「あー……確かにそうかも! 聞いたことがあるような、ないような気がするっす!」
私を置き去りにして二人の会話が弾む。
「待てい! ストーンサークル!? なんでこんなのがあるのかと!」
転生前世界にあったストーンヘンジか!? 私が転生した時点ではストーンヘンジは何のためのものかは解明されていなかった気がするね! その手のがこっちの世界にもあるってどういう!?
「え? ただの遺跡っすよ?」
「そこまで珍しいものではないかと。うちの田舎にもありましたし」
そんなことを話しながら私たちは石に近づいていった。進んでいくと石がでかく見え始める。最終的には岩になった。そびえ立つ岩、岩のてっぺんに横倒しにされた岩。どう見てもこれって、私が転生前世界日本でプレイしてたゲームに出てきた遺跡っぽいんだけど!? この世界の常識がわかんないよ! とりあえずここは保護されてる遺跡という理解でいいのだろうか。いやむしろ、これはこれで良し! っていうことにしないと、私の頭がこんがらがる!
遺跡には近づいても良いらしく、私たちは遺跡のど真ん中で食事を摂ることにした。OH...。まさかこんなもののど真ん中で食事をする日が来るとは思ってなかったよ! 何だろ、こう、不経済じゃなく、背徳感? 罪悪感? そんな感じのものに苛まれてしまったからか、胃がシクシクするよ!
そしてまさかの遺跡のど真ん中で簡易かまどで肉を焼くとか……。ここまで来ると、もうどーにでもしてくれって感じかな!! 二人は私の転生前世界を知らんからいいけども、私はものっすごく反応に困るよ! あまりにもアレな感じだから会話もままならないよ! 具合が悪いとか訊かれてもね!? そういうんじゃなくて! 伝えられないものもあるっていうか!
結局、私は胃がシクシクしたまま、遺跡のど真ん中に出した小屋の中で一夜を明かした。